不安で夜も9時間くらいしか眠れない!
防災屋(消防設備士)は消防法に精通し、国家資格である消防設備士という免許を携えて独占業務をはじめとする「消防用設備等の施工・メンテナンス」を生業としています。
消防用設備等は、大きく以下の3つに分けられます。
- ①消火設備
- ②警報設備
- ③避難設備
建設現場によっては、他業種の方が消防用設備等の工事を担当することもあります。
では何故、他の業者さんでも手掛けられる消防用設備等の施工について、未だに防災屋の様な専門家が存在し、必要とされていると思いますか?
10秒ほど思考を進めてもらってから、続きを読んで答え合わせしてみて下さい!
防災屋(消防設備士)が現場で必要とされる理由
◎ 消火は「衛生設備」の一つ
建設現場におけるスプリンクラー設備や屋内・屋外消火栓設備などの「消火設備」は、大きな「衛生設備」という括りの一つでしかありません。
「衛生設備」といえば、主にトイレや水道といった「給排水設備」やエアコンや換気扇などの「空調設備」をイメージされる建設業関係者様が殆どでしょう。
何故なら「衛生設備」における建設単価の多くを「給排水設備」や「空調設備」が占めており、消防用設備等の一つである「消火設備」は商売的に “ついで” の様な位置づけになっているからです。
◎ 警報は「電気設備」の一つ
自動火災報知設備や非常警報・放送設備および火災通報装置などの「警報設備」についても、現場では大きな「電気設備」の一つでしかないのです。
「電気設備」については、三相200Vの動力や単相100~200Vの電灯回路を用いて機器に電源供給する為の「強電」を代表的なものとして挙げられる方が多いでしょう。
こちらも「電気設備」における建設単価の多くを「強電」が占めており、それに「弱電」であるインターホンや「通信設備」そして消防用設備等である「警報設備」が付随するものという位置づけになっているのです。
◎ 避難は「建築設備」の一つ
上記の設備以外、その他は「建築設備」に該当するでしょう。
「建築設備」は多岐にわたり、その中で「避難設備」である救助袋や緩降機及びベランダの避難はしご等の存在感は非常に小さいものとなります。
ハッチ式の避難はしごについては、サッシ・金物屋さんが製作所より直で取り寄せて建設現場に納入するケースも多々ある為「避難設備」については消防設備士の出る幕が無い場合もあります。
よって「建築設備」における「避難設備」についてが、数ある設備の “ごく一部” になります。
避難設備であるハッチ式の避難はしごをサッシ・金物屋さんが現場に納入する様に、消火設備や警報設備といった消防用設備等についても、手掛けられる衛生屋さんや電気屋さんが現場にいらっしゃれば防災屋(消防設備士)という専門家が不要になるパターンもあります。
◎ なぜ防災屋(消防設備士)が必要に?
では、なぜ防災屋(消防設備士)が現場にいるかというと『メインでない工事の割に、面倒なことが多いから』でしょう。
消防用設備等は消防法に則って施工しなければならず、所轄消防署とやり取りをして他の設備と比べて細かい情報を記載した届出をした上で消防検査をクリアしなければなりません。
繰り返し(※そもそも現場によっては無い)と記載した通り、普段から慣れていないポッと出の業者さんが手を出すと十中八九『何じゃコレ消防‥クソ味噌ダルいやんけ!』って状況に陥ります。
また、消防本部によって消防法の取扱いが異なる為、例えば『C消防署ではOKだったけど、お隣の市町村となるH消防署では認められません。』といった現象に対応できる「地域に根付いた防災屋(消防設備士)」という存在にも価値が生じています。
㊙ 大手ゼネコン建設現場のカースト
防災屋(消防設備士)が建設現場に入った場合も、もちろん他の業者さんとやり取りをして工事を進めねばなりません。
和気あいあい、お互い協力して良いモノ作りましょう!…みたいな雰囲気の現場が全てであれば問題ないのですが、構造的にそうなっておらず時に苦労することがあるでしょう。
特に「建築設備」を元請けであるゼネコンから直で受注している職人さん達は、3次請け以降の設備業者にはメッポウ強いです。
◎ 業界のマジ話が描かれた漫画3選
- ☑ ブルーカラー・ブルース
建設現場の監督として “滅茶苦茶ブラック” な環境下で働いた、著者の実話ベースの漫画。
職人や会社とのやり取りがリアル過ぎて笑えないがゾックゾクする、当ブログで書けない話も。
業界について知りたい就職・転職希望者や、点検メインで工事をしない消防設備士は必見の1冊‥。
- ☑ 正直不動産
嘘をついて契約を取ってくるのは当たり前の不動産業界(※本当かどうか管理人は知りません)で営業成績トップだった主人公が、地鎮祭の祠(神様がいるやつ)を蹴り壊した結果、呪われて本音しか言えなくなってまう話。
『業界構造の理解に繋がる‥』と寿防災工業㈱安永さん(@Shuhei_kotobuki)がTwitterでツイートしていたので拝読させて頂きましたところ、管理人も完全にハマってしまいました。
あらゆる建物が職場となる消防設備士は不動産業界の方々と仕事で接点を持つことも多々あるので、お客様側の事情や気持ちを察する為にも必見の漫画です。
◎ まとめ
- 消防用設備等は大きく「①消火設備」と「②警報設備」及び「③避難設備」の3つに分けられ、建設現場によっては他業種の方が消防用設備等の工事を担当することもあるのに何故、他の業者さんでも手掛けられる消防用設備等の施工について、未だに防災屋の様な専門家が存在し、必要とされているのか質問した。
- 消防用設備等は、設備の括り的に「衛生設備」や「電気設備」の一部となっているがそもそも現場によっては無い場合も多々あり、慣れていない業者が手を出すと『メインでない工事の割に、面倒なことが多い』為、我々防災屋(消防設備士)の専門家が必要となった。
- 消防本部によって消防法の取扱いが異なる為、例えば『C消防署ではOKだったけど、お隣の市町村となるH消防署では認められません。』といった現象に対応できる「地域に根付いた防災屋(消防設備士)」という存在にも価値が生じていた。