レッスン3-10:中毒の症状と応急措置(無機)

レッスン3-10は中毒の症状と応急措置(無機)。シアン化合物・ヒ素・水銀・鉛・酸アルカリ・気体状劇物による中毒の症状と初期対応を整理。救命のための知識です。
毒劇先生青木さん、今回は無機毒劇物の中毒症状と応急措置!

💪実力試し(3問)
問題1
シアン化合物中毒の症状として最も特徴的なものはどれか。
- 皮膚の発赤
- 組織細胞の酸素利用阻害による急速な窒息症状
- 手足のしびれ
- 吐き気
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正解:2
解説:CN⁻がシトクロム酸化酵素を阻害→細胞呼吸停止→急速な窒息。数分〜10分で死に至る。解毒はチオ硫酸Na・亜硝酸アミル吸入・ヒドロキソコバラミン。
間違えやすいポイント:シアン中毒=細胞レベルの窒息(血中酸素濃度は高いのに細胞が使えない)。
問題2
強酸(塩酸・硫酸等)を皮膚に浴びた場合の応急措置として正しいものはどれか。
- 強アルカリで直接中和
- 直ちに大量の流水で15分以上洗浄
- ワセリンを塗布
- 絆創膏で覆う
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正解:2
解説:強酸・強塩基の皮膚接触は即座に大量の水で長時間洗浄。直接中和は発熱で二次損傷の危険。洗浄後に医療機関へ。
間違えやすいポイント:薬品皮膚汚染→『水で大量洗浄』が鉄則。直接中和は発熱のため禁忌。
問題3
塩素ガスを吸入した場合の症状と応急措置として正しくないものはどれか。
- 目・のど・気管の刺激感、肺水腫の危険
- 風上に避難し、新鮮な空気を吸わせる
- 嘔吐を促して毒物を吐き出させる
- 安静にさせ医療機関へ搬送
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正解:3
解説:ガス吸入中毒で嘔吐を促すのは不適切(窒息リスク)。ガス吸入は①風上避難②新鮮な空気③安静④医療機関。経口摂取の場合と処置が異なる。
間違えやすいポイント:ガス吸入と経口摂取で応急措置が違う!吸入時の嘔吐誘発は禁忌。
🔰基礎教養学習
本単元は①シアン中毒 ②重金属中毒 ③酸アルカリ ④気体吸入 ⑤応急措置原則の5ブロック構造。
⓪ 中毒の3大経路
| 経路 | 例 | 特徴 |
| 経口 | シアン・ヒ素・酸アルカリ摂取 | 消化管症状 |
| 吸入 | 気体(Cl₂・HCN・H₂S等) | 呼吸器症状 |
| 経皮 | HF・有機リン・アニリン | 全身症状も |
① シアン中毒
| 項目 | 内容 |
| 症状 | 頭痛→呼吸困難→痙攣→意識喪失→死亡(致死量50mg以下) |
| 機序 | CN⁻がシトクロム酸化酵素阻害→細胞呼吸停止 |
| 特徴 | 動脈血が鮮紅色(細胞が酸素を使えない)・アーモンド臭呼気 |
| 応急 | 風上避難・酸素吸入→医療機関へ |
| 解毒剤 | 亜硝酸アミル吸入→亜硝酸Na注射→チオ硫酸Na注射 |
② 重金属中毒
| 物質 | 主症状 | 解毒剤 |
| 水銀 Hg | 腎障害・神経症状(水俣病) | BAL(ジメルカプロール) |
| 鉛 Pb | 腹痛・貧血・神経麻痺 | EDTA・ペニシラミン |
| ヒ素 As | 嘔吐・下痢・末梢神経障害 | BAL |
| カドミウム Cd | 骨軟化(イタイイタイ病)・腎障害 | EDTA |
| タリウム Tl | 脱毛・末梢神経障害 | プルシアンブルー |
③ 酸・アルカリ中毒
| 摂取経路 | 症状 | 応急措置 |
| 経口(強酸) | 口腔・食道・胃の腐食 | 牛乳・卵白を飲ませる(希釈と保護)。嘔吐は禁忌! |
| 経口(強塩基) | 口腔・食道の腐食 | 多量の水・牛乳で希釈。嘔吐禁忌 |
| 皮膚(酸・塩基) | 化学熱傷 | 大量の水で15分以上洗浄 |
| 眼(酸・塩基) | 角膜損傷 | 大量の流水で15分以上洗眼 |
毒劇先生腐食性物質の経口摂取で嘔吐誘発は禁忌!再度食道・口腔を損傷する危険。
④ 気体吸入中毒
| 気体 | 症状 | 応急措置 |
| 塩素 Cl₂ | 刺激・咳・肺水腫 | 風上避難・酸素吸入・安静 |
| アンモニア NH₃ | 眼・のど刺激・咳 | 風上避難・水で口腔洗浄 |
| 硫化水素 H₂S | 頭痛→失神→死亡(嗅覚麻痺注意) | 風上避難・人工呼吸・酸素 |
| HCN気体 | シアン中毒(急速) | 亜硝酸アミル吸入・酸素・医療機関 |
| HCl気体 | 刺激・肺水腫 | 風上避難・酸素・安静 |
| ホスゲン | 遅発性肺水腫(数時間後) | 絶対安静・即医療機関(予防的酸素) |
⑤ 応急措置の5大原則
- 自身の安全確保(二次災害防止)
- 曝露中断(風上避難・衣服脱衣・洗浄)
- 呼吸確保(気道確保・人工呼吸・酸素)
- 物質特定(SDS確認・ラベル確認)
- 医療機関へ(解毒剤投与・専門治療)
✅理解度チェックテスト(3問)
チェック1(○✕)
次の記述は正しいか誤りか、○✕で答えてください。
「シアン中毒では、動脈血が鮮紅色になるのが特徴である。」
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正解:○(正しい)
解説:正しい。細胞が酸素を使えないため動脈血中の酸素が多く残り鮮紅色となる。
チェック2(穴埋め)
次の文の【 】に入る最も適切な語句を選んでください。
強酸・強塩基を経口摂取した場合、【 】は禁忌である。
- 水の摂取
- 嘔吐誘発
- 医療機関への搬送
- 衣服の脱衣
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正解:2
解説:腐食性物質の経口摂取で嘔吐させると食道・口腔を再度損傷。牛乳や水で希釈し医療機関へ。
チェック3(4択)
ヒ素中毒の解毒剤として用いられるものはどれか。
- PAM
- BAL(ジメルカプロール)
- 活性炭
- プルシアンブルー
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正解:2
ポイント:BALはヒ素・水銀・鉛等の重金属キレート剤。PAMは有機リン、プルシアンブルーはタリウム用。
深掘り解説
テーマ1:シアン解毒の原理
亜硝酸アミル→亜硝酸Na→チオ硫酸Naの3段階療法。亜硝酸でメトヘモグロビン生成→CNがシアンメトヘモグロビンに結合→チオ硫酸Naでチオシアン酸(SCN⁻)に変換→腎排泄。
テーマ2:水俣病・イタイイタイ病の教訓
水俣病(有機水銀)・イタイイタイ病(カドミウム)は日本の4大公害病。重金属の生物濃縮の恐ろしさを示す。毒劇法厳格化の背景。
テーマ3:硫化水素の嗅覚麻痺
H₂Sは低濃度では腐卵臭がするが、高濃度では嗅覚が麻痺して臭いを感じなくなる危険性。マンホール等密閉空間の事故で「臭わないから安全」と誤認する悲劇が多発。
🥊過去問演習(全10問)
📝まとめと次の学習へのつなぎ
今回の学習ポイント
- シアン中毒=細胞呼吸阻害、鮮紅色動脈血、アーモンド臭
- シアン解毒=亜硝酸アミル→亜硝酸Na→チオ硫酸Na
- 重金属解毒剤:Hg/As/Pb=BAL、Pb=EDTA、Tl=プルシアンブルー
- 腐食性物質経口:嘔吐誘発禁忌、牛乳・卵白で希釈
- 気体吸入:風上避難・酸素吸入・医療機関
毒劇先生中毒の原理と解毒剤をセットで覚えれば実地試験の半分は勝ち!
次回予告:レッスン3-11「中毒の症状と応急措置(有機)」
次回は有機毒劇物の中毒。メタノール・有機リン・CCl₄等の症状と解毒を学びます。
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