基礎的知識(機械)の試験について、その難易度は「高等学校卒業程度」とされています。しかし、高校時代にサボってしまった人や根っからの文系な方はつまづく可能性もありますから余念なく学習していきましょう。
基礎的知識(機械)
◎ 力学
力の三要素
「力」の単位であるニュートン(N)は、以下の3つの要素から成ります。
力の三要素
- 力の大きさ‥どれくらい力が大きいか
- 力の向き‥どの方向に力が働いているか
- 力の作用点‥どこに力が加わっているか
質量1kgの物体に1m/s²の加速度を生じさせる力を1Nといいます。
力の合成
働く力が一点に二つ以上ある時は、それらの力を合成して一つの力である「合力」として表すことができます。
合力の求め方
「力の平行四辺形の法則」‥物体にF₁・F₂の力が作用している時、これらF₁・F₂を2辺とする平行四辺形を描く対角線Fが合力となります。
ちなみに、こんな過去問が出題されています。
下図について、物体に働く力F₁・F₂・F₃の合力として正しいものはどれか。
(1) OB
(2) OC
(3) OD
(4) OE
F₁・F₂が垂直である場合の合力は、三平方の定理( F₁² + F₂² = F² )で求められます。
三平方の定理とは
ちなみに、こんな過去問が出題されています。
Oに働く力がF₁=√6のとき、F₂との合力Fの大きさとして正しいものはどれか。
(1) 1
(2) √2
(3) 2
(4) 2√2
力のモーメント
回転軸を中心とした力F(N)と作用点までの距離L(m)の積をモーメントM(N・m)といいます。
ちなみに、こんな過去問が出題されています。
柄の長さ55cmのパイプレンチで丸棒の中心から50cmのところに10Nの力を加えた時のモーメントの値として正しいものは次のうちどれか。
(1) 5N・m
(2) 5.5N・m
(3) 10N・m
(4) 10.5N・m
同じ向きの平行力の合成
直線状に2つ以上の平行力が働いている場合にも、力の合成ができます。
F₁とF₂の合力FはF₁+F₂であり、Oを支点として左回りのF₁×r₁と右回りのF₂×r₂が吊り合っている為、以下の式が成り立ちます。。
r₁=(F₂÷F)r、r₂=(F₁÷F)r
ちなみに、こんな過去問が出題されています。
長さ50cmの棒ABのA端にF₁=30N、B端にF₂=70Nの力が働いた場合の合力Fの大きさ及び作用点の位置として正しいものは次のうちどれか。
(1) 合力の大きさF=50N、作用点OとAの距離L₁=35cm
(2) 合力の大きさF=50N、作用点OとAの距離L₁=40cm
(3) 合力の大きさF=100N、作用点OとAの距離L₁=35cm
(4) 合力の大きさF=100N、作用点OとAの距離L₁=40cm
仕事
ある物体にFという力が作用し、それによってsだけ移動した時「Fは物体に仕事(W)をした」といいます。
仕事量の式
W(仕事量)= F(力の大きさ)×s(移動距離)
力の単位Nと距離の単位mより仕事量の単位はN・mとなりますが、一般的にJ(ジュール)を用います。
1J=1N・mであり、よって1Nの力で物体を1m動かした時の仕事量が1Jとなります。
滑車
滑車の原理を使うと、重い物を動かす際に便利な場面があります。
定滑車
固定された滑車で、ロープを引くと物体が上向きに移動するものです。
定滑車では力の大きさは同じで、引いたロープの長さ分だけ物体が移動します。
動滑車
動滑車はロープを引くと物体と共に移動するもので、仕事量自体は直接引き上げた時と同じになっています。
加える力の大きさは動滑車1つにつき物体の重さが1/2になりますが、ロープを引く長さが物体の移動距離の2倍になります。
動滑車の公式
動滑車がn個ある場合、以下の式が成り立ちます。
W:物体の重さ(N)、F:引っ張る力
ちなみに、こんな過去問が出題されています。
図に示す滑車で800Nの力を受けている物体Xを吊り上げた。この時Fに要する力として正しいものは次のうちどれか。
ただし滑車とロープの自重は考えないものとする。
(1) 50N
(2) 100N
(3) 150N
(4) 200N
動力(仕事率)
単位時間(1秒間)あたりにする仕事の量を動力あるいは仕事率といいます。
動力(仕事率)の公式
動力(仕事率):P、仕事量:Q、要した時間:tとすると以下の公式が成り立ちます。
1秒間あたりに1N・m(1J)の仕事をする動力(仕事率)を1W(ワット)といいます。
1Jの仕事に1秒かかったとき、仕事率は1Wということになります。
ちなみに、こんな過去問が出題されています。
100kgの物体を1分間で31mの高さまで上げるのに要する動力(仕事率)として、正しいものは次のうちどれか。ただし重力加速度を9.8m/s²とする。
(1) 100N
(2) 182.3W
(3) 506.3W
(4) 1896.7W
はり
応力-ひずみ曲線
許容応力と安全率
金属材料の安全率を計算する公式として、次のうち正しいものはどれ?
(1) 安全率 = 引張強さ + 許容応力
(2) 安全率 = 引張強さ - 許容応力
(3) 安全率 = 引張強さ × 許容応力
(4) 安全率 = 引張強さ ÷ 許容応力
◎ 機械材料
金属の性質
金属材料の一般的性質に関する次の記述のうち、誤っているものはどれ?
(1) 最も比重の大きい金属材料は白金である。
(2) 最も比重の小さい金属材料はマグネシウムである。
(3) 最も電気・熱の伝導性が高い金属材料は銅である。
(4) 最も温度変化に対する膨張率が大きい金属材料は鉛である。
合金
合金に関する次の記述のうち、誤っているものはどれ?
(1) ステンレス鋼は、鉄と炭素とクロムとニッケルの合金である。
(2) 黄銅は、銅と鉛の合金である。
(3) 青銅は、銅とすずの合金である。
(4) ジュラルミンは、アルミニウムと銅とマグネシウムとマンガンの合金である。
ステンレス鋼に関する次の記述について、空欄に当てはまる文言の組み合わせとして正しいものはどれ?
「ステンレス鋼は、鉄に一定量以上の( ア )を含ませた、腐食に対する耐性を持つ合金鋼である。その中でも18%の( ア )と8%の( イ )が含まれた18-8ステンレス鋼は、広く使われている鋼種である。」
(ア) | (イ) | |
⑴ | 炭素 | マンガン |
⑵ | 炭素 | ニッケル |
⑶ | クロム | ニッケル |
⑷ | クロム | マンガン |
熱処理
金属の熱処理に関する次の記述について、正しいものはどれ?
(1) 焼入れ:高温に加熱した後、油または水中で急冷し、硬度を高める。
(2) 焼戻し:高温で一定時間保ってから徐々に冷却し、組織を安定化させ、軟化させる。
(3) 焼なまし:焼入れ温度まで加熱後、空気中で徐々に冷却し、組織を均一にして、ひずみを除去する。
(4) 焼ならし:焼入れした鋼を焼入れ温度より低い温度で再加熱し、徐々に冷却し、粘り強さを高める。
ねじ
M10-1.25×30の表示があるボルトについて、次の記述のうち正しいものはどれ?
(1) メートルねじで、ボルトの長さが10 cmである。
(2) メートルねじで、ボルトのピッチが1.25 cmである。
(3) メートルねじで、ねじ部分の長さが30 mmである。
(4) メートルねじで、内径10 mmおよびピッチ1.25 mmである。
◎ 気体
ボイル・シャルルの法則に関する記述の空欄に当てはまる語句の組み合わせとして、次のうち正しいものはどれ?
「気体の体積は圧力に( ア )し、絶対温度に( イ )する。」
( ア ) | ( イ ) | |
⑴ | 比例 | 比例 |
⑵ | 比例 | 反比例 |
⑶ | 反比例 | 比例 |
⑷ | 反比例 | 反比例 |
ボイルの法則
P₁V₁=P₂V₂=k (一定)
シャルルの法則
V₁ / T₁=V₂ / T₂=k (一定)
ある気体を7倍の圧力で圧縮し、温度を5倍にしたとき、ボイル・シャルルの法則を用いると気体の体積は何倍になるか。次のうち正しいものを選べ。
⑴ 5 / 7
⑵ 7 / 5
⑶ 1 / 5
⑷ 1 / 7