設置届とは‥消防用設備がどのように設置されたかを記載して、工事が完了した日から4日以内に消防長又は消防署長宛てに「防火対象物の関係者」が提出する書類のこと。消防法施行規則第31条の3〔消防用設備等又は特殊消防用設備等の届出及び検査〕にて規定されている。
設置届にまつわる質疑について、月刊フェスク2015.01月号に以下の様な記載がありました。
消火器設置届出書を提出して下さいとの要請があり、届出書を見たが記載方法が分からない。
「設計者住所・氏名」「施工者住所・氏名」「消防設備士」「着工年月日」などの記載項目があるが、対象物件が数十年前の建築物であり、分からない(書きようがない)という状況だが、分かる範囲の提出で認められるのか。
消火器の設置届出書には、消防設備士の欄がありますが、基本的に消防用設備等(消火器)に関する免状は必要ありません。ただし、試験結果報告書の内容を記入できるだけの知識が必要です。知識が無ければ、消防設備士乙種6類の免状を持った方にお願いすることになります。
新築であれば、設計者・施工者等分かる内容を記載しますが、工事内容が新規に図面を起こさない程度の工事であれば空欄で構いません。
消火器を設置する人に免状が無ければ空欄となります。
着工年月日・完成年月日は、消火器を設置した日になります。
構造・規模については、設置届出書に添付する各階平面図・用途・面積が分かる図面を添付し、消火器の位置・種別を図面に追記したものとなり、階数・床面積・延べ面積は図面に表示された値または計算により算出した値を記入します。
また、設置する消火器のカタログを添付します。
ちなみに、誘導灯の設置に際して持っておいた方がいい資格は以下の2つです。
- 電気工事士(第2種でも第1種でも)
- 消防設備士4類(乙種でも甲種でも)
資格すら持ってない「自称プロ」的な “そっくりさん” は、速やかに取得を目指しましょう。
消防設備士が消防設備士以外に取るべき資格ランキング|プロが解説!
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以下の読者を想定します。
- 誘導灯の設置届を自分で提出したい無資格の建物オーナー・関係者さん
- 施工はしたが、その後の設置届の作り方が分からない電気工事業者さん
- 所轄消防署より「設置届は消防設備士しか作れない‥」と指導された方
誘導灯の設置届を作成・提出するために必要な資格は?
◎ 誘導灯の設置届って?
誘導灯の設置届は、以下の書類で構成されています。
誘導灯の設置届添付書類一覧
- 設置届の表紙 ※
- 所轄消防署の方が現地に行く為の付近見取図
- 防火対象物の概要表
- 誘導灯概要表
- 配線系統図
- 電源系統図
- 平面詳細図、立・断面図
- 誘導灯の試験結果 ※
- 配線の試験結果 ※
- 誘導灯の機器図
※設計届を提出していた場合、設置届は※の書類のみでOKです(その他の資料は設計届で提出しているため不要)。
◎ 設置届の記入例
以下の設置届記入例を参考に、どこで資格が必要となってくるかを確認していきましょう。
①設置届の表紙
設置届の表紙は、以下の通りです。
右上の “届出者” の欄に、建物オーナー様や管理権原者となっている法人の代表取締役の名前を記載します。
届出者に、資格は不要です!
②付近見取り図
こちらの付近見取図は、所轄消防署の予防担当者様が消防検査の際などに現地へ向かう際に使用されます。
付近見取り図の書式はあるの?
特に書式など指定されておりません。
ただし、あまりにも分かりずらい手描きの地図などは嫌がられるので控えた方がいいでしょう。
③防火対象物概要表
防火対象物概要表は、消防用設備等の設置義務がある建物について記載するものです。
④誘導灯概要表
誘導灯概要表は、設置する誘導灯の種別や配線方法についての概要を記載するものです。
以下に、避難口誘導灯C級を1台だけ設置する場合の誘導灯概要表について記入例を挙げてみます。
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①誘導灯の個数と認定番号を記入
避難口誘導灯のC級を設置する場合、上の誘導灯概要表記入例①の箇所へ個数と認定番号を記入します。
なお、認定番号については設置する誘導灯の機器図もしくは本体下のラベルに記載されています。
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②蓄電池の容量を記入
誘導灯には停電時にも点灯できる様に蓄電池が入っており、その容量を本体下ラベルや蓄電池本体ラベルに基づき記入します。
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③分電盤の位置および使用した電線・工事方法を記入
どこから電源を取って、どの様に配線工事を行ったかを記入します。
参考耐火ケーブル・耐熱電線を用いた表示灯用電源回路の配線工事
念の為、以下に消防設備士である管理人が使う誘導灯概要表Wordファイルも置いておきます。
☝ご自由にダウンロードして、お使い下さいませ(避難口誘導灯を1台のみの情報が入っています)。
概要表の作成は、消防設備士の補助があるとスムーズでしょう。
⑤配線系統図
配線系統図は、どの様に建物へ配線が敷設されているかを記載するものです。
Ex. 平屋1階建てに避難口誘導灯を1台設置する場合
Ex. 2階建ての各階に避難口誘導灯および階段通路誘導灯を1台ずつ設置する場合
Ex. 3階建ての各階に避難口誘導灯を1台ずつ設置する場合
他にも配線系統図には多くのパターンがある為、理屈を把握してから作成する様にしましょう。
階段通路誘導灯と非常照明の違い
火災発生時の避難経路となる階段には、階段通路誘導灯もしくは非常照明を設置します。
階段通路誘導灯‥消防法に基づく設備で、誘導灯と同様に “常時点灯” している。
非常照明‥建築基準法に基づく設備で、停電時のみ点灯する “非常時点灯” である。
建築基準法に基づく非常照明を設置した場合は、階段通路誘導灯の設置が省略できます。
⑥電源系統図
電源系統図は、どの様に消防用設備等への専用電源回路が設けられているかを記載するものです。
誘導灯の専用回路は、ほどんどの場合 “分電盤の子ブレーカー” から供給できる様に設置します。
よって、上記の電源系統図における “2” に該当に◯をしておけば間違いないでしょう。
⑦平面詳細図など
平面詳細図は、建物の平面図に誘導灯本体機器の位置や配線経路を示したものです。
例えば以下の、誘導灯の種別や大きさごとに規定されている設置間隔や計算方法などをご存知ですか?
もし、ご自分で設置届を提出される際は必ず消防法を遵守した状態となる様に注意しましょう。
建物の立面図・断面図については簡単な設置届ですと、以下の様なもので十分なことが多いです。
⑧誘導灯の試験結果
誘導灯の試験結果は、誘導灯の設置後に消防法に則った状態であるかを確認した結果を記載するものです。
では、避難口誘導灯を1台設置した場合を例に、記入例を解説していきます。
誘導灯試験結果を記入する流れ
- 設置した誘導灯の種別と個数を記入(今回は避難口誘導灯を1台としている)
- 誘導灯の外観や設置場所に異常が無いかを確認し、その結果を記入
- 常用電源(AC100V)や予備電源(主に内蔵バッテリー)の良否を記入
- ブレーカーを落とした時にバッテリー駆動に切り替わっていれば “良” を記入
念の為、以下に消防設備士である管理人が使う誘導灯試験結果のWordファイルも置いておきます。
☝ご自由にダウンロードして、お使い下さいませ(避難口誘導灯1台のみの試験結果が入っています)。
⑨配線の試験結果
配線の試験結果は、消防用設備等を設置した後の配線が関係法令に則っているか確認した結果を記すものです。
誘導灯の “配線の試験結果” について、記入例を解説していきます。
配線の試験結果を記入する流れ
- 分電盤の位置とブレーカー(遮断器)の種類・容量を記入
- 配線の種類や接続についての良否を記入
- 接地抵抗試験および絶縁抵抗試験の結果を記入
上記の「接地抵抗試験および絶縁抵抗試験」については、それぞれ接地抵抗計(アーステスタ―)および絶縁抵抗計(メガー)が無ければ測定できません。
念の為、以下に消防設備士である管理人が使う配線の試験結果のWordファイルも置いておきます。
☝ご自由にダウンロードして、お使い下さいませ(誘導灯の配線の試験結果が入っています)。
⑩誘導灯の機器図
弊社はPanasonicの代理店ですからPanasonic製の誘導灯を設置し、その機器図を添付します。
誘導灯の機器図は、種別・大きさ・形状(壁付や天井埋込など)で異なるので間違ったものを添付しないように気を付けましょう!
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所轄消防署によって指導内容が異なります。
このページの内容通りに消防関係法令などが運用されていない場合もある為、詳しくは建物の最寄りにある消防署にお問い合わせ下さい。
◎ まとめ
- 工事が完了した日から4日以内に消防長又は消防署長宛てに「防火対象物の関係者」が提出する設置届の作成に際して、提出者である建物の関係者は無資格でもOKであった。
- 結果的「施工や書類の中身を作成するのに、有資格者のチカラを借りなきゃならない。」ってルールになっている為、どの様な添付書類で構成dされているかを解説した。
- お客様にプロじゃなくても出来る部分を知ってもらえれば、結果的にプロが必要となる場面にも気付いて頂き易くなると判断できたため、誘導灯の設置届について詳細な情報まで発信した。