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【過去問】農薬の系統分類とは?有機燐系・カーバメート系の見分け方を解説|毒物劇物取扱者

消防設備士

青木さん、今回は農薬の系統分類です。実地でいちばん取りこぼしやすいところですよ。

強欲な青木

農薬なんて名前が長いだけで全部同じに見えるんやけど。

消防設備士

逆です。系統さえ分かれば、毒性も解毒剤も自動的に決まります。1つ1つ暗記する必要はありません。

💪実力試し(3問)

問題1

有機燐化合物による中毒の解毒剤として正しい組合せはどれか。

  1. PAM と 硫酸アトロピン
  2. ジメルカプロール(BAL)と チオ硫酸ナトリウム
  3. 亜硝酸ナトリウム と 亜硝酸アミル
  4. バルビタール製剤 と ビタミンK₁
解答と解説を見る

正解:1

解説:有機燐化合物はコリンエステラーゼを阻害する。解毒にはPAM(2-ピリジルアルドキシムメチオダイド)硫酸アトロピンを用いる。

間違えやすいポイント:選択肢2は砒素・水銀、3はシアン化合物、4は有機塩素系とダイファシノンの解毒剤。系統ごとに解毒剤が決まっているので、セットで覚える。

問題2

カーバメート系殺虫剤の中毒に対する解毒剤として、適切でないものはどれか。

  1. 硫酸アトロピン
  2. PAM
  3. (解毒剤は存在しない)
  4. 活性炭
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正解:2

解説:カーバメート系もコリンエステラーゼを阻害するが、その結合は可逆的なためPAMは効果がない。硫酸アトロピンのみを用いる。

間違えやすいポイント:「コリンエステラーゼ阻害=PAM」と機械的に覚えていると必ず引っかかる。PAMが効くのは有機燐系だけ

問題3

モノフルオール酢酸ナトリウムの解毒剤として正しいものはどれか。

  1. アセトアミド
  2. PAM
  3. ジメルカプロール(BAL)
  4. グルコン酸カルシウム
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正解:1

解説:モノフルオール酢酸ナトリウムは有機弗素化合物で、体内でアコニターゼを阻害してTCAサイクルを止める。解毒にはアセトアミドを高張ブドウ糖液に溶かして静脈注射する。

間違えやすいポイント:有機「燐」と有機「弗素」を読み違えないこと。弗素系はアセトアミド、燐系はPAMとアトロピン。

🔰基礎教養学習

⓪ 系統で覚えると何が楽になるか

農薬は名前が長く、一見バラバラに見えます。しかし試験で問われるのは系統ごとの毒性と解毒剤です。系統さえ判別できれば、初めて見る物質名でも答えが出せます。

強欲な青木

名前を覚えるんやなくて、グループを覚えるんか。

消防設備士

そうです。むしろ名前の一部が系統のヒントになっています。

① 有機燐系(最重要)

名前に「ホスフェイト」「チオホスフェイト」が付いていれば有機燐系です。燐=phosphate(ホスフェイト)だからです。

項目内容
代表物質パラチオン、メチルパラチオン、TEPP、EPN、ダイアジノン、DDVP(ジクロルボス)、フェンチオン(MPP)、フェントエート(PAP)、ジメトエート、DEP、イソキサチオン、クロルピリホス、エチルチオメトン
作用コリンエステラーゼを阻害し、アセチルコリンが蓄積する
中毒症状縮瞳(瞳孔が小さくなる)、意識混濁、全身痙攣、よだれ、発汗
解毒剤PAM(2-ピリジルアルドキシムメチオダイド)+硫酸アトロピン
表示義務有機燐化合物は容器に解毒剤の名称の表示が必要(施行規則第11条の5)
消防設備士

有機燐系だけは法規でも表示義務の対象として出ます。実地と法規の両方で稼げる系統です。

② カーバメート系(引っかけの本命)

項目内容
代表物質カルバリル(NAC)、メトミル、オキサミル、カルボスルファン
作用コリンエステラーゼを阻害する(ただし結合は可逆的)
中毒症状有機燐系とよく似ている
解毒剤硫酸アトロピンのみ。PAMは効かない

症状が有機燐系とそっくりなのに、PAMが効かない。ここが試験で最も狙われる差です。

農薬の系統と解毒剤の対応表

③ その他の系統

系統代表物質特徴・解毒剤
有機弗素系モノフルオール酢酸ナトリウム、モノフルオール酢酸アミドアコニターゼを阻害しTCAサイクルを止める/解毒はアセトアミド
有機塩素系エンドリン、アルドリン中枢神経毒/解毒はバルビタール製剤
ネオニコチノイド系イミダクロプリド神経のニコチン受容体に作用/劇物(2%以下は除外)
ピレスロイド系フェンバレレート、フルバリネート魚毒性が強いため漏えい時に水で洗い流さない
ネライストキシン系カルタップ劇物(2%以下は除外)
マクロライド系アバメクチン原体は毒物(1.8%以下で劇物)
殺鼠剤(クマリン系)ダイファシノン血液凝固を阻害/解毒はビタミンK₁

④ 用途で分ける

用途代表物質
殺虫剤有機燐系全般、カーバメート系全般、ニコチン、カルタップ、フェンバレレート、ロテノン、シアン化水素、三酸化二砒素
殺鼠剤硫酸タリウム、硝酸タリウム、燐化亜鉛、酢酸タリウム、ダイファシノン、モノフルオール酢酸ナトリウム、スルホナール、砒酸
除草剤パラコート、ジクワット、シアン酸ナトリウム、塩素酸ナトリウム
土壌燻蒸剤クロルピクリン、沃化メチル
殺菌剤イミノクタジン、チメロサール
強欲な青木

パラコートとジクワット、名前も見た目も似とるな。

消防設備士

どちらも除草剤でジピリジリウム系。パラコートは毒物、ジクワットは劇物という区分の差で出ます。

⑤ 引っかけポイント

その1:PAMが効くのは有機燐系だけ
カーバメート系は症状が似ていても硫酸アトロピンのみ。ここが最頻出の差です。

その2:「燐」と「弗素」
有機燐系=PAM+アトロピン、有機弗素系=アセトアミド。漢字1文字で解毒剤が変わります。

その3:パラコートの毒性は遅れてくる
摂取直後の消化器症状のあと、数日遅れて腎障害・肺障害が出ます。「その場で回復した」ように見えるのが怖いところです。

その4:ピレスロイド系は水で流さない
魚毒性が強いため、漏えい時に大量の水で流すと河川に被害が出ます。他の物質の「多量の水で洗い流す」と混同しないこと。

その5:同じ物質でも濃度で区分が変わる
アバメクチンは原体が毒物、1.8%以下で劇物。メトミルは45%を超えると毒物です。

消防設備士

系統・毒性・解毒剤の3点を横につなげて覚えれば、名前を知らない農薬でも答えが出ます。

強欲な青木

名前で覚えようとしてたから死んでたんやな。

🥊過去問演習(全10問)

Q1. 有機燐化合物による中毒の解毒剤の組合せとして正しいものはどれか。

Q2. カーバメート系殺虫剤の中毒に対して効果がないものはどれか。

Q3. モノフルオール酢酸ナトリウムの解毒剤として正しいものはどれか。

Q4. 次のうち、有機燐系殺虫剤に分類されないものはどれか。

Q5. エンドリン、アルドリンなどの有機塩素化合物の解毒剤として正しいものはどれか。

Q6. ピレスロイド系殺虫剤が漏えいした場合の措置として、特に注意すべき点はどれか。

Q7. ダイファシノンによる中毒の解毒剤として正しいものはどれか。

Q8. 有機燐化合物を含有する製剤たる毒物及び劇物の容器に、表示が義務づけられている解毒剤はどれか。

Q9. 次のうち、除草剤に分類されるものはどれか。

Q10. アバメクチンの規制区分について正しいものはどれか。

目次

📝 まとめ

農薬は系統で整理すると一気に片付きます。最優先は有機燐系(PAM+アトロピン)カーバメート系(アトロピンのみ)の差。

次に有機弗素系のアセトアミド、有機塩素系のバルビタール製剤、ダイファシノンのビタミンK₁。この5パターンで解毒剤の問題はほぼ対応できます。

📌 次のステップ

章全体の学習進度はサイドバーからも確認できます。前後のレッスンで関連事項を横断的に復習しましょう。

📚 この科目の全体像(学習ロードマップ)

いま何回目をやっていて、あと何回残っているかがひと目でわかります。復習したい回はここから飛んでください。

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この記事を書いた人

高専から大学院まで9年間にわたり化学を専攻。
消防整備士として10年の実務経験を積み、独立・起業。

消防設備士全類、危険物取扱者全類をはじめ、第二種電気工事士、AI・DD総合種、第三種電気主任技術者など、多数の国家資格を保有。

神戸高等技術専門学院にて危険物取扱者 乙種第4類およびDO第3種の講師を担当。
また、月刊誌「電気と工事(オーム社)」にてコラムを連載中。

実務・教育・執筆の三軸から、専門性と実践力を兼ね備えた情報発信を行っている。

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