アパート・マンションの消防点検にかかる費用って?
◎ 誰が費用を支払うの?
消防点検の実施義務は消防法 第17条の3の3にて建物の “関係者” にあるとされていますが、費用を負担するのは管理権原者であることが一般的です。
管理権原者とは‥主に建物の所有者(オーナー)や管理組合が該当します。消防法上では「管理権原者」について「防火対象物又はその部分における火気の使用又は取扱いその他法令に定める防火の管理に関する事項について、法律・契約又は慣習上当然行うべき者」と位置付けられています。
◎ 消防点検にかかる費用の例
消防点検にかかる費用は前ブログ “消防点検の料金を積算する方法3つ” でも述べている通り、建物にある消防用設備等の “種類” や各消防用設備等の “設置個数” で上下しますので一概には言えないものです。
消防点検にかかる費用は?おおよその料金を積算する方法3つを解説!
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それを踏まえた上で、消防点検にかかる費用の大まかな例を記載します。
2階建てアパートの場合
消火器のみ | ¥15,000円~ |
誘導灯あり | ¥20,000円~ |
自火報あり | ¥40,000円~ |
5階建てマンションの場合
延べ面積1,000㎡未満 | ¥50,000円~¥100,000円ほど | |||
延べ面積1,000㎡以上 | ¥50,000円~ |
例えば、消防法施行令第29条の規定により、令別表第一に掲げられる建築物で 「階数が5以上で延べ面積が6,000㎡」や 「階数が7階以上」といった建築物には消防隊の方が消防ポンプ車の水が届かない高層階でも消火活動を行う為、地上から消火用水を上階へ届ける連結送水管なる設備が設けられています。
連結送水管の耐圧試験
連結送水管は地上の送水口から加圧送水した際に、配管が水圧に耐えられるかどうかを確認する “耐圧試験” を配管を設置した日から10年を経過した日以降に行うこととされています。
配管の耐圧性能(配管を設置した日から10年を経過した日以降に点検を行う場合に限る。ただし、配管の耐圧性能に関する点検を行ってから3年を経過していない場合及び屋内消火栓設備と当該配管を共用している部分を除く。)
◎ 消防点検の実施と報告の周期
消防点検は、その “実施” の周期と所轄消防署への “報告” の周期に関するルールが異なるので注意が必要です。
消防点検の実施周期
消防点検の “実施” 周期は以下の通りです(消防法施行規則 第31条の6〔消防用設備等又は特殊消防用設備等の点検及び報告〕)。
- 機器点検☞半年に一回
- 総合点検☞一年に一回
所轄消防署への点検結果報告周期
消防点検の “報告” 周期は以下の通りです(消防法施行規則 第31条の6〔消防用設備等又は特殊消防用設備等の点検及び報告〕)。
- 特定防火対象物(不特定多数の人が出入りする物)‥一年に一回
- 非特定防火対象物(特定防火対象物以外の建物)‥三年に一回
よって、消防点検の費用については年2回の実施分を予算として見ておく必要があります。
◎ まとめ
- アパート・マンションの消防点検実施義務は消防法 第17条の3の3にて建物の “関係者” にあるとされていますが、費用を負担するのは管理権原者であることが一般的であった。
- 消防点検にかかる費用は、建物にある消防用設備等の “種類” や各消防用設備等の “設置個数” で上下するので一概には言えなかった。
- 消防点検は、その “実施” の周期と所轄消防署への “報告” の周期に関するルールが異なるので注意が必要であった。