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資格の選び方は「人気」より4つの問いで決める|消防設備業界の経営者が考える資格選び

資格の選び方は「人気」より4つの問い

著者:青木俊輔(強欲な青木)/青木マーケ(株) 取締役 COO、(株)防災屋 代表取締役 社長、(一社)予防団 共同代表理事
保有資格(本記事に関係するもの):消防設備士全類、危険物取扱者全類、第二種電気工事士、工事担任者、第三種電気主任技術者
確認日:2026-10-18

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結論:資格は「何を数えたランキングか」を確かめてから、4つの問いで選びます

先に答えを書きます。資格選びで迷ったら、次の4つを順番に確認してください。

1.何の仕事で使うのか(その資格がないとできない仕事=独占業務や、置かないといけない人=必置があるか)
2.自分が取り切れるのか(受験資格、公式の合格率、続けられる学習時間)
3.取った後に何が変わるのか(資格手当、任される仕事、転職・独立の選択肢)
4.いつ取るのか(会社員として固定給があるうちに取れるか)

資格選びの4つの問いを順に示した図。何の仕事で使うか(独占業務・必置があるか)、取り切れるか(受験資格・公式の合格率)、取ったら何が変わるか(資格手当・任される仕事)、いつ取るか(固定給があるうちに)

人気ランキングや「年収が高い資格ランキング」は、何を数えた順位なのかで中身がまったく変わります。順位そのものより、この4つの問いに自分の答えを入れるほうが、取ったのに使わない資格を減らせます。

ここから、それぞれの問いの中身と、消防設備業界での具体例を説明します。

ランキングを見る前に確認したいこと

ビジネス系メディアのPIVOTが公開している動画「資格TOP5…資格選び『3つのポイント』」(PIVOT 公式チャンネル、2025年5月公開)では、資格スクールが出している人気資格ランキングを取り上げたうえで、資格コンサルタントの鈴木秀明さんが「このランキングは資料請求の多さを数えたもので、価値の順位ではない」という趣旨の指摘をしています。

出典:PIVOT 公式チャンネル https://www.youtube.com/watch?v=L556105fIPU

これは資格選び全般に当てはまる大事な視点です。ランキングには、たとえば次のような種類があります。

ランキングが数えているもの 分かること 分からないこと
資料請求・申込の数 これから取ろうとしている人が多い資格 取った後に役立つか
平均年収(出典不明) 何らかの集計で高く出た職業 資格の効果か、働き方・年齢の効果か
求人票の年収下限 募集時の最低条件 実際に何年でいくらになるか
独立して成功した人の例 上振れした場合の姿 平均的な人の姿

順位を見たら、まず「何を数えたのか」「誰が集計したのか」を確かめてください。年収の数字については、公的統計で比べ直した記事(年収が高い資格ランキングを公的データで作り直しました|電気工事士・施工管理・消防設備士の位置も解説)で詳しく説明しています。

強欲な青木
年収ランキングを見ていたら、どれを取れば稼げるのか分からなくなってきました…
年収は「会社に寄ります」「職能に寄ります」。資格の名前だけで決まるものではないですよ。
消防設備士
強欲な青木
順位より、自分がどの仕事で使うかを先に考えます!

問い1:何の仕事で使うのか

業界直結の資格と、汎用の資格を分けて考えます

先ほどのPIVOTの動画でも、行きたい業界が決まっている人はその業界で求められる資格を素直に取ればよく、簿記や中小企業診断士のような資格は業界を問わず使える汎用の知識として位置付ける、という整理が紹介されていました。

この記事の読者に多い、消防設備・電気・危険物・建設の仕事は、はっきり「業界直結型」です。業界直結型の資格は、次の2点で価値が決まります。

  • 独占業務があるか:その資格を持っていないと、法律上その作業ができない
  • 必置・選任の義務があるか:建物や事業所に、その資格者を置くことが法律で求められている

たとえば消防設備士は、甲種が工事と整備、乙種が整備を、それぞれ免状の類ごとに独占して行える国家資格です。仕事の現場に「資格がないとできない作業」がある以上、資格の有無がそのまま担当できる仕事の範囲になります。

青木の考え:消防設備の仕事なら「現場で必要になる順」に取ります

ここからは青木本人の考えです(書籍『消防設備士0類』第1章、および当社ブログ記事「消防設備士が消防設備士以外に取るべき資格ランキング」2022年公開に書いた内容をもとにしています)。

消防設備の仕事に就くなら、私がすすめる順番は次のとおりです。

1.乙種第6類(消火器):受験資格が要らず、消火器はほとんどの建物にあるので、最初の1枚として使い道が多い
2.第二種電気工事士:自動火災報知設備や誘導灯の電源を触らないと仕事にならないうえ、甲種消防設備士の受験資格にもなる
3.甲種第4類(自動火災報知設備):工事まで担当できるようになり、仕事の幅が大きく広がる

ただし、メーカー勤務などで扱う設備が限られる人は、乙種第6類から始める必要はありません(書籍 第1章02)。

消防設備士の類ごとの順番は、こちらの記事で難易度と合わせて解説しています。
https://aokimarke.com/jyunban/

強欲な青木
消防設備の仕事なら、いきなり甲種から受けたほうが早くないですか?
甲種は受験資格がいるので、まずは誰でも受けられる乙6。そのタイミングで電気工事士も近くで申し込むのがおすすめです。
消防設備士
強欲な青木
乙6と電気工事士を同時に進めるんですね!

資格は「掛け算」で強くなります

PIVOTの動画でも、離れた分野の資格を組み合わせると希少性が出る、という「掛け算」の話が出ていました。

消防設備の仕事でいえば、消防設備士に次の資格を組み合わせると、1人で引き受けられる仕事が増えます。

組み合わせる資格 増える仕事
第二種電気工事士 感知器・受信機まわりの電源工事を自社で行える
防火対象物点検資格者 消防用設備の点検と同時に防火対象物点検を引き受けられる
工事担任者 火災通報装置の新設で、電話回線への接続まで担当できる

詳しくは「消防設備士が消防設備士以外に取るべき資格ランキング」で解説しています。
https://aokimarke.com/setsubishiigai-shikaku3/

青木が2025年の動画で選んだ「消防設備士と相性の良い資格トップ10」(電気工事士、防火対象物点検資格者、施工管理技士など)は、青木の公式サイトの記事で紹介しています。
https://www.aoki-of-greed.com/2026/10/15/消防設備士と相性の良い資格トップ10-電気工事士-点検資格-施工管理から次の学びを選ぶ/

問い2:自分が取り切れるのか

受験資格と公式の合格率を先に確認します

PIVOTの動画で、就活塾を経営する竹内健登さんは、資格を選ぶときのポイントとして「なぜ取りたいか」「取れるのか」「取った後のリターン」の3つを挙げていました。この「取れるのか」は、気合いではなく数字で確認できます。

確認すること 調べる場所
受験資格(学歴・実務経験・他資格が必要か) 試験実施団体の公式サイト
合格率 試験実施団体が公表している試験結果
試験の形式(筆記のみか、実技・製図があるか) 試験実施団体の公式サイト
必要な学習時間 公的なデータはほとんどありません。教材会社や合格者の目安は参考程度にします

当社読者に関係する資格の公式データは、記事2の比較表(年収が高い資格ランキングを公的データで作り直しました|電気工事士・施工管理・消防設備士の位置も解説)にまとめています。

消防設備士の学習時間については、甲種・乙種別に自分の目安を出せるシミュレーターを用意しています。
https://aokimarke.com/study-time/

取れなかったときのコストも考えます

PIVOTの動画では、時間をかけて資格を目指したのに取れなかった場合、外から見ると何も残らないリスクがある、という話も出ていました。働きながら勉強する社会人にとっても同じで、時間は取り戻せません。

だからこそ、最初の1枚は「受験資格が要らない」「合格すればすぐ仕事で使える」資格から始めるのが現実的です。

青木の考え:勉強がどうしても苦手な人には、試験ではなく講習で取れる資格から入る道もあります。たとえば消防設備点検資格者は講習と修了考査で取得する資格で、点検の現場ですぐ戦力になれます(青木のYouTubeチャンネル「強欲な青木&消防設備士」の動画「講習を受講するだけで取れる国家資格ランキング」、2026年2月25日公開で話した内容)。
https://www.youtube.com/watch?v=2zzXManna0Q

ただし、講習ルートは入口です。講習ルートで入った人がその後どうするべきかについて、青木は「消防設備士として働くなら消防設備士はマスト」と答えています(青木本人への確認、2026年10月)。点検資格者で現場に入った後も、消防設備士の試験には挑戦してください。

強欲な青木
勉強がどうしても苦手で、試験に受かる自信がありません…
講習を受けるだけで取れる資格から入って、すぐ戦力になる道もあります。ただ、消防設備士として働くなら、消防設備士はマストですよ。
消防設備士

問い3:取った後に何が変わるのか

「年収」と「資格手当」は分けて考えます

資格の話で一番混ざりやすいのが、年収と資格手当です。

  • 資格手当:会社が決めた制度で、資格を持っていると毎月の給与に上乗せされるお金
  • 年収:職種、会社の規模、地域、年齢、役職、残業、賞与などで決まる、1年間の収入の合計

資格手当は資格を取れば制度どおりに付きますが、金額は会社ごとに違います。年収は資格だけでは決まりません。「資格を取れば年収◯円」と言い切れないのはこのためです。年収の公的データでの比べ方は、記事2(年収が高い資格ランキングを公的データで作り直しました|電気工事士・施工管理・消防設備士の位置も解説)で詳しく扱っています。

国の調査では、技能手当・技術(資格)手当を支給している企業は全体の48.5%、支給された労働者1人あたりの平均は月21,500円でした(厚生労働省「令和7年就労条件総合調査」、令和6年11月分、常用労働者30人以上の民営企業。資格ごとの金額ではなく、技能・技術の手当全体の平均です)。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/25/dl/gaikyou.pdf

資格手当と年収は別物だと左右で比べた図。資格手当は会社が決めた制度で、支給している企業48.5%、支給された人の平均は月21,500円。年収は職種・会社の規模・地域・年齢・役職で決まり、資格だけでは決まらない

青木の考え:資格手当は「固定で上がる部分」

ここは、(株)防災屋で資格手当の制度を見直したときに、青木がYouTubeチャンネル「強欲な青木&消防設備士」で話した内容です(動画「国家資格『消防設備士』の資格手当は?資格手当と給料の相場について解説!」、2026年4月18日公開)。
https://www.youtube.com/watch?v=g12bvd5kwsM

  • 毎月の給料のうち、残業代などは月によって変わりますが、資格手当は制度なので固定で上乗せされます。手当の制度があるのに資格を取らないのは、もらえる給料を自分から断っているのと同じだと考えています。
  • 動画公開時点(2026年4月)の(株)防災屋の制度は、動画内で示した「資格手当一覧」によると次のとおりです。
  • ベーシック区分(上限 月3万円):消防設備士 甲種は各類月3,000円、乙種は月1,500円、第二種電気工事士 月3,000円、第一種電気工事士など 月3,500円、消防設備点検資格者、防火対象物点検資格者、防災管理点検資格者、防火・防災管理者 など
  • プラスアルファ区分(上限 月2万5000円):建築物などの定期調査・検査の資格、工事担任者(総合通信)、危険物取扱者、毒物劇物取扱責任者、予防技術検定、施工管理技士、建築物環境衛生管理技術者
  • 月額の上限は合計5万5000円。消防設備士の甲種と乙種の全8種類の免状がそろうと、一時金10万円
  • 乙種の手当は、同じ類の甲種を取ると甲種の金額だけになります(二重には払いません)。
  • 反対に、1つの資格に月2万円のような高い手当を付けている会社は、その分を基本給など別のところで調整している可能性がある、とも話しています。

この金額は動画公開時点の(株)防災屋1社の制度で、業界の相場ではありません。同じ動画では、共演者が以前勤めていた会社の電気工事士の資格手当は月2,000〜3,000円だった、という話も出ています。

手当の金額だけで会社を選ぶより、その会社でどんな仕事を任され、どんな資格を取らせてもらえるかを見てください。

強欲な青木
資格手当って、そこまで気にしたほうがいいんですか?
手当の制度があるのに資格を取らないのは、給料がいらないと言っているのと同じですよ。変動する給料と違って、資格手当は制度だから固定で乗せられる。会社の当たり前に染まらずに、市場を見て自分のキャリアを市場最適化させてほしいですね。
消防設備士

任される仕事が変わることのほうが大きい

手当は毎月の上乗せですが、資格で担当できる仕事が増えると、会社の中での役割や、転職・独立したときの選択肢が変わります。

青木は、消防設備士が年収を大きく上げている例として、甲種第1類や甲種第4類の免状を持って工事の施工管理(現場をまとめて消防検査を通す役割)を担っている人を挙げています(書籍 第5章01、および当社ブログ「年収1,000万円超えの消防設備士は何をしているのか」2024年公開)。資格は、その仕事に就くための入場券という位置付けです。
https://aokimarke.com/annual-income1000/

問い4:いつ取るのか

青木の考え:固定給があるうちに取っておく

青木は、会社員のうちに資格を取っておくことをすすめています(動画「国家資格『消防設備士』の資格手当は?資格手当と給料の相場について解説!」)。理由は次のとおりです。

  • 独立して今の資格で稼げるようになると、新しい資格を取る時間のコストが重く感じられ、取らなくなりやすい
  • 会社員のうちは固定給と資格手当があるので、取るほど収入が積み上がる
  • 最初に取っておくほうが、後の選択肢が広がる

また、同じ動画で「年齢は資格を取らない理由にはならない」とも話しています。これは研究の結論ではなく、青木の実感です。

強欲な青木
独立してから、必要な資格を取ればよくないですか?
独立して今の資格で稼げるようになると、新しい資格を取るのはコスパが悪く感じて、やる気も下がるんです。最初に取っておいたほうが選択肢は広がりますよ。
消防設備士
強欲な青木
もう40代なんですが、今からでも間に合いますか…?
年齢は、資格を取らない理由にはならないですよ。
消防設備士

例:消防設備の仕事に転職したい社会人の場合

4つの問いに当てはめると、次のようになります。

問い 答えの例
何に使うか 消防用設備の点検・工事(独占業務がある)
取り切れるか 乙種第6類は受験資格なし。甲種は第二種電気工事士などで受験資格を満たせる
取ると何が変わるか 担当できる設備が増える、資格手当が付く会社が多い
いつ取るか 入社前に乙種第6類、第二種電気工事士と甲種第4類は入社直後に申し込む

第二種電気工事士と甲種第4類の時期について、青木は「入社直後に申し込んで」と答えています(青木本人への確認、2026年10月)。(編集部補足)入社直後に申し込めば、試験までの期間に現場で見る設備が、そのまま試験範囲の復習の機会になります。

よくある疑問

資格をたくさん持っていれば有利ですか

数そのものより、仕事との関係が大事です。PIVOTの動画でも、履歴書の資格欄は持っている資格を全部並べる場所ではなく、応募先に合わせて選んで書く場所だという話が出ていました。業界直結型の資格を軸に、掛け算になるものを足していくのが効率的です。

資格は、仕事で使って初めて価値が出るものだと考えています。数を集めることが目的になって、現場の経験が後回しになるのはもったいないです。

年収が高い資格ランキングの上位を目指すべきですか

ランキング上位の医師・弁護士・公認会計士などは、受験資格や学習期間の条件が大きく違います。今の仕事とのつながりがない資格を、順位だけで選ぶのはおすすめしません。数字の見方は記事2(年収が高い資格ランキングを公的データで作り直しました|電気工事士・施工管理・消防設備士の位置も解説)で詳しく扱っています。

まとめ

  • ランキングは「何を数えたか」で中身が変わるので、順位だけで選ばない
  • 何に使うか(独占業務・必置)、取り切れるか(受験資格・公式の合格率)、取った後に何が変わるか(手当と仕事)、いつ取るか(固定給があるうち)の4つで選ぶ
  • 年収と資格手当は別物。資格は、年収が高い仕事に就くための入場券として考える

次に読む

消防設備士を選んだ方は、まず受験する順番と難易度を確認してください。
https://aokimarke.com/jyunban/

受験する類が決まったら、実際に出た問題をもとにした「過去問テスト」で本番形式の練習ができます。この記事で例に挙げた乙種第6類と甲種第4類は、冊子版とPDF版があります。

消防設備士として働いた後のキャリア(独立する前提で働く考え方、年収を上げる道)は、青木の著書『消防設備士0類』に詳しく書いています。本の内容は執筆時点の経験と考えにもとづくものです。『消防設備士0類』はAmazonで電子書籍として販売しています(紙の本はありません)。
https://amzn.to/49YGHP1


消防設備の仕事への転職を考えている方へ

青木が代表を務める(株)防災屋では、消防設備士の採用情報を公開しています。この記事の「消防設備の仕事に転職したい社会人の場合」に当てはまる方は、実際の仕事内容や募集条件の確認に使ってください。
https://fdma.co.jp/recruit-s/


  • この記事を書いた人

aokimarke

平成元年生まれ
消防設備士12年目の経営者

【◎経 歴】
鈴鹿高専 ⇨ 静岡大学(3年次編入)⇨ 院 ⇨ 鈴与㈱ ⇨ 消防設備士など

【◎免 許】
消防設備士全類、危険物取扱者全類、第二種電気工事士、工事担任者(AI・DD総合種)、電験三種、予防技術検定(消防用設備等)など

【◎活 動】
月刊誌:電気と工事(オーム社)にてコラム執筆、消防設備士「過去問テスト」および予防技術検定「過去問テスト」の制作・販売、YouTubeチャンネル「強欲な青木&消防設備士」の動画作成・編集、青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団など

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