これから消防設備士の試験を受ける方、既に消防設備士の免状を取得して業務に従事されている方も今一度、確認しておきましょう!
加圧方式の区分による整備の順序
1 加圧式の消火器(化学泡消火器以外)
(1) 排圧栓のあるものは開き、容器内圧を完全に排出する。
(2)キャップを外し、加圧用ガス容器等を取り出す。
(3)消火薬剤を別の容器(ポリバケツや、ポリ袋等)に移す。
(4)エアーブロー等にて本体容器の内外を清掃し、本体容器内面及び外面に腐食又は防錆材料の脱落等がないかを確認する。
(5)ホース、加圧用ガス容器を取り外し、安全栓を引き抜く。
(6)粉上り防止用封板を取り外す。
(7)本体容器内を水道水で満水にし、レバーを握ったままの状態で、キャップを締める。
(8)ホース接続部に耐圧試験用接続金具を加圧中に外れることのないよう確実に接続する。
(9)保護枠等を消火器にかぶせ、耐圧試験機を接続する。
(10)耐圧試験機を作動させ、各締め付け部及び接続部からの漏れがないことを確認しながら本体容器に表示された耐圧試験圧力値 (「消火器の技術上の規格を定める省令」第12条第1項第一号に規定する試験に用いた圧力値。以下「所定の水圧」という。)まで、急激な昇圧を避け、圧力計で確認しながら徐々に昇圧する。
(11)所定の水圧を5分間かけて、変形、損傷又は漏れのないことを確認する。
(12)耐圧試験機の排圧栓から水圧を排除し、圧力計の指針が「0」になったのを確認してから本体容器内の水を排水する。
(13)本体容器等の水分をウエス又はエアーブロー等で除去する。
※ 粉末消火薬剤にあっては水分が禁物であるので、乾燥炉等で十分に乾燥させ、本体容器内・サイホン管内・ガス導入管及び キャップ部分等に水分がないことを十分に確認すること。
(14)本体容器等に水分がないことを確認した後、部品等の組付け、消火薬剤の充填等を行う。
2 加圧式の消火器(化学泡消火器)
(1)キャップを外し、内筒を取り出す。
(2)消火薬剤を別の容器(A剤、B剤をそれぞれ別のポリバケツ等)に移す。
(3)本体容器の内外を水洗いし、本体容器内面及び外面に腐食又は防錆材料の脱落等がないかを確認する。
(4)ホースを取り外す。
(5)本体容器内を水道水で満水にし、キャップを締める。
(6)ホース接続部に耐圧試験用接続金具を加圧中に外れることのないよう確実に接続する。
(7)保護枠等を消火器にかぶせ、耐圧試験機を接続する。
(8)耐圧試験機を作動させ、各締め付け部及び接続部からの漏れがないことを確認しながら所定の水圧まで、急激な昇圧を避け、圧力計で確認しながら徐々に昇圧する。
(9)所定の水圧を5分間かけて、変形、損傷又は漏れのないことを確認する。
(10)耐圧試験機の排圧栓から水圧を排除し、圧力計の指針が「0」になったのを確認してから本体容器内の水を排水する。
(11)本体容器等の水分を、ウエス又はエアーブロー等で除去する。
(12)本体容器等に水分がないことを確認した後、部品等の組み付け、消火薬剤の充填等を行う。
3 蓄圧式の消火器
(1)指示圧力計の指針を確認する。
(2)排圧栓のあるものは開き、ないものは容器をさかさにしてレバーを徐々に握り、容器内圧を完全に排出する。(この時に指示圧力計の指針が円滑に作動するのを確認する)
(3)指示圧力計の指針が「0」になったのを確認してから、キャップを外す。
(4)消火薬剤を別の容器(ポリバケツや、ポリ袋等)に移す。
(5)エアーブロー等にて本体容器の内外を清掃し、本体容器内面及び外面に腐食又は防錆材料の脱落等がないかを確認する。
(6)ホースを取り外す。
(7)本体容器内を水道水で満水にし、レバーを握ったままの状態で、キャップを締める。
(8)ホース接続部に耐圧試験用接続金具を加圧中に外れることのないよう確実に接続する。
(9)保護枠等を消火器にかぶせ、耐圧試験機を接続する。
(10)耐圧試験機を作動させ、各締め付け部及び接続部からの漏れがないことを確認しながら所定の水圧まで、急激な昇圧を避け、圧力計で確認しながら徐々に昇圧する。
(11)所定の水圧を5分間かけて、変形、損傷又は漏れのないことを確認する。
(12)耐圧試験機の排圧栓から水圧を排除し、圧力計の指針が「0」になったのを確認してから本体容器内の水を排水する。
(13)本体容器等の水分をウエス又はエアーブロー等で除去する。
※ 粉末消火薬剤にあっては水分が禁物であるので、乾燥炉等で十分に乾燥させ、本体容器内・サイホン管内・ガス導入管および キャップ部分等に水分がないことを十分に確認すること。
(14)本体容器等に水分がないことを確認した後、部品等の組付け、消火薬剤の充填等を行う。
本体容器
所定の水圧をかけた場合において、変形、損傷又は漏水等がないこと。
キャップ
所定の水圧をかけた場合において、変形、損傷又は漏水等がないこと。
また、分解や組み立てのプロセスが複雑になってくると作業のやり忘れが発生しやすくなる為、確認する癖をつけておきましょう。
具体例
例:複数の蓄圧式消火器の排圧作業をA君が担当し、キャップを開ける作業をB君が担当した場合。
Bは排圧された消火器だと思いキャップを開けたら、思いっきりガスが吹き出す。
A:『排圧済みは、こちら側って言ったじゃないですか!』
B:『おー、そうだった。テヘペロ♪』
A・B:『うふふあはは~🌹』
‥って頭お花畑な物語で済めばいいですけど、実際は修羅場になるでしょう。
このような場合、B君は排圧されている確信があっても、作業前に指示圧力計が「0」であることを、今一度確認すれば防げます。
実務では消火器の構造だけでなく、作業場の状況や共同作業者の性格まで、あらゆることを考慮して取り組みます。
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それでは以下の消火器の「整備」に関する消防設備士試験の過去問にチャレンジして、これまでの内容が頭に入っているかを確認しましょう!
消防設備士試験の過去問(点検・整備)
蓄圧式消火器の気密試験について、適当でないものは次のうちどれか。
- 消火器本体内に水を満たし、キャップを締め、各部からの漏れを確認する。
- 充てん用圧力容器に付属している圧力調整器の二次側圧力計の指針の降下状況で判別できる場合もある。
- 消火器のバルブ、パッキン等から漏れを発見した場合、これを整備し、再組立ての上、再度気密試験を行わなければならない。
- 再充てんしたものを水槽内に浸漬し、各部からの漏れを確認する。
蓄圧式消火器の分解について、誤っているものは次のうちどれか。
- 排圧栓のあるものは、これを徐々に開いて内圧を排圧する。
- 排圧栓のないものは、キャップをあける。
- 排圧しながら指示圧力計が円滑に0に戻るか確認する。
- 排圧後キャップを開け、バルブ・レバーの部分を取り外す。
消火器使用後の消火薬剤の充てん等について、誤っているものは次のうちどれか。
- 化学式消火器にあっては、消火器内で消火薬剤を溶かさないこと。
- 蓄圧式の粉末消火器を再充填する前には、除湿された圧縮空気または窒素ガスで十分清掃すること。
- 粉末消火器にあっては、消火薬剤の残量があれば取り出し、新しい消火薬剤を充てんすること。
- 加圧式の粉末消火器にあっては、加圧用ガス容器を取り付けた後、必ず安全栓を起動レバーにセットしておくこと。
消火薬剤の充てん上の注意事項として、最も不適当なものは次のうちどれか。
- 蓄圧式の強化液消火器は、規定量の薬剤を入れ、窒素ガスで規定値まで加圧する。
- 加圧式の粉末消火器は、規定量の薬剤を入れ、加圧用ガス容器および粉上り防止封板を取り付けた後、安全栓を起動レバーにセットする。
- 二酸化炭素消火器にあっては、高圧ガス保安法に基づく許可を受けた専門業者に充てんを依頼する。
- 化学泡消火器にあっては、消火器内で消火薬剤を溶かさないこと。
次の文は全量放射しなかったある消火器の使用後の整備の一部について説明したものであるが、この説明から考えられる消火器の名称として、正しいものはどれか。
「消火器を逆さにし、残圧を放出して乾燥した圧縮空気等によりホースおよびノズルをクリーニングした。」
- 化学泡消火器
- 二酸化炭素消火器
- 強化液消火器
- 粉末消火器
消火器の加圧用ガス容器について、最も不適当なものは次のうちどれか。
- 作動封板を有するものを使用した場合は、同じ容器記号のものと取り替える。
- 容器弁付きのものを使用した場合は、専門業者に依頼してガスを充てんする。
- 内容積が100c㎥以下のものは、すべて液化炭酸ガスを使用している。
- 内容積が100c㎥を超えるものは、窒素ガスまたは液化炭酸ガスを使用している。
消火器の点検整備に関する注意事項として、誤っているものは次のうちどれか。
- キャップを開けるときには、容器内の残圧を排除した後に開ける。
- キャップを開けるときには、専用の機具を使用する。
- 合成樹脂製の容器または部品の清掃には、よく汚れが落ちるようにシンナーなどの有機溶剤を使用する。
- 本体容器に著しい腐食のあるものは破棄とする。
消火器の点検整備に関する注意事項として、誤っているものは次のうちどれか。
- キャップの開閉には、クランプ台、キャップスパナなどの専用機具を使用する。
- 高圧ガスを使用する二酸化炭素消火器、ハロン1301消火器へのガスの充てんは、高度の技術を要するので、特類の消防設備士に依頼する。
- 粉末消火器およびハロゲン化物消火器の整備などには、水や湿気を含んだ圧縮空気は使用しない。
- 点検整備のため、所定の位置より消火器を持ち去る場合は、必ず代替えの消火器を設置する。
加圧式の消火器の点検結果に不良内容があった場合の対処方法について、最も不適当なものは次のうちどれか。
- ノズルおよびノズル栓を目視及び手で締め付けを行って確認したところ、ねじの緩みがあったので締め直した。
- 本体容器の内面に著しい腐食があったので、廃棄し取替えた。
- 窒素ガスを充てんし、作動封板により密封した加圧用ガス容器の総質量を秤で測定したところ、表示充てんガス量の−15%であったので、窒素ガスを充てんした。
- 本体容器を目視により確認したところ、著しい変形があり機能上支障のおそれがあるため、廃棄し取替えた。
加圧式の粉末消火器の点検、整備等について、最も不適当なものは次のうちどれか。
- 加圧用ガス容器の取付けねじには、右ねじのものと左ねじのものがあるので、これに注意して分解と組立てを行った。
- 放射機構が開放式のもののノズル栓に破損が見受けられたので、加圧用ガス容器の封板およびガス量、消火薬剤量および性状を点検した。
- 消火薬剤が固化している部分があったので詰め替えた。
- 変形と腐食のため廃棄と判定されたので、設置することをやめ、消火訓練用に保管することにした。
消火器の点検または整備について、正しいものは次のうちどれか。
- 強化液消火器の指示圧力計の指針が緑色の上限を超えていた場合は、指示圧力計の作動を点検しなければならない。
- 化学泡消火器のキャップでポリカーボネート樹脂製のものについては、点検時に油汚れが認められた場合、シンナー又はベンジンで掃除しなければならない。
- 蓄圧式粉末消火器の蓄圧ガスの充てんには、必ず二酸化炭素を使用しなければならない。
- 加圧用のガスとしては、空気、二酸化炭素または窒素ガスが使用されるが、機器点検でそれらの充てん量を調べるには、空気および窒素ガスの場合は質量を測定し、二酸化炭素の場合は圧力を測定する。
消火器の点検・整備等について、最も不適切なものは次のうちどれか。
- 本体容器の腐食部分を紙やすりで処理したところ、さらに深い箇所で腐食があったため、紙やすりで完全に除去できるまで処理し整備した。
- 反応式化学泡消火器のキャップは、一般に合成樹脂製であることから、有機溶剤、中性洗剤を除いたもので洗浄し整備した。
- レバーに安全栓を装着した後、安全栓がセットされた状態で固定され、安全栓を解除した状態で円滑に作動することを点検・整備した。
- 消火薬剤に沈殿物があったため、消火薬剤を交換し、整備した。
蓄圧式消火器の整備の方法で、正しいものは次のうちどれか。
1 ホース、ノズルが一体的に組み込まれているものは、ノズルを取り替える場合、ノズルを既存のホースに差し込んだ上から金具で固定して取り替える。
2 消火薬剤の質量、容量が規定量ないものは、新しい消火薬剤と古い消火薬剤を混ぜないために、必ず新しい消火薬剤に詰め替える。
3 レバーの作動確認は、組み立てたまま行うとバルブが開いたりして誤放射することがあるので、整備をする前に、内圧を排出してから行う。
4 指示圧力計には、使用圧力範囲、圧力検知部の材質記号および蓄圧ガスの種類が明示されており、指示圧力計を取り替える際には指示されているものを使用する。
化学泡消火器の整備について、誤っているものは次のうちどれか。
- 消火薬剤水溶液に変色や異臭があるのは、老化や腐敗のためであるから、ただちに新しいものと詰め替えること。
- 消火薬剤は、原則として1年に1回交換すること。
- 消火薬剤水溶液を作るときは、消火薬剤に水を少しずつ注ぎながらかき混ぜて溶かすのが最もよい。
- キャップパッキンやエルボパッキンは、傷みやすいので、損傷しているものは、すみやかに交換すること。
消防設備士「過去問テスト」は、その名の通り“過去に出た問題” のテストです。
ブログでお馴染みの管理人が過去問に関する情報収集を積み重ね、その中からピックアップして過去問ベースの模擬試験を作成したものです。
上記以外に新傾向問題の情報など提供あり次第、解説を毎年追記して更新しています。これから消防設備士の試験を受けられる方は是非ご覧下さい。