スプリンクラー設備と自家発電設備の設置に際して、以下の点に留意する必要があるでしょう。
- 消火ポンプ室は不燃材料で作られた消火ポンプ室に設置
- 自家発電設備(キュービクル式)は発電設備の前面に1m以上の空地を有し、かつ他のキュービクル式以外の蓄電池設備・同非常電源専用受電設備又は建築物等(発電設備を屋外に設ける場合に限る。)から、1m以上離れている位置に設置
スプリンクラー設備の消火ポンプと自家発電設備の搬入
◎ 屋外の消火ポンプ室へユニットを搬入
ちなみに、クレーンで物を吊る “玉掛け” は「玉掛作業者」という玉掛け技能講習等を修了した者でなければ従事できません。
玉掛け‥直接あるいはワイヤーロープなどで荷物をクレーンなどのフックに掛ける作業のこと。ワイヤーなどを掛ける場合はもちろん、外す場合も玉掛け作業に含まれるので、荷物の移動先で掛けた人間と違う人間がワイヤーを外すような場合は外す作業にも資格が必要となる。
消火ポンプの設置場所
消火ポンプは法令上「加圧送水装置」といい、設置場所については大阪市の消防用設備等に関する運用基準 第2節 屋内消火栓設備 第4 加圧送水装置等の項目上にて以下の通り謳われています。
不燃専用室(不燃材料で区画された機械換気設備の機械室・ポンプ室等で、火災の発生のおそれのある設備又は機器等が設置されていないものをいう。)若しくは不燃材料で有効に遮蔽されている場所又は屋外(主要構造部を耐火構造とした建築物の屋上を含む。)に設ける。
なお、屋外に設置する場合は、防滴措置として不燃材料の箱内に収納すること 。
不燃材料とは‥?
不燃材料については、国土交通省告示第1178号にて以下に定めるものとされています。
不燃材料の一覧
- コンクリート
- れんが
- 瓦
- 陶磁器質タイル
- 繊維強化セメント板
- 厚さが3mm以上のガラス繊維混入セメント板
- 厚さが5mm以上の繊維混入ケイ酸カルシウム板
- 鉄鋼
- アルミニウム
- 金属板
- ガラス
- モルタル
- しっくい
- 石
- 厚さが12mm以上のせっこうボード(ボード用原紙の厚さが0.6mm以下のものに限る。)
- ロックウール
- グラスウール板
参考建築基準法と消防法では「内装制限」の範囲が違います【屋内消火栓】
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◎ キュービクル式の自家発電設備も搬入
スプリンクラー設備の設置義務が生じている建物には、多くの場合に自家発電設備がセットで設置されます。
スプリンクラー設備用の非常電源設置基準
スプリンクラー設備用の非常電源については、消防法施行規則第12条〔屋内消火栓設備に関する基準の細目〕第4項にて以下の通り謳われているものを準用します。
非常電源は、非常電源専用受電設備・自家発電設備・蓄電池設備又は燃料電池設備とする。
特定防火対象物で延べ面積が1,000㎡以上のものにあっては、自家発電設備・蓄電池設備又は燃料電池設備)とする。
自家発電設備(キュービクル式)の設置基準
自家発電設備は、運転に伴う騒音・振動・排気や引火する恐れのある燃料を使用することから、消防法施行規則第12条〔屋内消火栓設備に関する基準の細目〕において設置場所の条件が以下のように定められています。
自家発電設備(キュービクル式)の設置基準
屋内の場合‥不燃材料で区画された発電設備室に設ける。
屋外・耐火構造の屋上の場合‥発電設備の前面に1m以上の空地を有し、かつ、他のキュービクル式以外の蓄電池設備、同非常電源専用受電設備又は建築物等(発電設備を屋外に設ける場合に限る。)から、1m以上離れている位置に設ける。
◎ 変電設備(キュービクル式)の搬入
キュービクル式の変電設備は、消火ポンプおよび自家発電設備の搬入が終わった後に電気屋さんとバトンタッチしました。
消火ポンプおよび自家発電設備の搬入は、計画的に!
◎ まとめ
- 新築の福祉施設なら毎年1ケタ以上の施工実績より、スプリンクラー設備と自家発電設備の設置基準及び不燃材料について解説した。
- 消火ポンプ室は不燃材料で作られた消火ポンプ室に設置、自家発電設備(キュービクル式)は発電設備の前面に1m以上の空地を有し、かつ他のキュービクル式以外の蓄電池設備・同非常電源専用受電設備又は建築物等から1m以上離れている位置に設置することに留意すべきであった。
- 特定防火対象物で延べ面積が1,000㎡以上のものにあっては、自家発電設備・蓄電池設備又は燃料電池設備)とするが、延べ面積1,000㎡以下であれば「水道直結式スプリンクラー設備」の設置対象となる建物になる為、そもそも非常電源が無いケースも多々あった。