著者:青木俊輔(強欲な青木)/青木マーケ(株) 取締役 COO、(株)防災屋 代表取締役 社長、(一社)予防団 共同代表理事(本人確認 2026-10-19)
保有資格:消防設備士(甲種特類・甲種1〜5類・乙種6類・7類)ほか
確認日:2026年10月19日
更新内容:初版
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この記事の結論
消防設備会社を選ぶときは、求人票の給与や休日だけで決めず、次の3つを確かめてください。
- その会社が、点検だけをしているのか、工事や消防検査まで担っているのか(担う工程の範囲)
- 経営者が会社づくりに時間を使い、職場に管理やルールがあるか
- 社内の人間関係が壊れていないか
同じ消防設備士の仕事でも、会社によって任される仕事・育つスキル・待遇が大きく変わります。青木は書籍『消防設備士0類』(2023年執筆)で「同じ仕事をしていても、職場によって待遇は違う」と書いています(書籍 第4章)。
この記事で扱う範囲
消防設備にかかわる会社には、機器のメーカー、地域の施工・点検業者、作業を請け負う職人などがあります。就職・転職先として多いのは施工・点検業者で、会社の数が多く、規模も仕事の範囲もさまざまです。
メーカー・施工業者・協力業者の役割など、業界の全体像は「消防設備業界の構造を知る」で解説しています。この記事では、その中から1社を選ぶときに、求人票だけでは分からない3つの観点に絞って説明します。
観点1:会社が担う工程の範囲
消防設備士の仕事には、建物に消防用設備を新しく付ける工事、設備の不具合を直す改修、定期的な点検があります。工事のあとには、建物の関係者が消防署に届け出て検査(いわゆる消防検査)を受ける手続きがあります(消防法第17条の3の2)。
青木は書籍で、消防設備会社の仕事を2種類のゲームにたとえています(書籍 第5章。書籍執筆時の考えです)。
- 機器を取り付けるゲーム:決められた機器を決められた場所に付ける作業が中心
- 消防検査をクリアするゲーム:設計の確認、消防署との協議、書類、検査の立会いまで含めて、建物を消防法に合う状態にして引き渡す
どちらも現場に欠かせない仕事で、優劣はありません。ただし青木は、取引される価値(単価)には差があり、年収を上げたいなら消防検査まで担う会社で経験を積むことが条件の一つになる、と書いています。
求人票・面接で確かめること
- 仕事内容の欄に「点検」だけが書かれているか、「工事」「改修」「設計」「消防署への届出」まで書かれているか
- 面接で「元請けから直接受ける仕事と、下請けで入る仕事の割合はどれくらいですか」「入社後、何年目ぐらいで工事や消防検査の立会いを任されますか」と聞く
点検中心の会社が悪いわけではありません。点検は定期的に発生する仕事なので、安定しやすい面があります(書籍 第2章)。自分がどんなスキルを身に付けたいかと、会社が担う工程が合っているかを確かめることが大切です。
会社を選ぶときは、その会社で3年働いたときに、自分に何ができるようになっているかを想像してみてください
観点2:経営者が会社づくりをしているか
書籍では、経営者が経営者の仕事をしている会社を選ぶべきだ、と書いています(書籍 第4章)。消防設備会社は小さな会社が多く、経営者が自ら点検や工事の現場に出ていることも珍しくありません。それ自体は悪いことではありませんが、会社のルール、教育、評価の仕組みに手が回っていないと、働く人が困ることになります。
書籍では経営者のタイプを4つに分けています。この記事では呼び名ではなく、見極めの観点として紹介します。
| 働きやすい会社の傾向 | 注意したい会社の傾向 |
|---|---|
| 創業者が会社を伸ばそうとしていて、勢いがある | 先代から引き継いだ仕組みに乗っているだけで、改善がない |
| 後継者でも教育を受け、事業をさらに伸ばしている | 会社のお金を私的に使い、従業員を大切にしない |
求人票・面接で確かめること
- 会社のホームページや求人に、会社の方針・教育の仕組み・資格取得の支援が書かれているか
- 面接で「新人の教育はどなたが担当しますか」「資格の受験費用や資格手当はどうなっていますか」と聞く
- 社長が面接で、会社の今後や採用の理由を自分の言葉で説明できるか
資格手当の考え方は、YouTube「資格手当いくら欲しい?」で詳しく話しています(動画、公開日は動画の表示を確認)。
観点3:人間関係が壊れていないか
書籍で青木は「入ってはいけない会社の条件は一つ」として、人間関係が壊れている職場を挙げています(書籍 第4章)。管理がない職場では、個人の好き嫌いが仕事に持ち込まれやすく、真面目に働く人ほど居づらくなることがある、という考えです。
見学・面接で確かめること
- 事務所や現場を見学できるか。社員同士の会話や、新人への接し方
- 面接で「入社して3年以内に辞めた人はいますか。辞めた理由は何でしたか」と聞く
- 「ベテランが特定の仕事を断っても通ってしまう」ような話が出てこないか
求人票で確かめる基本の項目
休日の書き方(「完全週休2日」と「週休2日」の違い)、夜勤の有無、賞与の割合など、求人票そのものの読み方は「消防設備士の求人で確認すべき項目3つ」で解説しています。
「未経験歓迎」と書かれた求人を見るときは、次の点も確認してください。
- 教育を担当する人がいるか、資格取得の支援があるか、最初にどんな仕事を任されるか
- 工事が中心か点検が中心か、どんなお客様がいるか
青木は、会社によって工事か点検か、どんなお客様がいるかで、作業内容も年収も変わってくると話しています。そのため、できればその会社で実際に働いている人に話を聞き、その情報をもとに判断できる消防設備士に意見をもらうのがよい、という考えです(本人回答、2026年10月)。
大手か中小かで迷うとき
大手か中小かよりも、上の3つの観点で選ぶ方が後悔は少ない、というのがこの記事の考えです。ただ、書籍では甲種2類・3類・5類の分野はメーカー勤務の方が年収を上げやすい、という見方も書いています(書籍 第5章。書籍執筆時の考えです)。メーカーと施工業者の役割の違いは「消防設備業界の構造を知る」、上場している消防機器メーカーやベンチャーの例は「消防設備士の求人で確認すべき項目3つ」をご覧ください。
若いうちは、工事や消防検査まで任せてもらえる会社で修行する方が、後の選択肢が広がると思います
青木の考え
書籍を書いた2023年当時、青木は「同じ仕事でも職場によって待遇は違う。だから会社選びが大切」と考えていました。この考えは書籍の第4章・第5章で詳しく書いています。
会社を経営する立場になった今も、この見極め方は概ね同じだといいます。ただ、経営者の仕事は大変なので、その大変さにやられて無気力になっている経営者の気持ちは、分かる部分が増えたそうです(本人回答、2026年10月)。
次に読む
- 消防設備士は平均年収・給料の低い仕事?(/annual-income-questionnaire/)
- (消防設備士の志望動機と面接|伝えることと、入社前に確かめること)
- 消防設備士はきつい?辞めたいと感じる理由と判断基準(/setsubishi-yametoke/)
- 消防設備士の求人で確認すべき項目3つ(/distinguish-white/)
- 消防設備業界の構造を知る(強欲な青木&消防設備士オフィシャルサイト)
会社の見極め方や、入社してから気を付けることは、書籍『消防設備士0類』の第4章「消防設備士を始めるときに気を付けること7つ」で詳しく書いています。本は2023年に書いたもので、制度の数字や著者の肩書きなど現在と違う点があります(違いは紹介ページにまとめています)。
(別枠)消防設備士の仕事に興味がある方へ
青木が代表を務める(株)防災屋では、消防設備士として働く仲間を募集しています。
参考文献
- 青木俊輔『消防設備士0類 〜消防設備士をする前に読む本〜』改訂版、電子書籍(Amazon Kindle)、本文2023年。第2章06、第4章05・06、第5章01。確認日:2026年10月19日
- 消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)第17条の3の2、e-Gov法令検索(デジタル庁)https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC1000000186 確認日:2026年10月19日
- 青木マーケ(株)「消防設備士の求人で確認すべき項目3つ」https://aokimarke.com/distinguish-white/ 確認日:2026年10月19日