消防用設備等の設置されているところに標識類あり‥と共に掲げられる標識類ですが、避難器具については掲示すべき箇所も複数あります。
消防検査時の指導や消防用設備点検の不備事項として挙げられない為に、キチンと知った上で適切な位置に標識類を掲げておきましょう!
避難器具にまつわる標識類の設置基準
①「避難器具」である旨を示す標識
告示第2号〔避難器具の設置及び維持に関する技術上の基準の細目〕の第5項にて、以下の文言が謳われています。
標識には、「避難器具」又は「避難」若しくは「救助」の文字を有する器具名を記載すること。
ただし、避難器具である旨が容易にわかるシンボルマークを表示した場合には、この限りでない。
また、大阪市の消防用設備に関する運用基準 第10章 標識類にて「避難器具」の標識については「避難はしご・救助袋など避難または救助の文字を使用する器具名にあっては当該器具名とすることができる。」と謳われています。
避難器具のシンボルマークって?
告示第2号〔避難器具の設置及び維持に関する技術上の基準の細目〕の第5項上では「標識もしくはシンボルマーク」を掲げる風に謳われていましたが、現在は文字ベースの標識が殆どでしょう。
参考図記号データベース(株式会社石井マーク様の公式サイトより)
「救助袋」標識の存在意義
例えば、ハッチ(ベランダ等にある避難器具の収納された場所)式の場合に「避難器具」としか記されていないと、ハッチを開けるまで避難はしごor救助袋どちらか分かりません。
②避難器具の「使用方法」標識
告示第2号〔避難器具の設置及び維持に関する技術上の基準の細目〕の第5項にて、以下の文言が謳われています。
(一) 標識は、避難器具の直近の見やすい箇所に設置すること。ただし、使用方法の簡便なものにあっては、設置しないことができる。
(二) 使用方法は、図及び文字等を用いてわかりやすく表示すること。
③「避難器具設置場所」
告示第2号〔避難器具の設置及び維持に関する技術上の基準の細目〕の第5項にて、以下の文言が謳われています。
標識の設置場所は、避難器具の直近の見やすい箇所及び避難器具の設置箇所に至る廊下、通路等に設けること。
ただし、避難器具の設置場所が容易にわかる場合にあっては、この限りでない。
「避難器具設置場所」用の非常照明装置
また、大阪市の消防用設備に関する運用基準 第1節 避難器具 第6 標識にて、以下の文言が謳われています。
避難器具の設置場所を示す標識を屋内に設けるものは、常用電源が遮断された場合においても標識が識別できる明るさが確保できるよう、非常用の照明装置が設けられていること。
そこで、以下の様な器具が設置されることとなります。
光源つき「避難器具設置場所」
よって、光源付きの「避難器具設置場所」を改修する際に『安いし、普通の標識に交換しとこ。』ってのはNGとなります。
※現行品はLED化でスリムになっています。
👇
※特定一階段等防火対象物の場合
消防法第27条〔避難器具に関する基準の細目〕の第3項にて、以下の条文が謳われています。
ハ 特定一階段等防火対象物における避難器具設置等場所がある階のエレベーターホール又は階段室(附室が設けられている場合にあっては、当該附室)の出入口付近の見やすい箇所に避難器具設置等場所を明示した標識を設けること。
④「避難器具設置室」
こちらも、告示第2号〔避難器具の設置及び維持に関する技術上の基準の細目〕の第5項に基づく設置となります。
標識の設置場所は、避難器具の直近の見やすい箇所及び避難器具の設置箇所に至る廊下、通路等に設けること。
ただし、避難器具の設置場所が容易にわかる場合にあっては、この限りでない。
⑤「避難器具降下地点」
こちらの「避難器具降下地点」の標識は、避難空地を確保する為に設けられるものとなります。
避難空地‥避難器具の降着面等付近に必要な避難上の空地をいう。
避難空地について、告示第2号〔避難器具の設置及び維持に関する技術上の基準の細目〕の第三 避難器具の設置方法等 ト にて以下のように規定されています。
避難空地には、当該避難空地の最大幅員(1mを超えるものにあっては、1mとすること。)以上で、かつ、避難上の安全性が確保されている避難通路が設けられていること。
降下地点の地面にマークでも可
上述した「避難上の安全性が確保されている‥」の要件を満たすことができれば、標識ではなく地面に直接マークを施すことも可能となっています。
兵庫県姫路市の消防用設備等の技術基準 第16 避難器具 3 設置位置等では、以下の文言が謳われています。
(5) 避難空地には、当該避難空地に避難障害物が存知されることがないように、標識の設置・ゼブラ表示等の措置を講じること。
上述した姫路市と同じ兵庫県の、明石市では消防用設備等の技術基準 第15 避難器具 (3)避難はしご にて以下の通り規定されています。
エ 避難空地には、避難空地を示すペイントまたは標識を施すこと。
要は、避難空地に障害物が置かれず避難上の安全性が確保するという目的が達成されていれば、標識の設置でもゼブラ表示等でもOKなのです。
降下地点の障害物
避難器具は標識の力を最大限まで借りてこそ、本来の役目を果たすことができるものとなっています。
◎ まとめ
- 避難器具にまつわる標識類は、大きく①「避難器具」である旨を示す標識・②避難器具の「使用方法」標識・③「避難器具設置場所」・④「避難器具設置室」・⑤「避難器具降下地点」の5つがあった。
- 告示第2号〔避難器具の設置及び維持に関する技術上の基準の細目〕の第5項上では「標識もしくはシンボルマーク」を掲げる風に謳われていたが、日本ではISOに準拠した図記号が普及してないから「避難器具である旨が容易にわかるシンボルマーク」ってのは今のところ用いられていなかった。
- 「避難器具降下地点」の標識は、避難空地を確保する為に設けられるものとなっていて、避難空地に障害物が置かれず避難上の安全性が確保するという目的が達成されていれば、標識の設置でもゼブラ表示等でもOKであった。