覚えたら、解こう。毒物劇物取扱者「過去問テスト」 詳細はこちら

レッスン2-8:原子量と分子量

原子量と分子量
毒劇先生

青木さん、原子量と分子量を学びます。ここから計算が入ります。

強欲な青木

原子量って、どうやって決まってるんすか?

毒劇先生

¹²C(炭素12)を基準の12と決めて、他の元素の原子の質量をそれとの比で表した値。つまり相対質量で、単位はありません。水素の原子量は約1、酸素は16、ナトリウムは23、鉄は56など。

強欲な青木

分子量はどう計算するんすか?

毒劇先生

分子の構成原子の原子量を全部足すだけ!H₂O = 1×2 + 16 = 18。CO₂ = 12 + 16×2 = 44。H₂SO₄ = 1×2 + 32 + 16×4 = 98。単純足し算なので、原子量さえ覚えていれば誰でも解けます!

強欲な青木

NaClとかイオン結晶はどうするんすか?

毒劇先生

イオン結晶は分子を作らないので、分子量ではなく式量と呼びます。計算方法は同じで組成式の原子量を足すだけ:NaCl = 23 + 35.5 = 58.5。言葉が違うだけで計算は全く同じです。

分子量・式量の計算例
図解:分子量・式量の計算例
目次

💪実力試し(3問)

まずは腕試し。本番レベルの問題3問を解いてから、解説で確認しましょう。

問題1

水(H₂O)の分子量として正しいものはどれか。ただしH=1、O=16とする。

  1. 17
  2. 18
  3. 19
  4. 32
解答と解説を見る

正解:2

解説:H₂O の分子量 = (1×2) + 16 = 18。水素原子2個と酸素原子1個の原子量を合計する。

間違えやすいポイント:係数(原子の数)を忘れずに掛け算する。H₂はH原子2個を意味する。

問題2

硫酸(H₂SO₄)の分子量として正しいものはどれか。ただしH=1、S=32、O=16とする。

  1. 49
  2. 66
  3. 98
  4. 128
解答と解説を見る

正解:3

解説:H₂SO₄ = (1×2) + 32 + (16×4) = 2 + 32 + 64 = 98。

間違えやすいポイント:O₄は酸素4個の意味。原子量16×4=64を確実に計算。

問題3

水酸化カルシウム Ca(OH)₂ の式量として正しいものはどれか。ただしH=1、O=16、Ca=40とする。

  1. 57
  2. 74
  3. 92
  4. 114
解答と解説を見る

正解:2

解説:Ca(OH)₂ = 40 + (16+1)×2 = 40 + 17×2 = 40 + 34 = 74。括弧内の合計×2をする。

間違えやすいポイント:括弧()の外の数字は括弧内全体に掛かる。(OH)₂ は OH が2組の意味。

🔰基礎教養学習

本単元は①原子量の定義 ②分子量の計算 ③式量 ④毒物劇物の主要分子量の4ブロック構造。計算のミスを減らすコツもマスター。

⓪ 原子量の基準

原子量の定義¹²C(質量数12の炭素)1個の質量を12と定め、他の原子の質量をそれとの比で表した値。単位なしの相対値。実際の原子量は同位体の存在比で重み付けされた平均値(例:Cl=35.5)。

① 試験頻出の原子量一覧

元素 原子量 元素 原子量
H 水素 1 Cl 塩素 35.5
C 炭素 12 K カリウム 39
N 窒素 14 Ca カルシウム 40
O 酸素 16 Fe 鉄 56
F フッ素 19 Cu 銅 63.5
Na ナトリウム 23 Zn 亜鉛 65
Mg マグネシウム 24 Br 臭素 80
Al アルミニウム 27 I ヨウ素 127
Si ケイ素 28 Ba バリウム 137
P リン 31 Pb 鉛 207
S 硫黄 32 Hg 水銀 200.6
毒劇先生

まずはH=1, C=12, N=14, O=16, Na=23, S=32, Cl=35.5の8個を暗記。これで基本的な分子量計算の8割に対応できます。

② 分子量の計算(共有結合物質)

分子式中のすべての原子の原子量を足す

分子 計算式 分子量
水 H₂O 1×2 + 16 18
メタン CH₄ 12 + 1×4 16
アンモニア NH₃ 14 + 1×3 17
二酸化炭素 CO₂ 12 + 16×2 44
窒素 N₂ 14×2 28
酸素 O₂ 16×2 32
塩素 Cl₂ 35.5×2 71
硫酸 H₂SO₄ 1×2 + 32 + 16×4 98
硝酸 HNO₃ 1 + 14 + 16×3 63
エタノール C₂H₅OH 12×2 + 1×5 + 16 + 1 =12×2+1×6+16 46
酢酸 CH₃COOH 12×2 + 1×4 + 16×2 60

③ 式量の計算(イオン結晶・金属)

イオン結晶は分子を形成しないので式量と呼ぶ。計算方法は分子量と全く同じで、組成式中の原子量を足すだけ。

物質 計算式 式量
塩化ナトリウム NaCl 23 + 35.5 58.5
水酸化ナトリウム NaOH 23 + 16 + 1 40
水酸化カルシウム Ca(OH)₂ 40 + (16+1)×2 74
炭酸カルシウム CaCO₃ 40 + 12 + 16×3 100
硫酸銅(II) CuSO₄ 63.5 + 32 + 16×4 159.5
塩化アンモニウム NH₄Cl 14 + 1×4 + 35.5 53.5
硝酸カリウム KNO₃ 39 + 14 + 16×3 101
炭酸ナトリウム Na₂CO₃ 23×2 + 12 + 16×3 106

④ 毒物劇物の分子量・式量

物質 区分 分子量・式量
シアン化ナトリウム NaCN 毒物 23+12+14 = 49
シアン化カリウム KCN 毒物 39+12+14 = 65
塩化第二水銀 HgCl₂ 毒物 200.6+35.5×2 = 271.6
硫酸タリウム Tl₂SO₄ 毒物 204×2+32+16×4 = 504
ホルムアルデヒド HCHO 劇物 12+1×2+16 = 30
フェノール C₆H₅OH 劇物 12×6+1×6+16 = 94
クロロホルム CHCl₃ 劇物 12+1+35.5×3 = 119.5
塩化水素 HCl 劇物 1+35.5 = 36.5
アンモニア NH₃ 劇物 14+1×3 = 17

✅理解度チェックテスト(3問)

チェック1(○✕)

次の記述は正しいか誤りか、○✕で答えてください。

「原子量は¹²C(炭素12)の質量を12と定めたときの、各原子の相対的な質量であり、単位を持たない。」

答えを見る

正解:○(正しい)

解説:正しい。原子量は¹²Cを基準12とした相対質量なので単位なし。ただしモル質量(g/mol)は原子量に単位をつけたものになる。

チェック2(穴埋め)

次の文の【 】に入る最も適切な語句を選んでください。

炭酸カルシウム CaCO₃ の式量は【   】である。(Ca=40, C=12, O=16)

  1. 80
  2. 100
  3. 128
  4. 164
答えを見る

正解:2

解説:CaCO₃ = 40 + 12 + 16×3 = 40 + 12 + 48 = 100。

チェック3(4択)

次のうち分子量が最も大きいものはどれか。(H=1, C=12, N=14, O=16, S=32)

  1. 水 H₂O
  2. アンモニア NH₃
  3. 二酸化硫黄 SO₂
  4. メタン CH₄
答えを見る

正解:3

ポイント:H₂O=18、NH₃=17、SO₂=32+16×2=64、CH₄=16。よってSO₂が最大。

🪏深掘り解説

テーマ1:原子量が整数でないのはなぜ?

塩素の原子量は35.5、銅は63.5など、整数でない元素があります。理由は同位体の存在比による平均値だから。塩素は³⁵Cl(約75%)と³⁷Cl(約25%)の天然存在比なので、35×0.75 + 37×0.25 ≒ 35.5 になる。同位体の存在比で加重平均した値が『原子量』として周期表に記載されています。

テーマ2:計算ミスを防ぐコツ

  • 係数を見落とさない:H₂は2個、O₃は3個の意味
  • 括弧の外側の数字に注意:Ca(OH)₂ の ₂ は OH全体に掛かる
  • 分数を避ける:35.5×2 = 71 のように整数で計算できる形に
  • 検算:だいたいの桁数を予測する(分子量2桁か3桁か)
  • 単位なしを忘れない(原子量・分子量・式量は単位なし)

テーマ3:分子量からわかる物質の性質

分子量が大きいほど一般に:①沸点・融点が上がる(分子間力が強くなる)、②気体の密度が大きい(同じ体積でも重い)、③蒸気圧が下がる(揮発しにくくなる)。ただし水素結合を作る小分子(H₂O、NH₃)は例外的に沸点が高い。

🥊過去問演習(全10問)

Q1. 原子量の定義として正しいものはどれか。

Q2. 水(H₂O)の分子量として正しいものはどれか。(H=1, O=16)

Q3. 二酸化炭素 CO₂ の分子量として正しいものはどれか。(C=12, O=16)

Q4. 水素 H₂ の分子量として正しいものはどれか。(H=1)

Q5. 酸素 O₂ の分子量として正しいものはどれか。(O=16)

Q6. 塩化ナトリウム NaCl の式量として正しいものはどれか。(Na=23, Cl=35.5)

Q7. 水酸化ナトリウム NaOH の式量として正しいものはどれか。(Na=23, O=16, H=1)

Q8. 硫酸 H₂SO₄ の分子量として正しいものはどれか。(H=1, S=32, O=16)

Q9. メタン CH₄ の分子量として正しいものはどれか。(C=12, H=1)

Q10. 同位体を持つ元素の原子量の計算方法として正しいものはどれか。

あなたのスコアは

📝まとめと次の学習へのつなぎ

今回の学習ポイント

  • 原子量=¹²Cを12と定めた相対質量(単位なし)
  • 分子量=分子内すべての原子の原子量の和
  • 式量=イオン結晶・金属の組成式に対応(計算は分子量と同じ)
  • 暗記必須原子量:H=1, C=12, N=14, O=16, Na=23, S=32, Cl=35.5
  • 典型例:H₂O=18, CO₂=44, H₂SO₄=98, NaCl=58.5, Ca(OH)₂=74
  • 計算のコツ:係数・括弧を確実に処理、整数で計算できる形に整理
毒劇先生

これで計算の基礎は完璧!次単元でモル(mol)に進みますが、すべてこの原子量・分子量・式量の上に成り立ちます。

強欲な青木

計算は意外と単純な足し算。やってみれば怖くないっすね!

次回予告:レッスン2-9「物質量(mol)と化学反応式」

次回は物質量(モル)──化学の魔法の単位!1 mol=6.02×10²³個(アボガドロ数)、質量(g)と物質量(mol)と個数を自由に換算する技術を学びます。ここがクリアできれば濃度計算・反応量計算すべてが一本の道で繋がります。

📍 他のレッスンへ

章全体の学習進度はサイドバーからも確認できます。前後のレッスンで関連事項を横断的に復習しましょう。

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この記事を書いた人

高専から大学院まで9年間にわたり化学を専攻。
消防整備士として10年の実務経験を積み、独立・起業。

消防設備士全類、危険物取扱者全類をはじめ、第二種電気工事士、AI・DD総合種、第三種電気主任技術者など、多数の国家資格を保有。

神戸高等技術専門学院にて危険物取扱者 乙種第4類およびDO第3種の講師を担当。
また、月刊誌「電気と工事(オーム社)」にてコラムを連載中。

実務・教育・執筆の三軸から、専門性と実践力を兼ね備えた情報発信を行っている。

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