消防設備士

毒物劇物取扱責任者の資格(免許)がある消防設備士ができることは?

毒物劇物取扱者 消防設備士

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強欲な青木
ちょ、消防設備士の実務に携わる中で “劇物” に該当する薬品を触るってホント!?
泡消火設備の薬剤には “劇物” を含むものありますよ、ただし資格が要るケースは稀です。
管理人

泡消火設備とは…

泡消火設備は2類の消防用設備で、主に駐車場などに設置されています。

泡ヘッドより消火薬剤放出を行い試料採集

ザックリ言うと…スプリンクラー設備の途中に泡消火薬剤のタンクがあり、混合された水溶液がヘッドから放出される際に泡立つ仕組みです。

参考泡消火設備の消防検査【前編】泡消火設備の消防検査【後編】

 

毒物劇物取扱責任者の資格がある消防設備士ができること

◎ 劇物に指定されている泡消火薬剤

一部の泡消火薬剤には、平成30年の「毒物及び劇物取締法」の改正によって “劇物” に指定されたトリエチレンテトラミンが含有しています。

トリエチレンテトラミン

絶望タマスケ
絶望タマ王
え…こんな劇物に指定される様な危ないトリエチレンテトラミンを、消防設備士の実務上で取り扱わなきゃならんのですか!?
一応、泡消火薬剤の中に防錆剤として1%未満くらい含まれているから “劇物” 指定されちゃってるんです…ちなみに放水時には大量の水で薄まって0.03~0.04%未満の濃度になるので毒性は殆どないです。
管理人

全ての泡消火薬剤にトリエチレンテトラミンが含有されているわけではありません。

 

毒物劇物取扱責任者が必要になるとき

結論から申し上げますと、毒物劇物取扱者の有資格者である「毒物劇物取扱責任者」が要るのは泡消火薬剤を販売する場合のみです。

泡消火薬剤 販売

強欲な青木
いらっしゃい、泡消火薬剤いりまへんか~ぁ‥って絶対そんな商売メーカーがするやろ!?
そうなんです…では続いて毒物劇物取扱者の資格が “不要” な場合も確認していきましょう。
管理人

 

毒物劇物取扱者が不要なとき

以下の場合には、毒物劇物取扱者の資格および毒物劇物取扱責任者の配置は不要です。

毒物劇物取扱者が “不要” な場合

  • 泡消火設備を “所有” する
  • 泡消火設備の “工事” をする
  • 泡消火設備の “点検” をする
点検タマ王
例えば『泡消火設備のメンテ時に毒物劇物取扱者が‥』とか言われたら超困ったけど、大丈夫そうで安心。
よって設計・施工業者にとって「毒物劇物取扱者は別に要らない」と言っても、過言じゃありませんね。
管理人

 

施工業者に生じる義務

施工業者は、泡消火薬剤の交換時に回収してきたポリ缶の取扱いに注意する必要があります。

泡消火薬剤 劇物 保管

ポリ缶の取扱い

  • 泡消火薬剤(ポリ缶などの容器)の保管場所に「医薬用外劇物(白地に赤文字)」の表示
  • 泡消火薬剤の保管場所は盗難および紛失防止の為に鍵のかかる場所(ポンプ室など)に、その他の容器と分けて保管
  • 泡消火薬剤(ポリ缶などの容器)を取扱う際(泡消火薬剤貯蔵槽に補充する場合など)に、敷地(泡消火設備の設置場所)外への飛散や漏洩・流出しないように慎重に作業

参考毒物及び劇物指定令の一部改正に伴う泡消火薬剤の劇物指定等について

 

◎ 毒物劇物取扱者の有資格者でした…

いずれか以下の要項に該当すれば、毒物劇物取扱責任者となる資格を有することとなっています。

毒物劇物取扱責任者となる資格を有する者

  • 薬剤師
  • 応用化学に関する学課を修了した者
  • 毒物劇物取扱者試験に合格した者
強欲な青木
オイ管理人…テメェ確か、高専から大学院まで “化学” 専攻だったよな?
そうなんです…有資格者だったんですけど、知らずに毒物劇物取扱者の参考書を購入してしまったんです。
管理人
強欲な青木
(ヨッ、情弱!)

 

【補足】毒物劇物取扱者botあります

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毒物劇物取扱者bot

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◎ PFOSは別の規制!

上述したトリエチレンテトラミンは「毒物及び劇物取締法」に基づいて劇物に指定されるものでしたが、もう一つ泡消火薬剤にはPOPs条約に基づいて規制されているPFOSという残留性有機汚染物質があります。

PFOS 泡消火薬剤

POPs条約とは…

毒性が強く、難分解性・生物蓄積性・長距離移動性および人の健康又は環境への悪影響を有する化学物質のことを残留性有機汚染物質(Persistent Organic Pollutants;POPs)と呼びます。

その POPs から人の健康と環境を保護することを目的とし、国際的に協調して POPs の廃絶・削減等を促すための取組として「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs 条約)」が締結されました。

パーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)及びその塩は、難分解性等の性質を有することから残留性有機汚染物質として製造・使用および輸入などの規制対象となっています。

参考国内等の動向について(PFOS)

PFOS含有の泡消火薬剤を使用している泡消火設備の点検については、泡放射試験ではなくサンプリング(採取)検査が認められています。

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タマスケ博士
Dr. タマ王
泡消火設備に係る実務に携わる際は、トリエチレンテトラミンやPFOS等の規制を受けている泡消火薬剤と取扱いに注意が必要じゃ。
毒物劇物取扱責任者の有資格者である消防設備士として、泡消火設備の設計・施工およびメンテナンスも法令順守して誠実に行っていきます。
管理人

 

◎ まとめ

  •  一部の泡消火薬剤には、“劇物” に指定されたトリエチレンテトラミンが含有しており、泡消火薬剤を販売する場合のみ「毒物劇物取扱責任者」が必要だった。
  • 泡消火設備を “所有” するだけの場合や、“工事” および “点検” をするのみであれば「毒物劇物取扱者は別に要らない」為、設計・施工業者にとって資格は不要と言っても過言ではなかった。
  • もう一つ泡消火薬剤にはPOPs条約に基づいて規制されているPFOSという残留性有機汚染物質があり、トリエチレンテトラミンやPFOS等の規制を受けている泡消火薬剤と取扱いに注意が必要であった。
  • この記事を書いた人

管理人

【経歴】鈴鹿高専材料工学科 ⇒ 静岡大学工学部(3年次編入学) ⇒ 院 ⇒ 鈴与㈱ ⇒ 某A防災㈱ ⇒ 青木マーケ㈱※独立
【保有資格】消防設備士全類・危険物取扱者全類・第二種電気工事士・工事担任者(AI・DD総合種)・第三種電気主任技術者
【主な活動】月刊誌「電気と工事(オーム社)」コラム執筆・ブログ(月間40万PV)・YouTubeチャンネル「強欲な青木&消防設備士」の動画作成

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