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レッスン2-12:中和反応と塩

レッスン2-12:中和反応と塩
毒劇先生

青木さん、中和反応!前回学んだ酸塩基の応用です。

強欲な青木

酸と塩基を混ぜると何が起きるんすか?

毒劇先生

H⁺とOH⁻が結合して水H₂Oになり、酸性も塩基性も消える!HCl + NaOH → NaCl + H₂O。水と塩ができるのが中和反応の本質です。

強欲な青木

塩ってNaCl(食塩)のことだけ?

毒劇先生

いえ、酸の陰イオンと塩基の陽イオンが結合した化合物全般を塩と呼びます!NaCl・KNO₃・Na₂SO₄・CaCl₂などすべて塩。食塩は『塩の一例』にすぎません。

強欲な青木

中和滴定ってどう計算するんすか?

毒劇先生

公式は1つ:c₁v₁n₁ = c₂v₂n₂。c=濃度、v=体積、n=酸/塩基の価数。酸のH⁺と塩基のOH⁻が1:1で反応するので、両辺のH⁺・OH⁻の物質量を一致させる式になる。

強欲な青木

できた塩が酸性だったりするんすか?

毒劇先生

そう!強酸+弱塩基の塩は酸性(NH₄Cl水溶液はpH約5)、弱酸+強塩基の塩は塩基性(CH₃COONa水溶液はpH約9)、強酸+強塩基の塩は中性(NaCl水溶液はpH 7)。これが塩の加水分解です。

中和反応と滴定の公式
図解:中和反応と滴定の公式
目次

💪実力試し(3問)

本番レベルの問題3問を解いてから、解説で確認しましょう。

問題1

0.1 mol/L の塩酸 HCl 10 mL を完全に中和するのに必要な 0.1 mol/L の水酸化ナトリウム NaOH 水溶液の体積はいくらか。

  1. 5 mL
  2. 10 mL
  3. 20 mL
  4. 100 mL
解答と解説を見る

正解:2

解説:c₁v₁n₁ = c₂v₂n₂ より、0.1×10×1 = 0.1×V×1。V = 10 mL。HCl と NaOH はどちらも価数1なので体積比 1:1。

間違えやすいポイント:HCl(1価の酸)と NaOH(1価の塩基)は同濃度なら同体積で中和する。

問題2

0.1 mol/L の硫酸 H₂SO₄ 20 mL を完全に中和するのに必要な 0.1 mol/L の水酸化ナトリウム水溶液の体積はいくらか。

  1. 10 mL
  2. 20 mL
  3. 40 mL
  4. 80 mL
解答と解説を見る

正解:3

解説:H₂SO₄ は2価の酸、NaOH は1価の塩基。c₁v₁n₁ = c₂v₂n₂ より、0.1×20×2 = 0.1×V×1。V = 40 mL。硫酸は2価なので水酸化ナトリウムが2倍必要。

間違えやすいポイント:酸・塩基の価数を必ず計算に含める。H₂SO₄ は2価(H⁺を2個出す)なので中和に2倍の塩基が必要。

問題3

次の塩の水溶液が塩基性を示すものはどれか。

  1. NaCl
  2. CH₃COONa(酢酸ナトリウム)
  3. NH₄Cl(塩化アンモニウム)
  4. KNO₃
解答と解説を見る

正解:2

解説:CH₃COONa は『弱酸+強塩基』の塩。水溶液中で CH₃COO⁻ が加水分解して OH⁻ を生じるため塩基性(pH 約9)。NaCl・KNO₃ は強酸強塩基の塩で中性、NH₄Cl は強酸弱塩基の塩で酸性。

間違えやすいポイント:『強い方の性質が残る』のルール:強酸+弱塩基→酸性、弱酸+強塩基→塩基性、強酸+強塩基→中性。

🔰基礎教養学習

本単元は①中和反応の仕組み ②中和滴定の計算 ③塩の分類 ④塩の液性の4ブロック構造。

① 中和反応の基本

中和反応の本質H⁺ + OH⁻ → H₂O
酸の H⁺ と塩基の OH⁻ が結合して水になり、残った陰イオン・陽イオンが結合して塩を形成する。

👉代表的な中和反応

反応 化学反応式
塩酸+水酸化Na HCl + NaOH → NaCl + H₂O
硫酸+水酸化Na H₂SO₄ + 2NaOH → Na₂SO₄ + 2H₂O
硝酸+水酸化K HNO₃ + KOH → KNO₃ + H₂O
塩酸+アンモニア HCl + NH₃ → NH₄Cl
酢酸+水酸化Na CH₃COOH + NaOH → CH₃COONa + H₂O
硫酸+水酸化Ca H₂SO₄ + Ca(OH)₂ → CaSO₄ + 2H₂O

② 中和滴定の公式

中和の量的関係
c₁ × v₁ × n₁ = c₂ × v₂ × n₂
c:モル濃度 (mol/L)、v:体積 (L or mL)、n:価数(H⁺ or OH⁻の数)
※両辺とも H⁺ または OH⁻ の物質量(mol)を表す

👉計算例

例:0.1 mol/L の H₂SO₄ 10 mL を中和するのに必要な 0.1 mol/L NaOH の体積は?
・H₂SO₄:c₁=0.1, v₁=10, n₁=2(2価酸)
・NaOH:c₂=0.1, v₂=?, n₂=1(1価塩基)
0.1×10×2 = 0.1×v₂×1 → v₂ = 20 mL

👉価数のルール

酸・塩基 価数 理由
HCl・HNO₃・CH₃COOH 1 H⁺を1個放出
H₂SO₄・H₂CO₃・(COOH)₂ 2 H⁺を2個放出
H₃PO₄ 3 H⁺を3個放出
NaOH・KOH・NH₃ 1 OH⁻を1個放出 or H⁺を1個受取
Ca(OH)₂・Ba(OH)₂・Mg(OH)₂ 2 OH⁻を2個放出
Al(OH)₃ 3 OH⁻を3個放出

③ 塩の3分類(組成による分類)

分類 定義
正塩 H⁺もOH⁻も残っていない塩 NaCl・KNO₃・Na₂SO₄
酸性塩 Hが残っている塩(※液性は別) NaHCO₃・NaHSO₄・KHSO₄
塩基性塩 OHが残っている塩 MgCl(OH)・CuCl(OH)
毒劇先生

注意:酸性塩=水溶液が酸性とは限らない!NaHCO₃(重曹)は名前は『酸性塩』ですが、水溶液は弱塩基性。『酸性塩』は組成の分類、『酸性』は液性の話で、別概念です。

④ 塩の液性(水溶液のpH)

塩基 塩の例 水溶液の液性
強酸 強塩基 NaCl・KNO₃ 中性
強酸 弱塩基 NH₄Cl・(NH₄)₂SO₄ 酸性
弱酸 強塩基 CH₃COONa・Na₂CO₃ 塩基性
弱酸 弱塩基 CH₃COONH₄ ほぼ中性(弱酸性〜弱塩基性)
強欲な青木

ルールを覚えるコツは?

毒劇先生

強い方が勝つ!強酸+弱塩基の塩=酸性、弱酸+強塩基の塩=塩基性。理由:弱い方のイオンが加水分解(水と反応)してH⁺やOH⁻を生じるため。

✅理解度チェックテスト(3問)

チェック1(○✕)

次の記述は正しいか誤りか、○✕で答えてください。

「H⁺ + OH⁻ → H₂O の反応を中和反応と呼び、酸と塩基が反応して水と塩を生じる反応の本質である。」

答えを見る

正解:○(正しい)

解説:正しい。H⁺とOH⁻が結合して水になることで、酸性も塩基性も消失する。

チェック2(穴埋め)

次の文の【 】に入る最も適切な語句を選んでください。

中和滴定の公式 c₁v₁n₁ = c₂v₂n₂ の『n』が表すものは【   】である。

  1. 分子量
  2. アボガドロ数
  3. 酸・塩基の価数
  4. 温度
答えを見る

正解:3

解説:n は酸・塩基の『価数』(H⁺やOH⁻の数)。H₂SO₄なら n=2、NaOHなら n=1。

チェック3(4択)

次のうち水溶液が酸性を示す塩はどれか。

  1. NaCl
  2. CH₃COONa
  3. NH₄Cl
  4. K₂SO₄
答えを見る

正解:3

ポイント:NH₄Cl は強酸HClと弱塩基NH₃の塩なので水溶液は酸性。CH₃COONa は弱酸+強塩基で塩基性、NaCl・K₂SO₄ は強酸+強塩基で中性。

🪏深掘り解説

テーマ1:中和滴定の指示薬の選び方

中和点の液性と指示薬の変色域を一致させる:強酸+強塩基(中和点pH 7)→ BTB・メチルレッドなど中性付近。弱酸+強塩基(中和点pH>7、塩基性)→ フェノールフタレイン(8.3-10)。強酸+弱塩基(中和点pH<7、酸性)→ メチルオレンジ(3.1-4.4)。変色域と中和点がずれる指示薬を使うと、滴定誤差が大きくなります。

テーマ2:毒物劇物の中和処理

対象 中和剤 反応
酸性廃液(塩酸等) 水酸化カルシウム・消石灰 HCl + Ca(OH)₂
塩基性廃液(水酸化Na等) 希塩酸・希硫酸 NaOH + HCl
シアン化物(毒物) 次亜塩素酸+アルカリ まずアルカリ化で揮発防止
フッ化水素酸 消石灰 CaF₂沈殿として除去

テーマ3:逆滴定(ぎゃくてきてい)

アンモニアのように気体・揮発性の酸塩基は直接滴定が難しいので逆滴定を使う:①既知量の強酸(過剰量)にアンモニアを吸収→②反応せず残った強酸を強塩基で滴定→③差し引きでアンモニア量を計算。応用計算として試験に出題される場合あり。

🥊過去問演習(全10問)

Q1. 中和反応の一般式として正しいものはどれか。

Q2. 塩酸と水酸化ナトリウムの中和反応式として正しいものはどれか。

Q3. 塩の分類において「正塩」の例として正しいものはどれか。

Q4. 「酸性塩」の例として正しいものはどれか。

Q5. 中和点を示す指示薬として適切でないものはどれか。

Q6. 強酸と強塩基の中和点の pH として正しいものはどれか。

Q7. 強酸と弱塩基の中和点の pH として正しいものはどれか。

Q8. 弱酸と強塩基の中和点の pH として正しいものはどれか。

Q9. 中和滴定で中和点を正確に求めるために必要なものはどれか。

Q10. 中和熱の定義として正しいものはどれか。

あなたのスコアは

📝まとめと次の学習へのつなぎ

今回の学習ポイント

  • 中和反応の本質:H⁺ + OH⁻ → H₂O(水と塩を生成)
  • 中和滴定公式:c₁v₁n₁ = c₂v₂n₂(濃度×体積×価数)
  • 価数:H₂SO₄=2、H₃PO₄=3、Ca(OH)₂=2、Al(OH)₃=3
  • 塩の組成分類:正塩・酸性塩・塩基性塩(組成の違い、液性とは別)
  • 塩の液性:強い方の性質が勝つ
  • 指示薬の選択は中和点pHに合わせる
毒劇先生

中和は公式1つで解ける!価数を忘れなければ確実に得点できます。

強欲な青木

塩の液性も『強い方が勝つ』ルールでスッキリ整理できました!

次回予告:レッスン2-13「酸化と還元」

次回は酸化と還元。3つの定義(酸素の授受・水素の授受・電子の授受)、酸化数の求め方、酸化還元反応の基礎を学びます。毒物劇物の廃棄処理にも直結する重要単元!

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章全体の学習進度はサイドバーからも確認できます。前後のレッスンで関連事項を横断的に復習しましょう。

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この記事を書いた人

高専から大学院まで9年間にわたり化学を専攻。
消防整備士として10年の実務経験を積み、独立・起業。

消防設備士全類、危険物取扱者全類をはじめ、第二種電気工事士、AI・DD総合種、第三種電気主任技術者など、多数の国家資格を保有。

神戸高等技術専門学院にて危険物取扱者 乙種第4類およびDO第3種の講師を担当。
また、月刊誌「電気と工事(オーム社)」にてコラムを連載中。

実務・教育・執筆の三軸から、専門性と実践力を兼ね備えた情報発信を行っている。

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