多忙な防火管理者さんが困っているというニーズがあり、消防設備士がサポートできる業務として以下の3つを掲げます。
防火管理業務サポート案3つ
- 消防用設備等の使用方法
- 消火・避難および通報訓練の補助
- 防災について(地震・洪水への対策や備蓄食料の準備など)
電子申請の普及で防火管理者の業務に関する責務が浮き彫りになってくる件については、前ブログ “防火管理者が電子申請をする近未来” を参照下さい。
【DX】消防関係書類のオンライン化で防火管理者が電子申請をする近未来
続きを見る
防火管理業務のサポート内容
◎ 消防用設備等の使用方法
まず一つ目は「消防用設備等の使用方法」等の周知に関するサポートについてです。
消防設備士がサポートできる「消防用設備等の使用方法」にまつわる話は以下の通りです。
消防設備士がサポートできること
- 消防用設備等に関する基本的な説明
- 非火災報(誤作動)時の対処方法について
- 火災発生時の消防用設備等の使用方法
これらについて建物関係者様に周知されることで「使える設備」となり、ただの置物ではなく消防用設備等の本来の価値が発揮されます。
◎ 消火・避難および通報訓練の補助
次に、二つ目は「消火・避難および通報訓練の補助」についてです。
訓練の実施については消防法施行規則 第3条〔防火管理に係る消防計画〕第10項にて、以下の文言が謳われています。
『令別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項、(九)項イ、(十六)項イ又は(十六の二)項に掲げる防火対象物の防火管理者は、令第三条の二第二項の消火訓練及び避難訓練を年二回以上実施しなければならない。』
つまり令別表の防火対象物のうち、特定防火対象物に配当する用途の建物には消火・避難訓練の実施義務があるということです。
訓練の種類と回数は?
消防法に基づく訓練には3つの種類があり、それぞれ内容と実施回数が以下の通り規定されています。
【🧯訓練種別と訓練回数】
種 別 | 内 容 | 訓練の回数 | |
特定防火対象物 | 非特定防火対象物 | ||
消火訓練 | 消火器や屋内消火栓を使用した初期消火の訓練 | 年2回以上 | 消防計画に定めた回数 |
避難訓練 | 建物内に発災を知らせ、避難・誘導及び避難器具の訓練 | ||
通報訓練 | 発災の確認後、建物内に周知して消防機関に通報する訓練 | 消防計画に定めた回数 |
◎ 防災について
そして三つ目として防火管理業務における「防災について」のサポートが行えることが挙げられます。
防火管理者の選任届と同時に提出する消防計画に、以下の項目が記載されています。
火災、地震その他の災害が発生した場合における消火活動、通報連絡及び避難誘導に関すること。
南海トラフ地震防災対策推進地域とは‥?
南海トラフ地震が発生した場合に著しい地震災害が生ずるおそれがあるため、地震防災対策を推進する必要がある地域(推進地域)が内閣総理大臣によって指定されています。
こういった話について、日常業務と兼務である多忙な防火管理者さんが求められる水準で実施することには限界がある為、定期的に出入りしている消防設備士を利用し、より意義のある防火管理にして頂ければと思います。
一般的に多忙な人物が選任される防火管理者だけで、その役割を適切に果たすことは難しい場合がある。建物へ定期的に出入りする消防設備士に防火・防災について補助を仰いでタッグを組むことで、より実のある防火管理ができる。
◎ まとめ
- 多忙な防火管理者さんが困っているというニーズがあり、消防設備士がサポートできる業務として①消防用設備等の使用方法、②消火・避難および通報訓練の補助、③防災について(地震・洪水への対策や備蓄食料の準備など)の3つが挙げられた。
- 火災発生時の消防用設備等の使用方法や非火災報(誤作動)時の対処方法についてが建物関係者様に周知されることで「使える設備」となり、ただの置物ではなく消防用設備等の本来の価値が発揮された。
- 防火管理者の業務の対象は火災だけではなく地震その他の災害への対策が含まれ、建物毎に案内すべき防災の情報があった。