中身が「ピンク色の粉」の消火器が主流なんです!
これから消防設備士の試験を受ける方、既に消防設備士の免状を取得して業務に従事されている方も今一度、確認しておきましょう!
粉末消火器とは
現在において粉末消火器は、最も普及している消火器です。
英語では“Dry Chemical Fire Extinguisher”(ドライ・ケミカル・ファイヤー・エクスティングウィッシャー)といいます。
加圧式と蓄圧式
粉末消火器は「加圧式」と「蓄圧式」の2種類があります。
加圧式粉末消火器は本体容器が劣化すると破裂する危険性がある為、現在は蓄圧式粉末消火器が主流です。
加圧式消火器の構成部品の役割
加圧式に設けられているカッターは、加圧ガス容器の封板を破りガスを通気させるものです。
紙パックの牛乳などに先端を斜に切ったストローを、差込口に『プスッ』っとするのと似ています。
加圧式粉末消火器の放射
加圧式粉末消火器が放射する際の動作は、以下の通りです。
- カッターがガス容器封板を破り、ガス導入管にガスが流れる。
- ガスの勢いで、逆流防止装置が開く。
- 加圧された薬剤が粉上り防止封板を破く。
- 放射口に薬剤が送られる。
蓄圧式粉末消火器には、これらの加圧ガス導入管やガス導入管に設けられる逆流防止装置も当然ありません。
蓄圧式粉末消火器の開閉バルブ
蓄圧式粉末消火器は本体容器内にガスが充填されており、レバーを握ることで開閉バルブが開いて薬剤が放射されます。
蓄圧式粉末消火器は開閉バルブにて外気と遮断されているので、加圧式粉末消火器のようにサイホン管に粉上り防止封板を付けることもないです。
充てんガスには窒素のみ可能です(※圧縮空気で充てんすると圧縮空気内の酸素が火災の燃焼を促進させることになるので、粉末消火器の圧力源には圧縮空気を使用することはできません。)。
粉末消火器の使用温度範囲
蓄圧式の粉末消火器の使用温度範囲は−30℃〜40℃です。
マツ毛が凍るほどの寒冷地でも使用できます。
粉末消火器の適応火災
リン酸塩類等が主成分のものならA・B・C火災全てに適応します。
粉末消火薬剤の分類
粉末消火薬剤は以下の表のように第1種から第4種に分類されています。
種 別 | 消火剤の主成分 | 一般的呼称 | 適応火災 | 着色 |
第1種 | 炭酸水素ナトリウム(Na) | 重曹薬剤 | B・C | 白色または淡緑色 |
第2種 | 炭酸水素カリウム(K) | カリ薬剤 | B・C | 紫色 |
第3種 | リン酸塩類等(ABC) | ABC薬剤 | A・B・C | 淡紅色 |
第4種 | 炭酸水素カリウムと尿素の反応物(KU) | モネックス | B・C | 淡青色または灰色 |
注)りん酸塩類等を除く他の消火薬剤の着色は、日本消火器工業会の自主基準によるものです。
粉末消火薬剤の種類は暗記しよう!
消防設備士乙6の試験では主成分の化学物質名や薬剤の色などが出題される事もある為、正確に暗記しておいたほうが良いでしょう。
それでは以下の「粉末消火器」に関する消防設備士試験の過去問にチャレンジして、これまでの内容が頭に入っているかを確認しましょう!
消防設備士試験の過去問(構造・機能)
粉末消火器の消火薬剤と適応火災の組合せで、正しいものはどれか。
- 白色の粉末消火薬剤 A火災、B火災
- 淡紅色の粉末消火薬剤 A火災、B火災、C火災
- ねずみ色の粉末消火薬剤 A火災、C火災
- 紫色の粉末消火薬剤 C火災のみ
粉末消火器の消火薬剤の性状及び適応性について、誤っているものは次のうちどれか。
- リン酸アンモニウムを主成分とした微粉末で、A火災、B火災及び電気火災(C火災)に適応する。
- 炭酸水素ナトリウムを主成分とした微粉末で、B火災及び電気火災(C火災)に適応する。
- 炭酸水素カリウムを主成分とした微粉末で、A火災及びB火災にのみ適応する。
- 炭酸水素カリウムと尿素の化学反応した生成物を主成分とした微粉末で、B火災及び電気火災(C火災)に適応する。
粉末消火器の消火薬剤名と消火薬剤の成分の組合せとして、正しいものは次のうちどれか。
- 粉末(ABC) 炭酸アンモニウムを主成分としたもの
- 粉末(K) 水酸化カリウムを主成分としたもの
- 粉末(KU) 水酸化カリウムと尿素の反応物を主成分としたもの
- 粉末(Na) 炭酸水素ナトリウムを主成分としたもの
粉末消火器(蓄圧式)の構造について、最も不適当なものは次のうちどれか。
- 放射圧力源として、圧縮ガスが充てんされている。
- 使用圧力範囲は、0.7~0.98MPaである。
- 容器内にはサイホン管が設けられている。
- サイホン管の内部で粉末が詰まることを防止するため、粉上り防止のための装置が装着されている。
蓄圧式粉末消火器について、誤っているものは次のうちどれか。
- 使用温度範囲は、−30〜+40℃である。
- 蓄圧ガスは、圧縮空気である。
- 指示圧力計の緑色範囲は、0.7MPa〜0.98MPaである。
- 指示圧力計の取付けが義務付けられている。
粉末消火器(蓄圧式)の使用圧力の範囲として、最も適正なものは次のうちどれか。
- 0.6MPa以上〜0.85MPa未満
- 0.7MPa以上〜0.85MPa未満
- 0.7MPa以上〜0.98MPa未満
- 0.8MPa以上〜0.98MPa未満
蓄圧式の粉末消火器の構造又は機能について、最も不適当なものは次のうちどれか。
- レバーを握ることにより作動して、消火薬剤の放射を開始することができる。
- 内部圧力を示す指示圧力計が、取り付けられている。
- サイホン管の先端に逆流防止装置が、取り付けられている。
- 消火薬剤が、鋼板製、ステンレス鋼板製等の本体容器内に、圧縮された空気、窒素ガス等とともに充てんされている。
蓄圧式粉末消火器の構造又は機能について、正しいものは次のうちどれか。
- 放射圧力源は、一般に二酸化炭素が用いられている
- 使用圧力範囲は、0.5〜1.0MPaの範囲とされている。
- レバー操作で放射停止できるように、開閉バルブが設けられているものがある。
- サイホン管の内部に消火薬剤が詰まらないように、サイホン管の先端に粉上り防止用封板が設けてあるものがある。
手さげ式ガス圧粉末消火器の説明で誤っているものは次のうちどれか。
- 加圧用ガス容器が装着されている。
- 上レバーに連動し加圧用ガス容器の封を開封できるようカッターが付いている
- サイホン管の下部には逆流防止装置が取り付けられている。
- ガス導入管の先端には逆流防止装置が取り付けられている。
手さげ式ガス加圧粉末消火器の構造について、誤っているものは次のうちどれか。
- 使用温度範囲は−10℃または−20℃〜40℃である。
- 開閉バルブ式のものには使用済み表示装置の取付が義務付けられている。
- 開閉バルブ式は、薬剤が残っている間は何回でも使用可能である
- 開放式は放射を中断できないもので、全量放射する。
粉末消火器の付属品の機能について次のうち誤っているものはどれか。
- 加圧用ガス容器のガスは、放射時に薬剤を加圧かくはんし、放射させるものである。
- ガス導入管は、加圧ガスを本体容器内に噴射させるものである。
- ガス導入管の先端に粉上がり防止封板が取り付けられていて管内での薬剤の詰まりを防止している。
- 開閉バルブには、加圧用ガス容器を開封するカッターが付いており、レバーを握ったとき加圧用ガス容器の封を開封しバルブが開く、レバーを離したときに消火薬剤の放射を停止するものである。
ガス加圧式粉末消火器の構成部品で、省令で取付を義務付けているものは次のうちどれか。
- 減圧孔または減圧溝
- 逆流防止装置
- 粉上り防止用封板
- 排圧栓
ガス加圧式粉末消火器の構成部品で、省令で取付を義務付けているものは次のうちどれか。
- 減圧孔または減圧溝
- 逆流防止装置
- 粉上り防止用封板
- 排圧栓
大型粉末消火器(ガス加圧式)の構造について、最も不適切なものは次のうちどれか。
- 使用する場合に、二酸化炭素加圧のものは押し金具を押してガスの封板を破り、ガスを本体容器内に導入して加圧放射する。
- 使用する場合に、窒素ガス加圧のものはガス容器のハンドルを回してバルブを開き、ガスを本体容器内に導入して加圧放射する。
- ノズルは開閉式でノズルレバーの操作により放射及び放射停止ができる。
- 加圧用ガスとして小容量のものには窒素ガスが、大容量のものには二酸化炭素が用いられる。
粉末消火器 (大型を除く。) の構造について、一般的でないものは次のうちどれか。
- ガス加圧式の本体容器内には、ガス導入管・サイホン管がセットされ、それらの先端には、薬剤の詰まりを防止する装置としてろ過網および粉上り防止封板が装着されている。
- 蓄圧式は、本体容器内に消火薬剤が窒素ガスとともに充てんされ、レバー式の開閉バルブが装着されている。
- ガス加圧式には、レバーの操作で放射および放射停止ができる開閉バルブ式と、放射停止ができないで全量放射する開放式がある。
- 蓄圧式は、内部圧力を示す指示圧力計が取り付けられてあり、使用圧力範囲が示されている。
参考【消防設備士】基礎的知識(機械)の過去問まとめ【解答・解説つき】
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消防設備士「過去問テスト」は、その名の通り“過去に出た問題” のテストです。
ブログでお馴染みの管理人が過去問に関する情報収集を積み重ね、その中からピックアップして過去問ベースの模擬試験を作成したものです。
上記以外に新傾向問題の情報など提供あり次第、解説を毎年追記して更新しています。これから消防設備士の試験を受けられる方は是非ご覧下さい。