覚えたら、解こう。毒物劇物取扱者「過去問テスト」 詳細はこちら

レッスン2-19:脂肪族炭化水素

レッスン2-19:脂肪族炭化水素
毒劇先生

青木さん、今回は脂肪族炭化水素。有機化学の主戦場です。

強欲な青木

アルカン・アルケン・アルキンの違いは?

毒劇先生

結合の種類!アルカン=C-C単結合のみ(飽和)、アルケン=C=C二重結合を1つ以上、アルキン=C≡C三重結合を1つ以上。一般式:アルカンCₙH₂ₙ₊₂、アルケンCₙH₂ₙ、アルキンCₙH₂ₙ₋₂。

強欲な青木

メタノールとエタノールの違いは?

毒劇先生

どちらもアルコールだが毒性が全然違う!メタノール CH₃OH(劇物):失明・致死の危険性。工業用・燃料。エタノール C₂H₅OH(普通物):お酒の成分・消毒用。適量なら安全。この違いは試験で頻出!

強欲な青木

アルコールから他のものに変わる経路は?

毒劇先生

アルコール → アルデヒド → カルボン酸の酸化経路!メタノール→ホルムアルデヒド→ギ酸、エタノール→アセトアルデヒド→酢酸。いずれも段階的な酸化で、生体内でも同じ反応が起こります。

脂肪族炭化水素の3分類
図解:脂肪族炭化水素の3分類
目次

💪実力試し(3問)

問題1

次のアルカンのうち、炭素数5の『ペンタン』の分子式として正しいものはどれか。

  1. C₅H₈
  2. C₅H₁₀
  3. C₅H₁₂
  4. C₅H₁₄
解答と解説を見る

正解:3

解説:アルカンの一般式 CₙH₂ₙ₊₂。n=5 なら C₅H₁₂。

間違えやすいポイント:アルカン=CₙH₂ₙ₊₂、アルケン=CₙH₂ₙ、アルキン=CₙH₂ₙ₋₂。

問題2

エタノールを酸化すると生成する化合物はどれか(第1段階)。

  1. アセトアルデヒド CH₃CHO
  2. 酢酸 CH₃COOH
  3. ホルムアルデヒド HCHO
  4. ジエチルエーテル
解答と解説を見る

正解:1

解説:エタノール C₂H₅OH → アセトアルデヒド CH₃CHO → 酢酸 CH₃COOH の酸化経路。第1段階はアセトアルデヒド(アルデヒド)。

間違えやすいポイント:アルコール→アルデヒド→カルボン酸の3段階酸化を覚える。

問題3

次のうち毒劇法において『劇物』指定されている脂肪族有機化合物はどれか。

  1. エタノール(酒・消毒用)
  2. メタノール
  3. プロパン
  4. 酢酸(食酢)
解答と解説を見る

正解:2

解説:メタノールCH₃OHは毒劇法の劇物指定。失明性があるため産業上厳格に管理される。エタノール・プロパン・酢酸は普通物。

間違えやすいポイント:メタノール(劇物)vs エタノール(普通物)は試験超頻出の引っかけ。

🔰基礎教養学習

本単元は①アルカン ②アルケン・アルキン ③アルコール ④アルデヒド・カルボン酸の4ブロック構造。

⓪ 脂肪族炭化水素の分類

分類 結合 一般式 代表例
アルカン C-C単結合のみ(飽和) CₙH₂ₙ₊₂ メタンCH₄・エタンC₂H₆・プロパンC₃H₈
アルケン C=C二重結合含む(不飽和) CₙH₂ₙ エチレンC₂H₄・プロピレンC₃H₆
アルキン C≡C三重結合含む(不飽和) CₙH₂ₙ₋₂ アセチレンC₂H₂
シクロアルカン 環状単結合 CₙH₂ₙ シクロヘキサンC₆H₁₂

① アルカン(飽和脂肪族炭化水素)

炭素数 名称 分子式 常温状態
1 メタン CH₄ 気体(都市ガス成分)
2 エタン C₂H₆ 気体
3 プロパン C₃H₈ 気体(LPガス)
4 ブタン C₄H₁₀ 気体(ライター)
5〜15 ペンタン〜ペンタデカン 液体(ガソリン・灯油)
16以上 ヘキサデカン〜 固体(ワセリン・パラフィン)

👉性質と反応

  • 無極性で水に溶けにくい
  • 燃焼でCO₂とH₂O生成(完全燃焼)
  • ハロゲン化反応(光照射下でクロロホルム等生成)

② アルケン・アルキン(不飽和脂肪族)

👉代表物質

  • エチレン CH₂=CH₂:プラスチック(ポリエチレン)原料
  • プロピレン CH₂=CHCH₃:ポリプロピレン原料
  • アセチレン HC≡CH:溶接燃料(酸素と組合せ3000℃)
  • 1,3-ブタジエン:合成ゴム原料

👉特徴的な反応

不飽和結合に対する付加反応が特徴:・エチレン + H₂ → エタン(水素付加)・エチレン + HCl → クロロエタン(塩化水素付加)・エチレン + H₂O → エタノール(水付加・水和反応)これらは工業的に重要な反応。

③ アルコール(-OH 基)

物質 構造式 毒劇法 備考
メタノール CH₃OH 劇物 失明性・工業用
エタノール C₂H₅OH 普通物 酒・消毒用
1-プロパノール CH₃CH₂CH₂OH 普通物 溶媒
2-プロパノール(イソプロパノール) (CH₃)₂CHOH 普通物 消毒用
エチレングリコール HOCH₂CH₂OH 劇物 不凍液・甘味あるが毒
グリセリン CH₂(OH)CH(OH)CH₂(OH) 普通物 化粧品・爆薬原料

👉アルコールの3分類(-OHが付く炭素原子による)

  • 第一級アルコール:-CH₂OH(メタノール・エタノール)→ 酸化でアルデヒド生成
  • 第二級アルコール:-CH(OH)- (2-プロパノール)→ 酸化でケトン生成
  • 第三級アルコール:-C(OH)(R)(R)- → 酸化されにくい

④ アルデヒド・カルボン酸

👉酸化経路

アルコール → アルデヒド → カルボン酸

  • メタノール CH₃OH → ホルムアルデヒド HCHO(劇物・1%以下除外) → ギ酸 HCOOH
  • エタノール C₂H₅OH → アセトアルデヒド CH₃CHO → 酢酸 CH₃COOH

👉代表的カルボン酸(毒劇物含む)

カルボン酸 構造 毒劇法
ギ酸(蟻酸)HCOOH アリ・蜂の毒 劇物(90%以下除外)
酢酸 CH₃COOH 食酢の主成分 普通物
シュウ酸(蓚酸)(COOH)₂ ホウレン草・土筆 劇物(10%以下除外)
クエン酸 柑橘類 普通物

✅理解度チェックテスト(3問)

チェック1(○✕)

次の記述は正しいか誤りか、○✕で答えてください。

「メタノール(CH₃OH)は毒物劇物取締法において劇物に指定されている。」

答えを見る

正解:○(正しい)

解説:正しい。メタノールは失明性があり劇物指定。エタノールは普通物(混同注意)。

チェック2(穴埋め)

次の文の【 】に入る最も適切な語句を選んでください。

アルカンの一般式は【   】で、炭素数nを使って表される。

  1. CₙH₂ₙ
  2. CₙH₂ₙ₊₂
  3. CₙH₂ₙ₋₂
  4. CₙHₙ
答えを見る

正解:2

解説:アルカン=CₙH₂ₙ₊₂。アルケン=CₙH₂ₙ、アルキン=CₙH₂ₙ₋₂。

チェック3(4択)

ホウレン草や土筆に含まれる、カルボキシ基を2つ持つ劇物はどれか。

  1. 酢酸
  2. ギ酸
  3. シュウ酸
  4. 乳酸
答えを見る

正解:3

ポイント:シュウ酸 (COOH)₂ はジカルボン酸で、ホウレン草・タケノコ・タデ等に含まれる劇物(10%以下は除外)。

🪏深掘り解説

テーマ1:メタノールの毒性

メタノールは生体内でホルムアルデヒド→ギ酸に代謝され、ギ酸が視神経を障害して失明を引き起こす。致死量約30〜100mL。解毒にはエタノール投与(代謝を競合阻害)ホメピゾールが用いられる。

テーマ2:エチレングリコールの甘味トラップ

不凍液主成分のエチレングリコールは甘味がある劇物。ペット・子どもが誤飲する事故多数。体内でシュウ酸に代謝され腎不全を引き起こす。

テーマ3:エステル化とけん化

カルボン酸 + アルコール → エステル + 水(エステル化、平衡反応)。酢酸 + エタノール → 酢酸エチル + 水(果実の香り)。エステル + NaOH → カルボン酸塩 + アルコール(けん化、石鹸製造)。

🥊過去問演習(全10問)

Q1. アルカンの一般式として正しいものはどれか。

Q2. アルケンの一般式として正しいものはどれか。

Q3. アルキンの一般式として正しいものはどれか。

Q4. メタン CH₄ の分類として正しいものはどれか。

Q5. エチレン C₂H₄ の特徴として正しいものはどれか。

Q6. アセチレン C₂H₂ の特徴として正しいものはどれか。

Q7. アルカンの代表的反応として正しいものはどれか。

Q8. アルケンの代表的反応として正しいものはどれか。

Q9. 石油のクラッキングで生成する有用な原料ガスとして正しいものはどれか。

Q10. アルカンの物理的性質で正しいものはどれか。

あなたのスコアは

📝まとめと次の学習へのつなぎ

今回の学習ポイント

  • アルカン CₙH₂ₙ₊₂、アルケン CₙH₂ₙ、アルキン CₙH₂ₙ₋₂
  • アルコール→アルデヒド→カルボン酸の酸化経路
  • メタノール(劇物)vs エタノール(普通物)の違い
  • 主要劇物:メタノール・ホルムアルデヒド・フェノール・シュウ酸・ギ酸・エチレングリコール
毒劇先生

アルコール系の毒劇物は構造と代謝経路で覚えられます!

次回予告:レッスン2-20「芳香族化合物」

次回は芳香族化合物。ベンゼン・フェノール・アニリン・ニトロベンゼン・ピクリン酸など、毒劇物の宝庫です。

📍 他のレッスンへ

章全体の学習進度はサイドバーからも確認できます。前後のレッスンで関連事項を横断的に復習しましょう。

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この記事を書いた人

高専から大学院まで9年間にわたり化学を専攻。
消防整備士として10年の実務経験を積み、独立・起業。

消防設備士全類、危険物取扱者全類をはじめ、第二種電気工事士、AI・DD総合種、第三種電気主任技術者など、多数の国家資格を保有。

神戸高等技術専門学院にて危険物取扱者 乙種第4類およびDO第3種の講師を担当。
また、月刊誌「電気と工事(オーム社)」にてコラムを連載中。

実務・教育・執筆の三軸から、専門性と実践力を兼ね備えた情報発信を行っている。

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