お客様より、以下の様な質問を頂くことがあります。
消防点検に関する罰則を受ける場合について、主に以下の3つがあると調べられました。
- 虚偽の報告をした
- 点検結果報告をしていない
- 措置命令違反
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上記以外に罰則が無いので、例えば‥非特定防火対象物については3年に1回の報告時期に総合点検のみを済ませれば(半年に1回の機器点検はしなくても)罰則は適用されないのではないでしょうか?
不特定多数の人が出入りする建物を「特定防火対象物(例:ホテルとか病院など)」といい、それ以外を「非特定防火対象物(例:共同住宅や事務所など)」といいます。
要は「報告」がされていない場合の罰則はあるが、点検の「未実施」については罰則が設けられていないのでは?‥と指摘されています。
消防法に基づく点検「報告」の義務と、点検「実施」の義務について区別して話を進めている点について、ご留意下さいませ。
建物オーナー様や管理会社さん等も、消防点検の実施および結果報告と罰則について知っておくと便利な場合あるでしょう。
消防点検が未実施だった場合の罰則は‥?
◎ 年2回の点検実施で質が担保されている?
まず、消防点検の実施と報告の周期について確認しましょう。
点検「実施」の周期
消防点検の実施周期
消防点検は2つに分かれており、以下の周期で実施することが消防法上で規定されています。
- 機器点検‥半年に1回実施
- 総合点検‥1年に1回実施
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総合点検は機器点検+αみたいな扱いである為、実質「消防点検は半年に1回する」といったルールになっています。
点検の実施義務に関する周期が上述した通りですが、その点検結果を所轄消防署へ報告する周期は異なります。
点検結果「報告」の周期
点検結果の報告周期
点検結果の報告時期は、建物用途が特定防火対象物(※不特定多数の人が出入りする建物)かどうかで異なります。
- 特定防火対象物‥1年に1回報告
- 非特定防火対象物‥3年に1回報告
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よって、消防点検を実施したからといって毎回所轄消防署へ報告書を提出しなくてもいいルールになっています。
この点検結果の「報告」を怠ったり、虚偽の報告をした場合には消防法 第44条〔罰則〕の十一が適用されて30万円以下の罰金又は拘留となる可能性があります。
特定防火対象物については1年に1回の総合点検が実施と同時に報告の義務も生じますが、非特定防火対象物については3年に1回しか報告義務が無い為、総合点検が実施されたかどうかを所轄消防署が把握しにくいのです。
◎ 点検未実施と認められた場合の罰則
点検の「未実施」における罰則については、防火管理者の選任義務がある建物かどうかで異なります。
防火管理者の選任義務がある建物
防火管理者の選任義務がある建物については、消防法施行規則 第3条〔防火管理に係る消防計画〕にて消防計画を作成することが規定されています。
もし3年に1回の報告がされていたとしても、消防用設備点検が年に2回実施されていなければ消防計画の内容に沿っていないとして消防法 第8条〔防火管理者〕の第4項にて謳われている防火管理業務が遂行されていないとして消防法 第41条〔罰則〕の第二項に該当する可能性があります。
消防法 第8条〔防火管理者〕の第4項の規定による命令に違反した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
所轄消防署の指導を無視し続けた結果、逮捕や書類送検される事例もあります。
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防火管理者の選任義務が無い建物
防火管理者の選任義務が無い建物については、点検未実施そのものに対しては罰則が設けられていません(※報告がされていない場合は罰則あり)。
所轄消防署への「報告」をしなくてもいいからといって点検「未実施」のままで済むわけでは無く、立入検査時に指導・措置命令に至る場合があるのです。
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◎ 赤ペン先生が発展途上な今
上述した通り、半年に1回の点検実施義務が規定されていても、それが適切に遂行されているかどうかを所轄消防署で全て把握することは難しい現状があります。
現在この様な事実が確認されてはいますが、プロが消防法に則ったサービスを提供することができ、その適切な対価を得られるという市場する為の取り組みも徐々に行われています。
点検推進指導員
月刊フェスクの2021.4月号と5月号に「点検推進指導員」という、消防署から委託されて適正な点検が推進されているかどうかを確認する人を設ける取り組みについて掲載されていました。
ロイヤルサファイア(消防査察隊)
上越地域消防局では違反是正アドバイザー・予防技術資格者および消防設備士などで構成されている「消防査察隊」による火災予防活動が行われています。
報告時期以外の点検未実施について罰則が適用されない場合もありましたが、査察等ありますし防火管理上も大切なことですから消防法の遵守お願い致します。
◎ まとめ
- 例えば非特定防火対象物については3年に1回の報告時期に総合点検のみを済ませれば(半年に1回の機器点検はしなくても)罰則は適用されないのではないかという質問を受けることがあった。
- 消防点検を実施しても毎回所轄消防署に報告しなくてもいいルールとなっており、防火管理者の選任義務がある建物であれば消防計画の内容に沿っていないことから消防署にて「防火管理業務適正執行命令」として点検実施を要請される場合があったが、防火管理者の選任義務がない建物の場合は立入検査時に指導・措置命令に至る場合があるのみで罰則がなかった。
- 現在は「報告」時期にのみ点検されていれば、その他の点検が「未実施」になっていてもバレにくい設定ではあるが、徐々に査察による違反処理や指導が強化されているので、だんだんマシな状況になっていた。
消防点検について
建物オーナー様