旋盤の使い方マニュアル
⓪旋盤とは‥
工業高校や高専出身者は機械工作実習などで「旋盤」を扱うタイミングがありますが、まず殆どの方々は「旋盤」をご存知ないでしょう。
旋盤とは‥
旋盤‥被切削物を回転させ、固定されているバイトと呼ばれる工具で切削加工をする工作機械の一つ。
※ちなみに弊社で所有している旋盤はレッキス工業のN100AーTCという機種です。
固定した配管を回転させて、超硬カッターや切削バイト(刃)と当てることで配管を切ることができます。
焼入れ‥金属を所定の高温状態から急冷させる熱処理のこと。焼入れを行うことにより、鉄鋼材を硬くして、耐摩耗性や引張強さ、疲労強度などの強度を向上させることができる。
参考焼入れ wikipedia
では続いて、具体的な旋盤の使い方について解説していきます。
①旋盤の電源確保
消防設備士は主に工事現場で作業する為、持ち運んだ旋盤の電源を確保しなければなりません。
旋盤の電源は100V?200V?
弊社所有の旋盤は100Vか200Vかを選べる仕様になっていますが、これは絶対に200Vを使用した方が良いです。
200Vの電源を取る方法
工事現場にある単相3線式の仮設分電盤から、以下の通り “黒” と “赤” に繋げば単相200Vの電源が確保可能です。
単相3線式って‥
「単相3線式」は3本の電線のうち真ん中の中性線と上または下の電圧線を利用すれば100V、中性線以外の上と下の電圧線を利用すれば200Vが利用できます。
②配管の切断
まず配管の長さを測りとって、カットしていきます。
注意
※超硬カッタの刃は部材に乗せるだけでOKです、押さえつけると刃が悪くなります。
超硬カッターの刃交換
消耗品である超硬カッターの刃は、簡単に交換することが可能です。
刃先が丸くなってくると、配管がカットされなくなったり断面が荒くなってしまいます。
③配管ねじ切り
配管をカットしたら、次に配管を接続する為の “おねじ” を切っていきます。
Q. 雄ネジ(おねじ)と雌ネジ(めねじ)の違いは?
雄ネジ・・・外周にネジが切られている(例:ボルトなど)
雌ネジ・・・内周にネジが切られている(例:ナットなど)
参考HOZAN㈱、もの作りのための機械設計工学
ねじ切り手順
旋盤を用いたねじ切り加工の手順は大まかに以下の通りです。
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1配管の呼び径に適したバイト(刃)をセット
呼び径とは‥
配管の大きさを表す呼び径には、単位mmを基準にした “A呼称” とインチを基準にした “B呼称” があります。
A呼称における25Aが、B呼称では1となります。
配管の径を呼ぶ際にはA呼称を用いることが多いのですが、使っている旋盤の標示にはB呼称が用いられています。
よって例えば50Aだと2、65Aだと2・1/2、100Aだと4といった具合に変換する必要があります。
また、旋盤のバイトが固定されている部分は25~50Aまでのものと、65A~100Aのもので分かれています。
もし50Aの配管を切った後に65Aの配管を切る必要がある場合は、このバイトの固定された部分を交換して作業を行います。
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2配管を旋盤に差し込んで固定
※この時『カチィーン!』という快音が鳴り響く様に旋盤の配管ロックをしないと、配管がブレる恐れがあります。
また、配管が長くて重いと傾いてしまったり取扱いが難しい為、受け台を用いることをオススメします。
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3ねじ切り幅とバイト(刃)の間隔をセット
※この写真は65Aの配管を切る時に撮影した為、2・1/2にセットされています。
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4旋盤の電源をONにしてハンドル操作でバイトを配管に当てる
バイトが配管に噛むと、シャリシャリねじ切りが進んでいきます。
切削油の量に注意
ねじ切り作業を進めていくと、蓄積された切粉が詰まって循環している切削油の量が減少してきます。
バイトを傷める原因となり、ねじ切りが困難となってしまうので詰まり解消と油の補給は定期的に行いましょう!
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5ねじ切り成功
切削油をウエスで綺麗に拭き取れば、配管工事に使用可能な配管の完成です!
④100Aは二度切りが基本!
100Aの配管はゴツイこともあって、ねじ切りを二回に分けて行うモードがあります。
そして、100Aの配管ねじ切りをする場合は必ず二度切りをすることがオススメされます。
一度切りは使用禁止!
旋盤には100Aも “4” の標示のみである一発切りモードがありますが、原則これは使用しません。
何故か‥それは一発切りをすると「失敗しやすいから」です。
二回に分けず、一回でやろうとすると切ったねじ山が潰れていたりして上手く入らない様なことが起こりやすいのです。