屋内消火栓設備は、建物の中に設けた消火栓からホースを延ばし、建物の関係者が初期消火を行うための設備です。
これから覚える5つ
- どの用途・面積で設置が必要になるか
- 耐火構造と内装による基準面積の緩和
- 1号・易操作性1号・2号・広範囲型2号の違い
- 水平距離、放水圧力、放水量、水源水量
- 過去問を解く順番
step
1どの用途・面積で設置が必要になるか
step
2耐火構造と内装による基準面積の緩和
step
31号・易操作性1号・2号・広範囲型2号の違い
step
4水平距離、放水圧力、放水量、水源水量
step
5過去問を解く順番
設置面積だけを丸暗記するのではなく、用途、階、構造、消火栓の種類を順番に判定します。
現在地:法令1(1/5)|この講義5問・単元全25問
🚰 屋内消火栓設備の全体像
水は、次の5段階を通ってノズルから放水されます。
step
1水源に必要量の水を確保する
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2加圧送水装置で圧力を与える
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3配管と弁を通して各階へ送る
step
4消火栓箱からホースを延ばす
step
5ノズルを開いて放水する
屋内消火栓設備には、水源だけでなく、加圧送水装置、配管、消火栓箱、ホース、ノズル、表示灯、起動装置、非常電源が必要です。
この講義では設置対象と種類を中心に扱い、ポンプ・配管・弁の細かな構造は設備構造の講義で詳しく確認します。
消防法施行令第11条第3項は、屋内消火栓の水平距離、水源水量、放水圧力、放水量、加圧送水装置、非常電源の基準を定めています。
屋内消火栓は「水源 → 加圧 → 配管 → ホース → 放水」の設備。数値は、この流れのどこに関する数値かを区別する。
🏢まず用途と延べ面積で設置を判定する
屋内消火栓設備の設置判定は、令別表第1の用途区分によって基準面積が変わります。
基本の設置面積
| 用途区分 | 主な用途例 | 設置が必要になる延べ面積 |
|---|---|---|
| (1)項 | 劇場、映画館、集会場など | 500㎡以上 |
| (2)~(10)・(12)・(14)項 | 飲食店、物品販売店舗、ホテル、病院、学校、工場、倉庫など | 700㎡以上 |
| (11)・(15)項 | 神社・寺院、事務所、銀行など | 1,000㎡以上 |
| (16の2)項 | 地下街 | 150㎡以上 |
| 指定可燃物 | 可燃性液体類を除く指定可燃物 | 指定数量の750倍以上 |
「500㎡以上」のように、基準面積と同じ面積も設置対象です。
地階・無窓階・4階以上の階は床面積も確認する
建物全体の延べ面積が基本基準に達していなくても、地階、無窓階、4階以上の階は、その階の床面積によって設置対象になることがあります。
| 用途区分 | 地階・無窓階・4階以上の階の床面積 |
|---|---|
| (1)項 | 100㎡以上 |
| (2)~(10)・(12)・(14)項 | 150㎡以上 |
| (11)・(15)項 | 200㎡以上 |
問題文に「地階」「無窓階」「4階以上」が出たら、延べ面積だけで判定してはいけません。
消防法施行令第11条第1項第1号から第6号。用途別の延べ面積、地下街、指定可燃物、地階・無窓階・4階以上の階の床面積を定めています。
設置判定は「用途 → 延べ面積 → 地階・無窓階・4階以上の階」の順。階の条件があれば、その階の床面積基準も確認する。
🧱耐火構造と内装で基準面積が2倍・3倍になる
一定の構造と内装を満たす防火対象物では、設置の基準面積が緩和されます。
基準面積が3倍になる条件
次の2条件を両方満たします。
- 特定主要構造部を耐火構造とする
- 壁・天井の室内に面する部分の仕上げを難燃材料とする
たとえば、飲食店の基本基準700㎡は、条件を両方満たすと2,100㎡になります。
700㎡ × 3 = 2,100㎡
不燃材料や準不燃材料による仕上げは、難燃材料より上位の性能を持つため、この条件を満たします。
基準面積が2倍になる条件
次のいずれかに該当する場合です。
- 特定主要構造部を耐火構造とするが、室内仕上げの3倍条件を満たさない
- 一定の準耐火建築物等に該当し、壁・天井の室内仕上げを難燃材料とする
病院・社会福祉施設等の一部は小さい方を使う
令第12条第1項第1号に掲げる病院・社会福祉施設等へ令第11条第1項第2号を適用する場合は、単純に2倍・3倍した数値だけで決めません。
次の数値を比べ、小さい方を使います。
- 基本基準700㎡を2倍または3倍した数値
- 1,000㎡に、総務省令で定める部分の床面積の合計を加えた数値
この加算部分は、手術室・分娩室・内視鏡検査室などのうち、規則で定める防火上の条件を満たす部分です。問題で加算部分が示されていなければ、問題文と選択肢の条件から扱いを判断します。
消防法施行令第11条第2項。特定主要構造部と室内仕上げの条件に応じた3倍・2倍の緩和と令第12条第1項第1号に掲げる防火対象物に対する小さい方の特則を定めています。
耐火構造と難燃仕上げを両方満たせば原則3倍。ただし、病院・社会福祉施設等の一部は特則を先に確認する。
🧯1号・易操作性1号・2号・広範囲型2号を区別する
屋内消火栓は、放水性能と操作方法によって種類が分かれます。
| 種類 | 水平距離 | 操作 | ノズル先端の放水圧力 | 放水量 | 水源水量の係数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1号 | 25m以下 | 原則2人で操作する平ホース型 | 0.17MPa以上 | 130L/min以上 | 2.6㎥/個 |
| 易操作性1号 | 25m以下 | 1人操作、保形ホース | 0.17MPa以上 | 130L/min以上 | 2.6㎥/個 |
| 2号 | 15m以下 | 1人操作、保形ホース | 0.25MPa以上 | 60L/min以上 | 1.2㎥/個 |
| 広範囲型2号 | 25m以下 | 1人操作、保形ホース | 0.17MPa以上 | 80L/min以上 | 1.6㎥/個 |
水平距離は「その階の各部分から一のホース接続口まで」の距離です。ホース自体も、その水平距離の範囲へ有効に放水できる長さにします。
2号系は保形ホースを使う
易操作性1号、2号、広範囲型2号などの簡易操作型放水用設備は、1人でホースの延長、放水、収納ができる構造です。
2号消火栓に平ホースを使用できる、とする選択肢は誤りです。
工場・作業場、倉庫、指定可燃物は1号基準
次の対象では、令第11条第3項第1号の1号基準を用います。
- (12)項イの工場・作業場
- (14)項の倉庫
- 指定可燃物を指定数量の750倍以上貯蔵・取扱う対象
これらに「2号または広範囲型2号を設ける」とする選択肢は誤りです。易操作性1号は、1号と同じ放水性能を持つ簡易操作型です。
消防法施行令第11条第3項第1号・第2号、消防法施行規則第12条第2項・第3項、平成25年消防庁告示第2号。水平距離、1人操作、ホース、放水性能、簡易操作型放水用設備の構造を確認します。
2号は15m・0.25MPa・60L/min。広範囲型2号は25m・0.17MPa・80L/min。1号は25m・0.17MPa・130L/min。
💧 水源水量は「係数 × 最大2個」
水源水量の計算では、消火栓の設置個数が最も多い階を見ます。
ただし、その階に3個以上あっても、計算に使う個数は2個です。
計算個数 n = 最も多い階の設置個数(2個を超えるときは2)
| 種類 | 計算式 | 1個の場合 | 2個以上の場合 |
|---|---|---|---|
| 1号・易操作性1号 | 2.6㎥ × n | 2.6㎥ | 5.2㎥ |
| 2号 | 1.2㎥ × n | 1.2㎥ | 2.4㎥ |
| 広範囲型2号 | 1.6㎥ × n | 1.6㎥ | 3.2㎥ |
たとえば、2号消火栓が最も多い階に5個あっても、必要な水源水量は次のとおりです。
1.2㎥ × 2個 = 2.4㎥
1号消火栓が最も多い階に4個ある場合は、次のとおりです。
2.6㎥ × 2個 = 5.2㎥
これらは、それぞれの最低放水量で20分間放水する量に対応します。
消防法施行令第11条第3項第1号ハ、同項第2号イ(4)・ロ(4)。最も設置個数が多い階を基準とし、2個を超える場合は2個として水源水量を算出します。
水源水量は「最も多い階」を選び、「最大2個」で打ち止め。1号5.2㎥、2号2.4㎥、広範囲型2号3.2㎥が上限。
⚙加圧送水装置と非常電源
加圧送水装置は、水源の水に必要な圧力を与え、ノズルまで送る装置です。
設置場所は、次の2条件を満たします。
- 点検に便利な場所
- 火災等の災害による被害を受けるおそれが少ない場所
屋内消火栓設備には非常電源を付置します。火災で常用電源が失われても、加圧送水装置を作動させるためです。
ノズル先端の放水圧力が0.7MPaを超えないように、必要に応じて減圧措置を講じます。
消防法施行令第11条第3項第1号ホ・ヘ、同項第2号、消防法施行規則第12条第1項第7号ホ。加圧送水装置の設置場所、非常電源、ノズル先端の過大圧力防止を定めています。
🔁他の消火設備を設けた場合の扱い
所定の技術基準に従って次の設備を設置した場合、その有効範囲内では屋内消火栓設備を設けないことができる場合があります。
- スプリンクラー設備
- 水噴霧消火設備
- 泡消火設備
- 不活性ガス消火設備
- ハロゲン化物消火設備
- 粉末消火設備
- 屋外消火栓設備
- 動力消防ポンプ設備
屋外消火栓設備と動力消防ポンプ設備による扱いは、1階と2階の部分に限られます。
消防法施行令第11条第4項。所定の消火設備を技術上の基準に従って設けた場合の、屋内消火栓設備を設けないことができる部分を定めています。
他設備があるだけで建物全体を省略できるとは限らない。有効範囲内か、屋外消火栓等なら1・2階かを確認する。
⚠よく出る注意ポイントポイント
よく出る引っかけは、全部で7つです。
❶:用途を見ずに700㎡を使う
集会場は500㎡、銀行は1,000㎡です。最初に用途区分を確定します。
❷:耐火構造だけで3倍にする
3倍には、特定主要構造部の耐火構造と室内仕上げの難燃材料という両方の条件が必要です。
❸:不燃材料は難燃条件に使えない
不燃材料は難燃材料より上位の性能です。難燃仕上げの条件を満たします。
❹:2号の水平距離を25mにする
2号は15m以下です。25m以下は1号、易操作性1号、広範囲型2号です。
❺:2号に平ホースを使う
2号は1人操作の保形ホースです。
❻:設置個数を全部掛ける
水源水量は、最も多い階の設置個数が3以上でも2個として計算します。
❼:倉庫に広範囲型2号を設ける
倉庫は令第11条第3項第1号の1号基準です。2号・広範囲型2号の基準へ置き換えられません。
📝試験問題を解くときの手順
解く手順は、全部で6つです。
step
1問題が設置対象、種類、性能、水源のどれを問うか決める
step
2設置問題なら、令別表第1の用途区分を確定する
step
3延べ面積と地階・無窓階・4階以上の床面積を確認する
step
4特定主要構造部と室内仕上げから1倍・2倍・3倍を選ぶ
step
5種類問題なら、水平距離・操作・圧力・放水量を一組で比べる
step
6水源問題なら、最も多い階を選び、計算個数を最大2個にする
最初に論点を分ける。設置面積の問題へ放水性能の数字を使わず、性能問題へ用途面積の数字を使わない。
✍過去問で確認しよう
この単元の収録過去問は、全部で5問です。
屋内消火栓設備を設置しなければならない防火対象物として、消防法令上、正しいものは次のうちどれか。ただし、当該防火対象物は次のア~エの条件を満たすものとする。
- ア.地上3階建である。
- イ.特定主要構造部は耐火構造である。
- ウ.壁及び天井の室内に面する部分の仕上げは、難燃材料としている。
- エ.無窓階に該当しない。
- 延べ面積1,200㎡の養護老人ホーム
- 延べ面積1,500㎡の飲食店
- 延べ面積2,000㎡のマーケット
- 延べ面積2,500㎡の銀行
特定主要構造部を耐火構造とし、壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを不燃材料でした次の防火対象物のうち、消防法令上、屋内消火栓設備を設置しなければならないものはどれか。ただし、地階、無窓階又は4階以上に該当する階はないものとする。
- 延べ面積600㎡の集会場
- 延べ面積1,200㎡の飲食店
- 延べ面積1,800㎡の映画スタジオ
- 延べ面積2,400㎡の小学校
2号消火栓(消防法施行令第11条第3項第2号イ)は、防火対象物の階ごとに、その階の各部分から一のホース接続口までの水平距離が基準以下となるように定められている。この水平距離の基準として、消防法令上、正しいものは次のうちどれか。
- 10m
- 15m
- 25m
- 40m
2号消火栓(消防法施行令第11条第3項第2号イ)の技術上の基準について、消防法令上、最も不適切なものは次のうちどれか。
- 消防用ホースの全長は、15m以内の防火対象物の各部分を有効に放水できる長さとする。
- 平ホース又は保形ホースを使用すること。
- 消防用ホースの延長及び収納の操作が1人でもできること。
- 水源の水量は、消火栓の設置個数が最も多い階の設置個数が5である場合、2.4㎥以上となる。
倉庫に設ける屋内消火栓設備に関する記述について、消防法令上、誤っているものは次のうちどれか。
- 水源に連結する加圧送水装置は、点検に便利で、かつ、火災等の災害による被害を受けるおそれが少ない箇所に設けること。
- 消防用ホースは、ホース接続口からの水平距離が25mの範囲内に有効に放水することができる長さとすること。
- 広範囲型2号消火栓(消防法施行令第11条第3項第2号ロに基づいて設置される屋内消火栓設備)は各階ごとに設け、その階の各部分から一のホース接続口までの水平距離が25m以下となるように設けること。
- 水源の水量は、消火栓の設置個数が最も多い階の設置個数が4である場合、5.2㎥以上とすること。
まとめ
最後に、全部で10ポイントを確認します。
- 設置の基本面積は、用途に応じて500㎡・700㎡・1,000㎡
- 地下街は150㎡以上、指定可燃物は指定数量の750倍以上
- 地階・無窓階・4階以上の階は100㎡・150㎡・200㎡の床面積基準も確認する
- 特定主要構造部が耐火構造で、室内仕上げが難燃材料なら原則3倍
- 病院・社会福祉施設等の一部には小さい方を使う特則がある
- 1号は25m・0.17MPa・130L/min・2.6㎥/個
- 2号は15m・0.25MPa・60L/min・1.2㎥/個
- 広範囲型2号は25m・0.17MPa・80L/min・1.6㎥/個
- 易操作性1号、2号、広範囲型2号は1人操作の保形ホース
- 水源水量の計算個数は、最も多い階で最大2個
➡次に進みましょう
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【過去問】消防設備士甲1・乙1の法令②|屋外消火栓・水噴霧の設置基準







