覚えたら、解こう。毒物劇物取扱者「過去問テスト」 詳細はこちら

レッスン3-3:毒物・劇物の鑑別(無機)

レッスン3-3:毒物・劇物の鑑別(無機)
毒劇先生

青木さん、今回は無機毒劇物の鑑別!実地試験の主役です。

強欲な青木

鑑別って具体的にどうやるんすか?

毒劇先生

試薬を加えて色・沈殿・ガス発生を見るのが基本!例:シアン化物は酸と混ぜるとHCN(特徴的アーモンド臭)、銀イオンは塩酸で白沈殿(AgCl)、など。毒劇物ごとに決まった鑑別反応を暗記します。

無機毒劇物の鑑別反応
図解:無機毒劇物の鑑別反応
目次

💪実力試し(3問)

問題1

シアン化ナトリウム NaCN の鑑別反応として正しいものはどれか。

  1. 硝酸銀溶液を加えると白色沈殿
  2. 酸を加えるとアーモンド臭のHCNが発生
  3. 希塩酸を加えると黄色沈殿
  4. 硫化水素を通すと黒色沈殿
解答と解説を見る

正解:2

解説:NaCNに酸を加えるとHCN(アーモンド臭)が発生(絶対に実験室で扱わないこと)。また硝酸銀と反応して白色のAgCN沈殿も生じるが、最も特徴的な鑑別は酸によるHCN発生。

間違えやすいポイント:シアン化物=酸でHCN発生(特徴的アーモンド臭)。最重要鑑別反応。

問題2

塩化第二水銀 HgCl₂(昇汞)の鑑別として正しいものはどれか。

  1. 石灰水でCaCl₂の白沈殿
  2. 水酸化ナトリウムを加えると黄色沈殿HgO
  3. 塩酸で白色沈殿
  4. 空気酸化で緑色になる
解答と解説を見る

正解:2

解説:HgCl₂はNaOHと反応して黄色の酸化第二水銀 HgO 沈殿が生成。この特徴的な黄色沈殿が鑑別の決め手。

間違えやすいポイント:水銀化合物は各種試薬で特徴的な色の沈殿を作る。Hg²⁺+NaOH→HgO黄沈殿は頻出。

問題3

塩酸 HCl 水溶液の鑑別反応として正しいものはどれか。

  1. 硝酸銀で白色沈殿 AgCl
  2. 硝酸バリウムで白色沈殿
  3. 過マンガン酸カリウムで脱色
  4. ヨウ素デンプンで青紫色
解答と解説を見る

正解:1

解説:塩酸中のCl⁻はAgNO₃水溶液で白色のAgCl沈殿を生成。希硝酸に不溶で、光で紫黒色化(感光性)。塩化物イオンの代表的鑑別反応。

間違えやすいポイント:Cl⁻+AgNO₃→AgCl白沈殿。硫酸イオンならBaCl₂で白沈殿(BaSO₄)。対照的に覚える。

🔰基礎教養学習

本単元は①シアン化合物 ②水銀・砒素 ③酸 ④気体状劇物 ⑤アルカリの5ブロック構造。

⓪ 鑑別の基本戦略

アプローチ 見るポイント
沈殿反応 色付き沈殿の発生(白・黒・赤・黄等)
色変化 溶液の色変化(無色→赤・青・黄等)
ガス発生 臭気・泡立ち(HCN・Cl₂・H₂S等)
炎色反応 金属イオン由来の色(Na=黄、K=紫等)
pH試験 酸性・中性・塩基性の判定

① シアン化合物の鑑別

試薬 反応 特徴
希酸(HCl・H₂SO₄) CN⁻ + H⁺ → HCN↑ アーモンド臭・致死・厳禁
硝酸銀 AgNO₃ CN⁻ + Ag⁺ → AgCN↓ 白色沈殿
硫酸鉄(II) FeSO₄+NaOH K₄[Fe(CN)₆]+Fe³⁺→プルシアンブルー 濃青色(最も特異的)

② 水銀・砒素化合物の鑑別

物質 試薬 反応
HgCl₂ NaOH HgO黄沈殿
H₂S HgS黒沈殿
SnCl₂ Hg₂Cl₂→Hg(灰黒)
As₂O₃(亜ヒ酸) H₂S + HCl As₂S₃黄沈殿
グートツァイト試験 Zn+HCl+試料→AsH₃発生→HgCl₂紙で黒変

③ 無機酸の鑑別

物質 試薬 反応
塩酸 HCl AgNO₃ AgCl白沈殿(光で紫黒)
硫酸 H₂SO₄ BaCl₂ BaSO₄白沈殿(希酸不溶)
硝酸 HNO₃ 銅片+濃硝酸 褐色NO₂ガス発生
ジフェニルアミン硫酸 青紫色(硝酸イオン検出)
過酸化水素 H₂O₂ KI I₂遊離→褐色
KMnO₄酸性 脱色+酸素発生

④ 気体状劇物の鑑別

気体 臭い 鑑別
塩素 Cl₂ 黄緑 刺激臭 ヨウ化カリウムデンプン紙が青変
硫化水素 H₂S 無色 腐卵臭 酢酸鉛紙で黒変(PbS)
アンモニア NH₃ 無色 刺激臭 赤リトマスが青変・濃塩酸で白煙
HCl(気体) 無色 刺激臭 濃アンモニアで白煙(NH₄Cl)
SO₂ 無色 刺激臭 品紅溶液を脱色

⑤ アルカリの鑑別

物質 特徴 鑑別
NaOH 白色固体・潮解性 赤リトマス青変・炎色黄(Na)
KOH 白色固体・潮解性 赤リトマス青変・炎色紫(K)
Ba(OH)₂ 白色結晶 SO₄²⁻で白沈BaSO₄・炎色黄緑(Ba)
Ca(OH)₂ 白色粉末(消石灰) CO₂吹込みで白濁(CaCO₃)・炎色橙

✅理解度チェックテスト(3問)

チェック1(○✕)

次の記述は正しいか誤りか、○✕で答えてください。

「シアン化合物に酸を加えるとアーモンド臭のシアン化水素(HCN)が発生する。」

答えを見る

正解:○(正しい)

解説:正しい。CN⁻+H⁺→HCN(アーモンド臭、毒物)。シアン化物の最重要鑑別反応。

チェック2(穴埋め)

次の文の【 】に入る最も適切な語句を選んでください。

塩酸中のCl⁻を硝酸銀で検出すると【   】の沈殿が生成する。

  1. 黒色
  2. 赤色
  3. 白色
  4. 黄色
答えを見る

正解:3

解説:AgCl(塩化銀)白沈殿。光で紫黒色化(感光性)。

チェック3(4択)

塩化バリウム BaCl₂ で硫酸イオンを検出した際の沈殿の色は?

  1. 黒色
  2. 赤色
  3. 白色
  4. 青色
答えを見る

正解:3

ポイント:BaSO₄(硫酸バリウム)白沈殿。希酸不溶の不活性沈殿。

🪏深掘り解説

テーマ1:プルシアンブルー反応

シアン化物の最も特徴的な鑑別:CN⁻+FeSO₄+NaOH→K₄[Fe(CN)₆]→Fe³⁺でプルシアンブルー(濃青色)沈殿。青色絵具の原料でもあり、感度が極めて高い。

テーマ2:グートツァイト試験(砒素検出)

Zn+HClで水素ガスを発生させ、試料中のAsがAsH₃(アルシン)に還元→HgCl₂で処理した濾紙が黒変。微量の砒素も検出可能な古典的分析法。ヒ素毒殺事件で実際に使用されてきた。

テーマ3:鑑別反応の試験出題パターン

『物質Xは無色の結晶で、水に溶けて水溶液は強塩基性を示す。酸を加えるとアーモンド臭を発する。物質Xは?』→ 塩基性・結晶・酸でアーモンド臭 = シアン化ナトリウム NaCN!性質を組み合わせて物質を絞り込む思考パターンが鍵。

🥊過去問演習(全10問)

Q1. 塩化物イオン Cl⁻ の鑑別法として正しいものはどれか。

Q2. 硫酸イオン SO₄²⁻ の鑑別法として正しいものはどれか。

Q3. 炭酸イオン CO₃²⁻ の鑑別法として正しいものはどれか。

Q4. アンモニウムイオン NH₄⁺ の鑑別法として正しいものはどれか。

Q5. 銀イオン Ag⁺ の鑑別法として正しいものはどれか。

Q6. 鉄(III) イオン Fe³⁺ の鑑別法として正しいものはどれか。

Q7. 鉛イオン Pb²⁺ の鑑別法として正しいものはどれか。

Q8. 銅イオン Cu²⁺ の鑑別法として正しいものはどれか。

Q9. 水銀(I)イオン Hg₂²⁺ の鑑別法として正しいものはどれか。

Q10. 無機陰イオンの定性分析における基本操作として正しいものはどれか。

あなたのスコアは

📝まとめと次の学習へのつなぎ

今回の学習ポイント

  • シアン化物:酸でHCN発生/プルシアンブルー反応
  • 水銀化合物:NaOHで黄沈(HgO)/H₂Sで黒沈(HgS)
  • 砒素:グートツァイト試験・H₂Sで黄沈(As₂S₃)
  • 塩酸:AgNO₃で白沈(AgCl)
  • 硫酸:BaCl₂で白沈(BaSO₄)
  • 気体:色・臭い・専用試薬で識別
毒劇先生

物質→試薬→反応の3点セットで効率的に暗記!

次回予告:レッスン3-4「毒物・劇物の鑑別(有機)」

次回は有機毒劇物の鑑別。FeCl₃・ヨウ素・さらし粉など特徴的試薬を学びます。

📍 他のレッスンへ

章全体の学習進度はサイドバーからも確認できます。前後のレッスンで関連事項を横断的に復習しましょう。

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この記事を書いた人

高専から大学院まで9年間にわたり化学を専攻。
消防整備士として10年の実務経験を積み、独立・起業。

消防設備士全類、危険物取扱者全類をはじめ、第二種電気工事士、AI・DD総合種、第三種電気主任技術者など、多数の国家資格を保有。

神戸高等技術専門学院にて危険物取扱者 乙種第4類およびDO第3種の講師を担当。
また、月刊誌「電気と工事(オーム社)」にてコラムを連載中。

実務・教育・執筆の三軸から、専門性と実践力を兼ね備えた情報発信を行っている。

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