構造・機能の機械と合わせて計9問出題され、点検・整備については3~4問の出題となっています。
【6類】構造・機能(整備)
◎ 消火器具の点検要領
消火器具の点検要領は「消防用設備等の点検要領の全部改正について(平成14年6月11日消防予第172号(最終改正平成30年6月1日))」別添で定める点検要領にて、その詳細が規定されています。
一般的留意事項
(1) 性能に支障がなくともごみ等の汚れは、はたき・雑きん等で掃除すること。
(2) 合成樹脂製の容器又は部品の清掃にはシンナー・ベンジン等の有機溶剤を使用しないこと。
(3) キャップ又はプラグ等を開けるときは容器内の残圧に注意し、残圧を排除する手段を講じた後に開けること。
(4) キャップの開閉には、所定のキャップスパナを用い、ハンマーで叩いたり、タガネをあてたりしないこと。
(5) ハロゲン化物及び粉末消火薬剤は、水分が禁物なので、消火器本体の容器内面及び部品の清掃や整備には十分注意すること。
(6) 二酸化炭素消火器・ハロゲン化物消火器及び加圧用ガス容器のガスの充てんは、専門業者に依頼すること。
(7) 点検のために、消火器を所定の設置位置から移動したままにする場合は、代替消火器を設置しておくこと。
キャップスパナとは‥
キャップスパナは、消火器のフタを開けるための工具です。
弊社のキャップスパナを数本確認してみましたら、いや下部のヒッカケがないものも結構ありましたね。🔧
消火器の大きさによって使うキャップスパナの大きさも異なりますが、最も使用していた(過去形)かつ操作性に富んでいたのは画像中の真ん中のタイプでした。 pic.twitter.com/ZGIYNw9THG— 青木防災㈱【公式】🧯 (@aokibosai) August 7, 2018
ちなみに、こんな過去問が出題されています。
消火器の点検整備に関する注意事項として、誤っているものは次のうちどれ?
(1)合成樹脂製の容器または部品の清掃にはシンナー・ベンジン等の有機溶剤を用いて確実に汚れを取り除くこと。
(2)キャップ又はプラグ等を開けるときは容器内の残圧に注意し、残圧を排除する手段を講じた後に開けること。
(3)二酸化炭素消火器・ハロゲン化物消火器及び加圧用ガス容器のガスの充てんは、専門業者に依頼すること。
(4)点検のために、消火器を所定の設置位置から移動したままにする場合は、代替消火器を設置しておくこと。
消火器の点検の種類
機器点検の項目は、以下の通り区分されています。
機器点検の項目と実施周期
- 設置状況‥6ヶ月毎に実施
- 表示および標識‥6ヶ月毎に実施
- 消火器の外形‥6ヶ月毎に実施
- 消火器の内部および機能
- 消火器の耐圧性能
ちなみに、こんな過去問が出題されています。
消火器の外形確認について、誤っているものは次のうちどれ?
(1)消火器の外観だけではなく、設置状況や設置環境についても確認を行う。
(2)消火器の設置場所近くの見やすい位置に、所定の標識が設けられているかどうかの確認を行う。
(3)使用済みか否かの確認を行う他、消火器の変形や腐食の有無を確認して使用可能かどうかを判断する。
(4)粉末消火器の外形確認は、抜取方式で必要数を6ヶ月毎に実施する。
◎ 外形確認後の処理方法
消火器の外形確認後、整備および廃棄などの措置を取ります。
ちなみに、こんな過去問が出題されています。
消火器の外形確認後の措置について、誤っているものは次のうちどれ?
(1)本体容器が著しく腐食しているもの及び錆がはく離するようなものは廃棄すること。
(2)キャップが緩んでいるものは締め直しを行うこと。
(3)ホースから消火薬剤の漏れまたは固化によるつまりのあるものは、消火薬剤量を点検すること。
(4)ノズルに消火薬剤の漏れまたは固化によるつまりのあるものは廃棄すること。
廃消火器の処理方法
廃消火器・廃消火薬剤およびガスあり廃加圧ガス容器の処理は、廃棄物処理の許可を受けた業者に依頼します。
廃消火器の処理方法について、正しいものは次のうちどれ?
(1)ABC粉末消火器のリン酸アンモニウムは肥料になるため、農家に無償で提供した。
(2)廃消火器は専門業者に分解を依頼し、市町村の指定する分別方法に基づいて処分した。
(3)粉末消火薬剤はブリキ缶に入れて密閉し、市町村の指定する埋立地で処分した。
(4)ガスあり廃加圧ガス容器の処理は、廃棄物処理の許可を受けた業者に依頼した。
残圧の排出方法
消火器の整備時には、事故防止の為に必ず内圧を排出してからキャップを開けます。
ちなみに、こんな過去問が出題されています。
蓄圧式粉末ABC消火器の分解時の手順について、誤っているものは次のうちどれ?
(1)排圧栓のないものは、キャップを開いて内圧を排出する。
(2)排圧栓のあるものは、これを徐々に開いて内圧を排出する。
(3)排圧しながら指示圧力計の指針が0に戻るかを確認する。
(4)排圧後にキャップを開けて、バルブ部分を本体容器から抜き取る。
指示圧力計の異常
蓄圧式消火器の指示圧力計の指針が緑色範囲以下のものは、使用済もしくは圧漏れの疑いがあります。
例えば、こちらの画像中の見本品の消火器をご覧ください。蓄圧ゲージがあるのをご覧いただけますでしょうか。コチラは現在主流の“蓄圧式消火器”といいまして、中に空気が封入してあります。緑色の位置に矢印があれば既定の空気圧がかかっており、消火薬剤を噴射することができます。そういうことです。 pic.twitter.com/EBqtxRZm1h
— 青木防災㈱【公式】🧯 (@aokibosai) October 25, 2018
また、指示圧力計の指針が緑色範囲以上のものは圧力を充填し過ぎているのか、もしくは指示圧力計が壊れている疑いがあります。
ちなみに、こんな過去問が出題されています。
蓄圧式粉末ABC消火器の指示圧力計の外形確認の結果の措置について、正しいものは次のうちどれ?
(1)指示圧力計の指針が緑色範囲より下がっていた為、圧縮ガスを充てんして適正な圧力とした。
(2)指示圧力計の指針が緑色範囲を超えていた為、内圧を抜いて適正圧力に調整した。
(3)指示圧力計の指針が緑色範囲を超えていた為、標準圧力計で内圧の確認後に必要な措置を講じた。
(4)指示圧力計の指針が緑色範囲を外れていたものは、指示圧力計の不良と判断して新しいものと交換した。
◎ 内部機能の確認と点検数
消火器の機能点検の対象区分および確認項目は以下の通り規定されています。
消火器の機能点検区分と確認項目
抜取り方式による確認試料の作成要領
ちなみに、こんな過去問が出題されています。
内部および機能の確認について、誤っている組み合わせは次のうちどれか?
消火器の種別 | 点検試料 | 放射能力点検試料 | |
(1) | 強化液消火器(蓄圧式) | 抜取り数 | 抜取り数の50%以上 |
(2) | 化学泡消火器 | 全数 | 全数の10%以上 |
(3) | 粉末消火器(蓄圧式) | 抜取り数 | 抜取り数の50%以上 |
(4) | 二酸化炭素消火器 | 全数 | 全数の10%以上 |
試料とは‥分析・試験・検査の対象として使う物質や生物、サンプルのこと。ここでは抜取った消火器を示す。
点検試料(ロット)の作り方
確認試料(確認ロット)の作り方は以下の通りです。
もっと詳しく
- 器種(消火器の種類別)、種別(大型、小型の別)、加圧方式(加圧方式、蓄圧式の別)の同一のものを1ロットとすること。
- ただし、製造年から8年を超える加圧式の粉末消火器及び製造年から10年を超える蓄圧式の消火器は別ロットとする。
また、試料の抜取り方については以下の通りです。
試料の抜取り方
- 製造年から3年を超え8年以下の加圧式の粉末消火器及び製造年から5年を超え10年以下の蓄圧式の消火器は5年でロット全数の確認が終了するよう概ね均等に製造年の古いものから抽出する。
- 製造年から8年を超える加圧式の粉末消火器及び製造年から10年を超える蓄圧式の消火器は2.5年でロット全数の確認が終了するよう概ね均等に製造年の古いものから抽出する。
ちなみに、こんな過去問が出題されています。
消火器の機能点検時における抜取り方式でロットを作成するものがあるが、その方法として誤っている組み合わせは次のうちどれか?
(1)消火器のメーカー別に分ける。
(2)加圧方式(蓄圧式・ガス加圧式)で分ける。
(3)機種別(消火器の種類別)に分ける。
(4)大型・小型といった種別ごとに分ける。
◎ 蓄圧式消火器の整備
蓄圧式消火器の整備手順
- 総重量を測定し、薬剤量が規定量よりあるかを確認する。
- 指示圧力計の指針が緑色範囲内であることを確認する。
- 内圧または残圧を排出する。(※この時、指示圧力計がスムーズに0になっていくか要確認。)
- 本体容器をクランプ台に固定する。
- キャップを緩め、クランプ台から取り外してバルブ部分を本体から抜き取る。
- 消火薬剤を別の容器に移す。
- 本体容器・ノズル・サイホン管・バルブ部分を清掃する。(※水系の消火器は通水して、粉末消火器は窒素ガスもしくは圧縮空気を用いて清掃。)
気密試験
気密試験とは‥
消火器の気密試験‥蓄圧ガスを充てんした消火器を水の中に入れて、ガスの漏れが無いかを確認する試験のこと。
ちなみに、こんな過去問が出題されています。
蓄圧式消火器の充てん等に関して、誤っているものはどれか?
(1)開閉バルブのバルブ軸パッキン等は全て新しいものと交換する。
(2)キャップ等の締め付け部分のパッキンは、新しいものを使用する。
(3)蓄圧式強化液消火器の蓄圧ガスには、二酸化炭素もしくは窒素ガスを用いる。
(4)薬剤および蓄圧ガスの充てん後には、漏れの確認として気密試験を行う。
蓄圧式強化液消火器の整備方法として、誤っているものはどれか?
(1)外形確認後、指示圧力計の指針が緑色範囲を下回っている場合には、薬剤を補充する。
(2)キャップを開ける前に、本体容器内の残圧を排出する。
(3)消火薬剤を充てんする場合は、メーカー指定の消火薬剤を充填する。
(4)消火器に蓄圧ガスを充てんした後は、水中で気密試験を行う。
耐圧性能試験(水圧点検)
製造から10年を経過した消火器には、耐圧性能試験(水圧点検)が義務付けられています。
耐圧性能試験とは‥
耐圧性能試験は、消火器本体容器に水圧をかけた際に変形・損傷または漏水などがないかを検査するものです。
ちなみに、こんな過去問が出題されています。
消火器の耐圧性能試験に関する次の記述について、正しいものはどれか?
(1)製造年から10年を経過した全ての消火器について耐圧性能試験を実施し、その後は3年以内毎に行う。
(2)製造年から5年を経過した全ての消火器について耐圧性能試験を実施し、その後は3年以内毎に行う。
(3)製造年から10年を経過した二酸化炭素消火器およびハロゲン化物消火器以外の消火器について耐圧性能試験を実施し、その後は3年以内毎に行う。
(4)製造年から5年を経過した二酸化炭素消火器およびハロゲン化物消火器以外の消火器について耐圧性能試験を実施し、その後は3年以内毎に行う。
◎ ガス加圧式粉末消火器の整備
ちなみに、こんな過去問が出題されています。
加圧用ガス加圧式粉末消火器の消火薬剤充てん手順について、誤っているものはどれか?
(1)ノズル栓を装着後、粉上り防止封板を取り付ける。
(2)加圧用ガス容器を取り付けた後、安全栓をセットする。
(3)本体容器内に薬剤を充てん後、窒素ガスを用いたエアーガンで本体容器ネジ部分を清掃する。
(4)ガス導入管等の内装部品を差し込んでいき、キャップが閉まるところまで手締めする。
◎ 化学泡消火器の整備
こんな過去問が出題されています。
化学泡消火器の消火薬剤充てん手順について、誤っているものはどれか?
(1)木製のてこ棒を用いて、キャップを外す。
(2)外筒に水とA剤を少しずついれて、撹拌しながら溶かす。
(3)本体容器内に薬剤を充てん後、窒素ガスを用いたエアーガンで本体容器ネジ部分を清掃する。
(4)ガス導入管等の内装部品を差し込んでいき、キャップが閉まるところまで手締めする。
◎ 廃消火器の処理方法
消火器に関する廃棄処理方法については、昭和54年1月24日 消防予第17号「消火器の廃棄処理の指導について」上で規定されています。
こんな過去問が出題されています。
消火薬剤の廃棄処理方法について、誤っているものはどれか?
(1)強化液消火薬剤は水素イオン濃度指数が高いので多量の水で稀釈し、水を流しながら放流処理をする。
(2)化学泡消火薬剤は泡消火薬剤を放射して中和処理をした後、水で稀釈しながら放流処理をする。
(3)粉末消火薬剤は飛散しないように袋に入れてからブリキ璧に入れ蓋をして処理をする。
(4)二酸化炭素消火薬剤は、保健衛生上危害を生じるおそれのない場所で少量ずつ放出し揮発させる。