【記入例】消防用設備等の設置義務は特例申請で緩和できます【令32条】
◎「令32条」って⁉
略して “令32条” と呼ばれる消防法施行令第32条の特例基準では、以下の文言が謳われています。
消防用設備等について、消防長または消防署長が、防火対象物の位置・構造又は設備の状況から判断して、規定による消防用設備等の基準によらなくとも、火災の発生または延焼のおそれが著しく少なく、かつ、火災等の災害による被害を最少限度に止めることができると認めるときにおいては、適用しない。
◎ 特例 ≒ 緩和・猶予等
大阪市の特例申請フォームは「消防用設備等(特例承認・除外)願出書」なる名称ですが、お隣の東大阪市では「消防用設備等願出書(緩和、除外、猶予等)」と呼び名が異なります。
追記(令和4年1月21日)
◎ 特例申請書の記入例
よく提出する特例申請書の記入例を、以下に紹介していきます(※PDFファイルは “参考” よりダウンロード可能です)。
特定小規模施設用自動火災報知設備
特定一階段等防火対象物へ特定小規模施設用自動火災報知設備を設置する際に提出する特例申請書記入例です。
パッケージ型消火設備
通常、屋内消火栓設備の設置が必要な建物にパッケージ型消火設備を設置する際に提出する緩和願出書記入例です。
2020年1月号の月刊フェスクにて、特例適用でパッケージ型消火設備を設置していた建物で火災が発生し、そこで「消火器とパッケージ型消火設備を利用して消火活動が行われた‥」なる奏功事例が紹介されていました。
参考妥協案の奏功 特例的運用により設置したパッケージ型消火設備の奏功事例、月刊フェスク「違反是正」
追記(令和4年1月21日)
東大阪市東消防署では、以下の文言を特例適用願出理由として記載するよう指導ありました。
当該対象物について、消防法施行令第11条第1項第2号により屋内消火栓設備の設置義務がありますが、パッケージ型消火設備の設置をもって屋内消火栓設備の設置を緩和させていただきたい。
スプリンクラー設備(13条区画)
レアケースですが、以前に消防法施行規則第13条の区画が形成されている旨を特例申請書にて証明することで、何千万円も費用がかかるスプリンクラー設備の設置義務を免れたことがありました。
参考13条区画でスプリンクラー設備を省略、除外できましたスプリンクラー設備
特例申請は、消防設備士のウデの見せ所!
◎ 誓約書と委任状
特例申請書と付随し、併せて提出する書類に「誓約書」と「委任状」があります。
誓約書
もし特例承認されたとして、後々その際の条件に建物が適合しなくなった場合に特例承認が解除される可能性があることに同意する旨を受諾する書類です。
参考誓約書_特例承認
委任状
特例申請書の提出者は建物の関係者ですが、それを業者が一任して実施する際に委任状が必要となります。
参考委任状_特例承認
【参考】通知でわかる 消防用設備の設置免除・緩和措置
特例適用のベースとなる “通知” が網羅的に掲載されている本に「通知でわかる 消防用設備の設置免除・緩和措置」があり、もちろん弊社にも1冊あります。
【追記】
当ブログをTwitterにて拡散したところ、下記の引用RTを頂きました。
散々特例で連送の主管内径落としてVEしてる
まず、連結送水管の主管内径の特例については消防法施行規則第30条の4〔連結送水管の主管の内径の特例等〕にて以下の通り謳われています。
主管の内径は、100mm以上とすること。ただし消防長又は消防署長が、その位置・構造及び設備の状況並びに使用状況から判断して、フォグガンその他の霧状に放水することができる放水用器具(次条において「フォグガン等」という。)のうち定格放水量が200ℓ 毎分以下のもののみを使用するものとして指定する防火対象物において、主管の内径が水力計算により算出された管径以上である場合は、この限りでない。
また、特例の適用できる防火対象物については告示の連結送水管の主管内径の特例に係る防火対象物の指定についてで以下の通り規定されています。
消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第30条の4第1項の規定に基づき、連結送水管の主管内径の特例に係る防火対象物は次のいずれかに該当するものとする。
- 1 連結送水管の放水口を設けるすべての階が消防法施行令別表第1(5)項ロの用途に供されていること。
- 2 連結送水管の放水口を設けるすべての階が200 ㎡以下ごとに耐火構造の壁若しくは床又は自動閉鎖の防火戸で区画されていること。
- 3 連結送水管の放水口を設けるすべての階に係るスプリンクラー設備が令第12条第2項及び第3項に定める技術上の基準に従い、又は当該技術上の基準の例により設置されていること。
参考連結送水管の主管内径の特例に係る防火対象物の指定について
引用RT中で言及されていた “VE” は「バリューエンジニアリング」の略称です。
バリューエンジニアリング(VE)とは‥製品やサービスの「価値」を、それが果たすべき「機能」とそのためにかける「コスト」との関係で把握し、 システム化された手順によって「価値」の向上をはかる手法。
より顧客満足度の高いサービスを当たり前に提供できる様、特例について学んで消防設備業界全体でVEしていきましょう!
✍ 追記
特例の承認は消防署長による為、例えば「消防村の村長」の方針次第で指導内容が変わることも全然あり得る設定になっています。
参考東大阪市消防局中消防署と西および東消防署の指導方針が異なる理由
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◎ まとめ
- 消防法施行令第32条に “特例” について規定されており、その対象としてもらう様に消防長(署長)宛に願出書を申請することがあるので記入例を紹介した。
- 大阪市の特例申請フォームは「消防用設備等(特例承認・除外)願出書」なる名称ですが、お隣の東大阪市では「消防用設備等願出書(緩和、除外、猶予等)」と呼び名が異なった。
- 特例申請は「通常とは異なるルール」を知っておかなければならない為、消防設備士のウデの見せ所であった。
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