覚えたら、解こう。毒物劇物取扱者「過去問テスト」 詳細はこちら

レッスン2-3:原子の構造

原子の構造
毒劇先生

青木さん、化学の頂上決戦──原子の構造(Aランク)です!

強欲な青木

Aランクってことは超重要すね…ビビる…

毒劇先生

大丈夫!覚えるのは3つの粒子と2つの数字だけ。粒子:陽子(+)・中性子(±0)・電子(−)。数字:原子番号(=陽子数)・質量数(=陽子+中性子)。これで原子の構造問題は9割解けます。

強欲な青木

原子って、真ん中に何があるんすか?

毒劇先生

原子核!これは陽子と中性子が強く結びついた塊。その周りを電子が高速で飛び回っています。太陽系のイメージで、太陽=原子核、惑星=電子。ただし原子核はとても小さく、原子の体積のほとんどはスカスカの電子の雲です。

強欲な青木

『原子番号』ってよく聞くけど何すか?

毒劇先生

原子番号=陽子の数!これが元素を決める番号。陽子数6なら炭素(原子番号6)、陽子数26なら鉄(原子番号26)。中性の原子では陽子数=電子数なので、原子番号=陽子数=電子数(中性時)の三位一体で覚えましょう。

炭素原子のボーアモデル(陽子6・中性子6・電子6)
図解:原子の構造と3粒子(陽子・中性子・電子)
炭素の同位体(¹²C・¹³C・¹⁴C)の違い
図解:同位体は中性子数のみが違う
目次

💪実力試し(3問)

まずは腕試し。本番レベルの問題3問を解いてから、解説で確認しましょう。

問題1

原子を構成する粒子のうち、『正の電荷』を持つものはどれか。

  1. 電子
  2. 中性子
  3. 陽子
  4. 原子核全体
解答と解説を見る

正解:3

解説:選択肢3が正しい。陽子(+)が正の電荷、電子(−)が負の電荷、中性子(±0)は電荷なし。原子核は陽子+中性子の集合体だが、『正の電荷を持つ粒子』として問われているため、粒子単位で答えるなら陽子。

間違えやすいポイント:原子核全体は正電荷を帯びているが、『粒子』として正電荷を持つのは陽子のみ。

問題2

原子番号6、質量数12の炭素原子(¹²C)について、正しい記述はどれか。

  1. 陽子6個、中性子12個、電子6個
  2. 陽子6個、中性子6個、電子6個
  3. 陽子12個、中性子6個、電子12個
  4. 陽子6個、中性子6個、電子12個
解答と解説を見る

正解:2

解説:選択肢2が正しい。原子番号6=陽子6個=電子6個(中性原子)。質量数12=陽子数6+中性子数6なので、中性子は12−6=6個。

間違えやすいポイント:質量数=陽子+中性子であり、質量数そのものが中性子数ではない点に注意。

問題3

『同位体』の説明として、正しいものはどれか。

  1. 同じ元素の異なる単体のこと(例:酸素とオゾン)
  2. 同じ元素だが、中性子の数が異なる原子のこと(例:¹²Cと¹⁴C)
  3. 異なる元素だが、質量数が同じ原子のこと
  4. 化学的性質が全く異なる原子同士のこと
解答と解説を見る

正解:2

解説:選択肢2が正しい。同位体は原子番号(陽子数)は同じで中性子数が異なる原子。化学的性質はほぼ同じで、質量のみ異なる。¹²C(中性子6個)と¹⁴C(中性子8個)は同位体の関係。1は『同素体』、3は無関係、4は誤り(化学的性質はほぼ同じ)。

間違えやすいポイント:同素体(同じ元素の異なる単体)と同位体(同じ元素の異なる原子)を混同しない。

🔰基礎教養学習

本単元は①3つの基本粒子 ②原子番号と質量数 ③原子の表記法 ④同位体の4ブロック構造。シンプルだが応用範囲が広いです。

⓪ 原子を構成する3粒子

粒子 電荷 位置 質量(¹H比)
陽子 p +1 原子核 1
中性子 n 0 原子核 1
電子 e⁻ −1 原子核の周囲 1/1840(ほぼ無視)
強欲な青木

電子の質量は無視できるんっすか?

毒劇先生

試験レベルでは電子の質量は無視!なので原子の質量≒陽子+中性子の質量で近似します。これが『質量数=陽子+中性子』の根拠。電子は小さすぎて含めない。

① 原子番号と質量数──最重要公式

👉2つの重要な関係式

関係式①:原子番号 = 陽子数 = 電子数(中性原子)
関係式②:質量数 = 陽子数 + 中性子数
中性子数 = 質量数 − 原子番号

👉具体例で確認

元素 原子番号Z 質量数A 陽子数 中性子数 電子数
水素 ¹H 1 1 1 0 1
ヘリウム ⁴He 2 4 2 2 2
炭素 ¹²C 6 12 6 12−6=6 6
窒素 ¹⁴N 7 14 7 14−7=7 7
酸素 ¹⁶O 8 16 8 16−8=8 8
ナトリウム ²³Na 11 23 11 23−11=12 11
塩素 ³⁵Cl 17 35 17 35−17=18 17
毒劇先生

中性子数=質量数−原子番号は引き算するだけ!これが解ければ原子の構造問題の8割は勝ったも同然です。

② 原子の表記法(元素記号の左右)

👉表記ルール

原子は次のように表記します:ZX──ここで A = 質量数(左上)、Z = 原子番号(左下)、X = 元素記号。

👉具体例

  • ¹²C(炭素12):質量数12、原子番号6(省略可)
  • ²³Na(ナトリウム23):質量数23、原子番号11(省略可)
  • ²³⁸U(ウラン238):質量数238、原子番号92
  • ¹⁴C(炭素14・放射性):考古学の年代測定に使用

③ 同位体(アイソトープ)

👉定義

原子番号(陽子数)が同じで、質量数(中性子数)が異なる原子のこと。同じ元素に分類されるが質量だけが違う。化学的性質はほぼ同じ(反応の仕方が同じ)、物理的性質(質量関連)のみ異なる。

👉主要な同位体

元素 同位体 中性子数 存在比/特徴
水素 ¹H(軽水素) 0 99.99%(通常の水素)
²H(重水素・D) 1 0.01%(重水D₂O)
³H(三重水素・T) 2 放射性
炭素 ¹²C 6 98.9%(通常)
¹³C 7 1.1%
¹⁴C 8 放射性・年代測定
ウラン ²³⁵U 143 0.7%(核燃料)
²³⁸U 146 99.3%(通常)
強欲な青木

放射性同位体って何すか?

毒劇先生

不安定な原子核が放射線を出して別の原子に変わる同位体。¹⁴C・³H・²³⁵U・¹³¹I(ヨウ素131)等が代表例。医療の画像診断(PET検査)、年代測定、原子力発電などに利用される一方、放射線被ばくのリスクもあるため取扱いは厳格に管理されます。

④ 電子の出入りで生まれる『イオン』

中性の原子(陽子数=電子数)が電子を放出または受け取ると、電気を帯びた粒子=イオンになります。

操作 結果
電子を放出 陽イオン(カチオン) Na → Na⁺ + e⁻(電子1個放出)
電子を受取 陰イオン(アニオン) Cl + e⁻ → Cl⁻(電子1個受取)

👉重要ルール

  • 陽子数は絶対に変化しない(変わったら別の元素になる)
  • イオン化で変化するのは電子数のみ
  • Na⁺(ナトリウムイオン):陽子11、電子10
  • Cl⁻(塩化物イオン):陽子17、電子18
  • Ca²⁺(カルシウムイオン):陽子20、電子18(電子を2個放出)

✅理解度チェックテスト(3問)

基礎学習の内容が身についているか、○✕・穴埋め・4択の3形式で確認します。

チェック1(○✕)

次の記述は正しいか誤りか、○✕で答えてください。

「原子番号は、その原子が持つ陽子の数と等しく、中性原子では電子数とも等しい。」

答えを見る

正解:○(正しい)

解説:正しい。原子番号=陽子数。中性原子は全体で電気的に中性なので、陽子数(正電荷)=電子数(負電荷)となる。

チェック2(穴埋め)

次の文の【 】に入る最も適切な語句を選んでください。

質量数23、原子番号11のナトリウム(²³Na)に含まれる中性子の数は【   】個である。

  1. 11個
  2. 12個
  3. 23個
  4. 34個
答えを見る

正解:2

解説:中性子数=質量数−原子番号=23−11=12個。

チェック3(4択)

同位体(アイソトープ)の関係にあるものはどれか。

  1. 酸素(O₂)とオゾン(O₃)
  2. ¹²C と ¹⁴C
  3. ダイヤモンドと黒鉛
  4. 水(H₂O)と重水(D₂O)
答えを見る

正解:2

ポイント:¹²C(中性子6個)と¹⁴C(中性子8個)は原子番号同じ(6)で質量数が異なる同位体。1・3は同素体、4は化合物同士。ただしH(軽水素)とD(重水素)が同位体の関係にあるのは事実。

🪏深掘り解説

テーマ1:原子番号=陽子数が元素を決める

『元素』を決定するのは陽子の数のみ。中性子や電子の数がどれだけ変わっても、陽子数が同じなら同じ元素。陽子数が1つでも変われば別の元素になる。例:¹H(陽子1、中性子0)も³H(陽子1、中性子2)も、陽子数1なのでどちらも水素。しかし陽子数2なら、原子番号2のヘリウムに変わる(これが放射線によって起きるのが核反応)。

テーマ2:同素体・同位体・イオンの3兄弟を整理

項目 同素体 同位体 イオン
何が違う? 原子の結合の仕方(単体の構造) 中性子の数 電子の数
陽子数 同じ 同じ 同じ
電子数 同じ 同じ(通常) 異なる
中性子数 同じ 異なる 同じ
レベル 物質レベル 原子レベル 原子レベル
O₂ と O₃ ¹²C と ¹⁴C Na と Na⁺

テーマ3:原子の大きさと質量のスケール感

原子の直径は約10⁻¹⁰ m(1Å=オングストローム)、原子核の直径は約10⁻¹⁵ m(1fm=フェムトメートル)。つまり原子核は原子全体の10万分の1しかない極小の塊。もし原子を東京ドームの大きさに例えると、原子核はビー玉1個、電子は雲のように広がっている。原子の質量のほぼ全てが原子核に集中しているという驚きの事実。

🥊過去問演習(全10問)

本番形式の10問に挑戦!基礎・深掘りで学んだ内容を総動員して解きましょう。

Q1. 原子の構成要素として正しい組み合わせはどれか。

Q2. 原子核を構成する粒子として正しいものはどれか。

Q3. 原子番号の定義として正しいものはどれか。

Q4. 質量数の定義として正しいものはどれか。

Q5. 同位体の定義として正しいものはどれか。

Q6. 電気的に中性の原子における電子の数として正しいものはどれか。

Q7. 陽子と電子の電荷の関係として正しいものはどれか。

Q8. 中性子の電荷として正しいものはどれか。

Q9. 原子の大きさに比して原子核の大きさは概ねどの程度か。

Q10. 同位体の化学的性質に関する記述として正しいものはどれか。

あなたのスコアは

📝まとめと次の学習へのつなぎ

今回の学習ポイント

  • 原子の3粒子:陽子(+)・中性子(±0)・電子(−)
  • 原子核=陽子+中性子、その周りを電子が飛び回る
  • 原子番号 = 陽子数 = 電子数(中性原子)
  • 質量数 = 陽子数 + 中性子数
  • 中性子数 = 質量数 − 原子番号(引き算するだけ)
  • 同位体=原子番号同じ・質量数(中性子数)異なる原子
  • イオン=原子が電子を放出・受取することで生じる電気を帯びた粒子
  • 元素を決めるのは陽子数のみ(陽子数が同じなら同じ元素)
毒劇先生

原子の構造は化学の根本!陽子・電子・中性子の3役割を押さえれば、これから学ぶすべての化学分野の理解が加速します。

強欲な青木

3粒子と2つの公式で原子が理解できました!計算も引き算だけで楽勝っす!

次回予告:レッスン2-4「電子配置と周期表」

次回は電子配置と周期表(Aランク)。電子殻(K殻・L殻・M殻)・電子の入り方(2n²個の法則)・最外殻電子と価電子・周期表の縦列(族)と横列(周期)・希ガスの安定性・アルカリ金属・ハロゲンの性質を学びます。

毒劇先生

2-4は原子構造の応用編!電子の入り方を学ぶと、周期表の形と元素の性質が一気に繋がります。

📍 他のレッスンへ

章全体の学習進度はサイドバーからも確認できます。前後のレッスンで関連事項を横断的に復習しましょう。

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この記事を書いた人

高専から大学院まで9年間にわたり化学を専攻。
消防整備士として10年の実務経験を積み、独立・起業。

消防設備士全類、危険物取扱者全類をはじめ、第二種電気工事士、AI・DD総合種、第三種電気主任技術者など、多数の国家資格を保有。

神戸高等技術専門学院にて危険物取扱者 乙種第4類およびDO第3種の講師を担当。
また、月刊誌「電気と工事(オーム社)」にてコラムを連載中。

実務・教育・執筆の三軸から、専門性と実践力を兼ね備えた情報発信を行っている。

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