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レッスン2-4:電子配置と周期表

電子配置と周期表

レッスン2-4は電子配置と周期表(Aランク)。原子の電子はK殻・L殻・M殻・N殻という階層構造(電子殻)に2n²個の法則で収容されます。最外殻電子の数=価電子は、その原子の化学的性質を決定。周期表では同じ族(縦列)の元素は価電子が同じで似た性質を示します。希ガス・アルカリ金属・アルカリ土類金属・ハロゲンの特徴を理解すれば、元素の性質予測が自在にできるようになります。

毒劇先生

青木さん、前回の原子構造の応用編電子配置と周期表です。

強欲な青木

電子が回る軌道みたいなのがあるって聞いたんすが…

毒劇先生

それが電子殻!原子核に近い順にK殻・L殻・M殻・N殻…各殻には収容できる電子数の上限があり、K殻=2個、L殻=8個、M殻=18個、N殻=32個。公式は2n²個(n=殻の番号)です。

強欲な青木

元素によって電子の入り方が違うんすか?

毒劇先生

原子番号順に内側の殻から詰まるのが基本ルール。Na(原子番号11)なら、K殻2+L殻8+M殻1の合計11個。一番外側の殻の電子を最外殻電子、化学反応に関わる電子(典型元素では最外殻電子と同じ)を価電子と呼びます。

強欲な青木

周期表の族って何すか?

毒劇先生

族=周期表の縦列周期=周期表の横列!同じ族の元素は価電子数が同じなので似た化学的性質を持つ。1族(アルカリ金属・水素除く)は価電子1、2族(アルカリ土類金属)は価電子2、17族(ハロゲン)は価電子7、18族(希ガス)は価電子0または8で最安定。

電子殻(K・L・M・N殻)と2n²の法則
図解:最大収容電子数は2n²(2・8・18・32)
周期表の主要族(1族・2族・17族・18族)
図解:アルカリ金属・アルカリ土類・ハロゲン・希ガス
目次

💪実力試し(3問)

まずは腕試し。本番レベルの問題3問を解いてから、解説で確認しましょう。

問題1

原子番号11のナトリウム(Na)の電子配置として正しいものはどれか。

  1. K殻2個、L殻9個
  2. K殻2個、L殻8個、M殻1個
  3. K殻8個、L殻3個
  4. K殻1個、L殻10個
解答と解説を見る

正解:2

解説:選択肢2が正しい。ナトリウムは原子番号11=電子11個。内側から順に K殻(上限2)→ L殻(上限8)→ M殻と埋め、2+8+1=11個。最外殻電子は1個で、これがNaの価電子(1族のアルカリ金属)。

間違えやすいポイント:K殻の上限は2個、L殻は8個。この上限を超えて詰まることはない。

問題2

周期表の『族』に関する記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 周期表の横の並びで、同じ族の元素は電子殻の数が同じである。
  2. 周期表の縦の並びで、同じ族の元素は価電子の数が同じで化学的性質が似ている。
  3. 族番号は原子番号と一致する。
  4. 全ての族で価電子数は8個である。
解答と解説を見る

正解:2

解説:選択肢2が正しい。族は周期表の縦列で、同じ族の元素は価電子数が同じなので化学的性質が類似。1は『周期』の説明。3は誤り。4は希ガスなど一部の族のみ該当。

間違えやすいポイント:族=縦、周期=横を混同しない。『族が上下に同じ種族、周期が左右に同時代』というイメージ。

問題3

希ガス(貴ガス・18族元素)の性質として、正しいものはどれか。

  1. 価電子が7個あり反応性に富む。
  2. 最外殻電子が満たされており、化学的に極めて安定で他の元素と反応しにくい。
  3. 電子を失って陽イオンになりやすい。
  4. 水と激しく反応する。
解答と解説を見る

正解:2

解説:選択肢2が正しい。希ガス(He・Ne・Ar・Kr・Xe・Rn)は最外殻電子が2個(He)または8個で完全に満たされており、化学反応を起こしにくい最安定状態。1はハロゲン、3はアルカリ金属、4はアルカリ金属の性質。

間違えやすいポイント:『希ガス=安定・反応しない』が基本。電球の封入ガスや風船のヘリウムガス等で活用される。

🔰基礎教養学習

本単元は①電子殻の構造 ②電子配置の書き方 ③周期表の見方 ④典型元素の性質の4ブロック構造。周期表の理解は今後の全化学分野の基盤です。

⓪ 電子殻の構造(2n²個の法則)

電子殻 殻番号 n 最大収容電子数 (2n²) 対応する周期
K殻 1 2個 第1周期(H・He)
L殻 2 8個 第2周期(Li〜Ne)
M殻 3 18個 第3周期(Na〜Ar)※主に8個使用
N殻 4 32個 第4周期(K〜Kr)
毒劇先生

2n²の法則:n=1なら2×1²=2、n=2なら2×2²=8、n=3なら2×3²=18、n=4なら2×4²=32個。覚えるのは2・8・18・32の4つの数字だけです。

① 主要元素の電子配置

原子番号 元素 電子配置 最外殻電子(価電子)
1 水素 H K:1 1
2 ヘリウム He K:2(完全) 2→価電子0
3 リチウム Li K:2, L:1 1
6 炭素 C K:2, L:4 4
8 酸素 O K:2, L:6 6
10 ネオン Ne K:2, L:8(完全) 8→価電子0
11 ナトリウム Na K:2, L:8, M:1 1
12 マグネシウム Mg K:2, L:8, M:2 2
17 塩素 Cl K:2, L:8, M:7 7
18 アルゴン Ar K:2, L:8, M:8(完全) 8→価電子0
20 カルシウム Ca K:2, L:8, M:8, N:2 2
強欲な青木

希ガスは価電子0って書いてますが、最外殻電子は8個あるんすよね?

毒劇先生

鋭い!希ガスは価電子0と定義される慣例です。最外殻電子が完全に満たされて化学反応に使われないので、価電子としてはカウントしない。これがヘリウム・ネオン・アルゴン等の希ガスが安定な理由です。

② 周期表の基本構造

👉2軸で読む

呼び名 意味
縦列 (1〜18族) 同じ族=価電子数が同じ=化学的性質が類似
横列 周期(第1〜第7周期) 同じ周期=最外殻が同じ(電子殻数が同じ)

👉試験頻出の4大族

呼び名 代表元素 価電子 性質
1族 アルカリ金属(水素除く) Li, Na, K 1 電子1個放出しやすく、+1価陽イオンに
2族 アルカリ土類金属 Be, Mg, Ca, Sr, Ba 2 電子2個放出で+2価陽イオンに
17族 ハロゲン F, Cl, Br, I 7 電子1個受取で-1価陰イオンに
18族 希ガス He, Ne, Ar, Kr, Xe 0 安定で反応しない

③ 典型元素の反応性の傾向

👉周期表の並びで性質が変化

  • 原子半径:族が下ほど大きい(電子殻が増える)/周期で右ほど小さい(核電荷増加)
  • イオン化エネルギー:電子を取り去る難しさ。右上(ハロゲン・希ガス)ほど大
  • 電子親和力:電子を受取る傾向。右上ほど大(希ガスを除く)
  • 電気陰性度:共有電子対を引きつける強さ。右上ほど大(F最大)
  • 金属性:左下ほど強い(Cs最大)
  • 非金属性:右上ほど強い(F最大、希ガスを除く)

④ 毒物劇物試験での周期表活用

毒物劇物の代表例 特徴
1族(アルカリ金属) 水酸化ナトリウム NaOH(劇物) 強塩基性、皮膚腐食性
2族(アルカリ土類) 塩化バリウム BaCl₂(劇物) 水溶性のBa化合物は有毒
12族(遷移元素) 水銀 Hg・水銀化合物(毒物) 有機水銀は神経毒性
13族 タリウム Tl 化合物(毒物) 無味無臭・致死性高
15族 ヒ素 As・黄リン P₄(毒物) タンパク質変性作用
16族 硫化水素 H₂S(劇物) 腐卵臭・神経毒
17族(ハロゲン) フッ化水素 HF(毒物)・塩素 Cl₂(劇物) 強い腐食性・刺激性
毒劇先生

毒物劇物の多くは典型元素の特定族に集中しています。周期表で分類を覚えると、性質も一緒に把握できて一石二鳥!

✅理解度チェックテスト(3問)

チェック1(○✕)

次の記述は正しいか誤りか、○✕で答えてください。

「周期表の縦列(族)が同じ元素は、価電子数が同じで化学的性質が類似している。」

答えを見る

正解:○(正しい)

解説:正しい。同族元素は価電子数が等しく、似たイオン化傾向・酸化還元挙動を示す。周期表の族は化学的性質を整理する基本軸。

チェック2(穴埋め)

次の文の【 】に入る最も適切な語句を選んでください。

原子核に最も近い電子殻はK殻で、最大【   】個の電子を収容できる。

  1. 1個
  2. 2個
  3. 8個
  4. 18個
答えを見る

正解:2

解説:K殻は2n²(n=1)=2個。L殻は8個、M殻は18個、N殻は32個。

チェック3(4択)

第3周期に属する元素はどれか。

  1. 炭素 C(原子番号6)
  2. ナトリウム Na(原子番号11)
  3. カリウム K(原子番号19)
  4. ヘリウム He(原子番号2)
答えを見る

正解:2

ポイント:第3周期はNa(11)〜Ar(18)。最外殻がM殻(n=3)にあたる。炭素は第2周期、カリウムは第4周期、ヘリウムは第1周期。

🪏深掘り解説

テーマ1:なぜ希ガスは安定なのか

希ガスが化学的に極めて安定な理由は、最外殻電子が完全に満たされていること。ヘリウムはK殻(2個)が満杯、ネオンはL殻(8個)が満杯、アルゴンはM殻の最外8個が満杯。この「8個の法則(オクテット則)」は化学結合の原動力で、他の原子も希ガスと同じ電子配置になろうとして、電子を放出(金属)または受取(非金属)してイオンになります。これが全化学反応の根本原理です。

テーマ2:電気陰性度の周期表ランキング

順位 元素 電気陰性度 特徴
1位 フッ素 F 4.0 最強(17族の頂点)
2位 酸素 O 3.5 非常に強い
3位 窒素 N, 塩素 Cl 3.0 強い
4位 臭素 Br 2.8 強め
5位 炭素 C, 硫黄 S, ヨウ素 I 約 2.5 中程度
下位 ナトリウム Na, カリウム K 0.9, 0.8 低い(電子を渡したがる)
最下 セシウム Cs, フランシウム Fr 0.7, 0.7 最弱(金属性最強)

テーマ3:ハロゲンの反応性順位

ハロゲン(17族:F・Cl・Br・I)の反応性はF > Cl > Br > Iの順。これは原子半径が小さいほど、電子を引きつける力が強いため。フッ素はガラスさえ腐食する最強のハロゲンで、毒物指定。塩素は水道水の消毒・漂白剤に使われる劇物。臭素は常温で液体の唯一の非金属単体で、刺激臭を持つ劇物。ヨウ素は固体だが昇華性があり、殺菌剤(ヨードチンキ)として使用される。

🥊過去問演習(全10問)

Q1. K殻に入れる最大の電子数として正しいものはどれか。

Q2. L殻に入れる最大の電子数として正しいものはどれか。

Q3. M殻に入れる最大の電子数として正しいものはどれか。

Q4. 価電子の定義として正しいものはどれか。

Q5. 周期表の横の並び(横の行)を何というか。

Q6. 周期表の縦の並び(列)を何というか。

Q7. 典型金属元素の一般的な性質として正しいものはどれか。

Q8. 希ガス(18族)の性質として正しいものはどれか。

Q9. ハロゲン(17族)の性質として正しいものはどれか。

Q10. 周期律の意味として正しいものはどれか。

あなたのスコアは

📝まとめと次の学習へのつなぎ

今回の学習ポイント

  • 電子殻:K(2)・L(8)・M(18)・N(32)個、公式は2n²
  • 電子は内側の殻から順に詰まる
  • 最外殻電子の数 = 価電子 = その原子の化学的性質を決める
  • 周期表:縦=族(価電子が同じ)、横=周期(電子殻数が同じ)
  • 1族アルカリ金属:Na, K──価電子1・強還元剤
  • 2族アルカリ土類:Ca, Ba──価電子2
  • 17族ハロゲン:F, Cl, Br, I──価電子7・強酸化剤
  • 18族希ガス:He, Ne, Ar──価電子0・最安定
毒劇先生

電子配置と周期表をセットで理解すれば、元素の性質予測ができるようになります!

強欲な青木

2n²の法則と族の性質で元素が整理できました!

次回予告:レッスン2-5「イオンとイオン結合」

次回はイオンとイオン結合。陽イオン・陰イオンの生成、代表的なイオン(多原子イオンも)、イオン結合で結ばれたイオン結晶(NaCl・CaCl₂等)の性質を学びます。

📍 他のレッスンへ

章全体の学習進度はサイドバーからも確認できます。前後のレッスンで関連事項を横断的に復習しましょう。

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この記事を書いた人

高専から大学院まで9年間にわたり化学を専攻。
消防整備士として10年の実務経験を積み、独立・起業。

消防設備士全類、危険物取扱者全類をはじめ、第二種電気工事士、AI・DD総合種、第三種電気主任技術者など、多数の国家資格を保有。

神戸高等技術専門学院にて危険物取扱者 乙種第4類およびDO第3種の講師を担当。
また、月刊誌「電気と工事(オーム社)」にてコラムを連載中。

実務・教育・執筆の三軸から、専門性と実践力を兼ね備えた情報発信を行っている。

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