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年収が高い資格ランキングを公的データで作り直しました|電気工事士・施工管理・消防設備士の位置も解説

年収が高い資格ランキング【公的データ】

著者:青木俊輔(強欲な青木)/青木マーケ(株) 取締役 COO、(株)防災屋 代表取締役 社長、(一社)予防団 共同代表理事
保有資格(本記事に関係するもの):消防設備士全類、危険物取扱者全類、第二種電気工事士、工事担任者、第三種電気主任技術者
確認日:2026-10-18(統計は令和7年賃金構造基本統計調査、2026年3月24日公表分)

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結論:公的統計に「資格別の年収」はありません。職種別で見ると上位は医療・法務・会計です

先に答えを書きます。

  • 国の賃金統計(厚生労働省「賃金構造基本統計調査」)は、資格ではなく職種で集計しています。資格ごとの年収という公的データはありません。
  • 職種別の年収目安(月の給与×12か月+年間賞与で計算)で見ると、上位は医師(約1,512万円)、社会保険労務士などを含む専門職(約1,135万円)、歯科医師(約1,063万円)、弁護士・司法書士などの法務従事者(約981万円)、公認会計士・税理士(約811万円)です。
  • 現場系では、電気工事の施工管理を含む電気技術者(約704万円)、建築士・建築施工管理を含む建築技術者(約679万円)、電気工事従事者(約628万円)、土木技術者(約625万円)が、全職種平均(約546万円)を上回っています。
  • ただし、これは「その職種で働いている人の平均」です。資格を取った人の年収でも、資格を取れば得られる金額でもありません。
職種別の年収目安を横棒で比べた図。医師約1,512万円、法務従事者約981万円、電気技術者約704万円、電気工事従事者約628万円、全職種平均約546万円など
統計上の職種(関係する資格の例) 年収目安 平均年齢
医師(医師) 約1,512万円 45.7歳
その他の経営・金融・保険専門職業従事者(社会保険労務士など) 約1,135万円 39.4歳
歯科医師(歯科医師) 約1,063万円 39.6歳
法務従事者(弁護士・弁理士・司法書士・土地家屋調査士など) 約981万円 46.5歳
公認会計士,税理士(公認会計士・税理士) 約811万円 42.2歳
発電員,変電員(電気主任技術者が関係する職場の一部) 約707万円 42.3歳
電気・電子・電気通信技術者(電気工事施工管理技士など) 約704万円 42.1歳
建築技術者(建築士・建築施工管理技士) 約679万円 43.4歳
販売類似職業従事者(不動産仲介:宅地建物取引士など) 約665万円 40.4歳
電気工事従事者(電気工事士) 約628万円 41.6歳
土木技術者(土木施工管理技士) 約625万円 46.0歳
化学製品製造従事者(危険物取扱者が関係する職場の一部) 約550万円 41.7歳
全職種(民営事業所の一般労働者) 約546万円 44.4歳
その他の定置・建設機械運転従事者(ビル設備管理・ボイラー) 約452万円 47.3歳
販売店員(ガソリンスタンドの給油員を含む) 約385万円 43.6歳

出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」一般労働者・職種(小分類)別第1表(男女計、企業規模10人以上、産業計)。年収目安=きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額で計算し、万円未満を四捨五入。
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000040421116&fileKind=4

ここから、ショート動画でよく見るランキングとの違い、数字の読み方、そして電気・建設・消防・危険物の資格の位置を順に説明します。

よく見る「年収が高い資格ランキング」と何が違うのか

YouTubeのショート動画では、資格をランクごとに並べて年収を添えたランキングがよく見られます。たとえば次の2本はどちらも100万回以上再生されています。

一目で比べられる見せ方は分かりやすい一方で、どちらの動画も画面内に数字の出典が書かれていません(2026-10-18時点で確認)。また、「独立して成功した場合」「法人顧問をしている場合」のように、資格ではなく働き方の条件を付けて年収を示している項目もあります。

ランキングの年収は何を数えたかで変わることを示した図。公的統計の職種平均(この記事で使う数字)、求人票の年収、独立・成功した人の例、出典が書かれていない数字の4つを並べている
年収の数字の種類 何を表すか 注意点
公的統計の職種平均 その職種で雇われて働く人全体の平均 資格を持たない人も含む。自営・開業は含まない
求人票の年収 募集時に会社が示した範囲 下限か上限か、経験者前提かで大きく変わる
独立・成功例 うまくいった人の上振れの例 平均的な姿ではない
出典不明の数字 確かめられない 比較に使えない

この記事では、出典をたどれる公的統計だけで比べています。

強欲な青木
ショート動画で「この資格なら年収◯万円」って見たのに、話が違うじゃないですか!
年収は会社に寄りますし、職能に寄ります。数字だけを見て資格を選ぶのは危ないですよ。
消防設備士

公的統計を読むときの4つの注意

注意1:資格と職種は1対1ではありません

賃金構造基本統計調査は「職種」で集計しています。資格名ではありません。たとえば次のように、1つの職種に複数の資格や無資格の人がまとめて入っています。

資格 統計上の職種 その職種に一緒に入っている人
弁護士 法務従事者 弁理士、司法書士、土地家屋調査士など
社会保険労務士 その他の経営・金融・保険専門職業従事者 金融・保険の専門職など
電気工事施工管理技士 電気・電子・電気通信技術者 電気・電子の設計・開発技術者など
建築士 建築技術者 建築施工管理技術者など
電気工事士 電気工事従事者 電気工事作業者、送電線電工、通信線配線工など
危険物取扱者 職種の分類なし(化学製品製造、給油所など、働く場所によって職種が分かれる) 資格を持たない人も含む
消防設備士 職種の分類なし(統計上、消防設備点検を例示した職種はない) −

表の「資格」の列は記事で挙げた例です。職種解説では、施工管理の仕事は「電気工事施工管理技術者」「建築施工管理技術者」のように、資格名ではなく職種名で書かれています。

出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 役職及び職種解説」
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00450091&tstat=000001011429

また、厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)の年収も、この統計の職種の値をそのまま職業に当てたもので、ページ内に「必ずしもその職業のみの統計データを表しているものではありません」という注記があります。

注意2:平均と中央値は違います

平均は、一部の高い人に引っ張られて高めに出ます。賃金構造基本統計調査では、年収の中央値は公表されていませんが、毎月の所定内給与(残業代や賞与を含まない月給)なら中央値まで分かります。

医師、法務従事者、電気工事従事者、全職種について、所定内給与の平均と中央値を並べた図。法務従事者は平均61.5万円、中央値46.3万円で差が大きい
職種 所定内給与の平均(月) 中央値(月) 下から4分の1〜上から4分の1の範囲
医師 102.8万円 97.1万円 66.7万〜133.8万円
法務従事者 61.5万円 46.3万円 35.3万〜72.5万円
電気工事従事者 36.2万円 34.3万円 27.2万〜42.2万円
全職種 34.1万円 29.7万円 23.8万〜39.0万円

出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種(小分類)別第1表、第17表(所定内給与額階級別労働者数および分布特性値)。千円単位の値を万円に換算し、小数第1位に四捨五入。

法務従事者は平均と中央値の差が大きく、人によって収入の幅が大きい職種だと分かります。「平均年収◯万円」は、真ん中の人の数字ではない点に注意してください。

強欲な青木
平均と中央値って、そんなに違うものなんですか?
データマスケ
データマ王
法務従事者だと、平均61.5万円に対して真ん中の人は46.3万円。15万円くらい差がありますね。
強欲な青木
「平均年収」を見たら、少し割り引いて考えます!

注意3:会社の規模・年齢・地域で大きく変わります

同じ職種でも、勤める会社の規模で年収目安は変わります。

職種 1,000人以上 100〜999人 10〜99人
電気工事従事者 約753万円 約559万円 約546万円
建築技術者 約860万円 約659万円 約585万円
電気・電子・電気通信技術者 約750万円 約676万円 約598万円

出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種(小分類)別第1表の企業規模別の値から計算(男女計)。

年齢も同じです。たとえば「その他の定置・建設機械運転従事者(ビル設備管理など)」の平均年齢は47.3歳ですが、「居住施設・ビル等管理人」は57.6歳で、年齢構成が違う職種の平均をそのまま比べると誤解が生まれます。都道府県別の値も公表されているので、働く地域が決まっている人はそちらも確認してください。

強欲な青木
同じ職種なら、どの会社に入っても年収は同じくらいですか?
データマスケ
データマ王
同じ電気工事従事者でも、1,000人以上の会社は約753万円、10〜99人の会社は約546万円。勤め先の規模だけで200万円ほど違います。

注意4:資格手当は年収とは別の統計です

資格を持っていると毎月上乗せされる「資格手当」は、職種別の年収とは別に調べられています。

  • 技能手当・技術(資格)手当を支給している企業は、全体の48.5%
  • 支給された労働者1人あたりの平均は、月21,500円

出典:厚生労働省「令和7年就労条件総合調査」第17表・第18表(令和6年11月分、常用労働者30人以上の民営企業)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/25/dl/gaikyou.pdf

この金額は「技能手当」「技術手当」も含めた平均で、資格ごとの金額ではありません。また、年収目安に資格手当を足し算するものでもありません(年収目安の中に、手当を受け取っている人の分はすでに含まれています)。

電気・建設・消防・危険物の資格を同じ物差しで比べると

ショート動画のランキングには、当社の読者に多い現場系の資格はほとんど出てきません。そこで、同じ公的データで比べたのが次の表です。

第二種電気工事士、電験三種、1級電気工事施工管理技士、消防設備士甲種第4類、危険物取扱者乙種第4類について、近い職種の年収目安、公式の合格率、有効求人倍率を並べた表。学習時間は公的データがないため載せていない
資格 近い職種(統計) 年収目安 公式の合格率(令和7年度) 有効求人倍率(令和7年度、job tag) 学習時間
第二種電気工事士 電気工事従事者 約628万円 学科56.6%、技能71.8% 3.84(電気工事士) 公的データなし
第三種電気主任技術者(電験三種) 発電員,変電員/電気技術者 約707万円/約704万円 13.0% 1.03(ビル施設管理)/2.43(電気技術者) 公的データなし
1級電気工事施工管理技士 電気・電子・電気通信技術者 約704万円 第一次検定41.5%、第二次検定69.6% 2.43(電気技術者) 公的データなし
消防設備士(甲種第4類) 統計上の分類なし 未取得 34.5% 未取得(job tagに職業ページなし) 公的データなし
消防設備士(乙種第6類) 統計上の分類なし 未取得 35.6% 未取得 公的データなし
危険物取扱者 乙種第4類 化学製品製造従事者/販売店員(給油所) 約550万円/約385万円 31.9% 4.37(化学製品製造オペレーター)/5.31(ガソリンスタンド・スタッフ) 公的データなし
(参考)建築施工管理技士 建築技術者 約679万円 本記事では未取得 8.62(建築施工管理技術者) 公的データなし

出典:

表の読み方として、次の点を補足します。

  • 有効求人倍率は、ハローワークの求人数を求職者数で割った値です。1を大きく上回るほど、人を探している会社が多いことを表します。建築・土木の施工管理(土木施工管理技術者は15.74)や電気工事士は、人手不足がはっきり数字に出ています。
  • 電験三種の「ビル施設管理」の倍率は、ビル設備管理員の職業ページの値です。電気主任技術者だけの値ではありません。
  • 学習時間は、どの試験にも公的なデータがありません。教材会社や合格者が出している目安は、前提となる知識や経験によって大きく変わるため、この表には載せていません。

消防設備士の年収は、公的統計では分かりません

消防設備士の仕事(消防用設備の点検・整備・工事)は、賃金構造基本統計調査に専用の職種がなく、job tagにも職業ページがありません。点検・整備の職種に近い統計はありますが、どれに含まれるかが決まっていないため、この記事では「未取得」としています。

参考として、青木が2024年3月にX(旧Twitter)で消防設備士の方に年収をたずねたアンケートの結果は、当社ブログの次の記事で公開しています。任意で回答した方の集計で、統計調査ではありません。
https://aokimarke.com/annual-income-questionnaire/

強欲な青木
消防設備士の年収は、統計にも出てこないんですね…
同業の役員さんが「消防設備士はボロ儲けできないけど、ジリ貧から脱出するには打って付けの職業」と言っていましたが、その通りかもしれません。
消防設備士

青木の見方:年収を決めるのは資格より「どの仕事を任されるか」

ここからは青木本人の考えです。

資格は入場券、年収は仕事と会社で決まる

青木は、消防設備士の年収について「会社によって、職能によって大きく違う」と繰り返し書いています(当社ブログ「消防設備士は平均年収・給料の低い仕事?」2024年3月公開)。点検中心の会社は低め、工事が中心の会社は高めになりやすい、という見方です(動画「国家資格『消防設備士』の資格手当は?資格手当と給料の相場について解説!」、2026年4月18日公開)。

この見方は、公的統計の数字とも矛盾しません。統計でも、作業を担う職種より、施工管理や設計を担う技術者の職種のほうが年収目安は高く出ています(電気工事従事者 約628万円、電気・電子・電気通信技術者 約704万円)。

年収を上げたいなら、資格の数を増やす前に、今の会社で任されている仕事の範囲を一段広げることを考えてください。資格は、その一段を上がるための道具です。

青木が年収を大きく上げている消防設備士として挙げているのも、甲種第1類や甲種第4類の免状を持って、工事の施工管理(現場をまとめて消防検査を通す役割)を担っている人です(書籍『消防設備士0類』第5章01、当社ブログ「年収1,000万円超えの消防設備士は何をしているのか」2024年3月公開)。
https://aokimarke.com/annual-income1000/

資格手当は「固定で上がる部分」として取りにいく

一方で青木は、資格手当の制度がある会社にいるなら、資格は取りにいくべきだと話しています。残業代のように月ごとに変わる収入と違い、資格手当は制度なので固定で上乗せされるからです(動画「国家資格『消防設備士』の資格手当は?資格手当と給料の相場について解説!」)。

資格手当の考え方と、動画公開時点(2026年4月)の(株)防災屋の制度は、記事1で詳しく紹介しています。(資格の選び方は「人気」より4つの問いで決める|消防設備業界の経営者が考える資格選び)

強欲な青木
資格手当が少ない会社なら、資格を取っても意味がない気がします。
手当の制度があるのに取らないのは、給料がいらないと言っているのと同じです。固定で上がる部分は、ちゃんと取りにいきましょう。
消防設備士

青木の一言:作業する人から、まとめる人へ

作業を担う人から現場をまとめる人へ移るために最初の数年で何をするか。青木の答えは「自分の作業を棚卸して、他者でもできるマニュアルにして発信する」です(青木本人への確認、2026年10月)。

強欲な青木
作業する人から現場をまとめる人になるには、何から始めればいいですか?
自分の作業を棚卸して、他者でもできるマニュアルにして発信する。ここからです。
消防設備士
強欲な青木
自分の仕事を書き出すところから始めてみます!

「資格を取れば年収◯円」と言えない理由のまとめ

  • 国の統計は職種別で、資格別ではない(資格を持たない人も含む)
  • 平均は高めに出る。真ん中の人の数字(中央値)は平均より低いことが多い
  • 会社の規模、年齢、地域で同じ職種でも大きく違う
  • 資格手当は年収とは別の制度で、会社ごとに金額が違う
  • 独立・開業した人は統計に入っていない

ランキングの順位より、自分が働きたい地域や業界で求人が多い仕事に必要な資格かどうかを見たほうが、年収にはつながりやすいと思います。

そのうえで、公的データから言えるのは次のことです。

  • 医療・法務・会計の職種は年収目安が高いが、受験資格や学習期間の条件も大きく違う
  • 電気・建設の現場系の職種は全職種平均を上回り、求人倍率も高い
  • 同じ現場系でも、施工管理や技術者として働く職種のほうが年収目安は高い

次に読む

年収の数字だけで資格を選ばないための考え方は、記事1で解説しています。
(資格の選び方は「人気」より4つの問いで決める|消防設備業界の経営者が考える資格選び)

消防設備士を目指す方は、まず受験する順番と難易度を確認してください。
https://aokimarke.com/jyunban/

受験する類が決まったら、実際に出た問題をもとにした「過去問テスト」で本番形式の練習ができます。比較表で取り上げた消防設備士と危険物取扱者乙種第4類の「過去問テスト」は、次のページで購入できます(消防設備士は冊子版とPDF版があります)。

消防設備士として年収を上げる道(施工管理に進む、独立する前提で働く)は、青木の著書『消防設備士0類』に詳しく書いています。本の内容は執筆時点の経験と考えにもとづくものです。『消防設備士0類』はAmazonで電子書籍として販売しています(紙の本はありません)。
https://amzn.to/49YGHP1


  • この記事を書いた人

aokimarke

平成元年生まれ
消防設備士12年目の経営者

【◎経 歴】
鈴鹿高専 ⇨ 静岡大学(3年次編入)⇨ 院 ⇨ 鈴与㈱ ⇨ 消防設備士など

【◎免 許】
消防設備士全類、危険物取扱者全類、第二種電気工事士、工事担任者(AI・DD総合種)、電験三種、予防技術検定(消防用設備等)など

【◎活 動】
月刊誌:電気と工事(オーム社)にてコラム執筆、消防設備士「過去問テスト」および予防技術検定「過去問テスト」の制作・販売、YouTubeチャンネル「強欲な青木&消防設備士」の動画作成・編集、青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団など

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