レッスン2-11:酸と塩基

毒劇先生青木さん、今回は酸と塩基。化学の王道中の王道です。
強欲な青木酸っぱいのが酸、苦いのが塩基っていう認識でいいっすか?
毒劇先生基本的にはその通り!ただし試験で問われるのは定義。アレニウスの定義では「水に溶けてH⁺(水素イオン)を出すのが酸、OH⁻(水酸化物イオン)を出すのが塩基」。塩酸HClはH⁺を出すので酸、水酸化ナトリウムNaOHはOH⁻を出すので塩基。
強欲な青木もう一つの定義は?
毒劇先生ブレンステッド・ローリーの定義!こちらがより一般的で、「H⁺を与える物質が酸、H⁺を受取る物質が塩基」。水以外の溶媒でも使えるので、より広い範囲をカバーします。特にアンモニアNH₃はOH⁻を出さないのに塩基として働く──これはブレンステッド定義で説明できます。
強欲な青木pHって何すか?
毒劇先生水素イオン濃度の目安!pH = −log[H⁺]。pH 7が中性、それより小さいと酸性、大きいと塩基性(アルカリ性)。pH 0〜14の範囲で、1違えば水素イオン濃度は10倍変化します。胃液はpH 2(強酸)、血液はpH 7.4(弱塩基性)、石灰水はpH 12(強塩基性)。
強欲な青木強酸と弱酸の違いは?
毒劇先生電離度で決まる!水に溶けてほぼ100%電離するのが強酸(HCl・HNO₃・H₂SO₄)、一部しか電離しないのが弱酸(酢酸・炭酸・シュウ酸)。塩基も同様:強塩基(NaOH・KOH)vs 弱塩基(NH₃水・Ca(OH)₂)。
💪実力試し(3問)
まずは腕試し。本番レベルの問題3問を解いてから、解説で確認しましょう。
問題1
次のうち、アレニウスの定義による『塩基』に該当するものはどれか。
- 塩酸 HCl
- 酢酸 CH₃COOH
- 水酸化ナトリウム NaOH
- 硫酸 H₂SO₄
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正解:3
解説:NaOHは水に溶けるとNa⁺とOH⁻に電離し、OH⁻を生じるため、アレニウスの定義によれば塩基。1・2・4はすべて水に溶けてH⁺を生じるので酸。
間違えやすいポイント:アレニウスの定義:『H⁺を出す=酸、OH⁻を出す=塩基』。水酸基(-OH)を含む分子は塩基の可能性が高い。
問題2
pH 3の水溶液と、pH 5の水溶液を比べたとき、水素イオン濃度[H⁺]の比として正しいものはどれか。
- pH 3の方が2倍大きい
- pH 3の方が10倍大きい
- pH 3の方が100倍大きい
- pH 5の方が100倍大きい
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正解:3
解説:pH = −log[H⁺] なので、pH 3では[H⁺] = 10⁻³、pH 5では[H⁺] = 10⁻⁵。10⁻³ ÷ 10⁻⁵ = 10² = 100倍。pHが1違えば[H⁺]は10倍違う。
間違えやすいポイント:pHの差は対数的。pH 3とpH 5の差は2なので[H⁺]は10² = 100倍、pH 1と13の差は12なので10¹² = 1兆倍も違う。
問題3
次のうち、水溶液中で電離度が大きい『強酸』に分類されるものはどれか。
- 酢酸 CH₃COOH
- 炭酸 H₂CO₃
- シュウ酸 (COOH)₂
- 硝酸 HNO₃
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正解:4
解説:硝酸HNO₃は水中でほぼ100%電離する代表的な強酸。酢酸・炭酸・シュウ酸は弱酸。『塩酸・硝酸・硫酸』が3大強酸(毒劇法の除外濃度10%対象)。
間違えやすいポイント:強酸の代表:HCl・HNO₃・H₂SO₄の3つ。弱酸の代表:酢酸・炭酸・リン酸・シュウ酸・フェノール等。
🔰基礎教養学習
本単元は①酸と塩基の定義 ②pHと水素イオン濃度 ③強酸・弱酸の違い ④指示薬の4ブロック構造。
⓪ 酸と塩基の定義の比較
| 定義 | 酸 | 塩基 | 特徴 |
| アレニウス | H⁺を出す | OH⁻を出す | 水溶液限定、狭義 |
| ブレンステッド・ローリー | H⁺を与える | H⁺を受取る | 水以外でも可、広義 |
| ルイス | 電子対を受取る | 電子対を与える | 最も広い定義 |
毒劇先生試験で主に問われるのはアレニウスとブレンステッドの2つ。アンモニアNH₃はOH⁻を出さないのに塩基として働く──NH₃ + H₂O → NH₄⁺ + OH⁻で、NH₃がH⁺を受取っているため。ブレンステッド定義の威力が分かる例です。
① 代表的な酸と塩基
👉強酸(電離度≒1)
| 化学式 | 名称 | 特徴 | 毒劇法 |
| HCl | 塩酸(塩化水素水溶液) | 胃液の主成分 | 劇物(10%以下除外) |
| HNO₃ | 硝酸 | 強い酸化作用 | 劇物(10%以下除外) |
| H₂SO₄ | 硫酸 | 不揮発性、脱水作用 | 劇物(10%以下除外) |
| HI, HBr | ヨウ化水素酸、臭化水素酸 | 強酸 | — |
| HClO₄ | 過塩素酸 | 最強酸のひとつ | — |
👉弱酸(電離度<<1)
| 化学式 | 名称 | 特徴 |
| CH₃COOH | 酢酸 | 食酢、弱酸の代表 |
| H₂CO₃ | 炭酸 | 炭酸水 |
| H₃PO₄ | リン酸 | 肥料、コーラの酸味 |
| (COOH)₂ | シュウ酸 | ほうれん草、劇物 |
| HCN | シアン化水素 | 毒物、弱酸 |
| C₆H₅OH | フェノール | 劇物、弱酸 |
👉強塩基(電離度≒1)
| 化学式 | 名称 | 特徴 | 毒劇法 |
| NaOH | 水酸化ナトリウム | 強塩基の代表 | 劇物(5%以下除外) |
| KOH | 水酸化カリウム | 強塩基 | 劇物(5%以下除外) |
| Ba(OH)₂ | 水酸化バリウム | 強塩基 | — |
| Ca(OH)₂ | 水酸化カルシウム | 消石灰、石灰水 | — |
👉弱塩基
- NH₃(アンモニア):劇物(10%以下除外)、水溶液は弱塩基性
- 有機アミン類:アニリン等(大半が劇物)
- 一部の金属水酸化物:Mg(OH)₂・Al(OH)₃
② pHと水素イオン濃度
pH の定義:pH = −log[H⁺] ([H⁺] = 10−pH mol/L)
中性水(25℃)では [H⁺] = [OH⁻] = 10⁻⁷ mol/L → pH = 7
👉pHと酸性・塩基性の対応
| pH | 性質 | [H⁺] (mol/L) | 身近な例 |
| 0〜1 | 強酸性 | 10⁰〜10⁻¹ | 胃液(pH 2) |
| 2〜6 | 弱酸性 | 10⁻²〜10⁻⁶ | レモン(2)、食酢(3)、コーヒー(5) |
| 7 | 中性 | 10⁻⁷ | 純水・血液(7.4) |
| 8〜12 | 弱塩基性 | 10⁻⁸〜10⁻¹² | 石鹸水(10)、アンモニア水 |
| 13〜14 | 強塩基性 | 10⁻¹³〜10⁻¹⁴ | 水酸化ナトリウム水溶液 |
強欲な青木pH が 1 違うと[H⁺] が 10倍違うんすね。
毒劇先生そう、対数尺度なので指数的に変わる。pH 1 と pH 14 の差は13、つまり[H⁺]は10¹³倍(10兆倍)も違う。これが「強酸と強塩基の差は膨大」と言われる理由です。
③ 電離度と電離定数
電離度 α=溶解した酸(塩基)のうち、電離した割合(0〜1)。強酸・強塩基は α ≒ 1(ほぼ全部電離)、弱酸・弱塩基は α << 1(ほとんど分子のまま)。温度・濃度によって変化する。
👉電離度のイメージ
| 物質 | 電離度α(0.1mol/L、25℃) | 分類 |
| 塩酸 HCl | ≒1.0 | 強酸 |
| 硝酸 HNO₃ | ≒1.0 | 強酸 |
| 硫酸 H₂SO₄ | ≒1.0(第一段のみ) | 強酸 |
| 酢酸 CH₃COOH | 0.013(約1.3%) | 弱酸 |
| 水酸化Na NaOH | ≒1.0 | 強塩基 |
| アンモニアNH₃ | 0.013(約1.3%) | 弱塩基 |
④ 酸塩基指示薬
| 指示薬 | 変色域(pH) | 酸性側 | 塩基性側 |
| メチルオレンジ | 3.1〜4.4 | 赤 | 黄 |
| メチルレッド | 4.2〜6.2 | 赤 | 黄 |
| BTB(ブロモチモールブルー) | 6.0〜7.6 | 黄 | 青(中性で緑) |
| フェノールフタレイン | 8.3〜10.0 | 無色 | 赤(ピンク) |
| リトマス紙(赤) | 約 5〜8 | 赤 | 青 |
| リトマス紙(青) | 約 5〜8 | 赤 | 青 |
毒劇先生中和滴定では、強酸+強塩基=BTB or 中間、弱酸+強塩基=フェノールフタレイン(塩基側へシフト)、強酸+弱塩基=メチルオレンジ(酸側)を選ぶ。指示薬の変色域と中和点pHが一致する指示薬を選ぶのがコツ!
✅理解度チェックテスト(3問)
チェック1(○✕)
次の記述は正しいか誤りか、○✕で答えてください。
「アレニウスの定義によれば、水に溶けてH⁺を生じる物質が酸、OH⁻を生じる物質が塩基である。」
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正解:○(正しい)
解説:正しい。アレニウスの定義は水溶液における酸塩基を説明する最も基本的な定義。
チェック2(穴埋め)
次の文の【 】に入る最も適切な語句を選んでください。
pH = 4の溶液の水素イオン濃度[H⁺]は【 】mol/Lである。
- 4 mol/L
- 10⁻⁴ mol/L
- 10⁴ mol/L
- 1/4 mol/L
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正解:2
解説:pH = −log[H⁺] なので [H⁺] = 10⁻ᵖᴴ。pH 4なら[H⁺] = 10⁻⁴ mol/L。
チェック3(4択)
次のうち弱酸に分類されるものはどれか。
- 塩酸 HCl
- 硝酸 HNO₃
- 硫酸 H₂SO₄
- 酢酸 CH₃COOH
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正解:4
ポイント:酢酸は代表的な弱酸(電離度≒1.3%)。塩酸・硝酸・硫酸は3大強酸。
深掘り解説
テーマ1:なぜ水は中性なのにイオンがある?
純水はごくわずかに電離しています:H₂O ⇌ H⁺ + OH⁻。25℃の純水では [H⁺] = [OH⁻] = 10⁻⁷ mol/L。[H⁺]と[OH⁻]が等しいので中性で pH 7 になる。水のイオン積 Kw = [H⁺][OH⁻] = 10⁻¹⁴ は温度で変わる(100℃では Kw = 10⁻¹²、中性はpH 6)。試験では基本的に25℃で考えますが、温度依存性を知っておくと応用問題に対応可能。
テーマ2:毒物劇物の酸塩基と除外濃度
| 物質 | 性質 | 毒劇法 | 除外濃度 |
| 塩酸 HCl | 強酸 | 劇物 | 10%以下 |
| 硫酸 H₂SO₄ | 強酸 | 劇物 | 10%以下 |
| 硝酸 HNO₃ | 強酸 | 劇物 | 10%以下 |
| シュウ酸 | 弱酸 | 劇物 | 10%以下 |
| フェノール | 弱酸 | 劇物 | 5%以下 |
| 水酸化Na | 強塩基 | 劇物 | 5%以下 |
| 水酸化K | 強塩基 | 劇物 | 5%以下 |
| アンモニア | 弱塩基 | 劇物 | 10%以下 |
テーマ3:中和反応の予告
酸と塩基が反応すると、互いの性質を打ち消し合って水と塩を生成。これが中和反応:HCl + NaOH → NaCl + H₂O。次回レッスン2-12で詳しく学びます。中和反応の計算(中和滴定)は試験必出で、本単元の延長線上にあります。
🥊過去問演習(全10問)
本番形式の10問に挑戦!基礎・深掘りで学んだ内容を総動員して解きましょう。
📝まとめと次の学習へのつなぎ
今回の学習ポイント
- アレニウス定義:H⁺を出す=酸、OH⁻を出す=塩基
- ブレンステッド定義:H⁺を与える=酸、受取る=塩基
- pH = −log[H⁺]、pH 7中性、pHが1違えば[H⁺]は10倍
- 3大強酸:HCl・HNO₃・H₂SO₄(除外濃度10%)
- 2大強塩基:NaOH・KOH(除外濃度5%)
- 主要弱酸:酢酸・炭酸・シュウ酸・フェノール・HCN
- 主要弱塩基:NH₃(アンモニア水)
- 指示薬:メチルオレンジ・BTB・フェノールフタレインの変色域を暗記
毒劇先生酸塩基は化学の土台!除外濃度と紐付けて覚えれば試験対策にも直結。
強欲な青木強酸・強塩基と毒劇法の数字が一気に整理できました!
次回予告:レッスン2-12「中和反応と塩」
次回は中和反応と塩。酸と塩基の反応で水と塩ができる仕組み、中和滴定の計算(c₁v₁n₁ = c₂v₂n₂)、塩の液性(酸性塩・塩基性塩・中性塩)を学びます。
📍 他のレッスンへ
章全体の学習進度はサイドバーからも確認できます。前後のレッスンで関連事項を横断的に復習しましょう。

