泡消火設備とは…
泡消火設備は2類の消防用設備で、主に駐車場などに設置されています。
ザックリ言うと…スプリンクラー設備の途中に泡消火薬剤のタンクがあり、混合された水溶液がヘッドから放出される際に泡立つ仕組みです。
毒物劇物取扱責任者の資格がある消防設備士ができること
◎ 劇物に指定されている泡消火薬剤
一部の泡消火薬剤には、平成30年の「毒物及び劇物取締法」の改正によって “劇物” に指定されたトリエチレンテトラミンが含有しています。
全ての泡消火薬剤にトリエチレンテトラミンが含有されているわけではありません。
毒物劇物取扱責任者が必要になるとき
結論から申し上げますと、毒物劇物取扱者の有資格者である「毒物劇物取扱責任者」が要るのは泡消火薬剤を販売する場合のみです。
毒物劇物取扱者が不要なとき
以下の場合には、毒物劇物取扱者の資格および毒物劇物取扱責任者の配置は不要です。
毒物劇物取扱者が “不要” な場合
- 泡消火設備を “所有” する
- 泡消火設備の “工事” をする
- 泡消火設備の “点検” をする
施工業者に生じる義務
施工業者は、泡消火薬剤の交換時に回収してきたポリ缶の取扱いに注意する必要があります。
ポリ缶の取扱い
- 泡消火薬剤(ポリ缶などの容器)の保管場所に「医薬用外劇物(白地に赤文字)」の表示
- 泡消火薬剤の保管場所は盗難および紛失防止の為に鍵のかかる場所(ポンプ室など)に、その他の容器と分けて保管
- 泡消火薬剤(ポリ缶などの容器)を取扱う際(泡消火薬剤貯蔵槽に補充する場合など)に、敷地(泡消火設備の設置場所)外への飛散や漏洩・流出しないように慎重に作業
参考毒物及び劇物指定令の一部改正に伴う泡消火薬剤の劇物指定等について
◎ 毒物劇物取扱者の有資格者でした…
いずれか以下の要項に該当すれば、毒物劇物取扱責任者となる資格を有することとなっています。
毒物劇物取扱責任者となる資格を有する者
- 薬剤師
- 応用化学に関する学課を修了した者
- 毒物劇物取扱者試験に合格した者
【補足】毒物劇物取扱者botあります
Twitterのbot(※いつしか手動になり、青木防災㈱のブログツイートのRTと毒物・劇物についてのRTを交互に行うアカウント)です。
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◎ PFOSは別の規制!
上述したトリエチレンテトラミンは「毒物及び劇物取締法」に基づいて劇物に指定されるものでしたが、もう一つ泡消火薬剤にはPOPs条約に基づいて規制されているPFOSという残留性有機汚染物質があります。
POPs条約とは…
毒性が強く、難分解性・生物蓄積性・長距離移動性および人の健康又は環境への悪影響を有する化学物質のことを残留性有機汚染物質(Persistent Organic Pollutants;POPs)と呼びます。
その POPs から人の健康と環境を保護することを目的とし、国際的に協調して POPs の廃絶・削減等を促すための取組として「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs 条約)」が締結されました。
パーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)及びその塩は、難分解性等の性質を有することから残留性有機汚染物質として製造・使用および輸入などの規制対象となっています。
PFOS含有の泡消火薬剤を使用している泡消火設備の点検については、泡放射試験ではなくサンプリング(採取)検査が認められています。
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◎ まとめ
- 一部の泡消火薬剤には、“劇物” に指定されたトリエチレンテトラミンが含有しており、泡消火薬剤を販売する場合のみ「毒物劇物取扱責任者」が必要だった。
- 泡消火設備を “所有” するだけの場合や、“工事” および “点検” をするのみであれば「毒物劇物取扱者は別に要らない」為、設計・施工業者にとって資格は不要と言っても過言ではなかった。
- もう一つ泡消火薬剤にはPOPs条約に基づいて規制されているPFOSという残留性有機汚染物質があり、トリエチレンテトラミンやPFOS等の規制を受けている泡消火薬剤と取扱いに注意が必要であった。