消火器の廃棄処理の指導について

消火器の廃棄処理の指導について

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[昭和54年1月24日 消防予第17号・各都道府県消防主管部長あて 消防庁予防救急課長]

さる3月25日富山県において廃棄消火器による人身事故が発生し、死者を出す惨事となった。これは、廃棄された消火器の腐食が激しく加圧用ガス容器がとりのぞかれていないまま屋外に放置されたことによるものと考えられる。

今後このような事故が発生しないように消火器の廃棄処理について安全対策の徹底及び環境汚染の防止を図るため、下記の事項に十分留意のうえ廃棄処理するよう消火器の販売、点検・整備等を行う業者に対して特段の指導をお願いするとともに貴管下市町村に連絡のうえ指導するようよろしくお願いする。

 

消火器の廃棄処理の指導について

屋外等放置防止の周知徹底

型式承認が失効し「消防用機械器具等及び消火設備等の技術上の基準に関する特例を定める省令」(昭和52年自治省令第3号)に 定める期間が過ぎたもの又は点検の結果、腐食、損傷その他異常が認められ廃棄すべき消火器と判定されたもの等廃棄処理の必要がある 消火器で、廃棄処理するまでの間一時保管する場合は、高圧ガス取締法(昭和26年法律第204号)の適用を受ける加圧用ガス容器等及び 本体容器又は蓄圧式の圧力容器等があり、また薬剤も硫酸、四塩化炭素の劇物が使用されているものもあるので、屋外等へ放置することなく外部の者が侵入できない施設に保管すること。

 

消火器の廃棄処理の方法

消火器の廃棄処理は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(昭和45年法律第137号)、「高圧ガス取締法」、「毒物及び劇物取締法」 (昭和25年法律第303号)、「下水道法」(昭和33年法律第79号)等の法令を遵守するとともに次の方法又はこれに準じた方法)により処理すること。

 

消火器本体の処理

消火器本体は、次により処理を行うこと。

ア 本体容器及び部分品は、その材料ごとに金属材料とプラスチック類、ゴム等に分離して処理すること。

イ 高圧ガス取締法の適用を受ける二酸化炭素消火器(容器頭部が緑色に塗色されたもの)、ハロン1301消火器(容器頭部がねずみ 色に塗色されたもの)の本体容器及び粉末消火器、強化液消火器の加圧用ガス容器(内容量100ml以上のもので緑色〈二酸化炭素) 又はねずみ色〈窒素〉に塗色されたもの)は、消火器メーカー又は高圧ガス容器専門業者に処理を依頼すること。

ウ 高圧ガス取締法の適用を受けない内容量100ml未満の加圧用ガス容器も常温で60kgf/cm?程度の圧力が加わっているので本体容 器から分離し、処理を依頼するか又は排圧治具により排圧処理をすること。

エ 蓄圧式消火器は6.0~9.8kgf/cm?の圧力が加わっているので消火器容器本体を倒立しバルブを開くなどして排圧処理をすること。

 

消火薬剤の処理

消火薬剤は次により処理すること。なお、この場合各市の下水道条例により排水の制限があるので注意すること。

ア 酸アルカリ消火薬剤

(ア) 本体容器等に損傷その他異常がなく耐圧強度があると認められるものは薬剤を放射した後放流処理をすること。

(イ) (ア)による処理ができないものについては、外筒液(炭酸水素ナトリウム)及び内筒液(硫酸)をそれぞれ取出し、内筒液は濃硫酸であるので取扱いに注意し、まず水で数倍にうすめてから外筒液に内筒液を徐々に加え中和した後、水で稀釈しながら放流処理すること。

 

イ 強化液消火薬剂

強化液消火薬剤は水素イオン濃度指数が高いので多量の水で稀釈(水素イオン濃度指数5.0以上9.0以下とする)し、水を流しながら放流処理をすること。

 

ウ 泡消火薬剤

(ア) 泡消火薬剤を放射し、中和処理すれば泡の収集処理が困難となり、また、公共下水道等においても処理が困難となるので外筒液と内筒液を分離して処理をすること。

(イ) 外筒液(炭酸水素ナトリウム)は、水で稀釈しながら放流処理をすること。

(ウ) 内筒液(硫酸アルミニウム)は、酸性であるので稀釈(水素イオン濃度指数5.0以上9.0以下とする)し、水を流しながら放流処理をすること。なお、放流する場合は、外筒液と混合しないように放流処理をすること。

 

エ 粉末消火薬剤

粉末消火薬剤は飛散しないように袋に入れてからブリキ璧に入れ蓋をして処理をすること。

 

オ 四塩化炭素消火薬剤

四塩化炭素は劇物であり取扱いには十分注意し、保健衛生上危害を生じるおそれのない場所で少量ずつ放出し揮発させる。

 

カ 二酸化炭素、ハロン1011、ハロン2402、ハロン1301消火薬剤

保健衛生上危害を生じるおそれのない場所で少量ずつ放出し揮発させる。