雷で火災報知器が故障した事例
◎ 受信機の電源が入っていない‥⁉
写真は交流電源復旧作業後の、受信機の外観です。
「受信機」とは‥自動火災報知設備の大元の制御盤。天井の感知器や強く押すアレ(発信機)と配線で繋がっており、電気を送ったり火災発生した位置を表示したりする。
ヒューズ交換
「ヒューズ」とは‥規定値以上の電気が流れた場合に、回路を切り離して機器を保護するもの。
再起動時に異音が‥
ブゥーーーーーーーッ‥。
予備電源の電圧測定
二次電池(充電できる電池)は時間経過と共に自然放電する為、取り出せる電気量が減っていきます。
それを防ぐ為に、自動火災報知設備の受信機でも「トリクル充電」といって、絶えず微小電流で充電し続けて自然放電分を補う仕組みがあります。
◎ 落雷の影響を受けていた⁉
家財保険など加入されている建物オーナー様は、もしかしたら保障の対象かも知れませんので一度お調べ頂くことをオススメします。
◎ 雷で消防用設備が「誤作動」した事例
「音声・点滅機能付き誘導灯」とは‥自動火災報知設備と連動して『ピローン♪ ピローン♪ 非常口はコチラです。』という音声が鳴ると共に、LEDフラッシュが点滅することで非常口の位置がより分かりやすくなった誘導灯の機器。
【補足】「A接点」と「B接点」って‥?
ここで一つ「接点」について補足です。接点について簡潔に述べると「+極と-極が“くっつく”もしくは“離れる”といった接触状態によってON/OFFを切り替える役割を果たすもの」です。
電圧による接点の分類2つ
- 「有電圧接点」‥電線に電圧が印加されている接点
- 「無電圧接点」‥電線に電圧が印加されていない接点
さらに、この有電圧接点には「A接点」と「B接点」の二種類があり、「A接点」は常時+極と-極が離れており、ONになるとくっつきます。
一方、「B接点」は常時くっついており、ONになると“離れる”機構になっています。
A接点とB接点
よって、B接点である音声誘導・点滅機能付き誘導灯の場合は、落雷によって回路が断線する等してしまうと動作するのです。
「雷サージ」による被害
コンセントのタップ等に「耐雷サージ作動中」等と表示されている製品を見かけられたことはないでしょうか?
「雷サージ」とは‥雷によって発生し、電源線・通信線・電子機器に加わる短時間の異常な過電圧や過電流のこと。
落雷によって機器故障の被害が起こります、ご注意を!
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◎ まとめ
- 消防点検時に自動火災報知設備の大元の制御盤である受信機の電源が落ちている現場があり、その原因を調べた。
- 建物の近くで落雷があり、その際に他の電化製品も故障しており、自動火災報知設備もその際に破損した可能性が高かった。
- 雷サージによる機器の破損はヒューズでは防げない為、別で落雷による被害の対策をする必要があった。