先日、弊社長が千葉県に出張で消防検査の立会いをした後、社内チャットに以下の投稿をされました。
避難器具は建築の指導で必要(しかし任意設置)で昨日、建築検査で何も言われなかったとの事。
消防が建築検査で何も言われませんでしたか?と聞かれて『はい』と答えると不思議そうでした。
『アンタそれお客さんに無駄な金払わしとんねんで…わかってんの?』ってお聞きしたかったです。
その不条理に関して問題提起的な記事お願いします。
上記の話に加えて、弊社長より以下の投稿もありました。
この記事では以下の3つの「あり方」を検討していきます。
- 消防署予防係のあり方
- 消防検査のあり方
- 消防設備業者のあり方
そして結論を先に述べてしまいます。
結論
「大阪市消防局と消防設備業者の団体がタッグを組んで、もっと消防検査を含む種々の仕事について改善すべき」
この業界で働く全ての消防人な皆さま、是非お目を通して下さいませ。
消防検査のあり方に関する検討会2022
0⃣ 消防検査とは‥
消防検査とは「消防用設備等を設置した後、所轄消防署に確認してもらう」ものです。
参考消防検査とは?確認項目と「消防検査済証」受け取りまでの流れを解説!
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1⃣ 消防署予防係のあり方
結論、行き過ぎた「消防村社会」文化を解体して適切な指導ができる体制を整えるべきと提言します。
不条理な指導の背景
時に『マジっすか?』と思う常識や法から逸脱した指導がなされる場合がありますが、その背景にあるカラクリを紐解いていくことで “あり方” が見えてきます。
建築と消防のズレ
今回、弊社長より報告のあった避難器具(任意設置)の指導に関しては、シンプルに消防側のミスである可能性が高いです。
例えばベランダの避難はしご(ハッチ式)は「建築基準法に基づく設置義務」と「消防法に基づく設置義務」の2パターンがあります。
消防側の指導も普通に間違う(もしくは余分な設備の設置を提案する)為、お客様(一般市民)が投じる費用が変動する場合に正しい選択肢を業者側も提示できればベター。
参考建築基準法と消防法では「内装制限」の範囲が違います【屋内消火栓】
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消防村の上長の意向
公務員である消防署は完全なタテ社会が形成されている為、例えば比較的優秀な若手の意見もベテランに潰されます。
この組織風土も誰が所轄消防署の上長かに寄って大きく実態は異なるようです。
ヤバめの人が上席にいる消防署は、もれなくヤバい色に染まります。
そんな人を応援したい。
お客様や業者側からしたら『それって嫌がらせでは‥』としか解釈できない様な指導の背景には、その予防係員の上長の意向が反映されている場合があるのです。
実地の知識を得にくい
消防側が設備について把握していることは主に書面ベースである為、実地のリアルな事情については汲み取りにくい部分があります。
予防係員でも‥例えば自火報受信機の止め方とか消火ポンプの起動方法とか知らない人いっぱい、いると思う。
そんな状況でも、この道ウン十年って消防設備士さんに指導しなきゃダメだから‥結構キツい時ありますよ。
一番怖いのが、現場の実態を知らない予防係員が書面だけ参考にして『消火器の機能点検しましたか?』とか指導しちゃうことですね。
消防側の予防係員さんも完璧ではないどころか知らないことも多々ある為、業者側はそれを理解して歩み寄る姿勢を見せるべし。
予防係側の気持ち
すでに予防係員さんから伺った話をベースに検討会を進めていますが、より踏み込んだ「気持ち」といえるお声を紹介させて頂きます。
(※この検討会はノンフィクションです)
設備について詳しくなりたい
消防士さんは、その仕事柄「やりがい」を持たれている方が多い為、向上心も消防設備士より全然高い印象です。
消防人の設備スキル向上を目指して、これから更に動いていきます!(宣言)
係員ができることは限られている
消防設備士が普段やり取りする畏敬の念を抱くべき予防係員さん、しかし当人たちは消防村の村長から『No!』を言われることで打ちひしがれることもあるそう。
消防設備士は予防係員さんの立場を理解し、その指導の根拠や背景を推し量ること。
もっと改善されるべきである
もちろん例えば業者が『これオカシイやろ!ワーワー!』と声高に叫ぶような諸問題については、同じ人間である予防係員さん側も普通にオカシイと思っているケース多々あります。
建設的な仕事の進め方で、世の中を少しでもマシにできる体制を消防人が所属する業界全体で作っていく。
2⃣ 消防検査のあり方
大阪市消防局には一応「消防検査マニュアル(非公開)」がありますが、その内容は設置届に添付する試験結果の項目+根拠法令くらいしか記載されておらず、具体的な進め方のルールはありません。
よって例えば大阪市消防局管轄の25署でも、その消防検査における進め方については統一されておらず微妙に違うのが現状です。
業者が立ち会う必要ある?
検査のやり方って正しい?
上述した通りダイショー(大阪市消防局)管轄でも消防検査のやり方は微妙に異なる状態ですから、やり方も所轄消防署(場所)や担当の予防係員(人)寄って異なります。
同時作動試験とは
消防検査は予防係員と消防設備士が二人三脚で進めて、その建物が消防法をクリアしていると証明するもの。
その尺度となる基準を予防係員さんに丸投げするのではなく、業者側も受け身とならずに条件を提示する。
試験器は業者が用意する?
例えば自動火災報知設備の熱感知器や煙感知器を試験する為には試験器が必要なのですが、消防側が実施する消防検査時の試験器は現在、業者(お客様)側が用意するのが当たり前となっています。
感知器の試験器
消防設備士のシンボリックな仕事風景は、以下の様な試験器で感知器の動作確認をする様子でしょう。
参考㈱石井マークさま(@ishiimark_sign)Twitter
現在、自動試験機能等がある自動火災報知設備であれば、この「長い棒を持って感知器を温める(or 煙を加える)作業」も不要です。
この様に青木防災㈱というイチ会社組織や管理人の様なイチ消防設備士(個人)がワーワーいうだけではなく、ちゃんと業界団体を率いて意見を提示しなければ大きな括りで決定されているルールに一石を投じることは難しい。
3⃣ 消防設備業者のあり方
結局、消防検査のあり方を検討するに際して消防設備業者側が変化を起こすのが最も手っ取り早いです。
ここでは管理人が高専時代から大事にしているオリジナルのフレームワーク「3つの努力」を用いて検討会を展開します。
「3つの努力」とは
チーム単位で成果を上げたいリーダーは、以下の3つの努力をすることが不可欠です。
- 自分自身の圧倒的な努力
- 周囲を巻き込もうとする努力
- 周囲とする努力
この3つを意識して実行できた為、学生時代に全国高専大会バスケットボールの部で優勝できたと思っています。
だから「終わりなき優勝」って感じ
さて、ここからは具体的な勝ち筋を考えていきましょう。
LEVEL5人材を育成する努力
これまで業界全体で消防設備士を育成する努力を怠ってきた為、そのツケが消防検査時にも露呈しているのではないかと思っています。
消防設備業界で働く、すべての消防設備士の育成・レベル上げを実施すべき。
業界全体を巻き込む努力
イチ会社組織やイチ消防設備士で達成できることなんて、たかが知れています。
真に、お客様を想う防災を実現する為、今一度業界全体で協力すべき。
消防人でする努力
実際、今の時点で組合を巻き込んで消防署と話をされている方もいらっしゃいます。
すでに組合とか巻き込んで大阪市消防局とか各所轄消防署と話してんで。業界のために。例えば消防検査の話とかも。
もしホントに業界を良くしたいんなら全消販(全国消防機器販売業協会)入るんもアリやな。
社長(青木 誠 社長)そんなタイプ違うけど、自分やったらエエんちゃう?
あと、まず自分達が楽しむことが大前提やから。肩の力、抜いてな!
山下社長からバトンパス受ける気まんまんの管理人です。
狼煙は、もう上がってます。
消防検査は、予防係員(消防側)と消防設備士(業者側)が二人三脚で建物が消防法をクリアしているか確認する仕事です。
双方が歩み寄り、お互いを理解すること。
そして消防人としての誇りを各々が抱いて取り組むことで、よりマシな「あり方」を体現できるのではないでしょうか。
現場からは以上です。
「消防業界なんて改善されねぇ。上の言う事に従うだけ」って思ってる奴いる!?
消防検査のあり方、皆さま思うことありましたらコメント欄に記入お願いします。
◎ まとめ
弊社長が千葉県に出張で消防検査の立会いをした後、経験された不条理に関して問題提起的な記事お願いしますとご指示あったので執筆した。
消防署予防係・消防検査・消防設備業者の計3つのあり方について、実際のお声に基づいて検討した。
結論としては「大阪市消防局と消防設備業者の団体がタッグを組んで、もっと消防検査を含む種々の仕事について改善すべき」であった。
青木 誠 社長
青木防災㈱二代目代表取締役