覚えたら、解こう。毒物劇物取扱者「過去問テスト」 詳細はこちら

レッスン2-14:酸化剤と還元剤

レッスン2-14:酸化剤と還元剤
毒劇先生

青木さん、今回は酸化剤と還元剤の実戦編です!

強欲な青木

酸化剤って、相手を酸化させる物質っすよね?

毒劇先生

その通り!相手を酸化させる=自分は還元される物質が酸化剤。過マンガン酸カリウム KMnO₄、二クロム酸カリウム K₂Cr₂O₇、過酸化水素 H₂O₂、塩素 Cl₂ が四天王。KMnO₄は赤紫色→無色になる、K₂Cr₂O₇は橙色→緑色になる、という色の変化も試験で頻出。

強欲な青木

還元剤は?

毒劇先生

相手を還元させる=自分は酸化される物質が還元剤。硫化水素 H₂S、二酸化硫黄 SO₂、金属の単体(Zn・Fe等)、ヨウ化物イオン I⁻ が代表例。過酸化水素 H₂O₂は相手によって酸化剤にも還元剤にもなる特殊な物質!

強欲な青木

半反応式って何すか?

毒劇先生

酸化剤・還元剤の反応を電子 e⁻ を使って分けて書いた式です。例:MnO₄⁻ + 8H⁺ + 5e⁻ → Mn²⁺ + 4H₂O(KMnO₄の酸性条件下での半反応式)。左辺に e⁻ があれば酸化剤(電子を受取る)、右辺にあれば還元剤。2つの半反応式を電子数を揃えて足し合わせると、完全な酸化還元反応式になります。

代表的な酸化剤と還元剤
図解:代表的な酸化剤と還元剤
目次

💪実力試し(3問)

問題1

次のうち代表的な『酸化剤』として正しくないものはどれか。

  1. 過マンガン酸カリウム KMnO₄
  2. 二クロム酸カリウム K₂Cr₂O₇
  3. 硫化水素 H₂S
  4. 塩素 Cl₂
解答と解説を見る

正解:3

解説:硫化水素 H₂S は代表的な『還元剤』(Sの酸化数−2→0に増加されやすい)。KMnO₄・K₂Cr₂O₇・Cl₂ はすべて強い酸化剤。

間違えやすいポイント:酸化剤=電子を受取る/還元剤=電子を失う。『酸化剤は相手を酸化させる』と言い換えると混乱しない。

問題2

過酸化水素 H₂O₂ の性質として正しいものはどれか。

  1. 常に酸化剤としてのみ働く
  2. 常に還元剤としてのみ働く
  3. 相手の物質によって酸化剤にも還元剤にもなりうる
  4. 酸化還元反応には関与しない
解答と解説を見る

正解:3

解説:H₂O₂中のO酸化数は−1で、中間的な値。強い酸化剤(KMnO₄等)と出会うと還元剤として働き、弱い還元剤と出会うと酸化剤として働く『両性』。

間違えやすいポイント:H₂O₂は『両性』の酸化還元物質。酸化されるときは O₂(0)に、還元されるときは H₂O(−2)になる。

問題3

0.1 mol/L の過マンガン酸カリウム KMnO₄ 水溶液(酸性)が、還元剤である Fe²⁺ 溶液と反応する場合、KMnO₄ 1 mol と反応する Fe²⁺ の物質量はいくらか。

  1. 1 mol
  2. 2 mol
  3. 3 mol
  4. 5 mol
解答と解説を見る

正解:4

解説:酸性条件下の半反応式:MnO₄⁻ + 8H⁺ + 5e⁻ → Mn²⁺ + 4H₂O(5電子受取)。Fe²⁺ → Fe³⁺ + e⁻(1電子放出)。1 mol の KMnO₄ は 5 mol の電子を受取るので、Fe²⁺ を 5 mol 酸化する。

間違えやすいポイント:酸化剤と還元剤の反応量は『電子数』で決まる。KMnO₄ は酸性条件下では 5e⁻、中性・塩基性条件下では 3e⁻(MnO₂生成)。

🔰基礎教養学習

本単元は①代表的な酸化剤 ②代表的な還元剤 ③半反応式 ④酸化還元滴定の4ブロック構造。

① 代表的な酸化剤(7選)

酸化剤 Mn等の酸化数変化 色の変化 用途・試験ポイント
KMnO₄ Mn +7→+2(酸性) 赤紫→無色 酸化還元滴定の主役
K₂Cr₂O₇ Cr +6→+3 橙→緑 クロム酸系は毒劇物
HNO₃(濃硝酸) N +5→+4 (NO₂) 褐色ガス発生 金属を溶かす酸化作用
H₂SO₄(熱濃硫酸) S +6→+4 (SO₂) 銅と反応しSO₂発生
H₂O₂ O −1→−2 相手次第で還元剤にも
Cl₂ Cl 0→−1 黄緑→無色 殺菌・漂白
O₃(オゾン) O 0→−2 強い酸化力

② 代表的な還元剤(6選)

還元剤 酸化数変化 反応後 試験ポイント
H₂S S −2→0 硫黄析出(黄色) 毒劇物・腐卵臭
SO₂ S +4→+6 SO₄²⁻ 漂白剤
H₂O₂ O −1→0 (O₂) 酸素発生 両性
KI(ヨウ化カリウム) I⁻ −1→0 (I₂) ヨウ素析出(褐色) ヨウ素デンプン反応
金属単体(Zn, Fe 等) 0→+n 金属イオン イオン化傾向
Fe²⁺ Fe +2→+3 Fe³⁺ 鉄イオンの滴定
毒劇先生

H₂O₂(過酸化水素)は本当に特殊!相手がKMnO₄なら還元剤として働き(H₂O₂→O₂)、相手がKI(弱い還元剤)なら酸化剤として働く(H₂O₂→H₂O)。出題されると正答率が下がる引っかけポイント。

③ 半反応式の書き方

👉4ステップ

  1. 反応物と生成物を書く(例:MnO₄⁻ → Mn²⁺)
  2. Oの数をH₂Oで合わせる(MnO₄⁻ → Mn²⁺ + 4H₂O)
  3. Hの数をH⁺で合わせる(MnO₄⁻ + 8H⁺ → Mn²⁺ + 4H₂O)
  4. 電荷を e⁻ で合わせる(MnO₄⁻ + 8H⁺ + 5e⁻ → Mn²⁺ + 4H₂O)

👉重要な半反応式

物質(酸性条件) 半反応式 e⁻数
KMnO₄(酸化剤) MnO₄⁻ + 8H⁺ + 5e⁻ → Mn²⁺ + 4H₂O 5
K₂Cr₂O₇(酸化剤) Cr₂O₇²⁻ + 14H⁺ + 6e⁻ → 2Cr³⁺ + 7H₂O 6
H₂O₂(酸化剤) H₂O₂ + 2H⁺ + 2e⁻ → 2H₂O 2
H₂O₂(還元剤) H₂O₂ → O₂ + 2H⁺ + 2e⁻ 2
Fe²⁺(還元剤) Fe²⁺ → Fe³⁺ + e⁻ 1
H₂S(還元剤) H₂S → S + 2H⁺ + 2e⁻ 2

④ 酸化還元滴定の計算

酸化還元滴定の公式c₁v₁n₁ = c₂v₂n₂
※n は酸化数変化量(=電子数)。中和滴定と同じ形の式だが、nの意味が異なる。

👉計算例

例:0.02 mol/L KMnO₄(酸性)10 mL で Fe²⁺ を滴定すると 25 mL で終点。Fe²⁺のモル濃度は?
KMnO₄側:c₁=0.02, v₁=10, n₁=5(5e⁻受取)
Fe²⁺側:c₂=?, v₂=25, n₂=1(1e⁻放出)
0.02×10×5 = c₂×25×1 → c₂ = 0.04 mol/L

✅理解度チェックテスト(3問)

チェック1(○✕)

次の記述は正しいか誤りか、○✕で答えてください。

「過酸化水素 H₂O₂ は相手の物質によって、酸化剤にも還元剤にもなりうる。」

答えを見る

正解:○(正しい)

解説:正しい。H₂O₂中のO酸化数は−1で中間値。強酸化剤と出会えば還元剤、弱還元剤と出会えば酸化剤として働く。

チェック2(穴埋め)

次の文の【 】に入る最も適切な語句を選んでください。

KMnO₄の酸性条件下での半反応式『MnO₄⁻ + 8H⁺ + 【 】e⁻ → Mn²⁺ + 4H₂O』に入る数値は?

  1. 2
  2. 3
  3. 5
  4. 7
答えを見る

正解:3

解説:Mnの酸化数は+7→+2なので電子5個受取。KMnO₄は5電子酸化剤。

チェック3(4択)

次のうち、酸化還元反応に関与しない物質はどれか。

  1. KMnO₄
  2. H₂S
  3. NaCl
  4. H₂O₂
答えを見る

正解:3

ポイント:NaClは電離してNa⁺とCl⁻になるだけで酸化数変化なし。他の3つは典型的な酸化剤・還元剤。

🪏深掘り解説

テーマ1:酸化剤・還元剤の強さランキング

標準電極電位の順:酸化力:F₂ > O₃ > H₂O₂ > MnO₄⁻ > Cl₂ > Cr₂O₇²⁻ > O₂還元力:アルカリ金属(Li, K, Na)> アルカリ土類 > Zn > H₂S > I⁻試験では『どちらが強いか』という相対比較で出題される。

テーマ2:毒物劇物の廃棄処理と酸化還元

廃棄対象 処理方法 反応のタイプ
シアン化物(毒物) アルカリ性下で次亜塩素酸ナトリウム処理 酸化分解
クロム酸塩(劇物) 酸性下で還元剤(NaHSO₃等)で還元→沈殿 還元沈殿
重金属塩 硫化物イオンで沈殿 沈殿法(酸化還元なし)
亜硝酸塩 酸化剤で硝酸塩にして無害化 酸化
過酸化水素 高濃度は希釈・分解 自己分解(H₂O₂→H₂O+O₂)

テーマ3:色の変化で覚える酸化還元

物質 反応前 反応後 利用
KMnO₄(酸化剤) 赤紫 無色(Mn²⁺) 滴定の終点判定
K₂Cr₂O₇(酸化剤) 緑(Cr³⁺) 滴定
ヨウ素 I₂ 褐色 無色(I⁻) デンプン反応で青紫
過酸化水素+MnO₄⁻ 混合→赤紫消失+酸素発生 視覚的確認

🥊過去問演習(全10問)

Q1. 代表的な強力な酸化剤として正しいものはどれか。

Q2. 代表的な還元剤として正しいものはどれか。

Q3. 過酸化水素 H₂O₂ の性質について正しい記述はどれか。

Q4. 二クロム酸カリウム K₂Cr₂O₇ の働きとして正しいものはどれか。

Q5. ヨウ素 I₂ とヨウ化物イオン I⁻ の酸化還元関係について正しい記述はどれか。

Q6. 酸化還元滴定でよく用いられる組み合わせとして正しいものはどれか。

Q7. 次の物質のうち酸化剤として働きにくいものはどれか。

Q8. 金属ナトリウムの反応性として正しいものはどれか。

Q9. 水溶液中の反応 MnO₄⁻ + 5Fe²⁺ + 8H⁺ → Mn²⁺ + 5Fe³⁺ + 4H₂O での酸化剤はどれか。

Q10. 酸化剤と還元剤を選ぶ基本原則として正しいものはどれか。

あなたのスコアは

📝まとめと次の学習へのつなぎ

今回の学習ポイント

  • 代表的酸化剤:KMnO₄・K₂Cr₂O₇・H₂O₂・Cl₂・HNO₃・O₃
  • 代表的還元剤:H₂S・SO₂・金属・KI・Fe²⁺
  • H₂O₂は両性(相手次第で酸化剤/還元剤)
  • KMnO₄酸性下:5e⁻、K₂Cr₂O₇:6e⁻
  • 酸化還元滴定:c₁v₁n₁=c₂v₂n₂(nは電子数)
  • 色の変化:KMnO₄(赤紫→無色)・K₂Cr₂O₇(橙→緑)
毒劇先生

代表物質と半反応式を覚えれば、酸化還元滴定は公式で解けます!

強欲な青木

KMnO₄とK₂Cr₂O₇の色の変化が鮮やかで覚えやすいっす!

次回予告:レッスン2-15「金属のイオン化傾向」

次回は金属のイオン化傾向。教科書標準ゴロ『貸そうかな、まああてにすんな、ひどすぎる借金』で金属16元素の反応性順を完全攻略。電池・電気分解の土台となる最重要単元です。

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章全体の学習進度はサイドバーからも確認できます。前後のレッスンで関連事項を横断的に復習しましょう。

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この記事を書いた人

高専から大学院まで9年間にわたり化学を専攻。
消防整備士として10年の実務経験を積み、独立・起業。

消防設備士全類、危険物取扱者全類をはじめ、第二種電気工事士、AI・DD総合種、第三種電気主任技術者など、多数の国家資格を保有。

神戸高等技術専門学院にて危険物取扱者 乙種第4類およびDO第3種の講師を担当。
また、月刊誌「電気と工事(オーム社)」にてコラムを連載中。

実務・教育・執筆の三軸から、専門性と実践力を兼ね備えた情報発信を行っている。

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