類別の範囲からは計4問が出題されます。
◎ 消火器具の設置基準
消火器具の設置基準は、用途毎に大きく「延べ面積に関係無く」と「延べ面積150㎡以上」および「延べ面積300㎡以上」の3パターンで生じます。
延べ面積に関係無く消火器具を設置する用途
項 | 用途 | |
(1) | イ | 劇場・映画館 |
(2) | イ | キャバレー・カフェー・ナイトクラブ等 |
ロ | 遊技場・ダンスホール | |
ハ | 性風俗営業店舗 | |
二 | カラオケボックス等 | |
(3) | イ | 待合・料理店 |
ロ | 飲食店 | |
(6) | イ ※1 | ①病院・②有床診療所・③有床助産所 |
ロ | 自力避難困難者入所福祉施設・老人ホーム等 | |
(16の2) | 地下街 | |
(16の3) | 準地下街 | |
(17) | 重要文化財等 | |
(20) | 総務省令で定める舟車 |
※1 (6)項の有床とは、入院施設または入所施設のあるもの
※2 延べ面積150 ㎡未満のものは火気使用設備のある階のみが対象。ただし火気を使用する設備に防火上有効な措置が講じられたものを除く。
延べ面積150㎡以上で消火器具を設置する用途
項 | 用途 | |
(1) | ロ | 公会堂・集会場 |
(4) | 百貨店・物品販売店舗等 | |
(5) | イ | 旅館・ホテル等 |
ロ | 共同住宅・寄宿舎等 | |
(6) | イ | ④無床の診療所または助産所 |
ハ | 老人デイサービス等 | |
二 | 幼稚園・特別支援学校 | |
(9) | イ | 蒸気浴場等 |
ロ | 上記イ以外の公衆浴場 | |
(12) | イ | 工場・作業所 |
ロ | 映画スタジオ・テレビスタジオ | |
(13) | イ | 自動車車庫・駐車場 |
ロ | 航空機の格納庫 | |
(14) | 倉庫 |
延べ面積300㎡以上で消火器具を設置する用途
項 | 用途 |
(7) | 学校 |
(8) | 図書館・博物館・美術館 |
(10) | 車両の停車場・船舶および航空機の発着場 |
(11) | 神社・寺院・教会等 |
(15) | その他の各号に該当しない事業所 |
上表に該当しない防火対象物であっても、地階・無窓階・3階以上で床面積50㎡以上の箇所には消火器の設置が必要です。
ちなみに、こんな過去問が出題されています。
消防法令上で消火器具を設置しなければならない防火対象物に該当するものは、次のうちどれ?
ただし、いずれも用途と延べ面積以外の条件はないものとする。
(1)延べ面積100㎡の(1)項ロ 集会場
(2)延べ面積100㎡の(5)項イ 旅館・ホテル等
(3)延べ面積200㎡の(5)項ロ 共同住宅等
(4)延べ面積200㎡の(8)項 図書館・博物館・美術館等
付加設置
用途と延べ面積の他にも、以下の様な設備や使用の様態となっている場所については消火器の設置義務が生じます。
消火器の付加設置が必要な箇所
- 電気設備(変圧器や配電盤など)の設置場所
- 多量火気使用場所(ボイラー室・乾燥室など)
- 少量危険物貯蔵所および取扱所
- 指定数量以上の指定可燃物貯蔵所および取扱所
表 消防法で定められている危険物第4類(引火性液体)
品名 | 性質および主に該当するもの | 指定数量 |
特殊引火物 | 50 ℓ | |
第1石油類 | 非水溶性液体(ガソリンなど) | 200 ℓ |
アルコール類 | 消毒用エタノールなど | 400 ℓ |
第2石油類 | 非水溶性液体 | 1000 ℓ |
第3石油類 | 非水溶性液体(重油など) | 2000 ℓ |
第4石油類 | 潤滑油 | 6000 ℓ |
動植物油類 | 10000 ℓ |
また、指定可燃物とは危険物の規制に関する政令 第1条の12〔指定可燃物〕に関する別表第4にて定められている数量以上のものを指します。
品名 | 数量 | |
綿花類 | 200 kg | |
木毛およびかんなくず | 400 kg | |
ぼろおよび紙くず | 1000 kg | |
糸類 | 1000 kg | |
わら類 | 1000 kg | |
再生資源燃料 | 1000 kg | |
可燃性固体類 | 3000 kg | |
石炭・木炭類 | 10000 kg | |
可燃性液体類 | 2 ㎥ | |
木材加工品および木くず | 10 ㎥ | |
合成樹脂類 | 発砲させたもの | 20 ㎥ |
その他のもの | 3000 kg |
ちなみに、こんな過去問が出題されています。
消防法上で消火器を付加設置しなければならない箇所として、誤っているものは次のうちどれか。
(1)ボイラー室
(2)液化ガス取扱所
(3)変電設備
(4)指定数量未満のガソリン貯蔵所
消防法上で消火器を付加設置しなければならない箇所として、誤っているものは次のうちどれか。
(1)綿花類を250 kgが貯蔵された建物
(2)木毛およびかんなくずが350 kg貯蔵された建物
(3)糸類が1500 kg貯蔵された建物
(4)石炭・木炭類が15000 kg貯蔵された建物
大型消火器の設置基準
指定可燃物を指定数量の500倍以上貯蔵または取扱う場合には大型消火器の設置義務も生じます。
参考消防法施行規則 第7条〔大型消火器の設置〕、50型粉末消火器の使用方法について
◎ 能力単位の計算
能力単位とは、防火対象物の用途と延べ面積によって必要となる消火能力を算定したものです。
算定基準面積
能力単位の算定基準面積は、おおよそ消火器の設置基準となっていた用途毎の「延べ面積に関係無く」と「延べ面積150㎡以上」および「延べ面積300㎡以上」の3パターンそれぞれに「50㎡」と「100㎡」および「200㎡」と対応しています。
能力単位の算定基準面積が50㎡の用途
消火能力単位の算定基準面積が50㎡であるものは、以下の延べ面積に関係無く消火器の設置義務が生じる用途となっています。
項 | 用途 | |
(1) | イ | 劇場・映画館 |
(2) | イ | キャバレー・カフェー・ナイトクラブ等 |
ロ | 遊技場・ダンスホール | |
ハ | 性風俗営業店舗 | |
二 | カラオケボックス等 | |
(16の2) | 地下街 | |
(16の3) | 準地下街 | |
(17) | 重要文化財等 | |
(20) | 総務省令で定める舟車 |
※1 (6)項の有床とは、入院施設または入所施設のあるもの
※2 延べ面積150 ㎡未満のものは火気使用設備のある階のみが対象。ただし火気を使用する設備に防火上有効な措置が講じられたものを除く。
(3)項と(6)項については延べ面積に関係無く消火器の設置義務が生じますが、消火能力単位の算定基準面積は100㎡となっています。
能力単位の算定基準面積が100㎡の用途
消火能力単位の算定基準面積が100㎡であるものは、以下の延べ面積に関係無く消火器の設置義務が生じる用途となっています。
項 | 用途 | |
(1) | ロ | 公会堂・集会場 |
(4) | 百貨店・物品販売店舗等 | |
(3) | イ | 待合・料理店 |
ロ | 飲食店 | |
(5) | イ | 旅館・ホテル等 |
ロ | 共同住宅・寄宿舎等 | |
(6) | イ ※1 | ①病院・②有床診療所・③有床助産所 |
ロ | 自力避難困難者入所福祉施設・老人ホーム等 | |
(6) | イ | ④無床の診療所または助産所 |
ハ | 老人デイサービス等 | |
二 | 幼稚園・特別支援学校 | |
(9) | イ | 蒸気浴場等 |
ロ | 上記イ以外の公衆浴場 | |
(12) | イ | 工場・作業所 |
ロ | 映画スタジオ・テレビスタジオ | |
(13) | イ | 自動車車庫・駐車場 |
ロ | 航空機の格納庫 | |
(14) | 倉庫 |
能力単位の算定基準面積が200㎡の用途
消火能力単位の算定基準面積が200㎡であるものは、以下の延べ面積に関係無く消火器の設置義務が生じる用途となっています。
項 | 用途 |
(7) | 学校 |
(8) | 図書館・博物館・美術館 |
(10) | 車両の停車場・船舶および航空機の発着場 |
(11) | 神社・寺院・教会等 |
(15) | その他の各号に該当しない事業所 |
また、主要構造部を耐火構造とし、内装を難燃材料で仕上げた場合は消火能力単位の算定基準面積を2倍とすることができます(※倍読み)。
参考消防法施行規則 第6条〔大型消火器以外の消火器具の設置〕
能力単位の緩和
大型消火器なら能力単位1/2減少
防火対象物又はその部分に大型消火器を前項に定める技術上の基準に従い、又は当該技術上の基準の例により設置した場合において、当該大型消火器の対象物に対する適応性が前条の規定により設置すべき消火器具の適応性と同一であるときは、当該消火器具の能力単位の数値の合計数は、当該大型消火器の有効範囲内の部分について前条で定める能力単位の数値の合計数の2分の1までを減少した数値とすることができます。
消火設備なら能力単位1/3減少
防火対象物又はその部分に屋内消火栓設備・スプリンクラー設備・水噴霧消火設備・泡消火設備・不活性ガス消火設備・ハロゲン化物消火設備または粉末消火設備を技術上の基準に従って設置した場合において、当該消火設備の対象物に対する適応性が消火器具の適応性と同一であるときは、当該消火器具の能力単位の数値の合計数は、その有効範囲内の部分について能力単位の数値の合計数の3分の1までを減少した数値とすることができます。
ただし、防火対象物の11階以上の部分に設置するものには、適用されません。
ちなみに、こんな過去問が出題されています。
防火対象物に設置する消火器具の能力単位の数値を減少させることができる消火設備について、次のうち誤っているものは次のうちどれか。
(1)スプリンクラー設備
(2)屋内消火栓設備
(3)屋外消火栓設備
(4)不活性ガス消火設備
スプリンクラー設備などの消火設備を設置した場合に消火器具の能力単位の数値を減少させられるが、その数値について次のうち正しいものがどれか。
(1)1/2
(2)1/3
(3)1/4
(4)1/5
◎ 消火器具の配置
消火器具は、防火対象物の階ごとに各部分から、消火器具に至る歩行距離が20m以下となるように配置しなければなりません。
参考消防法施行規則 第6条〔大型消火器以外の消火器具の設置〕
ちなみに、こんな過去問が出題されています。
消火器の配置条件に関する次の記述について、正しいものは次のうちどれか。
(1)防火対象物の各部分から歩行距離20 m以内毎に小型消火器を設置する。
(2)防火対象物の各部分から水平距離20 m以内毎に小型消火器を設置する。
(3)防火対象物の各部分から水平距離30 m以内毎に大型消火器を設置する。
(4)防火対象物の各部分から歩行距離40 m以内毎に大型消火器を設置する。
位置と標識
消火器具の設置高さ
消火器具は、床面からの高さが1.5m以下の箇所に設けます。
ちなみに、こんな過去問が出題されています。
消火器を設置する場合に、床面からの高さ基準として次のうち正しいものはどれか。
(1)床面から0.5m以下の高さに設ける。
(2)床面から0.8m以下の高さに設ける。
(3)床面から1.0m以下の高さに設ける。
(4)床面から1.5m以下の高さに設ける。
消火器具の標識
消火器具を設置した箇所には、消火器にあっては「消火器」と、水バケツにあっては「消火バケツ」と、水槽にあっては「消火水槽」と、乾燥砂にあっては「消火砂」と、膨張ひる石又は膨張真珠岩にあっては「消火ひる石」と表示した標識を見やすい位置に設けます。
参考消防用設備等の設置に係る運用基準 第10章 第1 標識の表示基準、消火器具標識 株式会社石井マーク
ちなみに、こんな過去問が出題されています。
消火器具の標識に記載する文言として、次のうち正しいものはどれか。
(1)水バケツ --- 消火水バケツ
(2)水槽 --- 防火水槽
(3)乾燥砂 --- 消火砂
(4)膨張真珠岩 --- 消火真珠岩
◎ 消火器具の区分と適応する火災
防火対象物又はその部分には、防火対象物の用途・構造若しくは規模又は消火器具の種類若しくは性能に応じ以下の別表第二において、その消火に適応するものとされる消火器具を設置します。
消火器具の区分 | 対象物の区分 | |||||||||||||||
建築物その他の工作物 | 電気設備 | 危険物 | 指定可燃物 | |||||||||||||
第一類 | 第二類 | 第三類 | 第四類 | 第五類 | 第六類 | 可燃性固体類又は合成樹脂類(不燃性又は難燃性でないゴム製品、ゴム半製品、原料ゴム及びゴムくずを除く。) | 可燃性液体類 | その他の指定可燃物 | ||||||||
アルカリ金属の過酸化物又はこれを含有するもの | その他の第一類の危険物 | 鉄粉、金属粉若しくはマグネシウム又はこれらのいずれかを含有するもの | 引火性固体 | その他の第二類の危険物 | 禁水性物品 | その他の第三類の危険物 | ||||||||||
棒状の水を放射する消火器 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||
霧状の水を放射する消火器 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||
棒状の強化液を放射する消火器 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||
霧状の強化液を放射する消火器 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
泡を放射する消火器 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
二酸化炭素を放射する消火器 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||||||
ハロゲン化物を放射する消火器 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||||||
消火粉末を放射する消火器 | りん酸塩類等を使用するもの | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
炭酸水素塩類等を使用するもの | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||||
その他のもの | ○ | ○ | ○ | |||||||||||||
水バケツ又は水槽 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||
乾燥砂 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
膨張ひる石又は膨張真珠岩 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
【備考】
- 一 ○印は、対象物の区分の欄に掲げるものに、当該各項に掲げる消火器具がそれぞれ適応するものであることを示す。
- 二 りん酸塩類等とは、りん酸塩類、硫酸塩類その他防炎性を有する薬剤をいう。
- 三 炭酸水素塩類等とは、炭酸水素塩類及び炭酸水素塩類と尿素との反応生成物をいう。
- 四 禁水性物品とは、危険物の規制に関する政令第十条第一項第十号に定める禁水性物品をいう。
参考消防法施行令 第10条〔消火器具に関する基準〕、消防法施行令 別表第二
ちなみに、こんな過去問が出題されています。
危険物第4類の火災の消火に適応する消火器具について、次の記述の( )内に当てはまる語句として正しい組み合わせはどれか。
「ガソリンや灯油などの第4類の危険物の火災の消火には(A)と(B)は適応しますが、(C)と(D)は適応しません。」
(A) | (B) | (C) | (D) | |
(1). | 棒状の強化液消火器 | 水バケツまたは水槽 | 二酸化炭素を放射する消火器 | ハロゲン化物を放射する消火器 |
(2). | 霧状の強化液消火器 | りん酸塩を放射する消火器 | 霧状の水消火器 | 水バケツまたは水槽 |
(3). | 二酸化炭素を放射する消火器 | 乾燥砂 | 棒状の強化液消火器 | りん酸塩を放射する消火器 |
(4). | ハロゲン化物を放射する消火器 | 膨張ひる石または膨張真珠岩 | 炭酸水素塩類等を放射する消火器 | 棒状の水消火器 |
設置場所の制限
二酸化炭素又はハロゲン化物(ハロン1301消火器を除く。)を放射する消火器は、別表第一(16の2)項 地下街および(16の3)項 準地下街および総務省令で定める地階・無窓階その他の場所(換気について有効な開口部の面積が床面積の1/30以下で、かつ、当該床面積が20 ㎡以下)に設置してはなりません。
参考消防法施行令 第10条〔消火器具に関する基準〕、消防法施行規則 第11条〔地下街等に設置することができるハロゲン化物消火器等〕
ちなみに、こんな過去問が出題されています。
二酸化炭素消火器を設置できない条件・用途について、次のうち正しいものはどれか。
(1)地階・無窓階その他の場所(換気について有効な開口部の面積が床面積の1/30以下で、かつ、当該床面積が20 ㎡以下)
(2)(16)項イ 特定防火対象物を含む複合用途防火対象物
(3)(16の2) 地下街
(4)(16の3) 準地下街
二酸化炭素消火器およびハロゲン化物消火器(ハロン1301消火器を除く。)が設置できない条件として、次のうち正しいものはどれか。
(1)換気について有効な開口部の面積が床面積の1/30以下で、かつ、当該床面積が20 ㎡以下地階・無窓階または居室
(2)換気について有効な開口部の面積が床面積の1/30以下で、かつ、当該床面積が30 ㎡以下地階・無窓階または居室
(3)換気について有効な開口部の面積が床面積の1/20以下で、かつ、当該床面積が20 ㎡以下地階・無窓階または居室
(4)換気について有効な開口部の面積が床面積の1/20以下で、かつ、当該床面積が30 ㎡以下地階・無窓階または居室