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電気屋さんが「やりがち」な消防用設備の施工ミス3選【電気工事士】

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強欲な青木
電気屋さんから『自火報の工事うまくいかなくて‥』って連絡あったけど、何が原因だろう?
電気屋さんが配線工事まで担当した後に、具付けと試験および消防検査立会いを防災屋が担当する現場で起こりがちな不具合あるから紹介していきますね!
管理人

普段、主に照明やコンセント等の工事をプロとしてされているのが電気屋さんです。

黄ネコ
黄ネコ
現場によっては電気屋さんが自動火災報知設備や誘導灯といった消防用設備等まで手掛けられることがあります。
そういった際に、起こりがちなミスを3つ選出しました!
管理人

消防用設備等に苦手意識のある電気屋さんや、消防用設備等について知りたい方はご覧下さいませ!

電気屋さんがやりがちな消防用設備の施工ミス3選

①送り配線になっていない

自動火災報知設備の感知器回路は、一筆書きの送り配線にしなければなりません。

自火報 感知器 送り配線

電気屋さんが配線された現場にて、分岐して並列に配線されていることがありました。

結線タマスケ
結線タマスケ
普段、並列(パラ)で結線するのが当たり前な電気屋さんからしたら『一筆書き!?』って感じだよね。
並列(パラ)にしちゃうと、P型自火報の場合は感知器回路の断線が検知できないからNGなんですよ‥。
管理人

感知器回路は、もし断線(線が切れて電源が供給されない状態)を検知する為に、一筆書き回路の最後の感知器に「終端抵抗」を接続しています。
(※上図の “Ω” は終端抵抗のマーク)

終端抵抗とは‥

感知器回路の最後に接続した抵抗のこと。

自火報 感知器 終端抵抗

終端抵抗の存在を受信機(大元の制御盤)が検知することで『最後の感知器まで電気が流れてる、この配線ヨシ!』と確認できているのです。

参考自動火災報知設備の配線工事方法~感知器編~誤報対応時に気になったCRE(終端抵抗)の中身

自動火災報知設備の感知器回路は、断線を検知する為に途中で分岐せずに一筆書きの “送り配線” にします!

 

②専用回路になっていない

消防用設備等の電源は、他のブレーカーと兼用せず “専用回路” としなければなりません。

消防用設備等 専用回路 ブレーカー

なぜ専用回路にするかと言うと、例えばコンセント回路と自動火災報知設備の回路を兼用してしまうと、コンセント回路のブレーカーが落ちた時に自動火災報知設備への電源供給までも断たれてしまう為です。

防災猫
つまり「共倒れ防止」ってワケね‥ところで実際に消防用設備等が専用回路になっていない現場ってあるの?
例えば建物改修時に防災屋が入ってなくて、改修後に点検してみたら『専用回路が無い⁉』ってなることあるよ。
管理人
点検タマ王
一般照明のブレーカー落としたら誘導灯もバッテリーに切り替わる‥みたいな。
ワケあって消防用設備等は専用回路にしてありますから、後から何かのブレーカーと混ぜる‥みたいなことはNGです!
管理人

ただし例外的に、例えば大阪市の場合は運用基準上で誘導灯と非常照明であれば同一回路にできる規定もあります。

常用電源の配線は、配電盤又は分電盤から専用回路とすること。ただし、非常用の照明装置と同一回路とすることができる。

参考第6 電源及び配線

消防用設備等は原則、設備毎に “専用回路” としなければなりません!

 

③耐熱電線になっていない

自動火災報知設備の配線は、耐熱電線を使用しなければならない箇所があります。

自動火災報知設備の非常電源回路等 配線 電線

参考第7 非常電源回路等

消防検査時に確認される “HP”

工事完了後の消防検査時に耐熱電線になっているか確認ありますので、必ず適切なケーブルを用いましょう!

消防検査用に施工時に切った被覆を準備-耐熱

参考自動火災報知設備の配線工事方法 ~受信機編~非常警報複合装置の消防検査確認事項

火消しタマスケ
火消しタマスケ
例えばベル(音響装置)は火災発生中でも鳴り続ける必要があるから、耐熱電線を使わなきゃならないってワケですね。
感知器の電線は耐熱でなくても構いませんが、幹線ケーブルがHP(Heat Proof)を用いるので建物を縦に通る部分は耐熱電線になってます。
管理人

消防用設備等の施工時には、使用する電線の種類に気を付けましょう!

 

【※注意】所轄消防署への届出があります!

消防用設備等の施工の際には、まず所轄消防署への届出が必要となる場合があることを念頭に置くべきでしょう。

所轄消防署 届出 着工 設置

設備にまつわる所轄消防署への届出は、主に以下の3つが挙げられます。

  1. 着工届‥工事着手10日前までに、消防設備士が届け出る。(※自動火災報知設備の施工など)
  2. 設計届‥工事着手10日前までに、工事施工者が届け出る。(※誘導灯の施工など)
  3. 設置届‥工事完了4日以内に、防火対象物の関係者が届け出る。

特に “着工届” は消防設備士しか作成・届出できないので、有資格者に協力を仰ぎましょう!

「設計届」って‥

設計届” とは何かと少し詳しく述べますと「消防法施行令 第7条で謳われている消防の用に供する設備の中で、消防法施行令 第36条の2 の消防設備士でなければ行ってはならない工事または整備の対象でない為に、消防法 第17条の14で定められた甲種消防設備士が着工の10日前に所轄消防署に提出する消防法施行規則 第33条の18にある工事整備対象設備等 “着工届” の提出が不要である代わりに、大阪市火災予防条例 第61条の2 に基づいて作成・提出する工事設計書」の事です。

参考東京と大阪の“設計届”を比較して分かること着工届の作り方 for 甲種消防設備士

強欲な青木
そもそも届出類を提出する前提で施工が進んでいれば、上述した様なミス等は起こりにくいはず‥。
まだまだ知られていない事も、届出の未実施で工事着手してしまう要因の一端でしょう。
管理人
レペゼン防災
レペゼン防災
地道に広めていきましょうYO!
消防用設備等を施工するタイミングで、防災屋に一声かけて頂けると嬉しいですね。
管理人

所轄消防署への届出を適切に行った上で、消防用設備等の施工を行いましょう!

 

◎ まとめ

  • 電気屋さんが配線工事まで担当した後に、器具付けと試験および消防検査立会いを防災屋が担当する現場で起こりがちな不具合を紹介した。
  • 自動火災報知設備の感知器回路は一筆書きの送り配線ではなく分岐して並列に配線されていたり、他のブレーカーと兼用せず “専用回路” となっていない場合があった。
  • 届出類を提出する前提で施工が進んでいれば上述した様なミス等は起こりにくいので、消防用設備等を施工するタイミングで防災屋に一声かけて頂きたかった。
  • この記事を書いた人

管理人

【経歴】鈴鹿高専材料工学科 ⇒ 静岡大学工学部(3年次編入学) ⇒ 院 ⇒ 鈴与㈱ ⇒ 某A防災㈱ ⇒ 青木マーケ㈱※独立
【保有資格】消防設備士全類・危険物取扱者全類・第二種電気工事士・工事担任者(AI・DD総合種)・第三種電気主任技術者
【主な活動】月刊誌「電気と工事(オーム社)」コラム執筆・ブログ(月間40万PV)・YouTubeチャンネル「強欲な青木&消防設備士」の動画作成

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