レッスン1-21:情報の提供(SDS制度)

毒劇先生青木さん、今回は情報提供義務(SDS制度)を学びます。
強欲な青木SDS?聞いたことあるけど、法律で義務化されてるんすか?
毒劇先生はい!毒劇法施行令第40条の9で定められています。事業者が他の事業者に毒物劇物を譲り渡すとき、譲渡の時までにSDS(安全データシート)を交付する義務があります。
強欲な青木スーパーで洗剤買うときもSDSもらうんすか?
毒劇先生いえ、事業者間の取引のみが対象!一般消費者への販売は対象外。事業者から事業者へ譲り渡すときだけ義務があります。ただし、相手方から『情報は既にあるので不要』との申し出があれば省略可能。
強欲な青木口頭で説明すればいいんすか?
毒劇先生口頭だけは絶対にNG!文書交付が原則、相手方の承諾があれば電子メール・ウェブ掲載・CD-ROM等もOK。ただし記録性が必要なので、電話での口頭伝達は認められません。
💪実力試し(3問)
まずは腕試し。本番レベルの問題3問を解いてから、解説で確認しましょう。
問題1
毒物劇物の情報の提供(SDSの交付)に関する記述のうち、正しいものはどれか。
- 一般の消費者に劇物を販売する場合にも、SDSを交付しなければならない。
- 提供する情報には、毒物劇物の成分・人体に及ぼす作用・貯蔵方法等が含まれる。
- 情報の提供は、必ず紙の文書を直接手渡しで行わなければならない。
- 一度SDSを交付した相手には、同じ毒物劇物を再度販売する場合でも提供不要である。
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正解:2
解説:選択肢2が正しい。SDSは成分・危険有害性・応急措置・保管方法等16項目を含む。1は誤り:事業者間取引のみ対象。3は誤り:相手方承諾があれば電子メール・ウェブ等も可。4は誤り:原則として譲渡の都度必要、省略可なのは相手方から不要との申し出があった場合。
間違えやすいポイント:『情報は既に渡したから不要』と考えがち。原則は都度提供、相手方からの明示的な『不要』申し出で省略可能。
問題2
情報の提供方法に関する記述のうち、誤っているものはどれか。
- 相手方の承諾があれば、電子メールにSDSのファイルを添付して送信する方法も認められる。
- 相手方の承諾があれば、ウェブサイトにSDSを掲載し閲覧できるようにする方法も認められる。
- 情報を記録したCD-ROMなどの磁気ディスクを交付する方法も認められる。
- 電話で丁寧に危険性を説明すれば、文書の交付に代えることができる。
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正解:4
解説:選択肢4が誤り。口頭での説明(電話含む)は認められない。施行規則第13条の12により、情報提供は『文書の交付その他相手方が確実に確認できる方法』(記録性がある方法)と定められている。1・2・3は相手方の承諾があれば認められる提供方法。
間違えやすいポイント:『丁寧に説明すれば良い』は誤り。法律は『記録性』『確実性』を要求する。
問題3
毒物劇物営業者が他の事業者へ毒物劇物を譲り渡す際の情報提供義務について、正しいものはどれか。
- この義務は、毒物劇物取締法には定められておらず、労働安全衛生法にのみ規定されている。
- 提供すべき情報には、譲渡する事業者の名称・住所・電話番号等の連絡先情報も含まれる。
- 相手方から情報提供は不要であるとの申し出があっても、必ず提供しなければならない。
- 情報の提供を怠った場合、直接的な罰則として懲役刑が科される。
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正解:2
解説:選択肢2が正しい。SDSの16項目に『製品及び会社情報』(供給者名称・住所・電話番号等)が含まれる。1は誤り:毒劇法施行令第40条の9に明文規定。3は誤り:相手方の不要申し出で省略可。4は誤り:毒劇法上の直接的な罰則規定は設けられていない(行政指導対象)。
間違えやすいポイント:『法律の義務=懲役刑』と短絡しない。毒劇法の情報提供義務は罰則より事業者間の自主的情報共有を重視した設計。
🔰基礎教養学習
情報提供義務は①制度の目的 ②義務者・対象・タイミング ③SDSの16項目 ④提供方法の4ブロック構造。特に『事業者間限定』と『口頭不可』が頻出です。
⓪ 情報提供義務の全体像
| 項目 | 内容 |
| 根拠条文 | 施行令第40条の9、施行規則第13条の12 |
| 義務者 | 毒物劇物営業者、業務上取扱者 |
| 対象者 | 他の事業者(個人消費者は対象外) |
| 対象物質 | 毒物または劇物(すべて) |
| タイミング | 譲り渡す時までに(事前または同時) |
| 提供内容 | SDS(安全データシート)の16項目 |
| 提供方法 | 文書交付が原則/相手方承諾で電子メール・ウェブ掲載等も可/口頭は不可 |
| 省略条件 | 相手方から不要との申し出があった場合 |
| 罰則 | 直接的な罰則規定なし(行政指導対象) |
強欲な青木事業者間だけで、しかも口頭NG。記録に残す形が必須っすね。
毒劇先生その通り!一般消費者向けの洗剤などは『家庭用品品質表示法』という別ルールで守られています。毒劇法の情報提供はプロ同士のルールと覚えておきましょう。
① 制度の目的──化学物質の安全の連鎖
この制度の目的は化学物質流通における安全情報の連鎖を作ること。製造・輸入した事業者は物質の危険性を熟知しているが、譲り受けた事業者(部品洗浄工場・研究機関等)が情報を持たなければ、適切な保管・取扱いができず事故につながる。そこで川上→川下への情報バトンを法律で義務化したのがこの制度です。
👉SDS制度の国際的背景
- GHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム):国連が推進する国際標準
- 日本ではJIS Z 7253:2019がSDSの様式を規定
- 関連法:労働安全衛生法・化管法(PRTR法)・毒劇法の3法で整合
- SDS = Safety Data Sheet(旧称MSDS:Material Safety Data Sheet)
② 誰が誰にいつ提供するか
| 項目 | 内容 | 注意点 |
| 義務者 | 毒物劇物営業者(製造・輸入・販売)+業務上取扱者 | 譲り渡す側すべて |
| 提供先 | 他の事業者(法人・個人事業主) | 一般消費者は対象外 |
| 対象物質 | 毒物または劇物のすべて | 特定毒物も含む |
| 提供時期 | 譲り渡す時までに | 事前または譲渡と同時。事後は不可 |
| 省略可の場合 | 相手方から『不要』との申し出 | 事業者同士の合意が必要 |
毒劇先生譲渡時までに提供、という時点が重要!譲渡後に慌てて渡すのはアウト。事前準備が必須です。
③ SDSの記載事項(16項目)
施行規則第13条の12:提供する情報の内容は、次の各号に掲げるものとする。(名称、製造者情報、成分、危険有害性要約、応急措置、火災時措置、漏出時措置、取扱い・保管、ばく露防止、物理化学的性質、安定性・反応性、有害性情報、環境影響、廃棄、輸送、適用法令、その他の情報)
👉SDS 16項目の分類
| カテゴリ | 項目 | 内容 |
| 基本情報(①〜③) | 製品・会社情報/危険有害性要約/組成・成分 | 名称・供給者・GHS分類・含有成分 |
| 緊急対応(④〜⑥) | 応急措置/火災時措置/漏出時措置 | 事故時の初期対応方法 |
| 日常管理(⑦〜⑧) | 取扱い・保管/ばく露防止・保護措置 | 許容濃度・保護具・換気等 |
| 物性情報(⑨〜⑫) | 物理化学的性質/安定性・反応性/有害性情報/環境影響 | pH・引火点・急性毒性・生態毒性 |
| 出口管理(⑬〜⑯) | 廃棄/輸送/適用法令/その他 | 適切な処分・国連番号・関連法規 |
強欲な青木16項目は多いっす…全部暗記は厳しいっすね。
毒劇先生全暗記は不要!『何が含まれて、何が含まれないか』を判別できればOK。試験では「製造年月日は含まれない」「個別ロット番号は含まれない」といった引っかけがよく出題されます。
④ 情報の提供方法(施行規則第13条の13)
| 方法 | 認否 | 条件 |
| 文書の交付(紙) | ○ 原則 | いつでも可 |
| 電子メールによるSDSファイル送信 | ○ 可 | 相手方の承諾が必要 |
| ウェブサイトへの掲載(閲覧) | ○ 可 | 相手方の承諾+確実な閲覧確保 |
| CD-ROM等の記録媒体交付 | ○ 可 | 相手方の承諾が必要 |
| FAX送信 | ○ 可 | 相手方が容易に確認できる状態 |
| 口頭説明・電話での伝達 | × 不可 | 記録性がないため認められない |
毒劇先生口頭・電話はNG!これが試験の最重要ポイント。電子的な方法は相手方の承諾があればすべて可、と覚えましょう。
✅理解度チェックテスト(3問)
基礎学習の内容が身についているか、○✕・穴埋め・4択の3形式で確認します。
チェック1(○✕)
次の記述は正しいか誤りか、○✕で答えてください。
「毒物劇物の情報提供義務は、一般消費者に対する販売の場合にも適用される。」
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正解:✕(誤り)
解説:誤り。施行令第40条の9の情報提供義務は『事業者間の譲渡』のみが対象。一般消費者への販売は対象外(家庭用品品質表示法等の別規制が適用される)。
チェック2(穴埋め)
次の文の【 】に入る最も適切な語句を選んでください。
毒物劇物を他の事業者に譲り渡す際、その譲り渡す時までに、【 】を提供しなければならない(施行令第40条の9)。
- 譲渡証明書
- 性状および取扱いに関する情報(SDS)
- 納品書
- 毒物劇物取扱責任者の資格証
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正解:2
解説:『その性状および取扱いに関する情報』を提供する義務があり、実務上はSDS(安全データシート)の交付でこれを行う。
チェック3(4択)
SDSに記載される情報として、含まれないものはどれか。
- 成分およびその含有量
- 急性毒性・発がん性等の有害性情報
- 製造年月日およびロット番号
- 応急措置および廃棄上の注意
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正解:3
ポイント:SDSは物質の一般的な性質を記述するもので、個別製品の製造年月日・ロット番号は記載事項に含まれない(これらは納品書・ラベル等に記載)。
深掘り解説
テーマ1:労働安全衛生法・化管法との関係
SDS交付義務は毒劇法だけでなく、労働安全衛生法第57条の2、化管法(PRTR法)第14条にも規定されています。労働安全衛生法は労働者保護の観点、化管法は環境保護の観点、毒劇法は保健衛生上の観点で、いずれも譲渡時のSDS交付を義務化しています。実務上は1枚のSDSで3法の要件を満たすのが一般的(JIS Z 7253準拠の統一様式)。ただし、労働安全衛生法のSDS交付義務違反には罰則があるが、毒劇法の情報提供義務違反には直接的な罰則規定がない点が試験で問われる。
テーマ2:GHS(化学品分類・表示の国際標準)
| GHS要素 | 内容 | SDSでの位置 |
| 絵表示(ピクトグラム) | 9種類の象徴的マーク(髑髏・炎等) | 項目②危険有害性要約 |
| 注意喚起語 | 『危険』(重度)/『警告』(軽度) | 項目② |
| 危険有害性情報(Hコード) | H301(飲み込むと有毒)等の文言 | 項目② |
| 注意書き(Pコード) | P260(粉じん・ミスト等の吸入回避)等 | 項目② |
テーマ3:SDSの更新義務
SDSの内容に変更が生じた場合は、変更後の情報を速やかに提供する必要があります。例えば、新たな有害性情報が判明した場合、適用法令に変更があった場合等。また、SDSの情報は5年に1回程度の見直しが推奨されています(JIS Z 7253)。過去に譲渡した相手にも、更新情報を追加提供することが望ましい(努力義務)。
🥊過去問演習(全10問)
本番形式の10問に挑戦!基礎・深掘りで学んだ内容を総動員して解きましょう。
📝まとめと次の学習へのつなぎ
今回の学習ポイント
- 根拠:施行令第40条の9、施行規則第13条の12
- 義務者:毒物劇物営業者+業務上取扱者
- 対象:事業者間の譲渡のみ(一般消費者への販売は対象外)
- タイミング:譲り渡す時まで(事後は不可)
- 提供内容:SDS 16項目(成分・危険性・応急措置・廃棄方法等)
- 提供方法:文書原則/電子メール・ウェブ・CD-ROM(承諾要)/口頭は絶対不可
- 省略可:相手方から『不要』との申し出があった場合
- 罰則:毒劇法上の直接罰則なし(行政指導対象)/労働安全衛生法は罰則あり
毒劇先生『事業者間・口頭不可・16項目』の3点セットを押さえれば完璧。国際標準GHS/SDSの流れも併せて理解を深めてください。
強欲な青木事業者間取引でのSDS交付義務、電子的な方法もOK、口頭だけはNG!
次回予告:レッスン1-22「罰則」
次回は法規分野の最終単元罰則(第24条〜第27条)。これまで断片的に触れてきた罰則規定を体系的に整理します。3年以下/200万以下(無登録営業・特定毒物不正使用)、1年以下/50万以下(無資格者取扱等)、50万以下(表示・譲渡手続・取扱責任者設置違反)、30万以下(届出違反・立入検査拒否等)の4ランクを暗記します!
毒劇先生罰則は数字の暗記が多いですが、ゴロ合わせで楽に覚えられます。法規22単元の総仕上げに向けて準備しましょう!
📍 他のレッスンへ
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