もっと簡単に誰でも分かるように解説してや‥。
消火器にも種類が色々あるので、それらにも触れながら消火作用について紹介していきます!
これから消防設備士の試験を受ける方、既に消防設備士の免状を取得して業務に従事されている方も今一度、確認しておきましょう!
燃焼の3要素
物が燃えるのは「燃えるもの」と、「空気」と、「きっかけ」の3つで起こります。
①可燃物
この「燃えるもの」とは、固体(木、プラスチック、布など)だけで無く、液体(ガソリン、天ぷら油など)や、気体(天然ガスやLPガスなど)があります。
これをカッコ良く【可燃物(かねんぶつ)】と言います。
②支燃物
「空気」の成分には酸素が含まれており、その酸素が可燃物と激しくケミストリー(化学反応)している状態が”燃える”です。
この酸素の事を、”燃えるのを支えている”という意味で【支燃物(しねんぶつ)】と言い、可燃物とケミストリーしている現象を”酸化反応(さんかはんのう)”と言います。
また、”燃える”では素人っぽいので、これからは”燃焼(ねんしょう)”と言いましょう。
③点火源
そして「きっかけ」とは、ガスコンロで言えば『カチッ』って鳴った時に出る火花、ろうそくで言えばマッチやライターの火、ガソリンスタンドで言えば静電気の『パチッ』や咥えタバコです。
原始人が木と木を擦りまくって火を起こす時の摩擦熱も含みます。
この「きっかけ」のことをプロっぽく言うと【点火源(てんかげん)】となります。
この【可燃物】と【支燃物】と【点火源】が揃って「燃焼」になります。
逆に言えば「燃焼の3要素」が、どれか一つも欠如すれば燃焼は収まります。
消火方法4つ
次は【可燃物】と【支燃物】と【点火源】のどれかを取り除き、消火する方法を考えてみましょう。
①除去消火
まず、可燃物を無くしてしまう[除去(じょきょ)]です。
これは物理的に可燃物を取り除く事で、小さな木片とかなら、他に燃え移らない所に蹴っ飛ばしたり、ガスなら元栓閉めたりする事です。
ちなみに昔の”め組”とかの火消しは火災現場の周囲の家屋をぶっ壊して延焼を防ぐ「破壊消火」だったようで、これも[除去]の一種です。
②窒息消火
次の方法は、支燃物を取り除く[窒息]です。
”燃焼”も人間の呼吸のように空気(酸素)が無いと活動が続けられないので、それになぞらえて[窒息]で、要するに空気(酸素)を遮断してしまう方法です。
テレビとかで帽子の長いシェフが鉄板焼きの肉に火がついた時に、ドーム型の蓋をパコッと被せてるのを見たことがありますが、あんな感じです。
他には、空気中の酸素の濃度を落とす方法です。
通常時、空気中の酸素の濃度は約21%ですが、何らかの方法で15%以下ぐらいまで落とせば火は消えます。(鉄板焼きドーム蓋の中でも15%残しぐらいで火は消えてます。)
昔からある方法として、砂をかけるのも[窒息]の一種です。
③冷却消火
次は、可燃物を冷やす[冷却]です。
可燃物は物により様々ですが、ある程度の温度にならないと燃焼しません。(木材だと約250℃以上、ガソリンだと約−(マイナス)43℃以上とか‥)
この温度を超えた時に火を近づけると着火します。この温度を[引火点]と言いますが、この温度では燃焼は継続しないので火を離すと、すぐ消えます。
さらに温度が上がり[燃焼点]に達すると燃焼が継続します。
それを踏まえると、燃焼している可燃物を[燃焼点]より冷やせば燃焼活動を継続出来ないので、それを[冷却]と言います。
一番メジャーな方法としては水をかける事です。
④抑制作用(負触媒作用)
さらにもう一つの手段として、先ほどの燃焼のメカニズム説明でケミストリーの話があったと思いますが、酸化反応を化学的に抑制(抑えつける)する[抑制]作用を利用した消火があります。
消火器は、上記の[除去]・[窒息]・[冷却]・[抑制]の4つの方法のうち、[除去]以外の3つの方法のいずれか、または複数利用して消火をします。
消火器種別ごとの消火作用
次に、消火器の種類の違いによる消火の方法を見ていきましょう。
消火器の種別 | 窒息 | 冷却 | 抑制 | 作用の概要 |
粉末(ABC) | ◯ | ◯ | 粉で遮断、成分で抑制。 | |
水 | ◯ | 水(液体)が冷たい。 | ||
強化液 | ◯ | ◯ | 液体が冷たい、成分で抑制。 | |
強化液(中性) ※ | ◯ | ◯ | 液体が冷たい、成分で抑制。 | |
化学泡 | ◯ | ◯ | 泡で遮断、液体が冷たい。 | |
機械泡 | ◯ | ◯ | 泡で遮断、液体が冷たい。 | |
二酸化炭素(CO₂) | ◯ | ◯ | 酸素濃度低下、気化熱が冷たい。 | |
ハロゲン化物 | ◯ | ◯ | 蒸気が遮断、成分で抑制。 |
※試験問題で強化液とだけ書かれていた場合は、こちら(中性)では無い。
水消火器
【水消火器】最も歴史のある消火薬剤である水を使用。とは言っても要するに”水をかけるだけ”なので[冷却]作用のみ。
現在は通常よりも純度が高い”純水”をベースに浸潤剤等が添加された薬剤を使用し電気の絶縁性を高めたタイプが主流。
強化液消火器
【強化液消火器】炭酸カリウムやアルカリ金属塩類などの水溶液が薬剤で使用されており、その化学変化を利用した[抑制]作用と、液体状なので水と同じように[冷却]作用がある。
※次の”中性”タイプに対して、こちらは”アルカリ性”ということになりますが、その様に表現されることは少なく普通に“強化液”と書いてあればこちらです。
【強化液(中性)消火器 ※ 】アルカリ金属塩類等の主成分に界面活性剤等を添加した薬剤を使用。
霧状で放射することにより泡立ち[窒息]作用と、液体による[冷却]作用がある。成分による”抑制作用”もあると思われますが特に謳われていない。
試験問題で、この”中性”タイプの強化液についての問題は、まだ見たことが無いので今は気にする事は無いと思いますが、実務では目にする機会があると思われるので一応認識しておくと良いです。
※試験問題で強化液消火器とだけ書かれていた場合は、こちら(中性)では無い。
泡消火器
【化学泡消火器】炭酸水素ナトリウムと硫酸アルミニウムを混ぜた時に発生する二酸化炭素を含んだ泡を放射し、泡の膜で外気を遮断する[窒息]作用と、液体薬剤による[冷却]作用。
【機械泡消火器】界面活性剤を主剤とした薬剤をノズルの部分で空気と混合し、空気を含んだ泡を放射する、泡の膜による[窒息]作用と、液体薬剤による[冷却]作用。
粉末消火器
【粉末(ABC ※ )消火器】粉末状の消火薬剤を吹き付けて、可燃物と空気を遮断する[窒息]作用と、薬剤成分のリン酸アンモニウム等による化学変化を利用した[抑制]作用の2つの効果があります。
※粉末消火薬剤にはいくつか種類があるが、現在はABC薬剤がほとんど。
二酸化炭素消火器
【二酸化炭素消火器】炭酸ガスを噴射して可燃物の周囲の酸素濃度を下げ[窒息]作用をもたらす。他に、液化したガスが気化する時の”気化熱”で[冷却]作用もあるとされる。
ハロゲン化物消火器
【ハロゲン化物消火器】ハロンガスが熱で蒸気になり負触媒(ふしょくばい)効果を発生し燃焼の連鎖を止める[抑制]作用と、その蒸気が酸素を遮断する[窒息]作用がある。
それでは以下の消火器の消火作用に関する消防設備士試験の過去問にチャレンジして、これまでの内容が頭に入っているかを確認しましょう!
消防設備士試験の過去問(構造・機能)
危険物第4類第1石油類の火災の初期消火の方法として、誤っているものは次のうちどれか。
- 乾燥砂による消火は効果がある。
- 通常、窒息消火が効果的である。
- 一般に、引火点が低いので冷却消火が最もよい。
- 二酸化炭素消火器による消火でもよい。
抑制作用の最も優れている消火器は次のうちどれか。
- 化学泡消火器
- 粉末(ABC)消火器
- 強化液消火器
- 機械泡消火器
消火特性として抑制作用(負触媒作用)をもたない消火器は次のうちどれか。
- 強化液消火器
- ハロゲン化物消火器
- 化学泡消火器
- 粉末消火器
消火器の一般的な消火特性について、誤っているものは次のうちどれか。
- 強化液消火器は、アルカリ塩類を含む薬剤を放射するものであり、浸透性がよいので、再燃防止効果に優れている。
- 化学泡消火器は、低温でも発泡性能が低下しないものであり、浸透性がよいので、再燃防止効果に優れている。
- 機械泡消火器は、窒息作用により消火するものであり、また、浸透性がよいので、再燃防止効果に優れている。
- 水消火器は、冷却作用により消火するものであり、また、浸透性がよいので、再燃防止効果に優れている。
消火器の消火作用について、正しいものは次のうちどれか。
- 二酸化炭素を放射する消火器の消火作用は、主に窒息作用と抑制作用によるものである。
- 機械泡を放射する消火器の消火作用は、主に冷却作用と抑制作用によるものである。
- 粉末を放射する消火器の消火作用は、主に窒息作用と冷却作用によるものである。
- 棒状の強化液を放射する消火器の消火作用は、主に冷却作用と抑制作用によるものである。
消火器の消火作用について、誤っているものは次のうちどれか。
- 強化液による消火は、冷却作用と抑制作用によるものである。
- 二酸化炭素による消火は、窒息作用によるものである。
- 泡による消火は、冷却作用のみによるものである。
- 消火粉末による消火は、抑制作用と窒息作用によるものである。
消火器の消火薬剤の消火作用について、誤っているものは次のうちどれか。
- 強化液消火器…冷却作用と抑制作用があるが、冷却作用のほうが大きい。
- 泡消火器‥窒息作用と冷却作用があるが、窒息作用のほうが大きい。
- 二酸化炭素消火器‥抑制作用と窒息作用があるが、抑制作用のほうが大きい。
- 粉末消火器‥抑制作用と窒息作用があるが、抑制作用のほうが大きい。
消火器の消火作用について、主に窒息と抑制の両方の作用で消火するものの組み合わせとして、正しいものは次のうちどれか。
- 強化液消火器及び二酸化炭素消火器
- 機械泡消火器及び水消火器
- 粉末消火器及び化学泡消火器
- ハロゲン化物消火器及び粉末消火器
消火器の消火薬剤の消火作用には、冷却作用、窒息作用、抑制作用等があるが、抑制作用の少ない消火薬剤は、次のうちどれか。
- 強化液消火薬剤
- 化学泡消火薬剤
- ハロゲン化物消火薬剤
- 粉末消火薬剤
消火薬剤の一般的な性状について、適切でないものは次のうちどれか。
- 化学泡消火薬剤は、2種類の薬剤を混合させることにより、発生する窒素ガスを泡に含ませている。
- 界面活性剤泡消火薬剤は、炭化水素系界面活性剤を主成分とし、泡安定剤や不凍剤、防錆剤等を添加したものである。
- 水成膜泡消火薬剤は、フッ素系界面活性剤を主成分とし、油の表面に対し水性膜のフィルムを形成し、油の蒸発を防いで消火する。ただし、PFOSの問題がある。
- 二酸化炭素消火薬剤は、液体の状態でボンベに充てんされており、放射すると直ちにガス化する。
消火器の消火薬剤について、最も不適当なものは次のうちどれか。
- 強化液消火薬剤は、無色半透明又は淡黄色の高濃度の炭酸ナトリウム水溶液である。
- 合成界面活性剤泡消火薬剤は、界面活性剤の水溶液に浸潤性、浸透性、不凍性を促進する薬剤を加えたもので、一般的に長期安定性を有している。
- 水成膜泡消火薬剤は、フッ素系界面活性剤を主成分とするもので、その水溶液は表面張力が極めて小さいという特徴を有している。
- 化学泡消火薬剤は、外筒用薬剤と内筒用薬剤からなり、これらを混合、反応させると二酸化炭素を含む泡となる。外筒用薬剤には炭酸水素ナトリウムが用いられ、内筒用薬剤には硫酸アルミニウムが用いられる。
参考【消防設備士】基礎的知識(機械)の過去問まとめ【解答・解説つき】
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消防設備士「過去問テスト」は、その名の通り“過去に出た問題” のテストです。
ブログでお馴染みの管理人が過去問に関する情報収集を積み重ね、その中からピックアップして過去問ベースの模擬試験を作成したものです。
上記以外に新傾向問題の情報など提供あり次第、解説を毎年追記して更新しています。これから消防設備士の試験を受けられる方は是非ご覧下さい。