弊社のサービスには、もちろん以下の3つの様なケースにおけるスプリンクラー設備の新設や増・移設が含まれています。
- スプリンクラー設備の設置義務がある新築建物に設置するための設計・施工
- 既にスプリンクラー設備のある建物へのスプリンクラーヘッド増・移設工事
- 用途変更でスプリンクラー設備の設置義務が生じた建物に対する設計・施工
上記の中で1⃣や3⃣については、規模にもよりますがスプリンクラー設備の設置義務が生じるかどうかでウン千万円という額の費用がかかる場合があります。
【用途別】スプリンクラー設備の設置基準【消防法】
👇 ※ボリュームありますので、お目当ての用途ご覧下さいませ。
◎ スプリンクラー設備の設置義務
スプリンクラー設備は、主に以下に挙げる様な建物の条件によって設置義務の有無が判断されます。
- 用途
- 延べ面積
- 階
以下の様な表を用いて、スプリンクラー設備を含む消防用設備等の設置義務を判定します。
(※表右の “●” は不特定多数の人が出入りする特定防火対象物を指します)
参考消防用設備等設置基準早見表_札幌市消防局 P.112
◎ 用途別!その他の消防用設備等を含む設置基準
消防法令別表第1の分類に沿って、代表的な用途ごとに消防用設備等の設置義務について述べていきます。
(3)項ロ 飲食店
飲食店のスプリンクラー設置基準
- 階数11以上のもの‥‥全部
- 平屋建以外‥‥床面積の合計6,000㎡以上
- 指定可燃物‥‥危険物政令別表第4の数量の1,000倍以上
- 地階・無窓階‥‥床面積1,000㎡以上
- 4階以上10階以下の階‥‥床面積1,500㎡以上
- 2以上の階のうち、地階・無窓階または4階以上の階に達する吹抜け部分を共有するもので、その床面積の合計が1,500㎡以上のもの
- 高さ31mを超える階
(3)項ロ 飲食店の消防用設備等設置基準は、以下の表の通りです。
また、(3)項ロ 飲食店の場合は上記における消防用設備等の設置基準以外にも、以下の設備について注意すべきでしょう。
飲食店で注意すべき設備
- 火を使う使用する設備または器具があると、延べ面積に関係無く消火器の設置義務が生じる場合がある。
- フード消火・ダクト消火設備が必要になることがある。
- のれん・カーペット等には防炎物品を用いる。
(5)項ロ 共同住宅(マンション等)
共同住宅のスプリンクラー設置基準
- 階数11以上のもの‥‥11階以上の階
- 指定可燃物‥‥危険物政令別表第4の数量の1,000倍以上
- 地階・無窓階‥‥床面積2,000㎡以上
- 高さ31mを超える階
(5)項ロ 共同住宅の消防用設備等設置基準は、以下の表の通りです。
また、(5)項ロ 共同住宅の場合は上表における消防用設備等の設置基準以外にも、以下の点について注意すべきでしょう。
共同住宅で注意すべき点
参考特区民泊化に伴いスプリンクラー設備の設置義務が生じるケース、防火扉の設置による区画形成で屋内消火栓未設をクリア
(6)項イ 病院
(6)項イ 病院の消防用設備等設置基準については、次の通り診療科目等で更に4つの分類がなされています。
病院の分類4つ
(1)次のいずれにも該当する病院(火災発生時の延焼を抑制するための消火活動を適切に実施することができる体制を有するものとして総務省令で定めるものを除く。)
①診療科名中に特定診療科名(内科、整形外科、リハビリテーション科その他の総務省令で定める診療科名をいう。 (i)において同じ。)を有すること。
②医療法(昭和23年法律第205号)第7条第2項第4号に規定する療養病床又は同項第5号に規定する一般病床を有すること。
(2)次のいずれにも該当する診療所
①診療科名中に特定診療科名を有すること。
②4人以上の患者を入院させるための施設を有すること。
(3)病院( に掲げるものを除く。)、患者を入院させるための施設を有する診療所( に掲げるものを除く。)又は入所施設を有する助産所
(4)患者を入院させるための施設を有しない診療所又は入所施設を有しない助産所
病院のスプリンクラー設置基準
- (1)および(2)‥‥全部
- 階数11以上のもの‥‥全部
- 平屋建以外‥‥床面積の合計(1)~(3)3,000㎡以上、(4)6,000㎡以上
- 指定可燃物‥‥危険物政令別表第4の数量の1,000倍以上
- 地階・無窓階‥‥床面積1,000㎡以上
- 4階以上10階以下の階‥‥床面積1,500㎡以上
- 高さ31mを超える階
病院の場合はスプリンクラー設備の代替設備である “パッケージ型自動消火設備” を設置するケースも多いです。
法改正でスプリンクラー設備の設置が必要に⁉
平成25年10月11日に発生した福岡市整形外科医院火災では、残念ながら死者10名・負傷者7名という被害が出てしまいました。
自動消火の必要性を踏まえ、平成28年4月より「避難時に患者の介助が必要な病院・診療所(消防法施行規則第5条)」にて延べ面積に関わらずスプリンクラー設備の設置が義務付けられているのです。
(14)項 倉庫、(15)項 その他の事業所(オフィス等)
スプリンクラー設備の設置義務は原則、不特定多数の人が出入りする “特定防火対象物” に生じる為、特定防火対象物でない(≒非特定防火対象物)ものである(14)項 倉庫や(15)項 その他の事業所にはスプリンクラー設備の設置義務がありません(※例外あり)。
ただし、雑居ビルの様な(16)項イ 複合用途防火対象物に、非特定防火対象物である(14)項 倉庫や(15)項 その他の事業所が入っている場合には、その部分にもスプリンクラー設備を設置しなければなりません。
◎ スプリンクラー設備の設置義務が生じた後の流れ
スプリンクラー設備の設置義務が生じる事が分かった場合、我々の様な施工業者に依頼することになるでしょう。
大まかな流れは以下の通りです。
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1施工業者に見積り依頼をする
まず、どれ位の予算が生じるかを知る為にも業者から見積りを取るべきでしょう。
【よくある質問】大阪の消防点検業者を探すには?プロ目線で徹底解説!
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大阪周辺であれば是非、弊社をご検討下さいませ。
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2施工業者による設計および所轄消防署への届出類作成
スプリンクラー設備の設置を依頼する施工業者が選定されたら、所轄消防署へ届出類が提出されます。
このスプリンクラー設備の着工届は、甲種消防設備士しか作れない「独占業務」となっています。
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3スプリンクラー設備の施工
スプリンクラー設備の施工については、他ブログにて実績を山ほど紹介しておりますので参考にして下さいませ。
わかりやすいブログ一覧
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4所轄消防署の予防担当者による “中間検査” を受ける(※主に新築建物のみ)
スプリンクラー設備等の場合、工事完了後だと壁や天井にボード等が貼られていて肝心の配管が見えない為、工事の途中にスプリンクラー等の配管が法令に則って敷設されているかを確認する “中間検査” が行われます。
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5消防検査を受ける
施工が完了した後に、所轄消防署の予防担当者さま立会いの下で検査を受けてOKが出れば終わりです。
参考消防検査とは?確認項目と「消防検査済証」受け取りまでの流れを解説!
続きを見る
◎ まとめ
- スプリンクラー設備は設置義務が生じると、莫大な費用かかる場合あるので必ず事前に確認しておくべきであった。
- 消防関係者もスプリンクラー設備の設置基準に基づいて要・不要かという条件を暗記しているワケではなく、本やチェックシート使っていた。
- スプリンクラー設備の設置義務が生じる事が分かった場合、我々の様な施工業者に依頼することになった。