覚えたら、解こう。毒物劇物取扱者「過去問テスト」 詳細はこちら

レッスン2-10:溶液の濃度と性質

溶液の濃度と性質
毒劇先生

青木さん、化学分野最重要単元溶液の濃度です!

強欲な青木

濃度って苦手すね…パーセントとかmol/Lとか混乱する…

毒劇先生

2種類の濃度はどこに何が溶けているかを基準に区別するだけ!質量パーセント濃度 = 溶質の質量 ÷ 溶液全体の質量 × 100%、モル濃度 = 溶質のmol ÷ 溶液全体の体積(L) mol/L。公式さえ覚えれば応用は機械的です。

強欲な青木

毒物劇物の除外濃度って、何すか?

毒劇先生

一定以下の濃度なら劇物指定から外れる制度!塩酸・硫酸・硝酸は10%以下水酸化ナトリウム・カリウムは5%以下過酸化水素は6%以下ホルムアルデヒドは1%以下アンモニアは10%以下。この数字は実地試験でも頻出!

強欲な青木

希釈ってどう計算するんすか?

毒劇先生

鉄則:希釈しても溶質の量は変わらない!10% 100 g を水で薄めて 5% にする場合、溶質は 10 g のまま。濃度×量=溶質量 が希釈前後で同じになる、という関係式で解けます。

質量パーセント濃度とモル濃度の2大公式
図解:溶液の濃度計算の公式
目次

💪実力試し(3問)

まずは腕試し。本番レベルの問題3問を解いてから、解説で確認しましょう。

問題1

水酸化ナトリウム(NaOH)20 g を水 180 g に溶かした水溶液の質量パーセント濃度として、正しいものはどれか。

  1. 9%
  2. 10%
  3. 11%
  4. 20%
解答と解説を見る

正解:2

解説:質量% = 溶質 ÷ 溶液全体 × 100 = 20 ÷ (20+180) × 100 = 20÷200×100 = 10%。溶液全体は溶質+溶媒。

間違えやすいポイント:溶液全体=溶質+溶媒(この場合20+180=200 g)。溶媒(水)だけで割ると20÷180=11%となり間違い。

問題2

40 gの水酸化ナトリウム(NaOH)を水に溶かして全量を500 mLにしたときのモル濃度はいくらか。(Na=23, O=16, H=1)

  1. 0.5 mol/L
  2. 1 mol/L
  3. 2 mol/L
  4. 4 mol/L
解答と解説を見る

正解:3

解説:NaOHのモル質量 = 23+16+1 = 40 g/mol。40÷40 = 1 mol の NaOH。溶液500 mL = 0.5 L なので、モル濃度 = 1÷0.5 = 2 mol/L。

間違えやすいポイント:溶液の体積はmLからLに変換してから割る。500 mL = 0.5 L。

問題3

10%の塩酸 200 g に水を加えて 4% の塩酸にしたい。加える水の量はいくらか。

  1. 100 g
  2. 200 g
  3. 300 g
  4. 400 g
解答と解説を見る

正解:3

解説:溶質(HCl)の質量は変わらず:10% × 200 g = 20 g。希釈後は 20 g が 4% に相当するので、希釈後の溶液 = 20 ÷ 0.04 = 500 g。加える水 = 500 − 200 = 300 g。

間違えやすいポイント:希釈前後で溶質量は不変。希釈後の全体量−元の溶液量=加える水の量。

🔰基礎教養学習

本単元は①質量パーセント濃度 ②モル濃度 ③希釈計算 ④除外濃度の4ブロック構造。毒物劇物試験で毎年出題される頻出領域です。

⓪ 溶液の用語整理

用語 意味
溶質 溶けている物質 食塩水の食塩
溶媒 溶かしている液体 食塩水の水
溶液 溶質と溶媒が混ざったもの 食塩水全体
飽和溶液 溶解度の限界まで溶けた溶液 飽和食塩水

① 質量パーセント濃度(%)

公式:質量パーセント濃度 (%) = (溶質の質量 ÷ 溶液全体の質量)× 100
※分母は溶液全体の質量(溶質+溶媒)。溶媒だけで割らない!

👉計算例

  • 食塩10 g を水90 g に溶かす → 10÷(10+90)×100 = 10%
  • 食塩20 g を溶液100 g(食塩+水)に含む → 20÷100×100 = 20%
  • 5% 食塩水 200 g に含まれる食塩 → 200×0.05 = 10 g

② モル濃度(mol/L)

公式:モル濃度 (mol/L) = 溶質の物質量 (mol) ÷ 溶液全体の体積 (L)
※体積はLで使う(mLなら÷1000)。溶媒の体積ではなく溶液全体の体積

👉計算例

  • NaOH 40 g(1 mol)を水に溶かして全量1 L → 1 mol/L
  • NaOH 80 g(2 mol)を水に溶かして全量1 L → 2 mol/L
  • HCl 0.5 mol を水に溶かして全量500 mL → 0.5÷0.5 = 1 mol/L

👉モル濃度→質量への変換

例:1 mol/L のNaOH水溶液 200 mL に含まれるNaOHの質量は?→ 1 × 0.2 = 0.2 mol → 0.2 × 40 = 8 g

③ 希釈・混合計算の鉄則

鉄則希釈・混合しても溶質の量は変わらない
つまり C₁ × V₁ = C₂ × V₂(濃度 × 量 = 溶質量 は一定)。

👉希釈の例

『10% 硫酸 200 g を希釈して 5% にするには、水を何g加えるか?』

  1. 溶質量=10%×200=20 g(これは不変)
  2. 希釈後は 20 g が 5% → 希釈後の溶液全体 = 20÷0.05 = 400 g
  3. 加える水 = 400−200 = 200 g

👉混合の例

『10% 塩酸 100 g と 20% 塩酸 200 g を混合したときの濃度は?』

  1. 溶質量の合計 = 100×0.1 + 200×0.2 = 10+40 = 50 g
  2. 溶液全体 = 100+200 = 300 g
  3. 混合後濃度 = 50÷300×100 = 約16.7%

④ 毒物劇物の除外濃度(超頻出)

特定の物質は、一定濃度以下なら劇物指定から除外される(施行令・指定令)。この『除外濃度』は試験で必ず問われる数字です。

物質 劇物指定 除外濃度
塩酸 HCl 劇物 10%以下は除外
硫酸 H₂SO₄ 劇物 10%以下は除外
硝酸 HNO₃ 劇物 10%以下は除外
水酸化ナトリウム NaOH 劇物 5%以下は除外
水酸化カリウム KOH 劇物 5%以下は除外
過酸化水素 H₂O₂ 劇物 6%以下は除外
フェノール C₆H₅OH 劇物 5%以下は除外
ホルムアルデヒド HCHO 劇物 1%以下は除外
アンモニア NH₃ 劇物 10%以下は除外
シュウ酸 (COOH)₂ 劇物 10%以下は除外
クレゾール 劇物 5%以下は除外
毒劇先生

除外濃度の語呂合わせ:『酸は10、水酸化は5、過酸化6、ホル1』──塩酸・硫酸・硝酸・アンモニアは10%、水酸化Na/K・フェノール・クレゾールは5%、過酸化水素は6%、ホルムアルデヒドは1%。

✅理解度チェックテスト(3問)

チェック1(○✕)

次の記述は正しいか誤りか、○✕で答えてください。

「溶液を水で希釈しても、溶液中に含まれる溶質の量(質量・物質量)は変化しない。」

答えを見る

正解:○(正しい)

解説:正しい。希釈は水(溶媒)を加えるだけなので、溶質量は不変。濃度(溶質/溶液)だけが薄まる。

チェック2(穴埋め)

次の文の【 】に入る最も適切な語句を選んでください。

水酸化ナトリウム(NaOH)は、水溶液の濃度が【   】以下の場合、劇物から除外される。

  1. 1%
  2. 5%
  3. 6%
  4. 10%
答えを見る

正解:2

解説:水酸化ナトリウム・水酸化カリウムは5%以下で劇物から除外。酸(塩酸・硫酸・硝酸・アンモニア)は10%、ホルムアルデヒドは1%。

チェック3(4択)

0.5 mol/L の塩酸 100 mL に含まれる塩化水素(HCl)の物質量はどれか。

  1. 0.005 mol
  2. 0.05 mol
  3. 0.5 mol
  4. 5 mol
答えを見る

正解:2

ポイント:物質量 = モル濃度 × 体積(L) = 0.5 × 0.1 = 0.05 mol。

🪏深掘り解説

テーマ1:濃度計算の思考フロー

濃度問題で迷ったら次のフローで整理:①何がいくつあるか(溶質量・溶液量を把握)、②求めたい濃度の定義に従って公式適用、③単位を揃える(mLとL、mgとg)、④答えの妥当性をチェック(現実的な濃度か)。複雑な問題もこの4ステップで解けます。

テーマ2:除外濃度の覚え方

濃度 該当物質 ゴロ
10% 塩酸・硫酸・硝酸・アンモニア・シュウ酸 『酸っぱいは十(10)』
5% 水酸化Na・水酸化K・フェノール・クレゾール 『水酸化は五(5)』
6% 過酸化水素 『過酸化は六(6)』
1% ホルムアルデヒド 『ホルムは一(1)』

テーマ3:質量パーセントとモル濃度の換算

質量%からモル濃度への変換には溶液の密度が必要。例:濃塩酸は35%・密度1.18 g/mL。1 L = 1000 mL → 1000×1.18 = 1180 g(溶液全体)。溶質(HCl)= 1180×0.35 = 413 g → 413÷36.5 ≒ 11.3 mol。よってモル濃度 ≒ 11.3 mol/L(濃塩酸)。実地の薬品調製で頻繁に使う計算です。

🥊過去問演習(全10問)

Q1. 質量パーセント濃度の定義として正しいものはどれか。

Q2. モル濃度(体積モル濃度)の定義として正しいものはどれか。

Q3. 質量モル濃度の定義として正しいものはどれか。

Q4. 10%食塩水 200 g に含まれる食塩の質量として正しいものはどれか。

Q5. 1 mol/L の塩酸 500 mL に含まれる HCl の物質量として正しいものはどれか。

Q6. 2 mol/L NaOH 水溶液 100 mL を希釈して 1 mol/L NaOH にする場合の最終体積は。

Q7. 98%濃硫酸 100 g から取り出せる H₂SO₄ の質量として正しいものはどれか。

Q8. 0.5 mol/L の水酸化ナトリウム 1 L に含まれる NaOH の質量は。(NaOH=40)

Q9. 5%食塩水と10%食塩水を1:1(質量比)で混合した場合の濃度は。

Q10. 濃度計算における基本方針として正しいものはどれか。

あなたのスコアは

📝まとめと次の学習へのつなぎ

今回の学習ポイント

  • 質量% = 溶質÷溶液全体×100
  • モル濃度 = 溶質(mol)÷溶液体積(L)
  • 希釈の鉄則:C₁V₁ = C₂V₂(溶質量は不変)
  • 除外濃度:酸10%、水酸化5%、過酸化6%、ホル1%
  • 溶液全体=溶質+溶媒(溶媒だけで割らない)
  • 体積はmL→Lに変換してから計算
毒劇先生

濃度計算は毎年出る鉄板問題。この3つの公式さえ押さえれば確実に得点源にできます!

強欲な青木

希釈してもC₁V₁=C₂V₂ で解ける!苦手意識なくなりました。

次回予告:レッスン2-11「酸と塩基」

次回は酸と塩基。アレニウス・ブレンステッド・ルイスの定義、pH と水素イオン濃度、強酸・弱酸の違いを学びます。中和反応・塩の性質につながる重要単元です。

📍 他のレッスンへ

章全体の学習進度はサイドバーからも確認できます。前後のレッスンで関連事項を横断的に復習しましょう。

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この記事を書いた人

高専から大学院まで9年間にわたり化学を専攻。
消防整備士として10年の実務経験を積み、独立・起業。

消防設備士全類、危険物取扱者全類をはじめ、第二種電気工事士、AI・DD総合種、第三種電気主任技術者など、多数の国家資格を保有。

神戸高等技術専門学院にて危険物取扱者 乙種第4類およびDO第3種の講師を担当。
また、月刊誌「電気と工事(オーム社)」にてコラムを連載中。

実務・教育・執筆の三軸から、専門性と実践力を兼ね備えた情報発信を行っている。

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