レッスン2-5:イオンとイオン結合

毒劇先生青木さん、今回はイオンとイオン結合を学びます。
強欲な青木イオン飲料のイオンとは違うんすか?
毒劇先生まさにそのイオンです!イオン=電気を帯びた原子や原子団。ナトリウム原子が電子を1個放出するとナトリウムイオン(Na⁺)に、塩素原子が電子を1個受け取ると塩化物イオン(Cl⁻)になります。体内の電解質もこのイオンで、神経伝達に欠かせません。
強欲な青木なんで原子はわざわざイオンになるんすか?
毒劇先生希ガスと同じ電子配置になりたいから!Naは最外殻電子1個を放出すれば、Neと同じ安定な配置になる。Clは最外殻に1個の電子を受取れば、Arと同じ安定な配置になる。これがオクテット則の化学反応への反映です。
強欲な青木イオン同士はどうやって結合するんすか?
毒劇先生単純に静電気的な引力!+と−は引き合う(クーロン力)。Na⁺とCl⁻が規則的に並んで結晶を作り、これが食塩の正体です。融点が高く、水に溶けると電気を通す──これがイオン結晶の特徴!
💪実力試し(3問)
まずは腕試し。本番レベルの問題3問を解いてから、解説で確認しましょう。
問題1
カルシウムイオン(Ca²⁺)に関する記述として正しいものはどれか。カルシウムの原子番号は20。
- 陽子数18、電子数20
- 陽子数20、電子数18
- 陽子数22、電子数20
- 陽子数20、電子数22
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正解:2
解説:選択肢2が正しい。Caは原子番号20で陽子数20。Ca²⁺は電子を2個放出した状態なので、電子数は20−2=18個。陽子数(原子番号)は絶対に変化しない。
間違えやすいポイント:イオン化で変化するのは電子数のみ。陽子数は変わらない(変わったら別の元素)。
問題2
イオン結晶の一般的な性質として、誤っているものはどれか。
- 融点・沸点が高い。
- 常温では固体で、硬いがもろい。
- 固体状態でも電気をよく通す。
- 水に溶けるか、融解すると電気を通す。
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正解:3
解説:選択肢3が誤り。イオン結晶は固体状態ではイオンが動けないため電気を通さない。水溶液または融解液になるとイオンが自由に動き回って電気を通す(電解質)。1・2・4は正しい性質。
間違えやすいポイント:イオン結晶は『水溶液・融解液で電気を通す』が、『固体では通さない』点が重要。
問題3
塩化カルシウム(CaCl₂)がイオン結合で構成される理由として、最も適切なものはどれか。
- Ca²⁺とCl⁻の電気的な引力(静電気力)が働くため。
- CaとClの原子が共有結合で結ばれるため。
- CaとClの分子間に水素結合が働くため。
- 金属結合によってCa原子同士が結ばれているため。
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正解:1
解説:選択肢1が正しい。カルシウム原子が電子を2個放出してCa²⁺に、塩素原子が電子を1個ずつ受取って2個のCl⁻になる。両者の静電気的な引力(イオン結合)でCaCl₂が形成される。
間違えやすいポイント:金属+非金属の組合せはイオン結合が基本。非金属+非金属は共有結合。
🔰基礎教養学習
本単元は①イオンの生成 ②代表的なイオン ③多原子イオン ④イオン結合とイオン結晶の4ブロック構造。
⓪ イオンの生成ルール
| タイプ | 仕組み | 代表例 |
| 陽イオン | 金属元素が電子を放出して+に | Na⁺, K⁺, Ca²⁺, Al³⁺ |
| 陰イオン | 非金属元素が電子を受取って−に | Cl⁻, O²⁻, S²⁻, F⁻ |
毒劇先生原則:金属→陽イオン、非金属→陰イオン。価数(+や−の数)は、希ガスに近づくために何個の電子を出し入れするかで決まります。
① 代表的な単原子イオン
👉陽イオン(価数別)
| 価数 | 元素・イオン | 由来 |
| +1価 | H⁺, Li⁺, Na⁺, K⁺(1族) | 最外殻電子1個を放出 |
| +2価 | Mg²⁺, Ca²⁺, Ba²⁺(2族)・Zn²⁺・Cu²⁺・Fe²⁺・Pb²⁺ | 最外殻電子2個を放出 |
| +3価 | Al³⁺・Fe³⁺・Cr³⁺ | 最外殻電子3個を放出 |
👉陰イオン(価数別)
| 価数 | 元素・イオン | 由来 |
| -1価 | F⁻, Cl⁻, Br⁻, I⁻(17族ハロゲン)・H⁻ | 電子1個を受取(8個に) |
| -2価 | O²⁻, S²⁻(16族) | 電子2個を受取 |
| -3価 | N³⁻, P³⁻(15族) | 電子3個を受取(稀) |
② 多原子イオン(複数原子からなるイオン)
👉覚えるべき10大多原子イオン
| イオン | 名称 | 特徴 |
| NH₄⁺ | アンモニウムイオン | 唯一の代表的な多原子陽イオン |
| OH⁻ | 水酸化物イオン | 塩基性の源 |
| NO₃⁻ | 硝酸イオン | 硝酸塩の成分 |
| NO₂⁻ | 亜硝酸イオン | 亜硝酸塩の成分 |
| SO₄²⁻ | 硫酸イオン | 硫酸塩の成分 |
| SO₃²⁻ | 亜硫酸イオン | 亜硫酸塩 |
| CO₃²⁻ | 炭酸イオン | 炭酸塩 |
| HCO₃⁻ | 炭酸水素イオン | 重曹の主成分 |
| PO₄³⁻ | リン酸イオン | リン酸塩肥料 |
| ClO⁻ | 次亜塩素酸イオン | 塩素系漂白剤 |
| MnO₄⁻ | 過マンガン酸イオン | 赤紫色、強酸化剤 |
| Cr₂O₇²⁻ | 二クロム酸イオン | 橙色、酸化剤(劇物) |
| CN⁻ | シアン化物イオン | 毒物シアン化合物の本体 |
③ イオン結合とイオン結晶
👉イオン結合の成立
陽イオンと陰イオンが静電気的引力(クーロン力)で結合するのがイオン結合。典型的には金属元素の陽イオンと非金属元素の陰イオンの間で生じます。結合力は強く、結晶全体で安定な構造を作る。
👉組成式の書き方
陽イオンの価数と陰イオンの価数をたすき掛けして分数ではない整数比を決めます。
- Na⁺(+1)と Cl⁻(-1)→ NaCl(1:1)
- Ca²⁺(+2)と Cl⁻(-1)→ CaCl₂(1:2)
- Al³⁺(+3)と O²⁻(-2)→ Al₂O₃(2:3)
- Na⁺(+1)と SO₄²⁻(-2)→ Na₂SO₄(2:1)
- Ca²⁺(+2)と OH⁻(-1)→ Ca(OH)₂(1:2)
④ イオン結晶の性質
| 性質 | 理由 | 具体例 |
| 融点・沸点が高い | イオン結合は強い | NaCl=801℃・CaO=2572℃ |
| 硬いがもろい | 結晶構造がずれると反発し割れる | 岩塩・石膏 |
| 水に溶けやすい | 水分子(極性)がイオンを引き離す | NaCl・KNO₃・CaCl₂ |
| 水溶液は電気を通す | イオンが自由に動ける | 食塩水・塩酸・硫酸 |
| 固体では電気を通さない | イオンが位置固定 | 食塩(固体) |
| 融解液は電気を通す | イオンが自由に動ける | 溶融塩電解 |
毒劇先生固体では通さず、水溶液・融解液では通すが超頻出!『電離する=イオンに分かれる』のが導電性のカギです。
✅理解度チェックテスト(3問)
チェック1(○✕)
次の記述は正しいか誤りか、○✕で答えてください。
「イオン結晶は、水溶液中や融解液中では電気を通すが、固体状態では電気を通さない。」
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正解:○(正しい)
解説:正しい。固体ではイオンが位置固定で動けないため非導電性。水に溶けるとイオンが遊離して動けるようになり、電気を通す(電解質)。
チェック2(穴埋め)
次の文の【 】に入る最も適切な語句を選んでください。
塩化カルシウム CaCl₂ は、Ca²⁺ と Cl⁻ が【 】の比で結合したイオン結晶である。
- 1:1
- 1:2
- 2:1
- 2:3
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正解:2
解説:Ca²⁺(+2)と Cl⁻(-1)が電気的に中和するには 1:2 の比。Ca²⁺1個に対しCl⁻2個でCaCl₂となる。
チェック3(4択)
次のうち多原子陽イオンはどれか。
- NO₃⁻
- NH₄⁺
- SO₄²⁻
- OH⁻
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正解:2
ポイント:NH₄⁺(アンモニウムイオン)が唯一の代表的な多原子陽イオン。他のNO₃⁻・SO₄²⁻・OH⁻はすべて多原子陰イオン。
深掘り解説
テーマ1:イオンの価数はどう決まる?
価数は希ガスと同じ電子配置になる最短ルートで決まります。Na(K:2,L:8,M:1)→ 電子1個放出でNa⁺(Neと同じ配置)→ 価数+1。Ca(K:2,L:8,M:8,N:2)→ 電子2個放出でCa²⁺(Arと同じ配置)→ 価数+2。Al(K:2,L:8,M:3)→ 電子3個放出でAl³⁺(Neと同じ配置)→ 価数+3。Cl(K:2,L:8,M:7)→ 電子1個受取でCl⁻(Arと同じ配置)→ 価数-1。O(K:2,L:6)→ 電子2個受取でO²⁻(Neと同じ配置)→ 価数-2。
テーマ2:毒物劇物のイオン結晶例
| 物質 | 組成 | 区分 |
| シアン化ナトリウム | Na⁺ + CN⁻ → NaCN | 毒物 |
| シアン化カリウム | K⁺ + CN⁻ → KCN | 毒物 |
| 塩化第二水銀 | Hg²⁺ + 2Cl⁻ → HgCl₂ | 毒物 |
| ヒ酸鉛 | 3Pb²⁺ + 2AsO₄³⁻ → Pb₃(AsO₄)₂ | 毒物 |
| 塩化バリウム | Ba²⁺ + 2Cl⁻ → BaCl₂ | 劇物 |
| 二クロム酸カリウム | 2K⁺ + Cr₂O₇²⁻ → K₂Cr₂O₇ | 劇物 |
| 水酸化ナトリウム | Na⁺ + OH⁻ → NaOH | 劇物 |
テーマ3:イオン結合 vs 共有結合の判別
結合の種類は構成元素で判別:金属+非金属=イオン結合(例:NaCl、CaO、MgF₂)、非金属+非金属=共有結合(例:H₂O、CO₂、NH₃)、金属+金属=金属結合(例:Fe、Cu、合金)。ただしNH₄Cl(NH₄⁺とCl⁻)のように、多原子イオン内部は共有結合、多原子イオン同士はイオン結合という複合型もあり。
🥊過去問演習(全10問)
📝まとめと次の学習へのつなぎ
今回の学習ポイント
- 陽イオン=金属が電子放出で+、陰イオン=非金属が電子受取で−
- イオン化の目的:希ガスと同じ電子配置になって安定化
- 多原子イオン:NH₄⁺・OH⁻・NO₃⁻・SO₄²⁻・CO₃²⁻・CN⁻等
- イオン結合=陽イオンと陰イオンの静電気的引力
- イオン結晶の組成式:価数たすき掛けで整数比を決める
- イオン結晶の性質:融点高・硬いがもろい・水溶性・水溶液と融解液で導電、固体では非導電
毒劇先生金属+非金属=イオン結合、の原則を押さえればOK!価数のたすき掛けで組成式が書けるようになります。
強欲な青木希ガスに近づくためにイオンになる──オクテット則、だいぶ慣れてきました!
次回予告:レッスン2-6「金属と金属結合」
次回は金属と金属結合。金属結合の仕組み・自由電子モデル・金属の特性(電気伝導性・熱伝導性・展性・延性・金属光沢)、合金の分類と性質を学びます。
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