今回、2階建ての(6)項ハ デイサービスで、2階の収容人員が20人を超えた為、避難器具の設置義務が生じていました。
(6)項ハ における避難器具の設置基準
本文中に動画が複数ある為、ロードが遅延して画面が白くなる可能性があります。分かりやすい映像がご覧頂けますので、少しお待ち下さいませ。
垂直式救助袋の消防検査
◎ 垂直式救助袋の型番確認
救助袋の設置前に所轄消防署へ提出している着工届に添付した機器図の製品と相違ないかを確認します。
また、救助袋は告示基準を満たした製品しか消防法上で “救助袋” として認められない為、その証である認定マークが付されているかも確認します。
「認定マーク」とは‥
◎ 垂直式救助袋の展張(使い方)確認
実際に設置された垂直式救助袋が展張できるかを確認します。
特に新設の建物は救助袋を設置した後に、展張を妨げる “何か” が設置される可能性もあるので現地での展張確認は必須です。
◎ アンカーボルト締付けトルク試験
アンカーボルトで床面に固定してある救助袋や緩降機は、その締付けトルクの強さが規定値以上かを試験します。
今回、計算上 “30.2 kN程度” であると求められた為、それを満たしているかどうかをトルクレンチで測定していきました。
締付けトルクの計算式
◎ 垂直式救助袋の降下試験は怖い?
実際に垂直式救助袋を使って地上へ避難することを想定した “降下試験” をします。
ご覧の通り、救助袋での降下中は白い帆布で周囲の景色は真っ白で何も見えない為、怖いことはありません。
もしかしたら “怖い” と思う方もいらっしゃるかも知れません‥不安な方は念入りに訓練しておきましょう!
斜降式救助袋は怖い?
垂直式救助袋は “ブリブリ” と下に降りていきますが、斜降式救助袋は滑り台の様に “シャーッ” と降りていきます。
滑り台は怖くなければ、斜降式救助袋も “怖い” とは感じないでしょう。
◎ 垂直式救助袋の設置基準
例えば救助袋の最下部と降着面の高さが50cm以内になっているか等、垂直式救助袋が設置基準に従って設置されているかを確認します。
消防法施行規則第27条の第9号で謳われている消防庁官が定める基準である、避難器具設置基準告示第3第3号にて以下の通り、設置上の要件が定められています。
- 救助袋を使用状態にした場合における当該救助袋の最下部から降着面等までの高さは、0.5m 以下であること。
特に今回は “降下空間” について、やむを得ず手動の排煙窓と救助袋の間隔を50cm以上空けられないことが設計当初より分かっていた為、現地を確認した上で避難に際して支障が無いかが入念にチェックされました。
垂直式救助袋の降下空間
降下空間とは、避難器具を使用できる状態にした場合に、当該避難器具の設置階から地盤面その他の降着面までの当該避難器具の周囲に保有しなければならない避難上必要な空間をいいます。
本来、救助袋と突起物の先端の感覚は50cm以上なければなりませんが、今回の建物条件的に厳しかったので特例扱いとして設置が認められています。
◎ 標識類の確認
避難器具類に必要な標識については、前ブログ “【保存版】避難器具にまつわる標識類の設置基準” をご参照下さいませ。
参考どこに掲示すればいい?避難器具にまつわる標識類まとめ【設置基準】
続きを見る
消防検査時に標識が無ければ、後日写真提出(面倒)になるので準備しておきましょう。
◎ 片付け
消防検査が無事終了したら、お客様の建物ですから綺麗に復旧します。
救助袋を含む消防用設備等の設計・施工およびメンテナンスは青木防災㈱にお任せ下さいませ!
◎ まとめ
- (6)項ハ デイサービスの消防検査が完了し、設置していた垂直式救助袋の確認項目について解説した。
- 垂直式救助袋の “型番” や “展張” で使い方を確認し、アンカーボルトの締付けトルク試験や降下試験で安全性を確認した。
- 特に今回は “降下空間” について、やむを得ず手動の排煙窓と救助袋の間隔を50cm以上空けられないことが設計当初より分かっていた為、現地を確認した上で避難に際して支障が無いかが入念にチェックされた。