準備する必要書類とかある?そもそも受けるのって義務なん?
消防用設備等を設置した後、受けなければなりません!
この記事の信頼性
ここでは数多の消防検査をクリアしてきた管理人が、その流れについて消防検査を初めて受ける方の不安を取り除くために徹底解説していきます!
消防検査とは‥?確認項目と「消防検査済証」受け取りまでの流れを解説!
◎ 消防検査とは
まず初めに消防検査とは「消防用設備等を設置した後、消防署の消防士に現地を確認してもらう完了検査」ことであると、ご理解下さいませ。
消防検査については消防法 第17条の3の2〔消防用設備等又は特殊消防用設備等の検査〕にて規定されています。
第十七条第一項の防火対象物のうち特定防火対象物その他の政令で定めるものの関係者は、同項の政令若しくはこれに基づく命令若しくは同条第二項の規定に基づく条例で定める技術上の基準(第十七条の二の五第一項前段又は前条第一項前段に規定する場合には、それぞれ第十七条の二の五第一項後段又は前条第一項後段の規定により適用されることとなる技術上の基準とする。以下「設備等技術基準」という。)又は設備等設置維持計画に従って設置しなければならない消防用設備等又は特殊消防用設備等(政令で定めるものを除く。)を設置したときは、総務省令で定めるところにより、その旨を消防長又は消防署長に届け出て、検査を受けなければならない。
この消防検査までクリアしておかなければ、せっかく高い費用をかけて設置した消防用設備等が法的には “設置されていないもの” と扱われてしまいます。
【曖昧さ回避①】「消防点検」とは別です!
よく消防署による「消防検査」と、消防設備士による「消防用設備点検(=消防点検)」を混同されている方がおられますが、これらは別です。
「消防検査」は所轄消防署が実施するので “無料” ですが、一方「消防用設備点検」は我々の様な業者が実施するので費用がかかります。
【よくある質問】消防点検にかかる費用は?相場価格についてプロが解説!
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【曖昧さ回避②】「立入検査」とも別です!
また、消防署による「消防検査」と、定期的に(およそ4年に1度)消防士が建物の防火管理状況を見に行く「立入検査」を混同されている方がおられますが、これらも別です。
もし上記の様な立入検査後の「立入検査結果通知書」が消防署より届いた場合、改修工事や点検報告の実施をするのは我々の様な消防設備士(業者)ですから、お気軽に「お問い合わせ」下さい。
立入検査が30回以上も!消防法違反で書類送検された事例【ニュース】
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◎ 消防検査の流れ
消防検査の流れは、大まかに以下の3ステップです。
設置届の提出
現地の確認
済証の受け取り
消防検査の対象
まず原則、以下の条件に該当する建物において消防用設備等を設置した際に、消防検査が実施されることを把握しておきましょう。
よって消防法上は「すべての建物について消防検査を受けなければならないわけではない」ことに留意して下さい。
消防検査を受ける建物
- 延べ面積に関わらず自動火災報知設備の設置義務が生じる用途
- 特定防火対象物で、かつ延べ面積300㎡以上
- 非特定防火対象物で延べ面積300㎡以上かつ消防長または消防署長が指定したもの
- 特定一階段等防火対象物
ーーー
上記に該当しない場合でも消防検査が実施される場合がありますので、所轄消防署と相談して下さい。
設置届の提出
消防用設備等の新設および改修工事がされた後、その4日以内に「設置届」を所轄消防署へ提出します。
設置届の提出
現地の確認
済証の受け取り
この設置届を提出するタイミングで、消防士と消防検査の実施日程等を調整します。
参考「設置届」の書き方は?提出期限って?、消防法施行規則 第31条の3〔消防用設備等又は特殊消防用設備等の届出及び検査〕
簡単な設備の場合は自分で作って提出できると、業者に依頼する費用を節約できる可能性があります。
【記入例も紹介】誘導灯の設置届を作成・提出するために必要な資格は?
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詳細は後述しますが、設置届提出のタイミングで消防用設備等の設置状況が分かる写真を提出すれば消防検査を省略できる場合があります。
検査当日の確認事項
大阪市の予防課(消防用設備等を担当する部署)については午前中が書類関係で午後が検査等と決まっている為、消防検査は午後に実施されることが殆どです。
設置届の提出
現地の確認
済証の受け取り
消防検査が実施される当日の午後には、消防関係車両の駐車スペースを確保しておきましょう(※自転車で来られる場合を除く)。
◎ 消防署や設備によって異なる消防検査の流れ
消防検査の内容は、所轄消防署によって異なる場合が多々あります。
例えば以前、消防ポンプ車から送水してスプリンクラー設備の放水試験を行う(大がかり)といった消防検査もありました。
検査担当者の振り分けと立会い
小規模建物の場合は所轄消防署の予防担当者様が一人で確認されますが、そこそこの規模からは設備毎に班が分けられて消防検査が開始されます。
その分けられた班ごとに、消防設備士が立ち会うことが多いです。
消防検査時に消防用設備等の試験をする際には、施工を担当した消防設備士が立会いを行います。
消防検査時に消防設備士が立ち会うことで消防検査がスムーズに終えられる為、消防署の方にとっても楽ですし、お客様は早く検査完了ができ、消防設備士は商売になるという三方よしな状況となっています。
現地の設備などを確認
提出された設置届に基づき、実際に設置されている消防用設備等を確認していきます。
設置届の提出
現地の確認
済証の受け取り
消火器具・誘導灯
設置届と同様の機器が設置されているか、設置場所が図面通りか等を確認します。
参考消火器の設置届作成法、電源系統図で配線が専用回路な事を証明
誘導灯の確認事項
- 設置届と同様の機器が設置されているか
- 設置場所が図面通りか
- 電源は専用回路になっているか
- ブレーカーを落としたらバッテリー駆動に切り替わるか
自動火災報知設備・非常警報設備など
自動火災報知設備については現地で作動試験(自動試験機能付きを除く)を行い、音響ベルもしくは音声などが鳴動するかを確認します。
参考非常警報複合装置の消防検査確認事項、“区分鳴動” と “一斉鳴動” について
再三お伝えしますが、所轄消防署によって消防検査時の指導も異なるのです。
【施工事例】自動試験機能付きP型自動火災報知設備を設置しました【DX】
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自動火災報知設備および非常警報設備の確認事項
- 設置届と同様の機器が設置されているか
- 設置場所が図面通りか
- ちゃんと作動するか
- 電源は専用回路になっているか
- ブレーカーを落としたらバッテリー駆動に切り替わるか
火災通報装置(119番直通の電話)
実際に火災通報装置を用いて指令管制室へ119番通報がされるかを確認します。
参考火災通報装置の電話回線について、火災通報装置の施工方法㊙part.2
火災通報装置の確認事項
- 設置届と同様の機器が設置されているか
- 設置場所が図面通りか
- 自動で119番されるか
- 自動音声の文言は正しいか
- 電源は専用回路になっているか
- ブレーカーを落としたらバッテリー駆動に切り替わるか
屋内消火栓・スプリンクラー設備および泡消火設備など
消火ポンプが起動するかどうかや、できるものについてのみ放水試験が実施されます。
参考“ピトーゲージ” って何?、パッケージ型自動消火設備の消防検査と作動試験
参考スプリンクラー設備の中間検査で確認すべきポイント等、泡消火設備の消防検査【前編】
水系設備の確認事項
- 設置届と同様の機器が設置されているか
- 消火ポンプや消火器ボックス等の設置場所が図面通りか
- スプリンクラーヘッドは散水障害が発生していないか
- 規定の放水圧以上で放水できるか(ピトーゲージ等で試験)
- 電源は専用回路になっているか
- ブレーカーを落としたらバッテリー駆動に切り替わるか
避難器具など
避難はしごや緩降機、救助袋については消防検査時に降下試験を行います。
参考緩降機の設置と降下試験、斜降式救助袋の改修工事&降下試験
避難器具の確認事項
- 設置届と同様の機器が設置されているか
- 適切に固定されているか
- 地上までの長さは適切か
- 降下障害が発生していないか
- 避難器具の標識類は掲げられているか
参考【設置基準】垂直式救助袋の消防検査で確認される項目は?【高槻市】
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時に、消防設備士は皆様が嫌がるような事も行っております。
設備以外の消防検査確認事項
消防検査時には、消防用設備等以外にも以下の様な項目が確認されます。
避難経路の確認
避難経路に障害物が無いか、避難経路図は設置されているか、火災発生時に電気錠が自動火災報知設備と連動して解錠(パニックオープン)されるか等が確認されます。
参考避難経路(通路)の幅に関する規定は建築基準法?それとも消防法?、避難経路図の設置基準と作り方、パニックオープンとその結線について
参考【よくある質問】自動ドア非常開放スイッチの復旧【パニックオープン】
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防炎物品の確認(防炎防火対象物のみ)
不特定多数の人が出入りする特定防火対象物と(12)項ロ テレビ・映画スタジオのみ、カーテンやじゅうたんに防炎物品が使用されているかを確認します。
参考民泊には“防炎物品”を使用下さい、レジ・カウンター等に吊り下げる新型コロナウイルス対策のシートも防炎物品(製品)を!
防炎物品と防炎製品の違い
防炎性能を有するものの指定表示には以下の2種類があります。
- 防炎物品の表示
- 防炎製品の表示
防炎物品は高層建築物・地下街または劇場・病院等の建築物(防炎防火対象物)に使用が消防法で義務付けられているもので、防炎製品は消防法に基づく防炎物品以外の防炎品で使用する人を火災から守るため火災予防上防炎性能を有することが望ましいとの考えから消防庁等の指導により普及が図られているものです。
防炎物品の使用が義務付けられている建物用途があります、不明な場合は所轄消防署か消防設備士にお問い合わせ下さい。
消防検査の総括
消防士と消防設備士の間で消防検査の結果が総括され、特に是正指導箇所が無ければ届出類の副本(2部あるうちの1部)が返却されます。
スプリンクラー設備の工事が終わった後に予定外の場所にエアコンが設置されていて、確実に消防検査で引っかかる案件とかありました‥。
エアコンが散水障害となったスプリンクラーヘッドの移設工事【施工事例】
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もし消防検査時に不備箇所が見つかった場合、改善した後に「①写真提出」もしくは「②再び現地確認」どちらかの措置となります。
◎ 消防用設備等検査結果済証
消防検査をクリアできれば、だいたい数日~1週間後に「消防用設備等検査結果済証」が所轄消防署より発行されます。
設置届の提出
現地の確認
済証の受け取り
以上が、消防検査の流れとなります。
【補足①】済証が発行されない場合
消防検査の実施義務が無い建物の場合、検査済証が発行される代わりに返却される副本に検査済の旨が捺印されます。
【補足②】消防検査を受けない場合
消防検査は原則、現地確認ですが数年前の民泊バブルの際は消防検査の実施が追い付かず、簡単な建物については写真提出で済ませる事例もありました。
消防検査結果済証が必要になった場合は、弊社の様な消防用設備等専門の業者へ直接ご連絡を。
◎ ここには書けない消防検査について‥
管理人が連載記事を担当しているオーム社さんの月刊誌 “電気と工事” 6月号には「消防検査時のトラブル」について寄稿しております。
その他ご不明な点等ございましたら、お気軽にコメント欄までご意見お寄せ下さいませ!
参考消防検査のあり方に関する検討会2022
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◎ まとめ
- 消防検査とは消防用設備等の設置完了検査のことで、延べ面積に関わらず自動火災報知設備の設置義務が生じる用途や非特定防火対象物で延べ面積300㎡以上かつ消防長または消防署長が指定したもの等と対象となるものが決まっていた。
- 消防検査は消防用設備等が設置された後、その届出を所轄消防署へ提出した際に検査実施の日程調整をするのが一般的であり、設備の確認だけでなく避難経路や防炎物品の確認も行われた。
- 消防検査をクリアできれば、だいたい数日~1週間後に消防用設備等検査結果済証が所轄消防署より発行され、消防検査結果済証をGETして行政や保健所に持って行かないと営業開始できない建物用途があった。