レッスン3-7:毒物・劇物の廃棄(無機)

毒劇先生青木さん、今回は無機毒劇物の廃棄!環境汚染を防ぐ最重要単元です。
💪実力試し(3問)
問題1
シアン化ナトリウム NaCN の廃棄法として最も適切なものはどれか。
- 直接焼却炉で燃焼
- アルカリ性下で次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)により酸化分解
- 希塩酸で中和
- 活性炭で吸着
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正解:2
解説:シアン化物はアルカリ性下(pH10〜11)で次亜塩素酸ナトリウムによる酸化分解(アルカリ塩素法)で無害化。『酸で中和』は絶対NG(HCN発生)。
間違えやすいポイント:シアン化物+酸は絶対禁止!アルカリ性NaOClで酸化する『アルカリ塩素法』が標準。
問題2
硫酸 H₂SO₄ 廃液の廃棄法として最も適切なものはどれか。
- そのまま下水道に流す
- 水酸化カルシウム(消石灰)で中和後、多量の水で希釈
- 焼却処分
- 紫外線照射
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正解:2
解説:強酸は消石灰Ca(OH)₂や水酸化ナトリウムで中和後、多量の水で希釈して廃棄。生成するCaSO₄は比較的安全。
間違えやすいポイント:酸廃液→アルカリで中和→希釈、が基本。『直接下水』は絶対不可。
問題3
水銀化合物(HgCl₂等)の廃棄法として正しいものはどれか。
- 水で希釈して廃棄
- 硫化ナトリウムで硫化物として沈殿回収
- 酸素雰囲気で加熱
- 紫外線照射で分解
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正解:2
解説:水銀はNa₂Sで HgS(黒色沈殿)として固定し、セメント固化または指定産廃で処理。金属水銀は回収法。
間違えやすいポイント:重金属廃液は硫化物で沈殿して回収・固化が基本。希釈は環境汚染の可能性あり不適。
🔰基礎教養学習
本単元は①廃棄5大手法 ②酸・塩基 ③シアン化物 ④重金属 ⑤気体の5ブロック構造。
⓪ 廃棄の5大手法(施行令第40条)
| 手法 | 原理 | 対象 |
| 中和法 | 酸・塩基の相互反応で水と塩 | 酸・塩基の廃液 |
| 酸化還元法 | 酸化剤/還元剤で無害化 | シアン化物・重金属 |
| 沈殿法 | 難溶性塩として沈殿 | 重金属・バリウム等 |
| 希釈法 | 基準以下に薄める | 軽度の無機系廃液 |
| 回収法 | 資源として回収 | 水銀・銀等貴重金属 |
| 焼却法 | 可燃物を燃焼分解 | 有機系(3-8) |
| 固化法 | セメント等で固形化 | 重金属・飛散性物質 |
① 酸・塩基の廃棄
| 物質 | 廃棄法 | 試薬 |
| 塩酸 HCl | 中和→希釈 | 消石灰Ca(OH)₂・NaOH |
| 硫酸 H₂SO₄ | 中和→希釈 | 消石灰(CaSO₄沈殿) |
| 硝酸 HNO₃ | 中和→希釈 | 消石灰・NaOH |
| 水酸化ナトリウム NaOH | 希酸で中和→希釈 | 希塩酸・希硫酸 |
| 水酸化カリウム KOH | 希酸で中和→希釈 | 希塩酸 |
| アンモニア NH₃水 | 希酸で中和→希釈 | 希塩酸 |
② シアン化物の廃棄(アルカリ塩素法)
標準処理:アルカリ塩素法(2段法)
- 第1段(pH 10〜11):CN⁻ + NaOCl → CNO⁻(シアン酸)に酸化
- 第2段(pH 7〜8):CNO⁻ + NaOCl → CO₂ + N₂ に完全分解
- 絶対にpHを酸性にしない(HCN発生防止)
- 処理後のpH確認、残留シアン濃度測定
③ 重金属廃液の処理
| 重金属 | 廃棄法 | 沈殿生成物 |
| 水銀 Hg²⁺ | Na₂Sで沈殿回収 | HgS(黒色) |
| 鉛 Pb²⁺ | Na₂SOまたはNa₂CO₃で沈殿 | PbS(黒)・PbCO₃ |
| カドミウム Cd²⁺ | Na₂Sで沈殿 | CdS(黄) |
| 銅 Cu²⁺ | 石灰で沈殿 | Cu(OH)₂ |
| クロム Cr₂O₇²⁻(6価) | 還元→水酸化物沈殿 | NaHSO₃でCr³⁺に還元→Cr(OH)₃沈殿 |
| バリウム Ba²⁺ | 硫酸塩として沈殿 | BaSO₄(難溶性) |
| ヒ素 As | 鉄塩で共沈 | Fe(OH)₃共沈殿 |
④ 気体状劇物の廃棄
| 気体 | 廃棄法 |
| 塩素 Cl₂ | NaOH水溶液に吸収→次亜塩素酸ナトリウム化 |
| アンモニア NH₃ | 多量の水に吸収→中和(希塩酸) |
| 硫化水素 H₂S | NaOH水溶液に吸収→硫化ナトリウム |
| HCN | アルカリ性NaOClで酸化(アルカリ塩素法) |
| HCl気体 | 水に吸収→中和 |
⑤ 特殊物質の廃棄
- 過酸化水素:多量の水で希釈(自己分解)
- 硝酸銀:希塩酸でAgCl沈殿→回収
- 亜硝酸塩:スルファミン酸で分解
- フッ化物:Ca(OH)₂でCaF₂沈殿
✅理解度チェックテスト(3問)
チェック1(○✕)
次の記述は正しいか誤りか、○✕で答えてください。
「シアン化物の廃棄にはアルカリ性下で次亜塩素酸ナトリウムを用いた酸化分解(アルカリ塩素法)が用いられる。」
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正解:○(正しい)
解説:正しい。pH10〜11で2段階酸化してCNO⁻→CO₂+N₂に無害化。
チェック2(穴埋め)
次の文の【 】に入る最も適切な語句を選んでください。
水銀化合物の廃棄では、【 】を加えて硫化水銀として沈殿回収する。
- 塩酸
- 水酸化ナトリウム
- 硫化ナトリウム
- 過酸化水素
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正解:3
解説:Na₂SでHgS(黒沈)として固定。硫化物はすべての重金属処理の定番。
チェック3(4択)
硫酸廃液の廃棄法として適切なものはどれか。
- 焼却
- 消石灰で中和して希釈
- 活性炭で吸着
- 真空蒸留
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正解:2
ポイント:消石灰Ca(OH)₂で中和→CaSO₄を生成→多量の水で希釈が標準。
深掘り解説
テーマ1:シアン化物廃棄の重要性
メッキ工場・金属熱処理・銀製造で大量のシアン化物廃液が発生。第22条の業務上取扱者届出対象の4業種のうち2つがシアン関連。酸性条件は絶対NGで、pH管理が命。
テーマ2:6価クロムの処理
K₂Cr₂O₇(劇物・発がん性)は酸性下でNaHSO₃(亜硫酸水素Na)で3価クロム Cr³⁺ に還元→水酸化物沈殿。6価→3価で毒性が大幅減。
テーマ3:廃棄基準違反の罰則
第15条の2違反(廃棄基準違反)は第25条により50万円以下の罰金。さらに廃棄物処理法・水質汚濁防止法等でも罰則あり(刑事・民事併科の可能性)。
🥊過去問演習(全10問)
📝まとめと次の学習へのつなぎ
今回の学習ポイント
- 廃棄5大手法:中和・酸化還元・沈殿・希釈・回収
- 酸・塩基:中和(消石灰・希酸)→希釈
- シアン化物:アルカリ塩素法(酸は絶対NG)
- 重金属:硫化物で沈殿→固化
- 6価クロム:NaHSO₃で還元→水酸化物沈殿
毒劇先生廃棄法は物質ごとに最適解がある!環境汚染防止の要です。
次回予告:レッスン3-8「毒物・劇物の廃棄(有機)」
次回は有機毒劇物の廃棄。燃焼・活性汚泥・焼却の各手法を学びます。
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