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レッスン3-11:中毒の症状と応急措置(有機)

レッスン3-11:中毒の症状と応急措置(有機)

レッスン3-11は中毒の症状と応急措置(有機)。メタノール(失明)・有機リン(神経毒)・CCl₄(肝臓毒)・フェノール(腐食・神経)・アニリン(血液毒)など、有機毒劇物の特徴的症状と解毒剤を整理します。

毒劇先生

青木さん、今回は有機毒劇物の中毒!代謝経路が重要です。

有機毒劇物の中毒症状
図解:有機毒劇物の中毒症状
目次

💪実力試し(3問)

問題1

メタノール中毒の特徴的症状として最も正しいものはどれか。

  1. 血液凝固障害
  2. 視神経障害による失明
  3. 腎機能障害
  4. 皮膚の発赤
解答と解説を見る

正解:2

解説:メタノール→ホルムアルデヒド→ギ酸に代謝され、ギ酸が視神経を障害→失明。致死量約30〜100mL。解毒はエタノール投与(代謝競合阻害)・ホメピゾール。

間違えやすいポイント:メタノール中毒=失明。エタノール投与で代謝阻害が解毒法。

問題2

有機リン系農薬中毒の解毒剤として正しい組合せはどれか。

  1. BAL+EDTA
  2. PAM(プラリドキシム)+硫酸アトロピン
  3. 亜硝酸アミル+チオ硫酸Na
  4. 活性炭+水酸化Mg
解答と解説を見る

正解:2

解説:有機リン中毒はアセチルコリンエステラーゼ阻害。PAMで酵素を再活性化+硫酸アトロピン(抗コリン)で症状緩和。

間違えやすいポイント:有機リン=PAM+アトロピン。シアンは亜硝酸+チオ硫酸。重金属はBAL・EDTA。

問題3

フェノールの経皮吸収による中毒症状として正しくないものはどれか。

  1. 皮膚の白色化(後に黒変)
  2. 中枢神経抑制(意識障害)
  3. 腎機能障害
  4. 血液凝固機能の亢進
解答と解説を見る

正解:4

解説:フェノールの中毒症状は皮膚腐食(白変→黒変)、神経抑制、腎障害が主。血液凝固亢進はない。

間違えやすいポイント:フェノールは皮膚腐食+神経抑制+腎障害の3点セット。

🔰基礎教養学習

本単元は①メタノール ②有機リン ③ハロゲン化 ④芳香族 ⑤天然毒の5ブロック構造。

① メタノール中毒

項目 内容
症状 初期:酩酊感→24時間後:視力低下・失明・代謝性アシドーシス
機序 メタノール→ホルムアルデヒド→ギ酸(視神経毒)
致死量 約30〜100mL(個人差大)
解毒剤 エタノール投与(代謝競合阻害)・ホメピゾール
応急 胃洗浄(早期)・大量水摂取・医療機関

② 有機リン系農薬中毒

項目 内容
物質 パラチオン・メチルパラチオン・TEPP・EPN・DDVP
機序 アセチルコリンエステラーゼ阻害→アセチルコリン過剰蓄積
症状(ムスカリン様) 縮瞳・流涎・発汗・下痢・徐脈・気管支収縮
症状(ニコチン様) 筋痙攣・筋力低下・呼吸筋麻痺
症状(中枢) 頭痛・めまい・意識障害・痙攣
解毒剤 PAM(プラリドキシム)+硫酸アトロピン
応急 衣服脱衣・皮膚洗浄・気道確保・医療機関
毒劇先生

有機リン症状の覚え方:SLUDGE(Salivation/Lacrimation/Urination/Defecation/GI distress/Emesis)。

③ ハロゲン化有機物中毒

物質 主症状 応急
クロロホルム 麻酔作用→意識障害・肝障害 換気・酸素・医療機関
四塩化炭素 CCl₄ 肝毒性(脂肪肝・壊死)・腎障害 曝露中断・医療機関
臭化メチル 中枢神経症状・肺水腫 換気・酸素・安静
1,2-ジクロロエタン 肝・腎障害・麻酔作用 衣服脱衣・洗浄・医療機関

④ 芳香族有機物中毒

物質 主症状 特徴
フェノール 皮膚腐食・神経抑制・腎障害 皮膚が白変→黒変
クレゾール フェノールと類似 消毒剤中毒
アニリン メトヘモグロビン血症(チアノーゼ) 血液が褐色化
ニトロベンゼン アニリン様+爆風損傷 苦扁桃臭
トルエン・キシレン 中枢抑制・幻覚 第3条の3対象
ピクリン酸 皮膚黄染・黄疸・肝障害 爆発性にも注意

⑤ 天然毒(アルカロイド等)

物質 症状 解毒
ニコチン 頻脈→徐脈、痙攣、呼吸麻痺 対症療法
テトロドトキシン(フグ毒) 麻痺・呼吸筋麻痺 人工呼吸(解毒剤なし)
ストリキニーネ 痙攣 静脈麻酔
ヒヨスチアミン 精神錯乱 対症療法

✅理解度チェックテスト(3問)

チェック1(○✕)

次の記述は正しいか誤りか、○✕で答えてください。

「有機リン系農薬中毒の解毒剤は、PAM(プラリドキシム)と硫酸アトロピンの併用が標準である。」

答えを見る

正解:○(正しい)

解説:正しい。PAM=酵素再活性化、アトロピン=ムスカリン様症状緩和。併用で治療。

チェック2(穴埋め)

次の文の【 】に入る最も適切な語句を選んでください。

メタノール中毒の解毒には、代謝競合阻害のため【   】を投与することがある。

  1. メタノール
  2. エタノール
  3. プロパノール
答えを見る

正解:2

解説:エタノールをアルコール脱水素酵素の基質として飽和させ、メタノール代謝を阻害。

チェック3(4択)

アニリン中毒で血液が褐色化する原因は何か。

  1. 溶血
  2. メトヘモグロビン生成
  3. 血小板減少
  4. 白血球減少
答えを見る

正解:2

ポイント:アニリンはヘモグロビンをメトヘモグロビン(Fe³⁺型)に酸化→酸素運搬不能→チアノーゼ・褐色血。

🪏深掘り解説

テーマ1:有機リン中毒の時間経過

急性期(数時間内):SLUDGE症状、気管支痙攣、呼吸筋麻痺。亜急性期(1〜3日):中枢症状増悪、心筋障害。慢性期(遅発性神経障害):1〜2週間後の末梢神経障害(ディスタルアキソパシー)。PAMは24時間以内が効果的。時間との勝負!

テーマ2:四塩化炭素の肝毒性

CCl₄はCYP2E1でフリーラジカルに変換→脂質過酸化→肝細胞壊死。飲酒者は特に重症化しやすい。代替フロン普及前は消火剤・洗浄剤として使われたが、現在はほぼ使用禁止。

テーマ3:フグ毒の特殊性

テトロドトキシンはナトリウムチャネル阻害で神経伝達遮断。解毒剤は存在せず、人工呼吸で毒が代謝されるまで待つのみ。熱に強く加熱調理でも無害化できない。

🥊過去問演習(全10問)

Q1. 有機リン化合物中毒の症状として正しいものはどれか。

Q2. メタノール中毒の症状として正しいものはどれか。

Q3. クロロホルム中毒の症状として正しいものはどれか。

Q4. トルエン・キシレン中毒の症状として正しいものはどれか。

Q5. フェノール中毒の症状として正しいものはどれか。

Q6. アニリン中毒の症状として正しいものはどれか。

Q7. 二硫化炭素中毒の症状として正しいものはどれか。

Q8. 有機リン中毒の応急措置として正しいものはどれか。

Q9. メタノール中毒の応急措置として正しいものはどれか。

Q10. 有機溶剤中毒の一般的応急措置として正しいものはどれか。

あなたのスコアは

📝まとめと次の学習へのつなぎ

今回の学習ポイント

  • メタノール=失明(ギ酸)、解毒はエタノール投与
  • 有機リン=アセチルコリンエステラーゼ阻害、解毒はPAM+アトロピン
  • CCl₄=肝毒性(フリーラジカル)
  • フェノール=皮膚腐食+神経抑制+腎障害
  • アニリン=メトヘモグロビン血症(チアノーゼ)
  • テトロドトキシン=人工呼吸のみ(解毒剤なし)
毒劇先生

有機中毒は代謝経路と解毒剤の関係を理解すれば覚えやすい!

次回予告:レッスン3-12「解毒剤と特異的治療」

次回は解毒剤の体系。各毒物に対応する解毒剤を一覧整理します。

📍 他のレッスンへ

章全体の学習進度はサイドバーからも確認できます。前後のレッスンで関連事項を横断的に復習しましょう。

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この記事を書いた人

高専から大学院まで9年間にわたり化学を専攻。
消防整備士として10年の実務経験を積み、独立・起業。

消防設備士全類、危険物取扱者全類をはじめ、第二種電気工事士、AI・DD総合種、第三種電気主任技術者など、多数の国家資格を保有。

神戸高等技術専門学院にて危険物取扱者 乙種第4類およびDO第3種の講師を担当。
また、月刊誌「電気と工事(オーム社)」にてコラムを連載中。

実務・教育・執筆の三軸から、専門性と実践力を兼ね備えた情報発信を行っている。

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