覚えたら、解こう。毒物劇物取扱者「過去問テスト」 詳細はこちら

レッスン2-16:電池

レッスン2-16:電池
毒劇先生

青木さん、今回は電池。身近なのに仕組みは意外と奥深い!

強欲な青木

電池ってどうやって電気を生むんすか?

毒劇先生

イオン化傾向の差を利用する!イオン化傾向の大きい金属(例:Zn)が電子を放出し(負極)、小さい金属(例:Cu)の方で電子が受取られる(正極)。電子の流れ=電流が導線を通じて取り出されます。

強欲な青木

ボルタとダニエルって何すか?

毒劇先生

ボルタ電池は1800年に発明された最初の電池:亜鉛板と銅板を希硫酸に浸すだけ。ダニエル電池は1836年に改良され、亜鉛が硫酸亜鉛、銅が硫酸銅に浸かり素焼き板で仕切ることで起電力を安定化。試験では両方の構造と違いを問われます。

強欲な青木

充電できる電池とできない電池の違いは?

毒劇先生

一次電池=使い切り(マンガン・アルカリ乾電池・リチウム電池)、二次電池=充電可(鉛蓄電池・リチウムイオン・ニッケル水素)。二次電池は逆向きの電流を流すと化学反応が逆進し、元の状態に戻る仕組みです。

電池3種の比較(ボルタ・ダニエル・鉛蓄)
図解:電池3種の比較(ボルタ・ダニエル・鉛蓄)
目次

💪実力試し(3問)

問題1

ダニエル電池において、正極・負極の材料として正しい組合せはどれか。

  1. 負極Cu/正極Zn
  2. 負極Zn/正極Cu
  3. 負極Fe/正極Cu
  4. 負極Zn/正極Ag
解答と解説を見る

正解:2

解説:イオン化傾向の大きい方が負極(酸化=電子放出)、小さい方が正極(還元=電子受取)。Zn(大)→Cu(小)の順。負極Zn/正極Cu。

間違えやすいポイント:イオン化傾向『大きい→小さい』で電子流。大=負極(−)、小=正極(+)。

問題2

次のうち『二次電池(充電可能)』に分類されるものはどれか。

  1. マンガン乾電池
  2. アルカリ乾電池
  3. 鉛蓄電池
  4. リチウム一次電池
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正解:3

解説:鉛蓄電池は自動車バッテリーに使われる代表的な二次電池(充電可)。マンガン・アルカリ・リチウム一次電池は使い切りの一次電池。

間違えやすいポイント:『二次電池=充電可能』。鉛蓄電池・リチウムイオン電池・ニッケル水素電池が代表的な二次電池。

問題3

電池の起電力の大きさを決定する最も重要な要素はどれか。

  1. 電極の大きさ
  2. 電解液の量
  3. 両電極間のイオン化傾向の差
  4. 電池の形状
解答と解説を見る

正解:3

解説:起電力は両極に使う金属のイオン化傾向の差(標準電極電位の差)で決まる。電極サイズや電解液量は電池容量(取り出せる電気量)を決めるが起電力そのものではない。

間違えやすいポイント:『起電力』と『容量』を区別。起電力=電位差、容量=電流×時間(Ah)。

🔰基礎教養学習

本単元は①電池の基本原理 ②ボルタ電池 ③ダニエル電池 ④各種実用電池の4ブロック構造。

⓪ 電池の基本

項目 内容
負極(−) イオン化傾向が大きい金属→電子放出(酸化)
正極(+) イオン化傾向が小さい金属→電子受取(還元)
電流 正極→導線→負極(電子の流れとは逆向き)
起電力 両極のイオン化傾向の差(標準電極電位差)で決まる
電解液 イオンの通り道、電池により異なる

① ボルタ電池(1800年・最初の電池)

亜鉛板 Zn/希硫酸 H₂SO₄/銅板 Cuの構造。起電力約1.1V。

👉電極反応

  • 負極(Zn):Zn → Zn²⁺ + 2e⁻(亜鉛が溶ける)
  • 正極(Cu):2H⁺ + 2e⁻ → H₂↑(水素ガス発生)

👉分極現象

正極に発生したH₂が銅板を覆って電流が低下する現象=分極。これを防ぐため酸化剤(減極剤)を入れる改良が必要。ダニエル電池への進化の原動力。

② ダニエル電池(1836年・安定化)

亜鉛 Zn/硫酸亜鉛 ZnSO₄水溶液‖素焼き板‖硫酸銅 CuSO₄水溶液/銅 Cuの構造。起電力約1.1V。

👉電極反応

  • 負極(Zn):Zn → Zn²⁺ + 2e⁻
  • 正極(Cu):Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu(銅が析出)

👉素焼き板の役割

  • 2つの電解液が直接混ざるのを防ぎながら、イオンは通す
  • SO₄²⁻が左へ移動してZn²⁺を中和、電気的バランス維持
  • 分極を起こさないので電流が安定

③ 鉛蓄電池(実用二次電池の代表)

自動車のバッテリーの主流。鉛 Pb/希硫酸 H₂SO₄/酸化鉛(IV) PbO₂の構造。起電力約2.0V。

👉放電時の電極反応

  • 負極(Pb):Pb + SO₄²⁻ → PbSO₄ + 2e⁻
  • 正極(PbO₂):PbO₂ + 4H⁺ + SO₄²⁻ + 2e⁻ → PbSO₄ + 2H₂O
  • 全体:Pb + PbO₂ + 2H₂SO₄ → 2PbSO₄ + 2H₂O

👉充電時

放電の逆反応。2PbSO₄ + 2H₂O → Pb + PbO₂ + 2H₂SO₄ で元に戻る。

④ 各種実用電池の分類

種類 分類 起電力 特徴
マンガン乾電池 一次 1.5V Zn/MnO₂。安価
アルカリ乾電池 一次 1.5V 長寿命
リチウム一次電池 一次 3V 高電圧・時計用
鉛蓄電池 二次 2.0V 自動車バッテリー
ニッケル水素電池 二次 1.2V ハイブリッド車
リチウムイオン電池 二次 3.7V スマホ・EV
燃料電池 H₂+O₂→H₂O。次世代

✅理解度チェックテスト(3問)

チェック1(○✕)

次の記述は正しいか誤りか、○✕で答えてください。

「電池の負極では、イオン化傾向の大きい金属が電子を放出する酸化反応が起こっている。」

答えを見る

正解:○(正しい)

解説:正しい。負極=酸化反応、正極=還元反応。

チェック2(穴埋め)

次の文の【 】に入る最も適切な語句を選んでください。

鉛蓄電池は【   】電池に分類される。

  1. 一次
  2. 二次
  3. 燃料
  4. 太陽
答えを見る

正解:2

解説:鉛蓄電池は充電可能な二次電池。

チェック3(4択)

ダニエル電池の正極で起こる反応はどれか。

  1. Zn → Zn²⁺ + 2e⁻
  2. Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu
  3. 2H⁺ + 2e⁻ → H₂
  4. Cu → Cu²⁺ + 2e⁻
答えを見る

正解:2

ポイント:正極ではCu²⁺が電子を受取って銅が析出。

🪏深掘り解説

テーマ1:起電力の計算

起電力=正極電位−負極電位。Cu²⁺/Cu=+0.34V、Zn²⁺/Zn=−0.76V。ダニエル電池の起電力=+0.34−(−0.76)=1.10V。イオン化傾向の差が大きいほど起電力も大きい。

テーマ2:電池と毒物劇物

電池 含有毒物劇物 リスク
鉛蓄電池 鉛 Pb・硫酸 H₂SO₄ 電解液漏れ・土壌汚染
水銀電池 水銀 Hg(毒物) 現在は製造禁止
ニッカド電池 カドミウム Cd(毒物) 環境問題で減少
リチウム電池 リチウム 発火・爆発リスク

テーマ3:分極と減極剤

分極:正極に発生したH₂が電極を覆って内部抵抗が上がる現象。減極剤:MnO₂・PbO₂・K₂Cr₂O₇等の酸化剤で H₂ を酸化して水に戻し分極を防ぐ。マンガン乾電池の MnO₂、鉛蓄電池の PbO₂ などがこれに該当。

🥊過去問演習(全10問)

Q1. 電池の原理として正しいものはどれか。

Q2. 電池の負極で起こる反応の特徴として正しいものはどれか。

Q3. 電池の正極で起こる反応の特徴として正しいものはどれか。

Q4. ボルタ電池の構成として正しいものはどれか。

Q5. ダニエル電池の構成として正しいものはどれか。

Q6. 一次電池と二次電池の違いとして正しいものはどれか。

Q7. 鉛蓄電池の正極・負極の物質として正しい組み合わせはどれか。

Q8. リチウムイオン電池の特徴として正しいものはどれか。

Q9. 電池の起電力が大きくなる条件として正しいものはどれか。

Q10. 燃料電池の原理として正しいものはどれか。

あなたのスコアは

📝まとめと次の学習へのつなぎ

今回の学習ポイント

  • 電池の正負極:イオン化傾向 大=負極、小=正極
  • ボルタ:Zn/H₂SO₄/Cu、分極問題あり
  • ダニエル:Zn/ZnSO₄‖CuSO₄/Cu、素焼き板で安定
  • 鉛蓄電池(二次):Pb/H₂SO₄/PbO₂、起電力2.0V
  • 一次電池(使い切り)vs 二次電池(充電可)
毒劇先生

イオン化傾向の応用で電池は理解できます!

強欲な青木

身近な電池の仕組みが一気に見えてきました!

次回予告:レッスン2-17「電気分解」

次回は電気分解。外部電源を使って強制的に酸化還元反応を起こす技術。電極での析出物の判定、ファラデーの法則、工業応用(アルミ精錬・銅精錬)を学びます。

📍 他のレッスンへ

章全体の学習進度はサイドバーからも確認できます。前後のレッスンで関連事項を横断的に復習しましょう。

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この記事を書いた人

高専から大学院まで9年間にわたり化学を専攻。
消防整備士として10年の実務経験を積み、独立・起業。

消防設備士全類、危険物取扱者全類をはじめ、第二種電気工事士、AI・DD総合種、第三種電気主任技術者など、多数の国家資格を保有。

神戸高等技術専門学院にて危険物取扱者 乙種第4類およびDO第3種の講師を担当。
また、月刊誌「電気と工事(オーム社)」にてコラムを連載中。

実務・教育・執筆の三軸から、専門性と実践力を兼ね備えた情報発信を行っている。

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