平成九年六月三十日
消防庁告示第九号
改正 平成二十年十二月消防庁告示第二十六号
消防法施行規則(昭和三十六年自治省令第六号)第二十四条第五号ト及び第五号の二ニの規定に基づき、自動火災報知設備の地区音響装置の基準を次のとおり定める。
地区音響装置の基準
第一 趣旨
この告示は、消防法施行規則(昭和三十六年自治省令第六号)第二十四条第五号ト及び第五号の二ニの規定に基づき、自動火災報知設備の地区音響装置の基準を定めるものとする。
第二 用語の意義
この基準において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 地区音響装置 受信機の地区音響鳴動装置(受信機に係る技術上の規格を定める省令(昭和五十六年自治省令第十九号)第六条の四に規定する装置をいう。以下同じ。)から発せられた信号を受信して、音響又は音声により火災の発生を報知するものをいう。
二 音響装置 ベル、ブザー、スピーカー等の音響又は音声による警報を発するものをいう。
三 音声切替装置 地区音響鳴動装置から、音響により警報を発する音響装置を鳴動させるための信号を受信したときに、音声により警報を発する音響装置に信号を発信してこれを鳴動させるものをいう。
第三 構造及び機能
地区音響装置の構造及び機能は、次に定めるところによる。
一 確実に作動すること。
二 耐久性を有すること。
三 ほこり又は湿気により機能に異常が生じないこと。
四 腐食により機能に異常が生じるおそれがある部分には、防食のための措置が講じられていること。
五 主要部の外箱の材料は、不燃性又は難燃性のものとすること。
六 配線は、十分な電流容量を有し、かつ、的確に接続されていること。
七 誤接続のおそれのあるものにあっては、誤接続を防止するための適当な措置が講じられていること。
八 部品は、機能に異常が生じないように取り付けられていること。
九 充電部は、外部から容易に人が触れることができないように、十分に保護されていること。
十 公称音圧は、音響により警報を発する音響装置にあっては九十デシベル以上、音声により警報を発する音響装置にあっては九十二デシベル以上とすること。
十一 受信機との間の信号を無線により発信し、又は受信する地区音響装置(第七第二号において「無線式地区音響装置」という。)にあっては、次に定めるところによること。
(一) 無線設備は、無線設備規則(昭和二十五年電波監理委員会規則第十八号)第四十九条の十七に規定する小電力セキュリティシステムの無線局の無線設備であること。
(二) 電源に電池を用いる場合にあっては、電池の交換が容易にでき、かつ、電池の電圧が地区音響装置を有効に作動できる電圧の下限値となったとき、その旨を受信機に自動的に発信すること。
第四 音声切替装置の機能
音声切替装置を備えた地区音響装置にあっては、当該音声切替装置の機能は、第三によるほか、次に定めるところによる
一 再生部は、次によること。
(一) 増幅器の最大出力電圧値は、一キロヘルツの正弦波を定格電圧で入力した場合において、定格出力電圧値の九十パーセント以上百十パーセント以下とすること。
(二) 音響装置を明瞭に鳴動させることができること。
二 音声による警報の鳴動は、次によること。
(一) 地区音響鳴動装置から信号を受信した場合において、感知器が作動した旨の警報(以下「感知器作動警報」という。)を自動的に発すること。
(二) 感知器作動警報の作動中に地区音響鳴動装置から信号を受信した場合又は一定時間が経過した場合において、火災である旨の警報(以下「火災警報」という。)を自動的に発すること。
三 音声による警報は、警報音及び音声によることとし、その構成は次によること。
(一) 感知器作動警報は、第一警報音、音声、一秒間の無音状態の順に連続するものを反復するものであること。
(二) 火災警報は、第一警報音、音声、一秒間の無音状態、第一警報音、音声、一秒間の無音状態、第二警報音の順に連続するものを反復するものであること。
四 警報音は、次によること。
(一) 基本波形は、一周期に対する立ち上がり時間の比が〇・二以下ののこぎり波であること。
(二) 第一警報音は、周波数七百四十ヘルツの音が〇・五秒間鳴動した後に、周波数四百九十四ヘルツの音が〇・五秒間鳴動するものを三回反復するものであること。
(三) 第二警報音は、周波数を三百ヘルツから二キロヘルツまで〇・五秒間で掃引させた音が〇・五秒間隔で三回鳴動した後に、一・五秒間の無音状態となるものを三回反復するものであること。
(四) 包絡線は、第一警報音にあっては立ち上がり時間〇・一秒間及び立ち下がり時間〇・四秒間の形状とし、第二警報音にあっては矩形とすること。
五 音声は、次によること。
(一) 感知器作動警報に係る音声は、女声によるものとし、自動火災報知設備の感知器が作動した旨の情報又はこれに関連する内容を周知するものであること。
(二) 火災警報に係る音声は、男声によるものとし、火災が発生した旨の情報又はこれに関連する内容を周知するものであること。
第五 スピーカーの機能
スピーカーの音声による警報を発する地区音響装置にあっては、当該スピーカーの機能は、第三によるほか、次に定めるところによる。
一 周波数が三百ヘルツ以上八キロヘルツ以下の範囲における入力インピーダンスは、定格インピーダンスの八十パーセント以上であること。
二 周波数が三百ヘルツ以上八キロヘルツ以下の範囲において、定格入力電力の正弦波を入力した場合、スピーカーの中心から一メートル離れた点での音圧は、周波数が三百ヘルツ以上二キロヘルツ未満の範囲にあっては公称音圧以上、周波数が二キロヘルツ以上八キロヘルツ以下の範囲にあっては公称音圧から二十デシベルを減じた音圧以上であること。
第六 試験
地区音響装置は、次の各号に掲げる試験を行った場合において、当該各号に適合するものでなければならない。この場合において、当該試験(第五号及び第六号に掲げるものを除く。)は、温度が五度以上三十五度以下であり、かつ、相対湿度が四十五パーセント以上八十五パーセント以下の状態で行うものとする。
一 電圧変動試験(定格電圧の八十五パーセントの電圧で音響又は音声による警報を発し、かつ、定格電圧の八十五パーセントから百十パーセントまでの範囲で電圧を変動させる試験をいう。)を行った場合、機能に異常が生じないこと。
二 消費電流測定試験(定格電圧において消費電流を測定する試験をいう。)を行った場合、消費電流は、定格電流の百十五パーセント(交流ベル及び交流ブザーにあっては、百三十パーセント)以下であること。
三 音圧特性試験(無響室で定格電圧における音圧を測定する試験をいう。)を行った場合、音圧は、取り付けられた音響装置の中心から前方一メートル離れた位置で公称音圧以上であること。
四 連続鳴動試験(定格電圧又は定格出力で八時間連続して鳴動させる試験をいう。)を行った場合、構造及び機能に異常を生じないこと。
五 周囲温度試験(周囲の温度が零下十度以上四十度以下の範囲における機能を確認する試験をいう。)を行った場合、機能に異常を生じないこと。
六 耐熱性試験(温度八十度の気流中に地区音響装置を三十分間投入する試験をいう。)を行った場合、構造及び機能に異常を生じないこと。
七 絶縁抵抗試験(充電部と非充電部との間の絶縁抵抗値を直流五百ボルトの絶縁抵抗計で測定する試験をいう。)を行った場合、絶縁抵抗値が五メガオーム以上であること。
八 絶縁耐力試験(五十ヘルツ又は六十ヘルツの正弦波に近い実効電圧五百ボルト(定格電圧が六十ボルトを超え百五十ボルト以下のものにあっては千ボルト、百五十ボルトを超えるものにあっては定格電圧に二を乗じて得た値に千ボルトを加えた値)の交流電圧を加え、充電部と非充電部の絶縁耐力を測定する試験をいう。)を行った場合、充電部と非充電部の絶縁が一分間耐えるものであること。
第七 表示
一 地区音響装置には、次に掲げる事項を見やすい箇所に容易に消えないように表示するものとする。
(一) 製造者の名称又は商標
(二) 製造年
(三) 型式番号
(四) 定格電圧及び定格電流(スピーカーにより警報を発する地区音響装置にあっては、定格インピーダンス及び定格入力電力。)
(五) 公称音圧
(六) 極性を有する端子にあっては、極性を示す記号
(七) 音声切替装置にあっては、当該装置であることを示す表示
二 無線式地区音響装置にあっては、前号によるほか、次に掲げる事項を見やすい箇所に容易に消えないように表示するものとする。
(一) 「無線式」という文字
(二) 発信又は受信可能な受信機の型式番号
(三) 電池を用いるものにあっては、電池の種類及び電圧
附 則
この告示は、平成九年七月一日から施行する。
附 則 〔平成二十年十二月二十六日消防庁告示第二十六号〕
この告示は、公布の日から施行する。