※本記事は、公文書開示請求によって入手した参考資料の内容に基づいて作成しています。
参考公文書開示請求で消防署の内部資料を入手する方法【東大阪市の場合】
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パッケージ型消火設備って?
今回、弊社があります大阪市平野区の隣に位置する東大阪市の “屋内消火栓設備に係る指導方針” を例にパッケージ型消火設備の設置基準や特例について解説していきます!
消防署によって緩和規定は異なります!
消防法の取扱いは市町村によって異なってもよいことが、消防法第17条の第二項にて以下の通り明確に謳われています。
○2 市町村は、その地方の気候又は風土の特殊性により、前項の消防用設備等の技術上の基準に関する政令又はこれに基づく命令の規定のみによっては防火の目的を充分に達し難いと認めるときは、条例で、同項の消防用設備等の技術上の基準に関して、当該政令又はこれに基づく命令の規定と異なる規定を設けることができる。
どうか当ブログの内容を都合よく解釈して『アッチのショーボーではよかったのに、コッチは何でアカンねん!』等と、たまに予防課窓口でみかけるモンスタークレーマーに化けることの無いように「事実」と「感情」を切り分けて論理的かつ建設的な消防法遵守の為の協議における参考程度までにご利用下さいませ。
【屋内消火栓】パッケージ型消火設備の特例設置基準【東大阪市】
◎ 東大阪市について
東大阪市は大阪市平野区と繋がっており、ものづくりの町であるため「(12)項イ 工場」の建物用途が多い土地柄です。
我々の拠点である大阪市平野区についても、東大阪市方面に近づくほど「(12)項イ 工場」が増えていきます。
参考【消防法施行令別表第一】大阪市平野区の防火対象物の用途ランキング
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主に以下の要因で延べ面積が増えた為、屋内消火栓設備の設置義務が生じることが多いです。
古くからの建物の中に中二階を作る
増築で建物構造の扱いが変わる
隣同士の建物をくっつける
現在、屋内消火栓設備の設置義務が生じているにも関わらず未設置状態で放置されている建物への指導が強化されている印象です。
◎(特別)立入検査結果報告書
お客様の元へ、以下の様な “(特別)立入検査結果報告書” が所轄消防署より届いていました。
通常の立入検査結果報告書と異なり、この “(特別)” と記載された立入検査結果報告書は以下の設備が未設置の場合に発行されます。
- スプリンクラー設備
- 屋内消火栓設備
- 自動火災報知設備
上記の設備が未設置の建物は「重大違反」扱いとなる為、重点的に指導されます。
東大阪市では以下の指導方針に基づき、指導されている屋内消火栓設備の設置をパッケージ型消火設備で代替できるか判断されています。
◎ 東大阪市の「屋内消火栓に係わる指導方針」
東大阪市における屋内消火栓設備およびパッケージ型消火設備の設置指導フローチャートは以下の通りです。
こちらは公文書開示請求により入手した東大阪市消防局「内部資料」の内容に基づき、その指導内容を鑑みて作成したフローチャートです。
【✍追記】所轄消防署によって指導内容が異なります!(令和4年1月21日)
現在、東大阪市西消防署および東大阪市東消防署でもパッケージ型消火設備の設置案件を担当しているのですが、こちらのフローチャートの内容で指導しているのは東大阪市中消防署のみであることが分かりました。
従って、例規通達や部長通知の「重大違反に係わる消防法令違反以外の不備事項について改善する」や「無窓階の場合に煙感知器を設置する」等は東大阪市西消防署および東大阪市東消防署では指導されません。
続いて設置基準の詳細を記していきます。
H16告示って?
まずフローチャート左上の菱形内に記載されている “H16告示” についてですが、こちら普通にパッケージ型消火設備の設置基準を満たせるかどうかの判断基準になります。
そもそもパッケージ型消火設備は以下の通りH16告示で建物の用途や階数および延べ面積によって設置基準が規定されており、屋内消火栓設備の代替設備としてパッケージ型消火設備が設置できない場合もあるのです。
参考パッケージ型消火設備の施工、H16告示_パッケージ型消火設備の設置及び維持に関する 技術上の基準を定める件
上記の設置基準が障壁となってパッケージ型消火設備が設置できない場合、次の緩和規定における条件に該当できるかどうかが判断されます。
H13局例規通達13号って?
パッケージ型消火設備の取扱いについて( H13局例規通達13号)からは東大阪市消防局の内部規定の為、窓口では詳しくは教えてもらえません。
今のところ所轄消防署によっては公開されていない情報に基づいて指導が行われている実態がありますので、正確なルールを把握する為には公文書開示請求をする必要があります。
参考平成3年 消防局例規通達第13号 パッケージ型消火設備の取り扱いについて
こちらの例規基準における緩和規定ではパッケージ型消火設備がH16告示で設置できないケースでも、以下の場合であれば設置できると謳われています。
※増築・改築・用途変更等のみ
耐火・準耐火‥延べ面積1,500㎡以下
その他‥延べ面積1,000以下
地階・無窓階または4F以上の階の面積合計700㎡以下
上記に該当できた場合、緩和申請をした後に “重大違反に係わる消防法令違反以外の不備事項について改善する” ことで屋内消火栓設備ではなくパッケージ型消火設備を設置できる可能性が認められます。
通常の立入検査結果報告書
今回、上述した(特別)立入検査結果報告書によって “屋内消火栓設備を設置すること。” が指導されていましたが、それに加えて通常の立入検査結果報告書に他の是正項目が指導されている可能性があります。
もし “屋内消火栓設備を設置すること。” 以外にもハードルの高い是正項目があると、緩和規定を適用したパッケージ型消火設備の設置も難しくなります。
参考【記入例】消防用設備等の設置義務は特例申請で緩和できます【令32条】
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【✍追記】所轄消防署によって指導内容が異なります!(令和4年1月21日)
現在、東大阪市西消防署および東大阪市東消防署でもパッケージ型消火設備の設置案件を担当しているのですが、こちらのフローチャートの内容で指導しているのは東大阪市中消防署のみであることが分かりました。
従って、例規通達や部長通知の「重大違反に係わる消防法令違反以外の不備事項について改善する」や「無窓階の場合に煙感知器を設置する」等は東大阪市西消防署および東大阪市東消防署では指導されません。
R2 部長通知って?
H13局例規通達13号に基づく緩和規定も適用できなかった場合、最終手段として “H16.6.1以降に建築された建物” であれば “R2 部長通知” が適用できるかが検討されます(※H16.6.1以降の建物であれば「詰み」です、屋内消火栓設備を設置しましょう)。
東大阪市消防局のパッケージ型消火設備の緩和規定に係る “R2 部長通知” 内の文言は以下の通りです。
重大違反に係わる消防法令違反以外の不備事項について改善する。
無窓階の場合は、火災の際に有効開口部の確保又は排煙上有効な措置を行う、煙感知器を設置する等、火災を想起に発見する為の安全措置を講ずる。
その他、防火対象物の業態や収容人員・内容物・防火管理状況等により、火災の発生または延焼のおそれが著しく少なく、かつ火災等の災害による被害を最小限度に止めることができると認められるか、慎重に判断される。
無窓階については自動火災報知設備の感知器を “煙感知器” にすること、そして最終的には “火災の発生または延焼のおそれが著しく少なく、かつ火災等の災害による被害を最小限度に止めることができる” と消防側の目線で認められればパッケージ型消火設備の設置が例外的に認められる可能性があるのです。
【✍追記】所轄消防署によって指導内容が異なります!(令和4年1月21日)
現在、東大阪市西消防署および東大阪市東消防署でもパッケージ型消火設備の設置案件を担当しているのですが、こちらのフローチャートの内容で指導しているのは東大阪市中消防署のみであることが分かりました。
従って、例規通達や部長通知の「重大違反に係わる消防法令違反以外の不備事項について改善する」や「無窓階の場合に煙感知器を設置する」等は東大阪市西消防署および東大阪市東消防署では指導されません。
東大阪市の建物へ屋内消火栓設備の設置が指導された際は、事前にパッケージ型消火設備で代替できないかを調べましょう!
◎ まとめ
- 東大阪市の “屋内消火栓設備に係る指導方針” を例にパッケージ型消火設備の設置基準や特例について解説した。
- 実際に管理人が東大阪市内の予防課でパッケージ型消火設備の設置について協議を行った際、担当者様の指導に基づいて手書きのメモを取った内容をフローチャートにした。
- 最終手段として “H16.6.1以降に建築された建物” であれば “R2 部長通知” が適用してパッケージ型消火設備が設置できるかどうかが例外的に検討された。