【感知・起動・試験①】感知・起動方式の基礎|消防設備士甲2・乙2【過去問】

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感知・起動・試験の順番が分からん!
信号の流れと放射の流れを分けて追えば大丈夫。

消防設備士2類 過去問講義

このページの対象と到達目標

対象は、消防設備士甲種第2類・乙種第2類を学ぶ初学者です。感知器、手動操作部、一斉開放弁、加圧送水装置を別々の部品名として覚えるのではなく、火災を検知して泡水溶液を放射するまでの順序として理解します。

感知・操作から泡放射までの6段階
  • 手動式起動装置と自動式起動装置の役割を区別できる。
  • 手動式起動操作部から、加圧送水装置、手動式開放弁又は一斉開放弁、混合装置へつながる流れを説明できる。
  • 自動火災報知設備の感知器、閉鎖型スプリンクラーヘッド、火災感知用ヘッドの作動又は開放が、起動条件になり得ることを説明できる。
  • 手動操作部の位置・高さ、標識、保護、始動表示を、目的と現行条件を結び付けて確認できる。
  • 「起動した」と「放射が成立した」を同じ意味にせず、各段階で確認すべきことを分けられる。

手動操作、遠隔操作、感知器試験、弁操作、ポンプ起動、放射試験には、誤放射、巻き込まれ、圧力、感電、薬剤排出の危険があります。操作・点検・復旧は資格者が、設計図書、取扱説明書、所轄消防機関の指示、現行の点検要領に従って行います。本文は操作手順書ではありません。

起動から放射までを六段階で読む

泡消火設備では、火災を検知しただけでは泡は放射されません。どの起動方式かを問われても、次の六段階に分けてみると整理できます。

段階 主な要素 役割 確認の要点
1. 検知又は操作 感知器、閉鎖型ヘッド、火災感知用ヘッド、手動操作部 火災信号又は人の操作を起動回路へ渡す 自動・手動のどちらが条件かを確認する
2. 起動指令 制御回路、起動装置、操作部 加圧送水装置や弁へ指令する 複数区域では対象区域を選択できるかを確認する
3. 送水開始 加圧送水装置 水側へ所定の圧力・流量を与える 起動表示、異常音・振動、電源を確認する
4. 開放 一斉開放弁、手動式開放弁 選択された放射区域へ通水可能にする 弁の種類・常時状態・作動を確認する
5. 混合 泡消火薬剤貯蔵槽、混合装置 水と薬剤を所定の条件で泡水溶液にする 薬剤・混合器・設定は設計図書で確認する
6. 放射 配管、泡放出口、泡ヘッド、泡ノズル 泡水溶液を発泡・放射する 圧力、分布、発泡倍率等を別途確認する

試験では、「起動装置が何を起動できるか」と「泡放出口から何が放射されるか」を一つの選択肢に混ぜて問うことがあります。起動装置は、直接操作又は遠隔操作によって、加圧送水装置、手動式開放弁、泡消火薬剤混合装置などを起動できるものとして読みます。実際にどの機器が連動するかは、方式・系統・放射区域ごとに設計図書で確定します。

手動式と自動式は「最初のきっかけ」が違う

手動式起動装置

手動式では、人が直接又は遠隔で操作部を操作し、起動指令を出します。火災時に容易に接近でき、確実に使えることが重要です。操作部は、床面から0.8 m以上1.5 m以下の範囲を確認します。操作部の表示、保護、周囲の障害、操作のしやすさも、単なる箱の外観ではなく、火災時に誤操作なく起動できるかという目的で確認します。

複数の放射区域がある設備では、操作対象の区域を選択できる必要があります。全区域を常に同時放射するとは限りません。どの区域が選ばれ、どの弁・ポンプ・混合装置が作動するかは、系統図と制御仕様で確認します。

自動式起動装置

自動式では、自動火災報知設備の感知器の作動、閉鎖型スプリンクラーヘッドの開放、火災感知用ヘッドの作動又は開放などが、起動のきっかけとなり得ます。その信号に連動して、加圧送水装置、一斉開放弁、泡消火薬剤混合装置が作動可能な系統を確認します。

自動式だからといって、どの設備でも同じ感知器・同じ遅延・同じ連動範囲とは限りません。感知部、制御部、弁、ポンプ、放出口のどこまでが一つの放射区域に含まれるかを、設備ごとに確認します。

操作部は「高さ・表示・保護・表示灯」を分ける

項目 現行条件・目的 間違えやすい考え方
操作部の高さ 床面から0.8 m以上1.5 m以下。火災時に容易に接近・操作できる位置とする。 「1.0 m以上ならよい」「1.8 m以下ならよい」と下限又は上限だけで覚える。
標識 操作部及びホース接続口の近くの見やすい場所に、何の部分かを示す。 操作箱の色だけで用途が分かるので標識は不要と考える。
保護 操作部には有機ガラス等による有効な防護措置を設ける。 防護があれば、操作性・標識・高さは確認不要と考える。
始動表示 手動操作部の機能点検では、始動表示灯が点灯又は点滅することを確認する。 表示灯は必ず赤色でなければならない、と色まで固定する。

高さの値の単位m(メートル)であり、面積・圧力・時間と混同しません。ここでは加減乗除の計算はありませんが、図面で寸法を読むときも、途中で丸めず、床面から操作部のどの位置までを測るかを現行基準・図面で確認します。

点検時は「作動確認」と「安全停止」を分ける

消防庁の現行点検要領では、手動式起動操作部について、周囲の状況、外形、表示、機能を確認します。機能確認では、一斉開放弁又は手動式開放弁等の二次側の止水弁を閉止し、直接操作及び任意の放射区域での遠隔操作により、バルブ操作が容易で加圧送水装置が確実に起動すること、始動表示灯が点灯又は点滅することを確認します。

自動式では、起動用水圧開閉装置なら設定圧力値・作動圧力値を設計図書と照合し、火災感知装置なら感知器の作動により加圧送水装置が確実に起動することを確認します。点検のために制御回路・弁・ポンプへ触れる前後には、意図しない放射や復旧漏れがないよう、設備ごとの手順・連絡・監視を徹底します。

典型ミスを先に防ぐ

  • 手動式起動装置はポンプだけを起動すると考える。 加圧送水装置、開放弁、混合装置を含む連動範囲を系統で確認します。
  • 自動式の感知器が作動すれば、必ず直ちに全区域へ放射されると考える。 区域選択、制御、弁、混合、放出口までの条件を分けます。
  • 操作部の高さを上限だけで覚える。 0.8 m以上1.5 m以下を一組で読みます。
  • 始動表示灯は赤色でなければならないと考える。 現行の確認は点灯又は点滅であり、色を本文だけで固定しません。
  • 標識と防護を同じものと考える。 標識は識別、保護は誤操作・損傷防止のためで、目的が異なります。
  • 起動試験の後、止水弁・選択区域・制御を元へ戻す確認を省く。 復旧確認は点検手順の一部です。

過去問テスト

次の問題は、学習用に整理しています。図版は学習の要点が分かる新規模式図で説明します。

問1 手動式起動装置の設置条件

泡消火設備の手動式起動装置について、消防法令上、誤っているものは次のうちどれか。

  1. 直接操作又は遠隔操作により、加圧送水装置、手動式開放弁及び泡消火薬剤混合装置を起動できるものでなければならない。
  2. 2以上の放射区域を有する場合、放射区域を選択できるものでなければならない。
  3. 操作部は、火災時に容易に接近でき、かつ、床面からの高さが1.8 m以下の箇所に設けなければならない。
  4. 操作部には、有機ガラス等による有効な防護措置が施されていなければならない。


問2 起動装置の標識と表示灯

泡消火設備の起動装置に関する記述として、誤っているものは次のうちどれか。

  1. 自動式起動装置は、感知器の作動、閉鎖型スプリンクラーヘッドの開放又は火災感知用ヘッドの作動若しくは開放と連動して、加圧送水装置、一斉開放弁及び泡消火薬剤混合装置を起動できるものとする。
  2. 手動式起動装置には、赤色の灯火を設ける。
  3. 手動式起動装置の操作部及びホース接続口には、近くの見やすい場所に、それぞれ操作部・接続口である旨を示す標識を設ける。
  4. 高発泡用泡放出口を用いる設備には、泡の放出を停止するための装置を設ける。


問3 操作部の高さの下限

泡消火設備の手動式起動装置について、誤っているものは次のうちどれか。

  1. 直接操作又は遠隔操作により、加圧送水装置、手動式開放弁及び泡消火薬剤混合装置を起動できるものである。
  2. 操作部は、火災時に容易に接近でき、かつ、床面からの高さが1.0 m以上1.5 m以下の箇所に設ける。
  3. 操作部には、有機ガラス等による有効な防護措置を施す。
  4. 2以上の放射区域を有する設備では、放射区域を選択できる。

実務での確認メモ

確認場面 最初に見ること 次に確認すること
手動操作部 周囲の障害、外形、標識、防護 直接・遠隔操作での起動、始動表示灯、復旧
自動式起動 感知器・ヘッド・圧力スイッチの状態 設計図書どおりの起動・作動圧力・放射区域
一斉開放弁等 弁の状態、漏れ、損傷、制御との連動 開放後の通水、停止、復旧状態
放射区域 選択対象、弁・配管・放出口の対応 誤放射防止、試験時の二次側止水・復旧

まとめ

  • 起動は、検知又は操作から、指令、送水、開放、混合、放射へ続く流れで確認する。
  • 手動式は人の直接・遠隔操作、自動式は感知器・ヘッド等の作動又は開放が入口となる。
  • 手動操作部は、床面から0.8 m以上1.5 m以下で、接近しやすく、標識・防護を備える。
  • 2以上の放射区域があるときは、対象区域を選択できることを確認する。
  • 始動表示灯は点灯又は点滅を確認し、本文だけで色を固定しない。
  • 起動確認後は、試験操作した弁・区域・制御を所定の状態へ確実に復旧する。

次は ACT-02「一斉開放弁と手動起動装置」 で、減圧開放・加圧開放の違いと、弁が通水へ切り替わる仕組みを学びます。


実際の操作は、必ず設備方式と点検要領を確認して行おう。

参考資料