避難器具は火災による被害から人を守る “命綱” である為、その「規格」について省令等で細かい数字が規定されています。
『こんなことまで覚えるの‥!?』と思われるかもしれませんが、全体を把握して大事な所を見極めることで合格に近づきましょう!
甲種5類の試験問題【規格・省令】
◎ 金属製避難はしご
①金属製避難はしごの種別
金属製避難はしごの種別についての次の記述のうち、誤っているものはどれ?
- 固定はしご‥常時使用可能の状態で防火対象物に固定されて使用されるものをいう。
- 立てかけはしご‥防火対象物に立てかけて使用されるものをいう。
- つり下げはしご‥防火対象物につり下げて使用されるものをいう。
- ハッチ用つり下げはしご‥つり下げはしごのうち、避難器具用ハッチ(金属製避難はしごを常時使用可能の状態で格納することのできるハッチ式の取付け具をいう。)に格納されているもの(使用の際、防火対象物に突子が接触しない構造のものを除く。)をいう。
突子(とっし)とは…
突子(とっし)は避難はしご降下の際「横滑りを防止する」為、つまりグラグラしない様に設けられるものです。
避難はしごが壁面に『ペタァ‥』と接触すると手足が掛かり辛い為、空間を設ける役割もあります。
②金属製避難はしごの構造
金属製避難はしごの構造についての次の記述のうち、誤っているものはどれ?
- 縦棒が当該はしごの中心軸となるように横桟を取り付け、横桟の先端に縦棒の軸と平行に長さ10cm以上の横滑りを防止する突子を設けてあること。
- 横桟の長さは、縦棒から横桟の先端までの長さの内法寸法で15cm以上25cm以下とし、縦棒の幅は横桟の軸方向について10cm以下であること。
- 避難はしごのうち、縦棒の数が二本以上であるものの縦棒の間隔は内法寸法で30cm以上50cm以下でなければならない。
- 避難はしごの横桟は、直径14mm以上35mm以下の円形の断面を有するもの又はこれと同等の握り太さの他の形状の断面を有するものでなければならない。
金属製避難はしごの試験
金属製避難はしごの繰り返し試験等に関するの次の記述のうち、誤っているものはどれ?
- 避難はしごは100回の展開及び収納の操作を繰り返す試験において、著しい変形・亀裂又は破損を生じないものでなければならない。
- つり下げはしごのつり下げ金具は、その一個につき当該はしごを伸ばした縦棒の方向に当該はしごの最上部の横桟から最下部の横桟までの部分について2m又はその端数ごとに1500Nの引張荷重を加える試験において、著しい変形・亀裂又は破損を生じないものでなければならない。
- つり下げはしごの突子は、一本の横桟に取り付けられた突子について縦棒及び横桟に対し同時に直角となる方向に1500Nの圧縮荷重を加える試験において著しい変形・亀裂又は破損を生じないものでなければならない。
- 避難はしごの横桟は23N・mのトルクを用いる試験において、回転し又は著しい変形・亀裂又は破損を生じないものでなければならない。
◎ 緩降機
④緩降機の種別
緩降機の種別に関する次の記述のうち誤っているものはどれ?
- 固定式緩降機‥常時取付け具に固定されて使用する緩降機をいう。
- 可搬式緩降機‥常時取付け具に取り付けて使用する緩降機をいう。
- 調速器‥緩降機の降下速度を一定の範囲に調節する装置をいう。
- 緊結金具…ロープと着用具を連結する金具をいう。
緩降機の設置方法
通常の緩降機は、取付金具と別の箱に収納されて設置されています。
⑤緩降機の構造
緩降機の構造に関する次の記述のうち誤っているものはどれ?
- 調速器・調速器の連結部・安全環及び着用具で構成されるものであること。
- 固定式緩降機の構造は、取付け具に確実に固定できるものでなければならない。
- 可搬式緩降機の場合は、調速器の質量が10kg以下であること。
- 取付け具に安全環により確実かつ容易に取り付けることができること。
安全環(あんぜんかん)って‥?
安全環は、緩降機と取付金具を連結する「デカいカラビナ」を指します。
⑥緩降機の試験
緩降機の試験に関する次の記述のうち誤っているものはどれ?
- 緩降機の降下速度試験結果は、16cm / 秒以上150cm / 秒以下であること。
- 緩降機の含水降下試験はロープを水に一時間浸した後、直ちに試験高度に緩降機を取り付けて行う。
- 緩降機の低温試験および高温試験は-20℃及び50℃の状態で、直ちに試験高度に緩降機を取り付けて行う。
- 緩降機の繰返し試験は試験高度に緩降機を取り付け、着用具の一端に最大使用荷重に相当する荷重を左右交互に加えて左右連続してそれぞれ10回降下させることを一サイクルとして5回繰り返す。
◎ 救助袋
⑦救助袋の構造
救助袋の構造に関する次の記述のうち誤っているものはどれ?
- 救助袋は、入口金具・袋本体・緩衝装置・取手及び下部支持装置等により構成されるものであること。ただし、垂直式の救助袋にあっては緩衝装置を設けないことができる。
- 垂直式の救助袋は、直径50cm以上の球体が通過することができるものであること。
- 垂直式の救助袋本体は連続して滑り降りることができるものであり、かつ平均毎秒4m以下の速度で途中で停止することなく滑り降りることができるものであること。
- 斜降式の救助袋本体は連続して滑り降りることができるものであり、かつ平均毎秒7m以下の速度で途中で停止することなく滑り降りることができるものであること。
下部支持装置って‥?
斜降式救助袋については、救助袋本体を取り付ける固定環が設けられています(下部支持装置)。
⑧救助袋の材質・強度
救助袋の材質および強度に関する次の記述のうち誤っているものはどれ?
- 本体布・受布及び袋本体の滑降部の落下防止のための布は耐久性を有し、かつ織むら等がなく十分な強度を有するものであること。
- 袋本体の滑降部の落下防止のための網・下部支持装置及び縫糸は、耐久性を有するものであること。
- 救助袋に用いる布は、覆い布を除き引張強さについては1kN以上、引裂強さについては0.12kN以上の強度を有するものであること。
- 救助袋は、入口金具・展張部材・下部支持装置・袋本体と下部支持装置との結合部分・本体布と袋取付枠との結合部分・展張部材と袋取付枠との結合部分及び展張部材相互の結合部分に作用する救助袋の自重・積載荷重・風圧等に対して、構造耐力上安全なものであること。
⑨救助袋の表示
救助袋の表示等に関する次の記述のうち誤っているものはどれ?
- 救助袋の見やすい箇所へ容易に消えないように、その種別・製造者名又は商標を表示する。
- 救助袋の見やすい箇所へ容易に消えないように、その製造年月・製造年月を表示する。
- 救助袋の見やすい箇所へ容易に消えないように、その設置階数・展張方向(斜降式の救助袋に限る。)を表示する。
- 告示基準に適合した救助袋には、国家検定合格ラベルを表示する。
◎ その他
⑩すべり台
すべり台の構造に関する次の記述のうち誤っているものはどれ?
- 底板の有効幅は40cm以上とし、底板と側板との接続部にはすきまを設けないものであること。ただし、滑り面をローラ等で構成したものにあっては、滑降に支障のないすきま等を設けることができる。
- 滑り面の勾配(らせん状のものにあっては、滑り面の降下方向の中心線における勾配)は、30°以上40°以下であること。
- 側板の高さは40cm以上、手すりの高さは60cm以上であること。
- 手すりは、底板の両側に設けること。ただし、側板の高さが60cm以上のものにあっては、この限りでない。
⑪すべり棒
すべり棒の構造に関する次の記述のうち誤っているものはどれ?
- すべり棒は外径が35mm以上50mm以下の範囲で一定の値の円柱状のもので、かつ表面は平滑なものであること。
- すべり棒の材質は鋼材又はこれと同等以上の耐久性を有するものであること。
- すべり棒の強度は3.9kNの圧縮荷重を軸方向に加える試験において、亀裂・破損又は著しいわん曲等の障害を生じないものであること。
- すべり棒は1.95kNの静荷重を軸方向に加える試験において、永久歪を生じないものであること。
クリティカルシンキング(critical thinking)とは‥感情や主観に流されずに物事を判断しようする思考プロセスのことで、 自分の考えや意見に客観性を持たせるための手法。批判的思考とも呼ばれる。
⑫避難ロープ
避難ロープの構造に関する次の記述のうち誤っているものはどれ?
- ロープの太さは、直径12mm以上のものであること。
- ロープの両端に、防火対象物に固定するためのつり下げ具を装着したものであること。
- 避難ロープの材質は、耐久性に富んだ繊維性のものであること。
- 避難ロープの強度は、6.5kNの引張荷重を加える試験において、破断・著しい変形等を生じないものであること。
◎ まとめ
- 5類の構造・機能では、その構造や強度について細かい数字まで暗記する必要があった。
- 全体を把握して大事な所を見極めることで合格に近づけた。
- 金属製避難はしご・緩降機は種別・構造・試験について、救助袋は材質・強度および認定マーク(表示)について出題されていた。