覚えたら、解こう。毒物劇物取扱者「過去問テスト」 詳細はこちら

レッスン2-9:物質量(mol)と化学反応式

物質量(mol)と化学反応式
毒劇先生

青木さん、今回は化学の魔法の単位モル(mol)を学びます。

強欲な青木

モルって何すか?すごく大きい数字なんすよね?

毒劇先生

1 mol=6.02×10²³個(アボガドロ数)。原子・分子が小さすぎて個数で扱うのは非現実的なので、『このくらいの塊』という単位でまとめたもの。原子量・分子量をg単位にした質量が1 mol の質量になります。例:水の分子量18 → 1 molの水は18 g。

強欲な青木

気体の体積も計算できるって聞いたっす。

毒劇先生

標準状態(0℃・1気圧)では、どんな気体も1 molで22.4 L!酸素O₂も水素H₂も二酸化炭素CO₂も、すべて1 mol = 22.4 L。これがアボガドロの法則です。計算が劇的に楽になります。

強欲な青木

化学反応式の係数合わせって難しそう…

毒劇先生

コツは左右の原子数を合わせるだけ!水素の燃焼 2H₂ + O₂ → 2H₂O を例にすると、Hは左右とも4個、Oは左右とも2個になる係数を選ぶ。係数が全体で物質量の比になるので、これを使えば量的計算が自在です。

モル(mol)の3つの顔
図解:モル(mol)の3つの顔
目次

💪実力試し(3問)

まずは腕試し。本番レベルの問題3問を解いてから、解説で確認しましょう。

問題1

水(H₂O)36 g に含まれる水分子の物質量(mol)として正しいものはどれか。(H=1, O=16)

  1. 0.5 mol
  2. 1 mol
  3. 2 mol
  4. 36 mol
解答と解説を見る

正解:3

解説:水の分子量 = 1×2 + 16 = 18 g/mol。物質量 = 質量 ÷ モル質量 = 36 ÷ 18 = 2 mol。

間違えやすいポイント:質量÷モル質量=物質量。モル質量は分子量にg/molを付けた値。

問題2

標準状態(0℃・1気圧)で 11.2 L の酸素(O₂)の物質量として正しいものはどれか。

  1. 0.5 mol
  2. 1 mol
  3. 2 mol
  4. 11.2 mol
解答と解説を見る

正解:1

解説:標準状態の気体1 molは 22.4 L。物質量 = 体積 ÷ 22.4 = 11.2 ÷ 22.4 = 0.5 mol。

間違えやすいポイント:気体の場合、物質量 = 体積(L) ÷ 22.4。これは気体限定の公式。

問題3

化学反応式 2H₂ + O₂ → 2H₂O において、水素 4 mol が完全に反応するとき、必要な酸素の物質量はどれか。

  1. 1 mol
  2. 2 mol
  3. 4 mol
  4. 8 mol
解答と解説を見る

正解:2

解説:反応式の係数比は H₂:O₂ = 2:1。水素 4 mol なら酸素は 4÷2 = 2 mol が必要。

間違えやすいポイント:化学反応式の係数=物質量の比。反応量の計算は係数比を使う。

🔰基礎教養学習

本単元は①モルの3つの顔 ②モル換算の公式 ③気体のモル計算 ④化学反応式の4ブロック構造。計算のマスターキーです。

⓪ モルの3つの顔

視点 1 molの意味 計算公式
個数 6.02×10²³個(アボガドロ数) 個数 = mol × 6.02×10²³
質量 分子量・式量をg単位にした値 質量(g) = mol × モル質量(g/mol)
気体の体積 22.4 L(標準状態) 体積(L) = mol × 22.4
毒劇先生

モルは個数・質量・体積の共通の物差し!3つの関係を1枚の絵で理解すれば、どんな問題も解けるようになります。

① モル計算の公式まとめ

基本3公式
① 物質量 (mol) = 粒子の個数 ÷ 6.02×10²³
② 物質量 (mol) = 質量 (g) ÷ モル質量 (g/mol)
③ 物質量 (mol) = 気体の体積 (L) ÷ 22.4(標準状態)

👉計算例

  • 水 18 g → 1 mol(18 ÷ 18)
  • 水 18 g → 6.02×10²³個の分子(1 mol 分)
  • 酸素 32 g → 1 mol(32 ÷ 32)、標準状態で22.4 L
  • 二酸化炭素 44 g → 1 mol、標準状態で22.4 L
  • 水素 2 g → 1 mol、標準状態で22.4 L

② 気体のモル計算(標準状態)

気体 分子量 1 mol の質量 1 mol の体積
水素 H₂ 2 2 g 22.4 L
酸素 O₂ 32 32 g 22.4 L
窒素 N₂ 28 28 g 22.4 L
二酸化炭素 CO₂ 44 44 g 22.4 L
アンモニア NH₃ 17 17 g 22.4 L
塩素 Cl₂ 71 71 g 22.4 L
強欲な青木

分子量が違うのに、体積は全部22.4 Lなんすね!

毒劇先生

これがアボガドロの法則の威力。同じ温度・圧力ならば、同じ体積の気体は同じ個数の分子を含む。逆に言えば、1 mol(同じ個数)なら体積も同じ22.4 L になる、というわけ。

③ 化学反応式の書き方

👉4ステップの手順

  1. 反応物と生成物を左右に書く(例:H₂ + O₂ → H₂O)
  2. 両辺の原子数が等しくなるよう係数を調整
  3. 係数は最も簡単な整数比にする
  4. 状態(g気体・l液体・s固体・aq水溶液)を添えることもある

👉係数合わせの例:水素の燃焼

ステップ1:H₂ + O₂ → H₂O(未調整)
ステップ2:右辺のOが1個、左辺のOが2個 → 右辺を2H₂Oにすると O=2 で合う
ステップ3:すると右辺のHが4個、左辺が2個 → 左辺を2H₂にする
完成:2H₂ + O₂ → 2H₂O
→ 水素2 mol と 酸素1 mol が反応し、水2 mol が生成

④ 重要な化学反応式

反応 化学反応式 解説
水の合成 2H₂ + O₂ → 2H₂O 水素の燃焼
炭素の燃焼 C + O₂ → CO₂ 完全燃焼
メタン燃焼 CH₄ + 2O₂ → CO₂ + 2H₂O 都市ガスの燃焼
中和反応 HCl + NaOH → NaCl + H₂O 酸と塩基
硫酸と水酸化Na H₂SO₄ + 2NaOH → Na₂SO₄ + 2H₂O 2段階中和
硫酸と塩化Ba H₂SO₄ + BaCl₂ → BaSO₄↓ + 2HCl 沈殿反応
炭酸カルシウムと塩酸 CaCO₃ + 2HCl → CaCl₂ + H₂O + CO₂↑ 気体発生

✅理解度チェックテスト(3問)

チェック1(○✕)

次の記述は正しいか誤りか、○✕で答えてください。

「アボガドロの法則によれば、同じ温度・圧力条件下では、気体の種類に関係なく同じ体積中に同じ数の分子が含まれる。」

答えを見る

正解:○(正しい)

解説:正しい。標準状態で気体1 molは種類に関係なく22.4 Lになる、というのがこの法則の直接的な結果。

チェック2(穴埋め)

次の文の【 】に入る最も適切な語句を選んでください。

1 mol は、アボガドロ数【   】個の粒子の集まりである。

  1. 6.02×10²²
  2. 6.02×10²³
  3. 6.02×10²⁴
  4. 3.01×10²³
答えを見る

正解:2

解説:アボガドロ数は 6.02×10²³ 個/mol。この数字は暗記必須。

チェック3(4択)

化学反応式 N₂ + 3H₂ → 2NH₃ において、水素 9 mol から生成するアンモニアは何molか。

  1. 3 mol
  2. 6 mol
  3. 9 mol
  4. 18 mol
答えを見る

正解:2

ポイント:係数比 H₂:NH₃ = 3:2。水素9 mol なら NH₃ = 9 × (2/3) = 6 mol。

🪏深掘り解説

テーマ1:モル計算の万能フロー

どんなモル計算問題も次のフローで解けます:質量 ⇔ mol ⇔ 個数 or 体積。与えられた量から mol を求め、求めたい単位に変換。例:『水素 4 g は標準状態で何 L か?』→ 4÷2 = 2 mol → 2×22.4 = 44.8 L。間に mol を挟むのが鉄則!

テーマ2:係数合わせの確実なコツ

  1. 登場回数の少ない原子から合わせる
  2. 金属 → 非金属 → 水素 → 酸素の順に調整するとスムーズ
  3. 分数が出た場合は全体を2倍・3倍して整数化
  4. 最後に必ず全原子数の左右一致を検算

テーマ3:毒物劇物の反応計算例

シアン化ナトリウムの中和反応:NaCN + HCl → NaCl + HCN↑。シアン化水素HCNが発生するため極めて危険な反応。廃液処理ではNaCN + NaOCl → NaOCN + NaCl(次亜塩素酸による酸化無害化)。これらの反応式と量的計算は実地試験で頻出します。

🥊過去問演習(全10問)

Q1. 1 mol の粒子数として正しいものはどれか。

Q2. 1 mol の水(H₂O)の質量として正しいものはどれか。

Q3. 標準状態(0℃, 1 atm)での気体 1 mol の体積として正しいものはどれか。

Q4. 44 g の CO₂ の物質量として正しいものはどれか。(CO₂=44)

Q5. 化学反応式 2H₂ + O₂ → 2H₂O について、H₂ が 2 mol 反応するとき必要な O₂ の物質量はどれか。

Q6. 化学反応式 N₂ + 3H₂ → 2NH₃ について、N₂ 1 mol から生成する NH₃ の物質量はどれか。

Q7. 1 mol の鉄原子(Fe=56)の質量として正しいものはどれか。

Q8. 0.1 mol の H₂O の質量として正しいものはどれか。

Q9. 標準状態で 11.2 L の気体の物質量として正しいものはどれか。

Q10. 化学反応式の係数の意味として正しいものはどれか。

あなたのスコアは

📝まとめと次の学習へのつなぎ

今回の学習ポイント

  • 1 mol = 6.02×10²³個(アボガドロ数)
  • 1 mol の質量 = 分子量・式量に g をつけた値(モル質量)
  • 1 mol の気体の体積 = 22.4 L(標準状態)
  • 3大公式:個数÷6.02×10²³、質量÷モル質量、気体体積÷22.4
  • 化学反応式:両辺の原子数を一致させる係数を決める
  • 反応式の係数=物質量の比(反応量計算に直結)
毒劇先生

モルが分かれば化学計算は怖くない!質量・個数・体積を自在に行き来できるようになります。

強欲な青木

mol って名前は変だけど、中身は単純な単位換算っすね!

次回予告:レッスン2-10「溶液の濃度と性質」

次回は溶液の濃度──質量パーセント濃度・モル濃度の計算!毒物劇物の除外濃度(塩酸10%以下など)にも直結する超重要単元。希釈・混合・濃縮の計算パターンを一気にマスターします。

📍 他のレッスンへ

章全体の学習進度はサイドバーからも確認できます。前後のレッスンで関連事項を横断的に復習しましょう。

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この記事を書いた人

高専から大学院まで9年間にわたり化学を専攻。
消防整備士として10年の実務経験を積み、独立・起業。

消防設備士全類、危険物取扱者全類をはじめ、第二種電気工事士、AI・DD総合種、第三種電気主任技術者など、多数の国家資格を保有。

神戸高等技術専門学院にて危険物取扱者 乙種第4類およびDO第3種の講師を担当。
また、月刊誌「電気と工事(オーム社)」にてコラムを連載中。

実務・教育・執筆の三軸から、専門性と実践力を兼ね備えた情報発信を行っている。

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