人生の約1/4を消防設備業界で過ごしている管理人が、現時点で見えているマーケットについて “インサイダー” な視点から紹介してみます。
以下に当てはまる方を、読者として想定します。
- 何となぁ~く消防設備士になったって人
- これから消防設備士って大丈夫‥⁉って人
- 儲からない!消防設備士やめよかな…って人
消防設備業界の現状と、これから「どういう市場にしていくべきか」という持論について簡潔に言及していきます。
消防設備業界のマーケットについて
◎ 消防設備業界の “需要” と “供給”
消防設備業界は、主に消防法第17条で謳われている “消防用設備等” の設置・維持の規定によって需要が創出されています。
その需要に対して、製品・サービスを供給する側として挙げられるのは立場が強い順に以下の通り。
消防設備業界の会社(強い順)
- ☑ メーカー🧯
- ☑ 施工業者👷
- ☑ 職人👥
また、施工業者もメーカーの代理店となっているケースが多く、主な需要に対するメーカーの供給力が大きい市場となっている様に見受けられます。
◎ 消防設備業界の市場構造2020
消防設備業界で立場の強いメーカーですが、その圧倒的トップである「能◯防災㈱」及び第二位の「ホ◯チキ㈱」は共に警備会社である「SEC◯M」及び「ALS◯K」の子会社となっています。
つまり、市場構造的に以下のことが明言されます。
- 消防設備業界は、警備業界の下位市場である。
以下に、理解し易いようロングテール現象に当てはめた消防設備業界の市場構造を概略図にしたものを示します。
業界関係者はご存知かもしれませんが、メーカーはメーカー同士で競争して “松” に該当する美味しい案件を奪い合っています。
街の老舗防災屋は同業者間で潰し合わぬ様に協会を作り、地域密着で “竹” もしくは一部 “梅” の案件を収めています。
よって「棲み分け」がされている為、今もなお他業界に比べると小規模な老舗でも何とかやっていけている状況になっています。
消防設備業界の可能性
上記でロングテールに当てはめた理由として、以下の2つの変化が消防設備業界にも深く関わるだろうと推測される背景があります。
- 消防法改正で、超小規模な建物にも消防用設備等の需要が創出されている。
- IT化の力で、創出された利益の低い大量の仕事がまとめられる可能性がある。
例えば (3)項ロ 飲食店に対する消火器の設置義務が「延べ面積に関係無く」となりましたが、プロとして主に “竹” の案件を収める施工業者が積極的に設置・維持に取り組むのはビジネス的に難しいわけです。
ですから管理人はスマテン㈱さんを応援していますし積極的に協力したいと思っているのです。
- 特に消防設備業界に身を置く方は、その上位市場である警備業界の圧倒的トップであるSEC◯M社が繁栄し続けている “ウェイ” という競争力の源泉である経営理念について知っておくべき・学ぶべきところが多々あるかと。
因みに警備業界は「AIや警備ロボット」に注力しており、今後 “専門性が低くて貧しい警備員” と “高性能なAI・警備ロボット” の二極化が進むことが避けられないと言われています。
◎ 適正価格でサービスできる市場へ
さて何故こんな話をしたかと言うと、管理人と共依存関係である社員より以下の様な意見を聞いているからです。
- 『過度な価格競争で、サービスの質を落としたくない。』
心底、同意しております。
特に消防用設備点検については「できない値段」で取引が行われて “やっていない” 状態で報告書を作成して収めている様な方々が、実際にいらっしゃるので迷惑しています。
例えば新型コロナウイルスの影響で所轄消防署への申請書類の “はんこ” が省略(臨時的措置)されて電子メールでの届出が推奨された様に、ますます今後は電子化によって然るべき “整備” が進行するでしょう。
それらの変化を “淘汰リスク” ではなく “好機” と捉える為にも、以下の3つに取り組むことが大切になってくるかと。
- 「基礎教育」‥消防法に則り、正しい成果を収められる人を増やす。
- 「情報共有」‥労働を消費せずに公開し、仕事のレベルを合わせる。
- 「高め合い」‥業界全体の価値を底上げする為に、他社と比較する。
弊社の研修レポートでも “電気と工事” で管理人の執筆した記事を利用した「教育」が行われています、オススメです!
“いらすとや” さんの「やりがい搾取のイラスト」
ご覧の通り、やりがい搾取とは『給料などの待遇ではなく “夢・希望” の様な得体の知れない「やりがい」のみをぶら下げる事で、本来支払われるべき報酬を支払わずに劣悪な環境で働かせること。』を指します。
目指すべき消防設備業界のマーケットは「消防法の目的を達成する為の仕事に、ちゃんとプロが取り組めて適切な対価が得られる。」って状態ですので、皆さま何卒ご理解ご協力の程を宜しくお願い致します。
◎ まとめ
- 消防設備業界は、主に消防法第17条で謳われている “消防用設備等” の設置・維持の規定によって需要が創出されており、大手警備会社の子会社であるメーカーがトップを占めている市場であった。
- 消防法の規制対象となる防火対象物の範囲が超小型建物も含まれ始めた為、もしロングテールのテール寄りの部分にまで参入してビジネスとなり得る利益を出すにはITの力が不可欠もしくはジリ貧で誰かがやるという構造になっていた。
- 管理人と共依存関係である社員より『過度な価格競争で、サービスの質を落としたくない。』という意見があり、心底そう思ったので「消防法の目的を達成する為の仕事に、ちゃんとプロが取り組めて適切な対価が得られる。」って状態を目指す為に発信をしていた。