以前、弊社Twitterにて【ブログ更新】ツイートをしてから、わずか30分後に東大阪市内某消防署予防担当者さまから消去依頼の電話がありました。
ですから消去して頂けますか?‥とにかく消去して頂けますか?
その内部資料に基づいて市民に指導しているにもかかわらず、その根拠が一方的に伏せられていて見られない状況は不公平じゃないですか?
ガチャ!
そんなワケで、公文書開示請求の手続きをするに至りました。
そして今回、無事に公文書開示請求ができて手元に「内部資料」を入手しましたので、その方法と内容を公開していきます。
公文書開示請求で消防署の内部資料を入手する方法【東大阪市の場合】
◎ そもそも “公文書” って⁉
公文書の定義は以下の通りです。
「公文書」とは‥日本の公務所(役所)または公務員が、その名義(肩書)をもって職務権限に基づき作成する文書。文書の名義が公務所または公務員である点でこれら以外を名義とする私文書とは区別される。また、公務所または公務員の名義で作成された文書であっても、その職務権限内において作成されることを要するから、たとえば公務員の肩書による挨拶(あいさつ)状や辞職願などの私的な文書は公文書に含まれない。
国及び独立行政法人等の諸活動や歴史的事実の記録である公文書等が、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものであることにかんがみ、国民主権の理念にのっとり、公文書等の管理に関する基本的事項を定めること等により、行政文書等の適正な管理、歴史公文書等の適切な保存及び利用等を図り、もって行政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに、国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的とする。
そこで今回、公文書開示請求の制度を利用して、東大阪某消防署にて「内部資料」だと写しの受け渡しや電話口での情報公開を拒否されたパッケージ型消火設備に関する情報の入手を試みました。
◎ 公文書開示請求の手順
実際に管理人が公文書開示請求をし、消防署にて「内部資料」扱いであった書類を入手した方法を記していきます。
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1公文書開示申出書をダウンロード
各市町村のホームページに用意されている(はず)である情報公開制度のページにて公文書開示申出書をダウンロードして、必要事項を記入します。
以下の通り、公文書開示請求できる人の条件が規定されています。
開示請求できる方
- 市内に住所のある方
- 市内に通勤している方
- 市内に通学している方
- 市内に事務所や事業所を有している方(法人その他団体も含みます。)
- 本市が行う事務事業に利害関係を有する方
弊社は利害関係ある立場(Ex. 屋内消火栓を設置するか、パッケージ型消火設備を設置できるかで売上高や利益率が異なる)なので、ここでは一旦5⃣に該当すると判断して「公文書開示請求書」を作成しました。
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2東大阪市役所の市政情報コーナーへ提出
東大阪市役所の1Fにある市政情報コーナーへ、作成した「公文書開示請求書」を持ち込んで提出しました。
ここで「公文書開示請求書」の “請求” の部分に二重線が引かれて “申出” に変更されたので、最初から「公文書開示申出書」で良かったかもしれません。
大変親切な窓口対応を受け、そして無事受理して頂けました。
駐車場ありました(無料)
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3公文書の「正式名称」を確認する電話の対応
公文書開示申出書を提出した数日後、東大阪消防局広報課(072-966-9662)より公文書の正式名称を確認する電話がありました。
申出書には所轄消防署で確認できた範囲での資料名称を記入していましたが、それらが正式名称に変更されて手続きが進められました。
「東大阪市消防局 屋内消火栓設備に係る指導方針」⇒「平成3年 消防局例規通達第13号 パッケージ型消火設備の取り扱いについて」
「東大阪市消防局 R2部長通知」⇒「令和2年3月23日 警防部長通知 重大違反防火対象物にかかる消防用設備等の取扱いについて(通知)」
この「正式名称を確認する」手順は公文書開示請求において一つのネックになります。
なぜなら、こちらが欲しい情報が記載されている「内部資料」の “正式名称” を知ることができていなかった場合、ここでズレる(ズラされる)可能性があるからです。
公文書開示請求を検討する際は、その資料の「正式名称」を出来る限り正確に調べてから行いましょう!
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4審査結果の通知と現金書留による振り込み
公文書開示請求後、2週間程度で以下の「公文書開示申出回答通知書」が届きます。
今回「写しの交付」による開示を申し出ていた為、その費用¥134円および現金書留の費用¥550円の合計¥684円かかりました。
【✍追記】
毎度おおきに懇意にして頂いている某公務員の先生より、以下の大変貴重な補足説明頂けましたので引用および追記します。
回答書類の「存在を明らかにしないで申出を拒否…」は、存在の有無を回答するだけで問題があるもの(例えば、DV避難者関係の書類とか)に使われると聞いています。 消防でこれに該当するものはあまりないのではないでしょうか。
つまり消防関係の公文書開示請求において、その開示について「その存在を明らかにしないで申出を拒否することとしました」となる場合は少ないようです。
『わりと行政手続法は、市民側からしたら便利なことが書いてあるので、ご覧になるとよろしいかもしれません。』とのことです皆さん!
参考行政手続法、行政手続法の概要、行政機関の保有する情報の公開に関する法律に基づく処分に係る審査基準
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5郵送されてきた公文書の確認
表紙1枚および開示請求していた公文書4枚が以下の通り郵送されてきましたので、その中身を確認していきます。
参考平成3年 消防局例規通達第13号 パッケージ型消火設備の取り扱いについて、令和2年3月23日 警防部長通知 重大違反防火対象物にかかる消防用設備等の取扱いについて(通知)
所轄消防署にて「内部資料」扱いされていても、公文書であれば開示申出により写しを入手できます!
◎ 公文書開示請求・申出は活用すべき!
今回の公文書開示申出を含む一切の手続きは、もちろん弊社長の許可を得た上で取り組んだものですが、弊社長も所轄消防署の「内部資料」が非公開であったが為に困った経験があったことから賛同していただけた背景があります。
昔な、(大阪府内)◯◯消防署で『ウチは連結送水管の放水口には全部(11階以上でなくても)ホースおいてもらわなあきませんねん。』って指導されてな、『そんな決まりどこに載ってますの?』って聞いたら『ここですねん』って資料の一文を見せられてな。
『こんなん、どこでウチら知ることできますのん?』って聞いたら、『いや、これは内部資料なので窓口でしか公開してませんねん。』って。
そんで、この話お客さんに言うたら業者全員で消防署に直談判することになってん。
特に大工は実質利害関係ないから物凄いギャーギャー言うてな、ほんなら消防署の予防担当者が『ほんなら、もうエエですわ‥』って。いやエエんかい!って。
だから問題あるよな‥とは思てた。
消防設備士は公文書開示請求・申出を活用しよう!
【案】火災調査の結果を請求できないか
兼ねてより、お客様に「(料金が) 高い!」と言われ続けている消防用設備等に関わるサービスですが、その理由の一つとして具体的なメリットや効果を明示できていないことが挙げられます。
火災発生直後こそ大きなニュースになるものの、その後の火災調査結果については触れずに忘れ去ってしまうのが人間の性です。
要は、お客様に『こんな場面で消防用設備等が役に立って命が救われ、おトクでしたよ!』とか『消防用設備等が最適化されていれば助かった命ですが‥残念ながら。』と具体的に火災発生時の危機について調査結果で裏付けられた情報を伝えることができれば「むしろ安い!」等とニーズを感じて頂ける機会を作れると思うのです。
消防士(公務員)が作成する火災調査の結果報告書は公文書扱いですから、その正式名称が分かれば請求できるはずです。
参考消防設備市場把握のための7つのO(オー)とは?【マーケティング】
続きを見る
消防設備士がマーケティングまで志向するなら、火災調査の結果に関する情報も入手・公開すべし!
【P.S.】前ブログを加筆・修正して再公開します
公開後わずか30分後に東大阪市内某消防署予防担当者さまから『内部資料の情報が含まれている』ことが理由で消去依頼の電話があった為、パスワード保護して放置していた前ブログ「【屋内消火栓】パッケージ型消火設備の特例設置基準【東大阪市】」について、今回の公文書開示請求で入手した情報に基づいて作成した記事だとリライトして再公開します。
参考【屋内消火栓】パッケージ型消火設備の特例設置基準【東大阪市】
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以前までは所轄消防署まで(多くの場合、車で)行かなければ分かり得なかった情報ですから、この記事によって「働き方改革」や「生産性の向上」および「SDGs」といった日本全体の課題が解決される方向にあります。
ちなみにパスワードは「6666」でした。
◎ まとめ
- 所轄消防署で ”内部資料“ 扱いされていても「公文書」の類いであれば開示請求することで入手でき、実際に管理人が公文書開示請求で入手した方法を記した。
- 「写しの交付」による開示を申し出ていた為、その費用¥134円および現金書留の費用¥550円の合計¥684円かかった。
- 内部資料の情報を閲覧できないと、例えばパッケージ型消火設備の設置台数の積算が違ってくるので公開されていないと不便であった。
青木 誠 社長
青木防災㈱代表取締役